諦めた方が良いのでは インフルmRNAワクチン2023年05月15日 13:09

諦めた方が良いのでは インフルmRNAワクチン
>>同ワクチンが、承認済みのワクチンに匹敵する予防効果があるかどうかを検証する試験を行っているが、ワクチン成功の可否を判断するデータが不十分で、現在のインフルエンザ流行期中に十分な情報を蓄積できるかどうか不明だと説明した。

そりゃそうだろう。
新型コロナワクチンに比べてでも条件が悪すぎる。

1)コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的に変異の遅いウイルスだが、それでも半年かそこらでワクチンの効果がかなり下がるという話もある。ましてやコロナよりずっと変異が激しく速いインフルではなおさらワクチンがうまくいきにくい。
2)新型コロナはほかの風邪のコロナと違って人類が初めて経験するウイルスだったので、新型コロナを未経験な人とワクチンを打った人で比べることができた。インフルは大人のほとんどがすでに免疫を持っている。なので、インフルで症状が出にくく、ワクチンを接種した人としてない人の差がなおさら少ない。
3)インフルはコロナと違って非常によく効く薬がたくさんある。あまり効かないとはいえ既存の安い不活化ワクチンもあるのに、ワクチン界のランボルギーニ/マクラーレンと呼ばれる高価なmRNAワクチンをインフルのためにわざわざ有料で打つ需要がどれぐらいあるのか。コロナの収束で投資した設備などが稼働しなくなると困るのかもしれないが。
ワクチンの効果がはっきり出て、はっきり分かるのは、一度かかったら二度がかりはないとされるはしかや天然痘などのウイルス。ほとんど変異しないから初感染や初ワクチンでできた獲得免疫が終生免疫になるからだ。そして、インフルやコロナは効果があったかどうかの検証もしにくいという壁もある。はしかは免疫のない人が感染すると必ず発病し、しかも、素人にもはしかだとはっきり分かる典型的な症状が必ず出る。インフルのように無症状の人が多く、症状が出ても風邪と区別がつきにくく、その上、ほっといても勝手に治ってしまう病気ではワクチンが効いたかどうか確かめるのが非常に困難なのだ。

◆米モデルナのmRNAインフルワクチン、後期試験で早期成功基準満たせず
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2023/04/440809.php

オミクロンワクチン 飛びつくのは考え物2022年09月13日 12:15

オミクロンワクチン 飛びつくのは考え物
◆オミクロン対応ワクチン、来週にも高齢者ら接種へ 厚労省が承認
https://digital.asahi.com/articles/ASQ9D55ZYQ99UTFL022.html

 これはファイザー/ビオンテックから出ていた「承認事項一部変更申請」を特例承認したということなのだろう。「一部変更」と言っても1月のRTU製剤化「食塩水で薄めて使っていたのを、原液のまま使えるようにしました」というめんつゆのような規格変更とは違う。従来の武漢株のスパイクたんぱく質とは違うオミクロンのたんぱく質を体内で作るmRNAを混ぜた。インフルの不活化ワクチンだって毎年違う株のたんぱく質で作っているが、何十年も続けてきて、同じ製法でつくっていれば株が変わっても安全性に特に問題が生じないことが分かっている(有効性については????)。しかし、新型コロナについても、mRNAワクチンという新技術に関しても、そんな経験値はまだない。従来株のワクチンに関しては世界中で何億人にも打った結果、少なくとも短期的には重大な健康被害はほとんどないと分かっている。オミクロン株対応2種混合ワクチンに関しては、従来製品のときのような数万人規模の安全性有効性試験はしていない。
 その辺、どういう議論だったのか、専門部会の様子の詳しい記事が読みたいものだ。

ちょっとたんぱく質の構造が変わるぐらいなのでたぶん大丈夫だろうが。自分だったら、1億人ぐらいが打って半年ぐらいたつまでは様子を見る。

◆オミクロン対応ワクチン、来週にも高齢者ら接種へ 厚労省が承認
https://digital.asahi.com/articles/ASQ9D55ZYQ99UTFL022.html

