鍛治壮一の親友に哀悼を ― 2023年05月06日 17:09
それまで日本のSFヒーロー番組は永劫回帰。毎回、新しい怪人、怪獣、ロボットなど敵キャラが攻めて来て撃退するの繰り返し。異星人に一度ぼろ負けして絶滅寸前の人類を救うという目的で旅をする。そんな誰も見た事がない画期的なアニメ「宇宙戦艦ヤマト」が始まり、私が「これはすごい」と興奮しているのを見て、鍛治壮一がプロデューサーに取材に行った。それが元で、壮一はおそらく生涯の親友の一人だった松本零士と出会った。極め付けの飛行機マニア・メカマニア同士。意気投合するまで一瞬だったことだろう。各種の戦闘機などに乗りまくっていた壮一が自衛隊に話を付けて戦車やら潜水艦を体験してもらい、それをイラストにするメカゾーンという企画を連載した。その番外編がアマゾン旅行だった。
ある日、萩尾望都さんに松本さんから電話がかかってきた。「イースター島かガラパゴスか。行き先はまだ決まってないが、秘境に行くんですが、いっしょに来ませんか?」。そのころにロンドンで仕事があるというと、「じゃあ、パリ集合で」。パリからコンコルドに乗って、リオデジャネイロを経由し、アマゾンやインカ帝国の首都だったクスコの遺跡、ナスカの地上絵をこの目で見る旅に。漫画家のちばてつややヤマトのメインヒロインの声優麻上洋子も同行した。
萩尾さんが松本さんと壮一に驚いた事が2つあったという。はるか遠くから飛んでくる飛行機がまだ豆粒のように小さいのに、2人で「あれは○○だ」と機種を言い合っている。どうして分かるのか不思議がっていると、「萩尾さん。飛行機というものはどれ一つとして尾翼の形が同じ物はないんですよ」と見分けられる理由を話す。そして、ペルーなどで土産物などを売っている店に入ると、2人はいつまでたっても出てこない。一度などあまりにも遅いので、2人が店の外に出ると、乗ってきた車がいない。置き去りにして、他の人が先に帰ってしまったのだ。市場でも端から端まで店の前を何回も行ったり来たり。「男性であんなに買い物の長い人は初めて見た」とあきれたそうだ。
化石を含んだ地層でできたテーブルがあったり、編集者などの待合室に本物のANAのビジネスシートがあったり。戦闘機の照準器が仕事机の下に転がっていたり。各種の資料類も地層のように重なっていて、必要になったら大体の年代で場所が分かるそうだ。
絵を描くには本物を握ったときの重さや質感が重要だと言っていた。まあ、壮一の部屋も同様に(他人の目にはガラクタにしか見えない)物であふれている。しかし、松本さんは仕事に役に立っていても、壮一の場合、仕事に関係ないただの趣味だ。
そんな松本さんが理事として設立当初から加わっていたのが、日本宇宙少年団。「未来は青少年の心の中にある」が口癖で、例えば、九州から東京まで1人で出てきたときの夜行列車が999につながっているそうだ。ケガをしたり、おぼれかかったり、そういうすべての経験が今の職業や自分自身に結びついていると。教育は企業の製品開発などと違って、なかなか成果が目に見えない。そういうことで士気が低下してしまう教育関係者もいるのだが、松本さんの講演を聴いて、またがんばろうと勇気づけられることも多かったそうだ。
しかし、少年団が科技庁出身の理事長の無計画な経営で、用地買収までしたバブル期の宇宙のテーマパーク計画が失敗し、多額の負債で破綻の危機に。経営の経験がない松本さんは迷いながらも子どもたちの笑顔のために理事長を引き受ける。長年いっしょにやってきた職員のリストラもした。「漫画家とアシスタントはきつい締め切りを乗り切る運命共同体。デビューが決まって巣立っていくことはあっても、こちらから辞めさせた経験はないから本当につらかった」と自宅で話を聞いた。自腹で給料を払ってでも残したいと思って残した人が辞めてしまい、それだったら他の人を残せばよかったと泣きたくなるくらい後悔したり。
長年の作品での宇宙への功績や少年団の立て直しなどが認められ、小惑星にREIJIと名前が付いた。相当に喜んでいた。作品に補給基地として登場させたり、登場人物に「先祖にゆかりの星だ」と言わせたり。
「絵を描くために世界中のあらゆるところに行って、あらゆる物を見てきたが、地球だけはまだこの目で見たことがない。帰ってこれなくてもいいから宇宙に行きたい」と語っていたそうだ。その夢だけは果たせなかった。講演では、自分が昔立てた計画表では今頃は宇宙に行っていたはずだと。いつか子孫が本当にレイジに行ってほしいという夢が続いている。
◆F15に初めて乗った男 最後の社会部記者・鍛治壮一の書斎に眠る昭和-平成史
