YOSHIKIなどと同じ大きさだった2023年06月04日 12:12

YOSHIKIなどと同じ大きさだった
献花に行ってきた。事前にしつこく確認されただけあって、珍しく、鍛冶とか鍜治とかの間違いはなかった。ただ惜しむらくは順番。ちゃんと読み方も申込書に書いてあったのだが、あいうえお順なら壮一の方が先。価格は一律でランクワケがないので、YOSHIKIや高見沢俊彦などと同じ大きさになっていた。産経新聞の社長の名前などもあったが、相当な恩恵を受けた日テレなどの名前がない。たぶんだが、非公開でやった業界関係者だけのお別れ会で大枚をポーンと出したんじゃないかと想像する。しかし、一般ファンが見る所にも出してアピールしてないのは詰めが甘いなと。ちなみに思い出の写真の中央は、アマゾンに行く前パリで壮一が撮ったものだそうだ。戦車に乗ってるのもたぶんそう。

◆鍛治壮一の親友に哀悼を
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/05/06/9583633

◆松本零士さん今でも手書きだったのでしょうか
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/02/20/9564176

◆最後の社会部記者 鍛治壮一儀
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2022/03/19/9473885

鍛治壮一の親友に哀悼を2023年05月06日 17:09

鍛治壮一の親友に哀悼を
それまで日本のSFヒーロー番組は永劫回帰。毎回、新しい怪人、怪獣、ロボットなど敵キャラが攻めて来て撃退するの繰り返し。異星人に一度ぼろ負けして絶滅寸前の人類を救うという目的で旅をする。そんな誰も見た事がない画期的なアニメ「宇宙戦艦ヤマト」が始まり、私が「これはすごい」と興奮しているのを見て、鍛治壮一がプロデューサーに取材に行った。それが元で、壮一はおそらく生涯の親友の一人だった松本零士と出会った。極め付けの飛行機マニア・メカマニア同士。意気投合するまで一瞬だったことだろう。各種の戦闘機などに乗りまくっていた壮一が自衛隊に話を付けて戦車やら潜水艦を体験してもらい、それをイラストにするメカゾーンという企画を連載した。その番外編がアマゾン旅行だった。
ある日、萩尾望都さんに松本さんから電話がかかってきた。「イースター島かガラパゴスか。行き先はまだ決まってないが、秘境に行くんですが、いっしょに来ませんか?」。そのころにロンドンで仕事があるというと、「じゃあ、パリ集合で」。パリからコンコルドに乗って、リオデジャネイロを経由し、アマゾンやインカ帝国の首都だったクスコの遺跡、ナスカの地上絵をこの目で見る旅に。漫画家のちばてつややヤマトのメインヒロインの声優麻上洋子も同行した。
 萩尾さんが松本さんと壮一に驚いた事が2つあったという。はるか遠くから飛んでくる飛行機がまだ豆粒のように小さいのに、2人で「あれは○○だ」と機種を言い合っている。どうして分かるのか不思議がっていると、「萩尾さん。飛行機というものはどれ一つとして尾翼の形が同じ物はないんですよ」と見分けられる理由を話す。そして、ペルーなどで土産物などを売っている店に入ると、2人はいつまでたっても出てこない。一度などあまりにも遅いので、2人が店の外に出ると、乗ってきた車がいない。置き去りにして、他の人が先に帰ってしまったのだ。市場でも端から端まで店の前を何回も行ったり来たり。「男性であんなに買い物の長い人は初めて見た」とあきれたそうだ。
 化石を含んだ地層でできたテーブルがあったり、編集者などの待合室に本物のANAのビジネスシートがあったり。戦闘機の照準器が仕事机の下に転がっていたり。各種の資料類も地層のように重なっていて、必要になったら大体の年代で場所が分かるそうだ。
 絵を描くには本物を握ったときの重さや質感が重要だと言っていた。まあ、壮一の部屋も同様に(他人の目にはガラクタにしか見えない)物であふれている。しかし、松本さんは仕事に役に立っていても、壮一の場合、仕事に関係ないただの趣味だ。
 そんな松本さんが理事として設立当初から加わっていたのが、日本宇宙少年団。「未来は青少年の心の中にある」が口癖で、例えば、九州から東京まで1人で出てきたときの夜行列車が999につながっているそうだ。ケガをしたり、おぼれかかったり、そういうすべての経験が今の職業や自分自身に結びついていると。教育は企業の製品開発などと違って、なかなか成果が目に見えない。そういうことで士気が低下してしまう教育関係者もいるのだが、松本さんの講演を聴いて、またがんばろうと勇気づけられることも多かったそうだ。
 しかし、少年団が科技庁出身の理事長の無計画な経営で、用地買収までしたバブル期の宇宙のテーマパーク計画が失敗し、多額の負債で破綻の危機に。経営の経験がない松本さんは迷いながらも子どもたちの笑顔のために理事長を引き受ける。長年いっしょにやってきた職員のリストラもした。「漫画家とアシスタントはきつい締め切りを乗り切る運命共同体。デビューが決まって巣立っていくことはあっても、こちらから辞めさせた経験はないから本当につらかった」と自宅で話を聞いた。自腹で給料を払ってでも残したいと思って残した人が辞めてしまい、それだったら他の人を残せばよかったと泣きたくなるくらい後悔したり。
 長年の作品での宇宙への功績や少年団の立て直しなどが認められ、小惑星にREIJIと名前が付いた。相当に喜んでいた。作品に補給基地として登場させたり、登場人物に「先祖にゆかりの星だ」と言わせたり。
 「絵を描くために世界中のあらゆるところに行って、あらゆる物を見てきたが、地球だけはまだこの目で見たことがない。帰ってこれなくてもいいから宇宙に行きたい」と語っていたそうだ。その夢だけは果たせなかった。講演では、自分が昔立てた計画表では今頃は宇宙に行っていたはずだと。いつか子孫が本当にレイジに行ってほしいという夢が続いている。