押谷教授意味不明{インフル数十年の大変異コロナは数カ月}2022年04月09日 12:01

押谷教授意味不明{インフル数十年の大変異コロナは数カ月}
「インフルエンザで数十年に1回しか起こらないような大きな遺伝子変異が、新型コロナウイルスでは数カ月ごとに起きている」
 押谷教授はウイルスが専門ではないとはいえ、何を言ってるのか意味不明だ。インフルで数十年に1回と言うからには、Aソ連型やA香港型など新しいインフル(亜型)が登場して世界的パンデミックを起こす大変異(不連続変異)の事を指すと考えられる。これは鳥インフルとヒトインフルが同時感染したブタの中で両者のRNAが混ざり合うなどして、全く新しいインフルが生まれる現象。新亜型の登場に匹敵するのはコロナで言ったらSARS-Cov-1(サーズウイルス)とSARS-Cov-2(新型コロナ)のRNAが混ざってハイブリッドが生じるぐらいの大変異。もしそうなら、2019年に分離された武漢株のRNA配列で開発されたワクチンなんて全く効かなくなるはず。そんな大変異が数カ月ごとに起きてるなんて、一体何の話をしてるのか????だらけ。
 押谷さんは最初のころはまともなことを言っていたのだが。途中から・・・。
ある雑誌に(欧米は新型コロナを戦争のメタファーで語り、悪しきものを徹底的に殲滅するイメージがあるが)「⽇本は⼈知の及ばない強⼤な⼒があることを認め、ある程度は受け⼊れてきた」「天然痘を疱瘡神という神として祀った神社や寺があり、神として認めている。ある種の諦念を含んだ関係が、⽇本やアジアの社会の中にはあるのではないか」などと書いていた。前線に立つ医者が独特の社会観で諦めとか宗教家みたいなこと言っちゃっていいんだろうか。

◆論点「新型コロナ 第6波までの教訓」
https://mainichi.jp/articles/20220406/ddm/004/070/006000c

オミクロン株は肺炎になりにくいと言うけども2022年01月27日 13:44

オミクロン株は肺炎になりにくいと言うけども
 気管支の細胞と肺の細胞を使った比較実験で、オミクロン株は、気管支の細胞だとデルタ株や従来株の70倍も増殖効率が高いが、肺の細胞だと逆に10分の1以下になるとの結果。もし本当なら次のようなメカニズムが考えられる。新型コロナウイルスが細胞に侵入するための鍵穴(リセプター)に構造が少し違う2種類がある。一方は肺の細胞に主にあり、もう一方は気道(のど)の細胞に多い。デルタや従来株はどちらにもソコソコよくくっつく。オミクロン株は変異で鍵(スパイクたんぱく)の形が変わり、のどの細胞の鍵穴には非常によく結合するようになったが、肺の細胞の鍵穴にははまりにくくなった。
 しかし、こういうメカニズムは、鳥インフルについてかじった事のある人なら誰でも思いつくような事だ。そういう予断に基づいた仮説を立てて実験すると、故意か無意識か分からないが、そういう結果になりやすいという事が医学生物の世界ではよくある。誰かがそういう論文を書くと、また、それに引きずられて、似たような実験結果が集まってくるということもある。特に、新型コロナ現象のようなニワカ参入者が多いと起きやすい現象。鵜呑みにするのは、医科研あたりが、分子レベルで受容体とスパイクの結合の変化を解析するぐらいまで待った方がいいかと思う。
 それに、これはこのグループも言及しているが、肺炎はウイルスが肺の組織に感染して起きるとは限らず、むしろ、免疫の過剰反応でサイトカインが異常に分泌し、それが血液で全身に巡り、肺に炎症を起こすということもあるので、肺に感染しなければ肺炎にならないとは言えない。
◆HKUMed finds Omicron SARS-CoV-2 can infect faster and better than Delta in human bronchus but with less severe infection in lung
https://www.med.hku.hk/en/news/press/20211215-omicron-sars-cov-2-infection

VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング2021年12月25日 12:04

VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング
1 パクスロビド(ファイザー 飲み薬) 一番効きそう
2 モルヌピラビル(メルク 飲み薬) オミクロンでも効くはずだがもともと効果が弱そう
3 mRNAワクチン(ビオンテック/ファイザー、モデルナ) 感染阻止効果はかなり落ちるが、重症化防止はある程度効く
4 ロナプリーブ(抗体カクテル ロシュ) ほとんど効かない

 なので、オミクロン株軽症の際はパクスロピドをお勧めする。

 1)パクスロビド。プロテアーゼ阻害剤。細胞内でウイルスRNAの設計図を元につくられるウイルスたんぱく質はプラモデルの部品のようにつながって出て来る。これを切り離すカッターがプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)。パクスロビドはこのカッターにくっついてウイルスの組み立てを邪魔する。ウイルスごとに切るたんぱく質が違うため、カッターの形も違い、阻害剤は異なるウイルス間で転用できない。そのため、ウイルスごとに特化した薬がつくられ、活性が非常に高い。また、ウイルスの膜表面のたんぱく質が変異しやすいのに比べ、プロテアーゼは変異してしまうと本来の機能が果たせなくなり、ウイルスの増殖に支障が出るため、この薬が効かなくなるような変異は起きにくい。そのため、オミクロン株にもよく効く(はず)。
 2)モルヌピラビル。RNA合成酵素阻害剤。細胞内で、ウイルスのRNA合成酵素がRNAをつくるのを邪魔する。RNAの部品によく似た化合物で、RNA合成酵素が部品と間違えて使ってしまい、正常なRNAがつくれなくなる。レムデシビル、アビガンなども同じ。やはり、変異の影響を受けにくいはずだが、そもそもの効果に疑問符が付く。これら3つはいずれもインフルやエボラなど他のウイルス用に開発されていた薬の転用で、何にでも効くが切れ味はいまいち。モルヌピラビルも「入院・死亡リスクを約30%下げる」程度だと死亡率で有意差の出なかったレムデシビルと大差ない。
 3)mRNAワクチン。従来株のスパイクたんぱく質に対する抗体がスパイクたんぱく質の変異によってオミクロン株に結合しにくくなっていると考えられるが、変異していない場所に結合する抗体ががんばっているのだろう。
 4)ロナプリーブ。2種類の抗体を混ぜたものだが、効果が著しく落ちているということは、両方ともオミクロン株で大きく変異してしまった部位に結合する抗体なのだろう。なお、単体の抗体医薬ソトロビマブ(GSK)はそこそこ効くようdふぁ。

>>フランスは、22日、メルクの臨床試験の結果が当初期待していたほどではなかったとして発注をキャンセルし、代わりにファイザーの飲み薬を調達する方針を明らかにするなど、ヨーロッパでは対応が分かれています。
◆メルクのコロナ飲み薬 欧州で対応分かれる 厚労省あす承認審査
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211223/k10013401361000.html
>>ウイルスの増殖を抑える能力を示す「中和活性」がこれまでの変異ウイルスなどに比べて少なくとも1000分の1に低下したということです。
◆抗体カクテル療法 オミクロン株に効果期待できず 投与推奨せず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211225/k10013403691000.html