https://kajisoichi.hatenablog.com/
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15630075.html
ある日、萩尾望都さんに松本さんから電話がかかってきた。「イースター島かガラパゴスか。行き先はまだ決まってないが、秘境に行くんですが、いっしょに来ませんか?」。そのころにロンドンで仕事があるというと、「じゃあ、パリ集合で」。パリからコンコルドに乗って、リオデジャネイロを経由し、アマゾンやインカ帝国の首都だったクスコの遺跡、ナスカの地上絵をこの目で見る旅に。漫画家のちばてつややヤマトのメインヒロインの声優麻上洋子も同行した。
萩尾さんが松本さんと壮一に驚いた事が2つあったという。はるか遠くから飛んでくる飛行機がまだ豆粒のように小さいのに、2人で「あれは○○だ」と機種を言い合っている。どうして分かるのか不思議がっていると、「萩尾さん。飛行機というものはどれ一つとして尾翼の形が同じ物はないんですよ」と見分けられる理由を話す。そして、ペルーなどで土産物などを売っている店に入ると、2人はいつまでたっても出てこない。一度などあまりにも遅いので、2人が店の外に出ると、乗ってきた車がいない。置き去りにして、他の人が先に帰ってしまったのだ。市場でも端から端まで店の前を何回も行ったり来たり。「男性であんなに買い物の長い人は初めて見た」とあきれたそうだ。
化石を含んだ地層でできたテーブルがあったり、編集者などの待合室に本物のANAのビジネスシートがあったり。戦闘機の照準器が仕事机の下に転がっていたり。各種の資料類も地層のように重なっていて、必要になったら大体の年代で場所が分かるそうだ。
絵を描くには本物を握ったときの重さや質感が重要だと言っていた。まあ、壮一の部屋も同様に(他人の目にはガラクタにしか見えない)物であふれている。しかし、松本さんは仕事に役に立っていても、壮一の場合、仕事に関係ないただの趣味だ。
そんな松本さんが理事として設立当初から加わっていたのが、日本宇宙少年団。「未来は青少年の心の中にある」が口癖で、例えば、九州から東京まで1人で出てきたときの夜行列車が999につながっているそうだ。ケガをしたり、おぼれかかったり、そういうすべての経験が今の職業や自分自身に結びついていると。教育は企業の製品開発などと違って、なかなか成果が目に見えない。そういうことで士気が低下してしまう教育関係者もいるのだが、松本さんの講演を聴いて、またがんばろうと勇気づけられることも多かったそうだ。
しかし、少年団が科技庁出身の理事長の無計画な経営で、用地買収までしたバブル期の宇宙のテーマパーク計画が失敗し、多額の負債で破綻の危機に。経営の経験がない松本さんは迷いながらも子どもたちの笑顔のために理事長を引き受ける。長年いっしょにやってきた職員のリストラもした。「漫画家とアシスタントはきつい締め切りを乗り切る運命共同体。デビューが決まって巣立っていくことはあっても、こちらから辞めさせた経験はないから本当につらかった」と自宅で話を聞いた。自腹で給料を払ってでも残したいと思って残した人が辞めてしまい、それだったら他の人を残せばよかったと泣きたくなるくらい後悔したり。
長年の作品での宇宙への功績や少年団の立て直しなどが認められ、小惑星にREIJIと名前が付いた。相当に喜んでいた。作品に補給基地として登場させたり、登場人物に「先祖にゆかりの星だ」と言わせたり。
「絵を描くために世界中のあらゆるところに行って、あらゆる物を見てきたが、地球だけはまだこの目で見たことがない。帰ってこれなくてもいいから宇宙に行きたい」と語っていたそうだ。その夢だけは果たせなかった。講演では、自分が昔立てた計画表では今頃は宇宙に行っていたはずだと。いつか子孫が本当にレイジに行ってほしいという夢が続いている。
◆F15に初めて乗った男 最後の社会部記者・鍛治壮一の書斎に眠る昭和-平成史
https://kajisoichi.hatenablog.com/
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15630075.html
新聞なら1面特ダネじゃないかと ― 2023年05月10日 11:33
定員を超えたら補助金を打ち切るという文科省の脅しのせいで、大学が右往左往し、その結果、受験生がしわ寄せ被害を受けているという話。教育問題に詳しい記者の力作。一つの学部のみでも1.1倍を超えたら全学でCUTとはひどい。