◆F15に初めて乗った男 最後の社会部記者・鍛治壮一の書斎に眠る昭和-平成史
https://kajisoichi.hatenablog.com/

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15630075.html

松本零士さん今でも手書きだったのでしょうか2023年02月20日 14:50

松本零士さん今でも手書きだったのでしょうか
長編だけでなく、何のことはない短編集なども好きでした。ネアンデルタールの話とか。「爆撃機で絶対に越えるのが不可能とされた山脈を必死に制覇してパイロットが後ろを振り返ってみれば・・・」という戦場物シリーズとか。ヤマトとかの絵では月並みなので、そのころに読んだばかりの潜水艦スーパー99の主人公の絵をお願いしたら、「よく覚えてないな」とおぼつかない絵を描いていただきました。アルカディア号などの艦橋にある計器類の特徴的なデザインはよく真似されるのですが、海外でもオリジナルは誰かよく伝わっていて、 leiji matsumoto meter (零士メーター)と呼ばれています。そういえば、宇宙物でも、戦記物でも、四畳半物でもない、珍しく永井豪のような青年コミック誌向けのセクサロイド、ミステリーイブなんて作品もありましたね。世界レベルの人気の創作物に比べてあまり知られてませんが、宇宙少年団の理事長としても長年子どもたちの夢を育て大事にしていました。ご冥福をお祈りします。

共同通信H3失敗騒動で思い出すお役所用語2023年02月18日 16:10

共同通信H3失敗騒動で思い出すお役所用語
 もちろんの一般用語では中止も失敗のうちだが、ロケットの打ち上げ失敗というと普通は取り返しのつかないTotal Loss(全損)を意味するだろう。液体燃料に火が付いちゃっても海の藻屑にならず、安全にやり直しができる技術がすごいなと。燃料が燃えだしてから中止したら無事ではすまないと普通は思うから、共同の一報はつい筆がすべったんじゃないかという気がする。
 さて、この中止か失敗か問題で、「東大理学部がハワイ・マウイ島のハレアカラ山頂に、2mの望遠鏡マグナムをつくる」という記事の騒動を思い出した。
「カジさん、あれは建設じゃないんですよ」。ある日、東大の事務方のトップが泣きそうな声で電話してきた。
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「建設」問題(119ページ)
 ある日のこと、新聞社の記者が話を聞かせてくれと、私(吉井教授)を訪ねてきた。(中略)
 新聞にその記事が載ったのは、96年1月3日の3面。版によっては1面に載った。正月休みということもあって、文部省や大蔵省の官僚をはじめ、いろいろな人たちの目にふれたようである。
 建設中の「すばる」の話だと思って読んでいたら、隣のマウイ島の話である。しかも新しい望遠鏡を「建設する」と書いてある。「建設」というのは、官僚の専門用語として
使われる場合、「土木工事」を行うことを意味するらしく、文部省があわててしまった。「科研費は土木工事に使われる筋合いのものではない。それを承知で東大は許したのか」。大学側は、新聞にそう書かれているが、望遠鏡は科研費が終われば国内に移送する可搬型、と弁明した。
(中略)今度は大蔵省から文部省に、大型のCOE科研費を認めたのはルール違反をやらせるためではないと、厳しい詰問がきた。さらに総務庁からも追い打ち。日本の法律では、在外公館以外で国有財産を外国に出すことは認められていない。それなのに、東大は科研費で外国に施設を「建設する」という。(中略)
 文部省も東大も大変な騒ぎになった。私も正月明けから、事態が沈静化するまでの約2週間というもの、平均睡眠時間が2、3時間という日々が続いた。・・・
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「東京大学マグナム望遠鏡物語」(東大出版会) 吉井譲東大名誉教授著