オミクロンへの効き同じでも 元々効果に疑問 モルヌピラビル2021年12月05日 13:04

オミクロンへの効き同じでも 元々効果に疑問 モルヌピラビル
「モルヌピラビルは、オミクロン株でも効果が変わらないと期待できる」というのは正しいが、もともとどれぐらい効くのかに疑問符が付く。最終成績は中間報告の時ほど良くないとの発表があったが、死亡率に関しても有意差があるのかどうか。
 モルヌピラビルは核酸誘導体といい、AZTや帯状疱疹の特効薬アシクロビル、C型肝炎の特効薬などと同じで、弱い抗がん剤のようなもの。ウイルスから人間まで全生物に共通するRNA合成を妨げるので、基本、どんな生き物にとっても毒だ。で、構造式を見る限り、ウイルスに特化した飾り付けが少なく、細胞を殺さずに本当に効くのか????
 モルヌピラビルも元はインフル用に開発されたRNA合成酵素阻害剤。レムデシビル、アビガンもそうだが、抗ウイルス薬のプロたちは、やはり、そのウイルス専用に開発しないとダメなのではないかと言っている。一方、ファイザーのパクスロビドは、プロテアーゼ(たんぱく質を切る酵素)を阻害する薬だ。プロテアーゼはウイルスの種類によって切る対象のたんぱく質が違うため、阻害剤の構造も大きく違うので、流用は全く効かない。当然、パクスロビドは新型コロナウイルスに特化して開発された薬だろうう。

◆オミクロン株にも効果期待…承認申請のメルク製飲み薬、重症化リスク3割減 
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20211204-OYT1T50017/
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211204-OYT1T50017/

コロナ"治療薬"なら日本企業でも可能だろうが2021年09月27日 12:51

コロナ"治療薬"なら日本企業でも可能だろうが
 メルクのモルヌピラビルは元はインフル用とのこと。アビガンもレムデシビルなどそうだが、流用はイマイチというか、時間がかかってもやはりそのウイルス専用の抗ウイルス薬を作らないとダメだではないかと。
 抗体医薬は割と楽に開発できるがバカ高いという欠点の他、抗体の性質上、飲み薬にはできないという問題がある。点滴できる設備が必要。それで、経口投与、腸から吸収できる人口化合物の抗ウイルス薬が期待されてるわけだが。健康な人を数万人集めて、病気になるのを防げるかどうかをみるワクチンに比べれば(ファイザーの治験では2万人に偽薬を接種して発病したのはたった162人)、治療薬は数百人規模の患者を集めれば検証できるので、国内製薬企業でも開発できるお手頃感がある。しかし、コロナやインフルのように、何もしなくても99%ぐらいは勝手に治ってしまう病気で治療薬の効果を確かめるのは非常に困難だ。治療しなければ100%死に至るエイズの場合、死ななくなるから効果は明らか。また、C型肝炎のようにウイルスが肝臓に居座って、自然には絶対いなくならない病気なら、99%の感染者でウイルスが消える薬は特効薬と言える。
 タミフルの場合、「発熱から72時間以内に飲んで、症状がなくなるまでの期間が5日から4日にたった1日間縮まるだけ」と反対派に酷評された。それでも承認されたのは高病原性鳥インフルエンザのパンデミックを恐れたからだ。高病原性鳥インフルエンザは人にめったに感染しないが、感染すると非常に致死率が高い。臨床試験ではないので厳密性に欠けるが、早くタミフルを飲んだ人ほど死亡率が下がるというゆるいデータがある。季節性インフルの場合、健康な人なら72時間もすれば抗体が増えてきて、放っておいてもウイルスが減る。新型コロナウイルスも同様。おそらく、統計的に意味のある差が見られるのは、入院期間が短くなるというデータぐらいで、死亡率が下がるというデータは数百人程度では無理だろう。

◆軽症者が自宅で使える「コロナ飲み薬」開発大詰め…米、年内にも実用化
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210913-OYT1T50207/

◆飲み薬のスピード開発、コロナ収束のカギ 世界が注視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC107TD0Q1A910C2000000/

◆コロナ飲み薬、年内にも実用化 軽症者治療の切り札に
メルクやファイザー、治験最終段階
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1744F0X10C21A9000000/

◆国産ワクチン ズルはよくない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/21/9425664

◆ズルでパスの国産ワクチン打ちたい人いる? 日本のワクチンの将来のため無償で実験台になる崇高な方々?
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/07/13/9397649