◆大学定員厳格化の緩和で追加合格者が激減 「犠牲者は受験生」の声も
https://www.asahi.com/edua/article/14896311
◆大学定員厳格化の緩和で追加合格者が激減 「犠牲者は受験生」の声も
https://www.asahi.com/edua/article/14896311
諦めた方が良いのでは インフルmRNAワクチン ― 2023年05月15日 13:09
>>同ワクチンが、承認済みのワクチンに匹敵する予防効果があるかどうかを検証する試験を行っているが、ワクチン成功の可否を判断するデータが不十分で、現在のインフルエンザ流行期中に十分な情報を蓄積できるかどうか不明だと説明した。
そりゃそうだろう。
新型コロナワクチンに比べてでも条件が悪すぎる。
1)コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的に変異の遅いウイルスだが、それでも半年かそこらでワクチンの効果がかなり下がるという話もある。ましてやコロナよりずっと変異が激しく速いインフルではなおさらワクチンがうまくいきにくい。
2)新型コロナはほかの風邪のコロナと違って人類が初めて経験するウイルスだったので、新型コロナを未経験な人とワクチンを打った人で比べることができた。インフルは大人のほとんどがすでに免疫を持っている。なので、インフルで症状が出にくく、ワクチンを接種した人としてない人の差がなおさら少ない。
3)インフルはコロナと違って非常によく効く薬がたくさんある。あまり効かないとはいえ既存の安い不活化ワクチンもあるのに、ワクチン界のランボルギーニ/マクラーレンと呼ばれる高価なmRNAワクチンをインフルのためにわざわざ有料で打つ需要がどれぐらいあるのか。コロナの収束で投資した設備などが稼働しなくなると困るのかもしれないが。
ワクチンの効果がはっきり出て、はっきり分かるのは、一度かかったら二度がかりはないとされるはしかや天然痘などのウイルス。ほとんど変異しないから初感染や初ワクチンでできた獲得免疫が終生免疫になるからだ。そして、インフルやコロナは効果があったかどうかの検証もしにくいという壁もある。はしかは免疫のない人が感染すると必ず発病し、しかも、素人にもはしかだとはっきり分かる典型的な症状が必ず出る。インフルのように無症状の人が多く、症状が出ても風邪と区別がつきにくく、その上、ほっといても勝手に治ってしまう病気ではワクチンが効いたかどうか確かめるのが非常に困難なのだ。
◆米モデルナのmRNAインフルワクチン、後期試験で早期成功基準満たせず
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2023/04/440809.php
そりゃそうだろう。
新型コロナワクチンに比べてでも条件が悪すぎる。
1)コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的に変異の遅いウイルスだが、それでも半年かそこらでワクチンの効果がかなり下がるという話もある。ましてやコロナよりずっと変異が激しく速いインフルではなおさらワクチンがうまくいきにくい。
2)新型コロナはほかの風邪のコロナと違って人類が初めて経験するウイルスだったので、新型コロナを未経験な人とワクチンを打った人で比べることができた。インフルは大人のほとんどがすでに免疫を持っている。なので、インフルで症状が出にくく、ワクチンを接種した人としてない人の差がなおさら少ない。
3)インフルはコロナと違って非常によく効く薬がたくさんある。あまり効かないとはいえ既存の安い不活化ワクチンもあるのに、ワクチン界のランボルギーニ/マクラーレンと呼ばれる高価なmRNAワクチンをインフルのためにわざわざ有料で打つ需要がどれぐらいあるのか。コロナの収束で投資した設備などが稼働しなくなると困るのかもしれないが。
ワクチンの効果がはっきり出て、はっきり分かるのは、一度かかったら二度がかりはないとされるはしかや天然痘などのウイルス。ほとんど変異しないから初感染や初ワクチンでできた獲得免疫が終生免疫になるからだ。そして、インフルやコロナは効果があったかどうかの検証もしにくいという壁もある。はしかは免疫のない人が感染すると必ず発病し、しかも、素人にもはしかだとはっきり分かる典型的な症状が必ず出る。インフルのように無症状の人が多く、症状が出ても風邪と区別がつきにくく、その上、ほっといても勝手に治ってしまう病気ではワクチンが効いたかどうか確かめるのが非常に困難なのだ。