 私はその事務方に、「お役所の言葉では、建設ではなくてもですね、新聞や一般の人が使う言葉では、大型望遠鏡を山の上に持って行って、組み立てて、土台をつくってその上に設置したら、たとえ、建物を建ててなくても、それは建設と言うんですよ」。
「それはそうかもしれないけど、でも、あれは建設じゃないんです」。
 そもそも、望遠鏡を野ざらしにできないから、周りに壁や屋根のあるドームを「建設」するんですけどね。
 戦前、戦中の日本には報道の自由がなかった。軍部(大本営)が「転進」と発表しても、実際に戦場にいる記者が「撤退」や「敗走」を目撃していたら事実を書くのが国民の知る権利に応えるという報道の使命。だが、撤退や敗走と書いたら逮捕されたり、発行禁止になったりするから書けなかった。今なら憲法で表現の自由が保障されてるから、政府などの公的機関が独自の用語で実態を糊塗しようとしても、報道機関の判断で一般に通用する言葉にしても逮捕されない。福島の原発のタンクに貯まっているのが処理水なのか汚染水なのかとか。処理水と称するものに環境基準をはるかに超える放射性ストロンチウムなどが含まれていることがバレ、今では、ALPS処理水(きれいな処理水)と処理途上水の2つに分けている。

◆東大宇宙センター、ハワイに口径2メートルの望遠鏡建設 来年完成 (1996年01月03日)

◆打ち上げ中止「H3」会見で共同記者の質問に批判相次ぐ ロケットを救った「フェールセーフ」とは
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2302/17/news183.html

始まりの星の痕跡初発見 なぜプロは素人に意味不明な矛盾を書いてると気づかないのか2022年09月29日 12:48

始まりの星の痕跡初発見 なぜプロは素人に意味不明な矛盾を書いてると気づかないのか
 始まりの星(ZERO-METAL星)と呼ばれる種族3(PopⅢ)の恒星が爆発して飛び散った痕跡をアメリカや東大の研究グループが初めて発見したという。恒星は生まれた時代によりMETAL(*)の含有量が違う。ビッグバンでは水素、ヘリウム、リチウムなどの軽い元素しか創生せず、恒星の材料となる水素のガスには最初、重い元素が含まれない。恒星が生まれ、その中心部で核融合によって炭素、酸素やそれより重い元素がつくられ、さらに超新星爆発によって鉄より重い重金属が生成し、宇宙にばらまかれる。そのため、新しい恒星ほど水素ガスに含まれるMETALの比率が大きい。種族1は太陽(50億歳)など比較的新しい恒星でmetalの含有率が高く、種族2は古い星でmetalの含有率が低い。そして、種族3がmetalの含まれない始まりの星だ。種族3はこれまで見つかっていない。
 今回、グループは新たに観測したのではなく、ジェミニ望遠鏡が過去に観測した約131億年前のクエーサー(宇宙の始まりから7億年後ぐらいのもの)のデータを再利用した。天文学の世界ではよくあること。グループはクエーサーの輝線スペクトルからmetalの存在比を決める新たな方法を考案し、このクエーサーの周りのガスの鉄とマグネシウムの比が太陽の10倍以上も大きい事がわかった。鉄とマグネシウムの比率がこのような異常な値になるのは、太陽の300倍程度の質量で、金属を含まない「始まりの星」が爆発する以外にないという。超新星の質量によってどのような元素の組成になるかは日本の野本グループとアメリカのグループが計算していて、その結果と照らし合わせると、太陽の300倍程度のゼロメタル星の爆発以外ありえないそうだ。

◆なぜ専門家は自分たちだけが分かっている事が素人には理解不可能な事に気づかないのか

 と、この発表を読んで、いつもながらの感想。「ZERO-METAL星(PopⅢ)を見つけた」と言いながら、「鉄/マグネシウムの比率が太陽より10倍も大きいのがZERO-METAL星の証拠」。これが素人には意味不明だということを一般向けのプレスリリースを書いていてなぜ気づかないのか。ビッグバン直後のZERO-METALの水素ガス雲から生まれたZERO-METAL星でも時間がたつと核融合によって中心部に金属が生じる。マグネシウムや鉄もできる。しかし、観測できるのは恒星の表面だけで、表面の水素ガスは生まれた時のZERO-METALのまま。なので、表面上、始まりの星はZERO-METAL星として観測される。という説明がないと意味不明。質量の大きい恒星の中心部では鉄ができるまで核融合が進み、その後に超新星爆発が起きる。爆発のエネルギーでも鉄やマグネシウムができる。そして、太陽の数十倍の質量のこれまで知られた超新星爆発では中心部にブラックホールが残るため、中心部にあった鉄の一部しかばらまかれないけど、100数十倍を超えるような恒星だと爆発ですべて吹き飛ぶため、鉄の含有比率が上がるそうだ。こんな巨大な質量の超新星の痕跡が見つかったのも初めてという。