◆国産でも不活化ワクチンでは期待薄
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/24/9426569

国産でも不活化ワクチンでは期待薄2021年09月24日 14:10

国産でも不活化ワクチンでは期待薄
>>発病を阻止する有効性については「一定の有効性が期待できる結果が得られた」としているものの、具体的な数字は示していない。

 何十年も使われている季節性インフル用と同じ不活化ワクチンだから、かなり安全であることは期待できる。しかし、インフルでも分かる通り、不活化ワクチンはほとんど効かない。中国製の不活化ワクチンはmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンに比べ、かなり効果が低いとされ、不人気。
 国産ワクチンは数万人規模で偽薬と発病率を比べるまっとうな臨床試験を端折るため、先行ワクチンとの比較で審査される方針だ。中国やインドの不活化ワクチンにまっとうな臨床試験データはないので、mRNAワクチンやベクターワクチンのファイザーやアストラゼネカなどのデータと比べることになるだろう。
 しかし、抗体のでき方を比較しただけで正しく評価できるかどうか疑問。mRNAワクチンやベクターワクチンはコロナウイルスのたんぱく質に対する抗体ができる「液性免疫」だけではない。ウイルスが感染した細胞に免疫細胞が襲いかかり、乗っ取られた細胞ごと殲滅する「細胞性免疫」も誘導されている。細胞性免疫も働く事がmRNAワクチンやベクターワクチンの強さの秘密ではないかという説もある。不活化ワクチンや塩野義の遺伝子組み換えたんぱくワクチンにはこの効果はない。

 ・液性免疫 体内に侵入したウイルスが壊れて、そのたんぱく質がばらまかれる。落ちているウイルスたんぱくを巡回している免疫細胞が拾い食い。「こんなよそ者が紛れ込んでいる」とウイルスたんぱくの回状を回すと、専用に攻撃する抗体が量産体制になる。
 ・細胞性免疫 ウイルスの感染を受けた細胞は、ウイルスのたんぱく質を作る工場として使役される。感染細胞は、細胞表面にウイルスのたんぱく質を目印の看板にして「こんなよそ者に乗っ取られた」と掲げる。すると、その目印に特化した免疫細胞が作られ、襲いかかり、感染細胞ごと殲滅する。

◆KMバイオが最終段階治験 コロナワクチン、来月にも
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15051308.html

◆KMバイオ、コロナワクチン10月最終治験 22年度実用化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC182CE0Y1A910C2000000/

◆ワクチン接種をためらっている人に朗報「KMバイオロジクス」が国産新型コロナワクチンの実用化を1年前倒し
https://maonline.jp/articles/kmbiologics_vaccine20210923

◆国産ワクチン ズルはよくない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/21/9425664

◆ズルでパスの国産ワクチン打ちたい人いる? 日本のワクチンの将来のため無償で実験台になる崇高な方々?
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/07/13/9397649

「ミューは抗体効かない」は変な見出し2021年09月14日 07:45

「ミューは抗体効かない」は変な見出し
 この見出しでは、ミュー株が抗体一般に抵抗性を持っているかのような誤解を与える。「ワクチンが効きにくい」の方がまだマシ。「ワクチンでつくられる」、「○○ウイルスに感染してできる」など何に対する抗体なのか限定しなければ無意味だ。抗体というものは、この世に数億種類あるたんぱく質(抗原)ごとに別々なものが作られ、自分が攻撃するべき目標を厳密に見分ける。ミュー株のたんぱく質で作られた抗体なら当然ミュー株によく効くし、ミュー株とは違うたんぱく質で作られた抗体が効きにくいのは当たり前。あるウイルスのたんぱく質で作られた抗体が、そのウイルスの変異株にどれぐらい効くか、効きにくいか。これを抗原性の違いと言う。インフルエンザのワクチンは株が違うとほぼ効かない。新型コロナウイルス用のワクチンは従来株(いわゆる武漢株)のたんぱく質を利用してるが、英国生まれのアルファ株にもインド生まれのデルタ株にもかなりよく効く。
 抗体の効果を見るにはいくつか方法があり、一番原始的なのは、抗体の含まれた血清(回復患者やワクチン接種者の血液の上澄み液)を10倍、20倍、40倍、80倍、160倍と希釈していき、どれだけ薄めてもウイルスたんぱくと反応して無効化するか見る。例えば、従来株に対しては血清を40960倍まで希釈しても効くのに、変異株には5120倍希釈までしか有効でなければ、抗原性が8倍違うと言う。単純に言えば効果が8分の1に落ちたということ。インフルの場合、差が8倍以上になるとワクチンの効きが悪くなり、32倍を超すとほぼ効かなくなるとされる。新型コロナの場合は分からない。mRNAワクチンはヒクほど強く免疫に作用するので、インフルの不活化ワクチンよりはしぶといと予想するが。