◆米モデルナのmRNAインフルワクチン、後期試験で早期成功基準満たせず
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2023/04/440809.php
はしかは何度もかかるかも 常識変わる可能性 ― 2023年05月18日 12:02
はしかワクチン接種済が返って流行源 半端な免疫 何故30,40代 ― 2023年05月18日 18:19
麻疹ワクチンは1978年から定期接種になった。厚労省の2001年度の調査で20歳以下(今の40歳以下)の麻疹ワクチンの接種率は各年齢80%を超えている。当時の25、30歳ぐらい、つまり、今の40代半ばから50代だと50%前後だ。
問題は、ワクチンを1回しか打ってない人が多い20-40代だ。接種1回だけだと獲得免疫が中途半端になることがある。接種済みでもはしかに感染するのだが、修飾麻疹といって、体中に赤い発疹ができるような典型症状が出ない。軽症ではしかだと気づかず、元気に出歩いてそこら中に感染を広げてしまう。
◆はしかは何度もかかる 常識変わるかも
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/05/18/9587028
問題は、ワクチンを1回しか打ってない人が多い20-40代だ。接種1回だけだと獲得免疫が中途半端になることがある。接種済みでもはしかに感染するのだが、修飾麻疹といって、体中に赤い発疹ができるような典型症状が出ない。軽症ではしかだと気づかず、元気に出歩いてそこら中に感染を広げてしまう。
◆はしかは何度もかかる 常識変わるかも
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/05/18/9587028
囚人席はないJAL777 ボーイングvs.エアバス ― 2023年05月21日 18:46
昔出張で空港に行ったら、JASの職員がB777に乗る乗客に「今日は満席でもう5席の真ん中しか残っておりません」と謝っていた。私は777ではなく767に乗るために並んでいたのだが同じことを言われた。「767に5席編成なんてありましたっけ?」。謝りすぎてわけがわからなくなっていたようだ。このボーイング777の5席の真ん中をライバルのエアバスは「プリズなーシート(囚人席)と呼んでいた。
ボーイングが双発ワイドボディB777のデモで欧州のエアショーに参加した際、777の客室にエアバス機の輪切りにした胴体の実物大模型を設置した。曰く、「WIDE BODY?」。ワイドボディはジャンボジェットなどのように通路が2列以上ある胴体の幅が大きい機体のこと。777の胴体は太く、こんなに客室が広いが、それに比べ、エアバス機の天井はこんなに低い。よくワイドなんて言えるなという痛烈な比較広告だ。ボーイングの背の低い広報が自分でも頭が天井にぶつかるとジェスチャーで揶揄していた。激怒したエアバスは「777にはprisoner seatがある」とわざわざ動画まで作って対抗宣伝。2本の通路にはさまれた5席の真ん中は窮屈な上に乗務員から物を受け取るのも一苦労。まるで囚人だと。
「世界初の超音速旅客機も、世界初の双発ワイドボディも、フライバイワイヤもすべてヨーロッパが先にやった」。かつて、エアバスの広報は誇らしげに言っていた。民間航空機産業は、米国が席巻したマーケットを欧州が逆転するところまで盛り返した数少ない分野だろう。ワイドボディ機は長距離航路での安全を図るためエンジンは4発だった。双発にした方が重さも空気抵抗も減る。双発ワイドボディの価値を認めない米国勢を尻目にエアバスは双発機の経済性で業績を伸ばした。
777の場合、座席は横9席だから、2-5-2とするか、3-3-3とするかは航空会社の自由。どうして囚人席編成なんてするんだろうと疑問を口にしたら、航空関係の広報担当者が教えてくれた。満席のときは囚人席まで埋まるが、そこまで混んでいなくて、9席のうち8席が埋まることを考えたら、窓際席が不便になる3-3-3より囚人席を作った方がいい。この動画を見ると、JALの700-200ERは囚人席のない編成(中4席の3-4-2)だ。
しかし、ボーイングが特別思い入れのある番号を与えた777が退役の時期を迎えるとは。
◆JAL777-200ER退役 記念フライト、20年の思いを込めて
https://digital.asahi.com/articles/ASR5J55X9R5DUTIL02N.html
