しずかちゃんと光秀は親戚?(1) 義仲の名字が違うのはナゼ2020年02月13日 13:20

 国民的アニメドラえもんのヒロインしずかちゃんを知らない日本人はあまりいないだろう。だが、しずかちゃんの本名が源静香(みなもと・しずか)である事は意外に知られていないのではないか。私も名字について調べていた10年前、たまたま知人と源姓の話題になって初めて教えられた。おそらく、源義経の恋人、静御前にちなんでいるのだろう。由来を確かめようとしたが、間違えて藤子不二雄(A)さん(ドラえもんではなく、怪物くんや笑ゥせぇるすまんの方)の事務所に電話してしまい、分からなかった。今度テレ朝にでも聞いてみようかと。
 さて、不思議に思った事はないだろうか。源は「源平藤橘」と総称される日本人の姓の代表格。ところが、現実の世界で源さんに出会う事はまずない。有名人でも本名は違ったりする。藤原さんはよくある名字だし、それよりは少ないが橘さんや平さんも数人は知っているだろう。なぜ、武士の頭領・源氏の源さんはこんなにも稀少なのだろう。
 また、子ども向けの義経の本を読んだ時、こんな疑問がわいた。平氏を京から追い出し、最初に都を占領したのは木曽義仲だ。義仲は頼朝・義経兄弟と父親同士が兄弟のいとこにあたる。なのに、なぜ名字が頼朝たちと違うのか。
 10年前、名字研究家・森岡浩さんに話を聞きに行って疑問が解けた。
 義仲だけでない。足利尊氏も、そのライバルの新田義貞も、武田信玄も、足利家の分家の今川義元もみんな本名は源朝臣(みなもとのあそん)なんだそうだ。彼らは清和天皇の遠い子孫とされる。天皇の子や孫には名前だけで姓がない。それが臣下となって下る際、与えられた姓が源や平。宮中の公式行事に出る際や朝廷に公式文書を出す場合は正式な氏姓で源朝臣尊氏などとしていた。
 中央で職にあぶれるなどした源氏や平家の三男、四男は地方に領地をもらう。自ら現地に出向して、地元の豪族を束ねる者もいる。その際、自分の支配権を誇示するため、本拠地の地名を名字として名乗る。栃木県足利市にあった荘園(下野国足利荘)を支配した源氏が尊氏の先祖だ。
 頼朝の親戚たちが武家として各地を支配し、日本中、源氏だらけになってしまったから、本姓ではなく、地名を元にした名字で呼び合うようになった。要するに、源氏は繁栄しすぎたために名字として残らなかったのだ。
 そして、今の岐阜県にあった土岐郡を根拠地とした美濃源氏の名門が土岐氏だ。光秀の明智氏はその土岐氏の分家とされる。
 さて、以前に、源氏をテーマに書きたいと言ったら、上司に「そんなの科学じゃないからダメ」とボツになった。大河ドラマが明智光秀をやっているので、源氏と土岐氏について書いてみる。

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