◆ミュー株に中和抗体「ほぼ効果ない」最新研究で判明
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000228313.html
◆「ミュー株」抗体効果“低い”研究結果発表 - 日テレNEWS24
https://www.news24.jp/articles/2021/09/10/07937445.html

◆新なコロナ薬 なぜ抗体薬ばかりか
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/07/9420500

新なコロナ薬 なぜ抗体薬ばかりか2021年09月07日 13:09

新なコロナ薬 なぜ抗体薬ばかりか
 英グラクソの「ソトロビマブ」。また抗体医薬かという感じだが、抗インフル薬・タミフルのような工業的な化合物より抗体の方が安易なのだ。

1)抗体医薬は開発が簡単
コロナウイルスのスパイクたんぱく質などターゲットを決め、これに反応して無力化させるような抗体をつくるのは機械的に誰でもできる(*)。いろいろできた中から、特に効き目のいいものを選別するだけ。タミフルのような人工的化合物を設計するのは大変で、最適化にも時間と手間がかかる。

2)抗体は人体とのなじみがよく、効果が確実でほとんど副作用がない
 抗体はもともと人体の中を無数に回遊しているたんぱく質だから、人体にほとんど害はない(ただし、リウマチやがんに対する抗体医薬のように人の細胞に作用するものは主作用が強すぎて支障が起きる事はある)。また、もともと人体内で働いているものだから確実な効果が期待できる。マウスなどで抗体を作った場合、拒絶反応が起きる事があるが、今はほぼ完全に人間と同じ抗体がつくれる。また、コロナウイルスのたんぱく質など攻撃目標のみに反応する特異性が非常に高く、余計な所に働かない。タミフルなどの人工的な化合物は生体内でどんな挙動をするか予想がつかず、まったく効かないかもしれない。また、全く予想もしなかった臓器や組織、細胞などに作用して問題を起こすこともある。人工的な化合物なので、腎臓や肝臓への負担もある。

3)抗体医薬はバカ高い価格設定が可能
 抗体医薬は純粋な工業的な化合物と違い、大腸菌や動物に作らせるたんぱく質なので原価が高いというイメージからプレミア価格をつけられる。がん免疫療法の抗体医薬オプジーボやキイトルーダのように年間薬価1000万円というのは莫大な開発費を上乗せした価格だろう。比較的古い乳がんや胃がんの治療薬ハーセプチンでも週1の点滴で年間200万円ぐらいかかる。コロナの抗体医薬はそんなに何度も点滴しないが、それでも数万円、場合によって数十万円の値を付けてるだろう。

 つまり、抗体医薬は、治療薬候補探しや開発の手間をあまりかけずに、確実で副作用が少なく、儲けの多い治療薬を作れる方法なのだが、こればかりになると治療費が高額になり、医療費が大変な事になる。

*原始的なものでは、北里柴三郎のころに、蛇の毒を馬やウサギに注射して作っていた血清が抗体医薬。コロナの回復患者の血清を輸血するのも抗体医薬。

◆英GSK、治療薬を承認申請
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15035359.html