ボーイングが双発ワイドボディB777のデモで欧州のエアショーに参加した際、777の客室にエアバス機の輪切りにした胴体の実物大模型を設置した。曰く、「WIDE BODY?」。ワイドボディはジャンボジェットなどのように通路が2列以上ある胴体の幅が大きい機体のこと。777の胴体は太く、こんなに客室が広いが、それに比べ、エアバス機の天井はこんなに低い。よくワイドなんて言えるなという痛烈な比較広告だ。ボーイングの背の低い広報が自分でも頭が天井にぶつかるとジェスチャーで揶揄していた。激怒したエアバスは「777にはprisoner seatがある」とわざわざ動画まで作って対抗宣伝。2本の通路にはさまれた5席の真ん中は窮屈な上に乗務員から物を受け取るのも一苦労。まるで囚人だと。
「世界初の超音速旅客機も、世界初の双発ワイドボディも、フライバイワイヤもすべてヨーロッパが先にやった」。かつて、エアバスの広報は誇らしげに言っていた。民間航空機産業は、米国が席巻したマーケットを欧州が逆転するところまで盛り返した数少ない分野だろう。ワイドボディ機は長距離航路での安全を図るためエンジンは4発だった。双発にした方が重さも空気抵抗も減る。双発ワイドボディの価値を認めない米国勢を尻目にエアバスは双発機の経済性で業績を伸ばした。
777の場合、座席は横9席だから、2-5-2とするか、3-3-3とするかは航空会社の自由。どうして囚人席編成なんてするんだろうと疑問を口にしたら、航空関係の広報担当者が教えてくれた。満席のときは囚人席まで埋まるが、そこまで混んでいなくて、9席のうち8席が埋まることを考えたら、窓際席が不便になる3-3-3より囚人席を作った方がいい。この動画を見ると、JALの700-200ERは囚人席のない編成(中4席の3-4-2)だ。
しかし、ボーイングが特別思い入れのある番号を与えた777が退役の時期を迎えるとは。
◆JAL777-200ER退役 記念フライト、20年の思いを込めて
https://digital.asahi.com/articles/ASR5J55X9R5DUTIL02N.html
大リーグボール1号の極意 ― 2023年05月24日 12:55
久しぶりに連載筆者を受け持つようになり、昔担当したコラムニストの小田嶋隆さんを思い出した。遅筆で有名。「家にいても書けない」と言うので編集部に来てもらって書くよう前の担当者が変えた。だが、担当者が「じゃあ、めしでも食ってから」と連れて行って戻ってくると「今日は気が乗らない」と帰ってしまったり。書かずに編集長と飲みに行ったり。小田嶋さんの初代担当編集者はとてもまじめな性格だった。小田嶋さんにウソをつかれると「どうして約束をを守ってくれないんですか。私のどこが至らないんですか。言ってくれたら直します」と涙ながらに迫るような人だったそうだ。小田嶋さんは「何も悪くないんですよ。でも、そんな風に言われるとますます書けなくなるんです」。
そんな小田嶋さんを引き継いだ、3代目か4代目の私は初代と正反対の接し方をした。編集部に来てもらう日時を決めても約束の時間に来ない。電話すると自宅にいて、「今日はちょっと行く気になれません」と正直に言う。私は全くあわてず、約束については何も言わず、「じゃあ、いつにしましょうか」と次の約束を取り付け。でも、また来ない。そういうことが3回ぐらい続いても私は平気な顔だった。こうして守られない約束をとり続けた。その間、「もう、デッドラインです」的な発言は一切しない。2ページのコラム。落ちたら、「先生がいつもの病気で逃げたので、代わりに担当編集者がお届けします」とか書いて、なんかで埋めればいいと本気で思っていた。
ところが、そういう態度をとり続けると本人が約束を守って来て、しかも原稿が出てくるようになった。以前は色校も出ないで入稿即校了だったのが、そのうち、ゲラまで出るような締め切り前に受け取れるようになった。私が担当している間、原稿は1回も落ちなかった。
「巨人の星」で語られる大リーグボール1号誕生のエピソードはこんな感じだ。星飛雄馬は投手としての致命的な欠点を突きつけられ、逃亡。訪れた寺で座禅の修業に加わる。コントによく出てくる木の棒(警策)で打つやつだ。雑念の塊のような状態なので、飛雄馬ばかりやたら打たれ続ける。「どうせ負け犬のおれだ。いくらでも打てばいいだろう」と自虐的になると、今度は打たれなくなる。僧が「打たれまい、打たれまいとすればするほど返って心が姿勢に出て打たれてしまう。打たれてもかまわない。いや、むしろ、打ってもらおうと思ったとき、道が開ける」と説く。この体験と言葉から飛雄馬は大リーグボール1号の原理に開眼する。