*注 ここでいうメタルは本来の金属だけでなく、炭素、酸素などビッグバンでは創生されない元素一般を指す。

https://www.newscientist.com/article/2339828-light-from-a-quasar-shows-hints-of-one-of-the-universes-first-stars/
https://noirlab.edu/public/news/noirlab2222/

宇宙の広さは有限だが果てはない事を教えてくれた19世紀の名著2022年05月23日 12:31

宇宙の広さは有限だが果てはない事を教えてくれた19世紀の名著
 子供の頃に読んだ「二次元の世界」(ブルーバックス)の新訳改訂版が出ていたので、甥っ子に、これを読めば「宇宙に果てはあるのか」「宇宙の外はどうなってるのか」といった疑問の答えが自然に分かると勧めた。小学生でも理解できる寓話のようなSFであり、しかも優れた啓蒙書になっている。この19世紀の名著を読んでいたおかげで「宇宙の広さは有限だが果てはない」というモデルがすんなり類推できた。モデルに過ぎず、証明はほぼ不可能に近いくらい難しいが。最近も「宇宙の端の奥はどうなっているのか?」という質問を受けたので、とりあえず、これを読めば、「宇宙は4次元的な球の表面の3次元的な球面のような存在。宇宙の外は我々3次元生物には認識できない」ということが理解できるはずだと答えておいた。ただ、「自分はこれを小学生の時、原著(英語版)で読んだ」などとのっけから自慢話の序文が付いているのが余計。

全世界的に理科教科書が何十年も間違えてた2022年02月25日 11:20

全世界的に理科教科書が何十年も間違えてた
月による潮の満ち引き「潮汐力」を遠心力で説明。最初にエラい人が間違いを書き、それを孫引きした教科書が増殖したようだ。

https://www.facebook.com/groups/561855477920977/permalink/1137266640379855/

50年前のアンドロメダ変異株 マイケル・クライトン は現実になるか2021年11月29日 19:01

アンドロメダ株は現実に
 オミクロン株でギリシャ文字も残り少なくなって来たが、最後のオメガまで行ったら次は星座らしい。Aから始まるなら知名度から見て最初はアンドロメダだろう。「惑星ソラリス」や「地球が静止する日」などと並んでSF映画の金字塔に「アンドロメダ病原体」というのがある。奇しくも原題は「アンドロメダ株」(The Andromeda Strain)。原作がマイケル・クライトンだというのも初めて知った。半世紀も前から活躍していたとは。

月食赤い何故 月から見ると地球の縁も赤い2021年05月27日 06:57

月食赤い何故 月から見ると地球の縁も赤い
 昨日の皆既月食、月面から見れば地球が太陽を覆い隠す皆既日食。月から見たら月から地球の周りを朝焼け、夕焼けの赤い縁取りができているのが見えるのではないか。NASAのサイトに、その様子を想像した動画がある。
https://svs.gsfc.nasa.gov/4341#22148

◆月食が赤く見えるのはどうして? それは夕焼けが月に当たってるからア~
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/26/9381556

月食が赤く見えるのはどうして? それは夕焼けが月に当たってるからア~2021年05月26日 19:03

月食が赤く見える何故? 夕焼けが月に当たってるからア~

某番組風だが。月食は、月が地球の後ろに入って太陽からの光が遮られる現象だ。月に地球の影が落ちているとも言える。だが、月は影のように黒くならず、赤銅色に見える。なぜか。太陽から来た平行光線が地球の縁の大気にぶつかる。これらは日の出と日没の地点だ。すると、光が空気中から水の中に斜めに入ると屈折するように、太陽光が内側に曲がって月に当たる。地球の縁の大気が凸レンズのような役割を果たすのだ。日の出と日没の時の地面にほぼ平行な太陽光線が大気の中を通ってくると、波長の短い青い光は途中で散乱される。波長の長い赤い光だけが来て、朝焼け、夕焼けは赤く見える。この朝焼け、夕焼けの赤い光が大気を通り抜けて月に当たっているのだ。

◆月から見た地球食
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/24/9380853