「書かせよう、書かせよう」「原稿を落とすまい、落とすまい」と必死になるから、書かせられなくて落ちてしまう。「落ちてもかまわない」。いや、むしろ、「落としてみせよう」と思ったとき、原稿は落ちなくなる。まさに大リーグボール1号の極意だ。これはあらゆるスポーツ競技に通ずる極意だが、しかし、そうやって締め切り前に出てきた原稿より、小田嶋さんが苦しみ、初代が泣きながら受け取っていた原稿の方が面白いと感じる。
◆(惜別)小田嶋隆さん コラムニスト
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15419896.html
そんな小田嶋さんを引き継いだ、3代目か4代目の私は初代と正反対の接し方をした。編集部に来てもらう日時を決めても約束の時間に来ない。電話すると自宅にいて、「今日はちょっと行く気になれません」と正直に言う。私は全くあわてず、約束については何も言わず、「じゃあ、いつにしましょうか」と次の約束を取り付け。でも、また来ない。そういうことが3回ぐらい続いても私は平気な顔だった。こうして守られない約束をとり続けた。その間、「もう、デッドラインです」的な発言は一切しない。2ページのコラム。落ちたら、「先生がいつもの病気で逃げたので、代わりに担当編集者がお届けします」とか書いて、なんかで埋めればいいと本気で思っていた。
ところが、そういう態度をとり続けると本人が約束を守って来て、しかも原稿が出てくるようになった。以前は色校も出ないで入稿即校了だったのが、そのうち、ゲラまで出るような締め切り前に受け取れるようになった。私が担当している間、原稿は1回も落ちなかった。
「巨人の星」で語られる大リーグボール1号誕生のエピソードはこんな感じだ。星飛雄馬は投手としての致命的な欠点を突きつけられ、逃亡。訪れた寺で座禅の修業に加わる。コントによく出てくる木の棒(警策)で打つやつだ。雑念の塊のような状態なので、飛雄馬ばかりやたら打たれ続ける。「どうせ負け犬のおれだ。いくらでも打てばいいだろう」と自虐的になると、今度は打たれなくなる。僧が「打たれまい、打たれまいとすればするほど返って心が姿勢に出て打たれてしまう。打たれてもかまわない。いや、むしろ、打ってもらおうと思ったとき、道が開ける」と説く。この体験と言葉から飛雄馬は大リーグボール1号の原理に開眼する。
「書かせよう、書かせよう」「原稿を落とすまい、落とすまい」と必死になるから、書かせられなくて落ちてしまう。「落ちてもかまわない」。いや、むしろ、「落としてみせよう」と思ったとき、原稿は落ちなくなる。まさに大リーグボール1号の極意だ。これはあらゆるスポーツ競技に通ずる極意だが、しかし、そうやって締め切り前に出てきた原稿より、小田嶋さんが苦しみ、初代が泣きながら受け取っていた原稿の方が面白いと感じる。
◆(惜別)小田嶋隆さん コラムニスト
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15419896.html
東大志望地方娘に親の反対の言葉は1択だろう(たぶん) ― 2023年05月25日 13:25
また、新聞なら社会面トップみたいなネタ。再生回数やイイネがすべてでないのと同じく、「部数ではない」こともある。
さて、地方の高齢者はかなりリベラルな人でも、ことジェンダーやLGBTに関しては、「明治時代の人ですか?」と問いたくなるようなことを言うものだ。身近な高齢者では出会ったことがないタイプなので、まだこういう日本人がいるんだと驚く。昔、毎日新聞のコラムが、中国には「現代の日本(大都市)」「明治時代の日本(地方都市)」「安寿と厨子王の時代の(人さらいがいた)日本(農村部)」の3つの日本が存在すると書いていたが、日本も同じようなもの。教授は「親元」「浪人」などと遠回しに言ってるが、こういう地方の高齢者が東大を受けたい娘に反対する言葉は、おそらく「嫁のもらい手が・・・」の1択ではないかと。もらわれるという考え方、結婚しないといけないという考え方、東大なんかに行ったら・・・、と大都市圏ならば前世紀の遺構のような価値観が普通にまだ現存する。そこを変えていくのが使命ならば、まずそれを知らなければならないと思う。
◆地方女子は東大を目指せない 学生団体が高校生約4千人調査 「浪人回避」「親元から通う」重圧浮き彫りに
https://www.asahi.com/edua/article/14914001
さて、地方の高齢者はかなりリベラルな人でも、ことジェンダーやLGBTに関しては、「明治時代の人ですか?」と問いたくなるようなことを言うものだ。身近な高齢者では出会ったことがないタイプなので、まだこういう日本人がいるんだと驚く。昔、毎日新聞のコラムが、中国には「現代の日本(大都市)」「明治時代の日本(地方都市)」「安寿と厨子王の時代の(人さらいがいた)日本(農村部)」の3つの日本が存在すると書いていたが、日本も同じようなもの。教授は「親元」「浪人」などと遠回しに言ってるが、こういう地方の高齢者が東大を受けたい娘に反対する言葉は、おそらく「嫁のもらい手が・・・」の1択ではないかと。もらわれるという考え方、結婚しないといけないという考え方、東大なんかに行ったら・・・、と大都市圏ならば前世紀の遺構のような価値観が普通にまだ現存する。そこを変えていくのが使命ならば、まずそれを知らなければならないと思う。
◆地方女子は東大を目指せない 学生団体が高校生約4千人調査 「浪人回避」「親元から通う」重圧浮き彫りに
https://www.asahi.com/edua/article/14914001
東大には地方女子は入れない(続) ― 2023年05月31日 13:05
やはり、社会面のトップで使われた。こういうのを社内追っかけというのか。なお、紙面にするにあたって「地方女子」という言葉への抵抗感がかなりあったようだ。それは分かるというか。父兄会のように明確な新聞NG用語(なぜテレビではNGでないのか不思議なんですが)ではなくても使うのに抵抗を感じる場合がある。昔、妻が告知されたと聞いた夫がおどけるように「実の母といい、後妻の母といい、どうして我が家に嫁いでくる女性はみなガンになってしまうんだ」というシーンで、「後妻」と「嫁ぐ」に抵抗があって変えてしまったことがある。
東京の郵便ポストには入れ口が二つあって、大昔は一方に「23区」、もう一方に「地方」と書かれていた。子供心でもさすがに「東京都23区以外はすべて地方」というのはひどいんじゃないかと思ったものだ。クレームがあったかどうか知らないが、やがて、「都内」と「他府県」に改まった。いや、北海道は外国かっ。
どうも各種の反応を見ていると、本文にもある通り、東京男子の「そんな問題は存在しない」「ほかの問題を東京対地方女子にすり替えているだけ」という思考が根強くあるようだ。今は、生まれてから東京を一歩も出なくても何も困らないので、生涯東京以外に住んだことのない人もいるのだろう。自分だって大学院を出るまで東京以外に滞在するのは年間10日程度(部活の合宿のみ)だったから、転勤しまくりの会社に就職しなかったらそうなってたかと。人間、いろいろな場所、環境、立場を経験しないとダメになると思う。
してもダメかもしれないが、今以上にもっとダメになるかも。
◆東大志望地方娘に親の反対の言葉は1択だろう(たぶん)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/05/25/9589006
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15650148.html
東京の郵便ポストには入れ口が二つあって、大昔は一方に「23区」、もう一方に「地方」と書かれていた。子供心でもさすがに「東京都23区以外はすべて地方」というのはひどいんじゃないかと思ったものだ。クレームがあったかどうか知らないが、やがて、「都内」と「他府県」に改まった。いや、北海道は外国かっ。
どうも各種の反応を見ていると、本文にもある通り、東京男子の「そんな問題は存在しない」「ほかの問題を東京対地方女子にすり替えているだけ」という思考が根強くあるようだ。今は、生まれてから東京を一歩も出なくても何も困らないので、生涯東京以外に住んだことのない人もいるのだろう。自分だって大学院を出るまで東京以外に滞在するのは年間10日程度(部活の合宿のみ)だったから、転勤しまくりの会社に就職しなかったらそうなってたかと。人間、いろいろな場所、環境、立場を経験しないとダメになると思う。
してもダメかもしれないが、今以上にもっとダメになるかも。
◆東大志望地方娘に親の反対の言葉は1択だろう(たぶん)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/05/25/9589006
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15650148.html
最近のコメント