ワクチン感染予防効果なしとは誰も言ってない2021年03月01日 09:43

 mRNAワクチンのCOVID19予防効果が90%以上と発表された当初、「感染」予防効果が90%だったと間違えて報道していた所が結構あった。論座とNEWSPICSは間違いを指摘したらすぐ「発症」予防効果に直したが。こちら↓は何か中途半端に図表だけ直している。

◆2つの新型コロナウイルスワクチン これまでに分かっていることとまだ分かっていないこと(追記あり)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20201122-00209031/

ところが、今度は逆に、発症を予防するだけで感染は予防しないと曲解する人が出てきた。「発症予防効果は確かめられたが、感染予防効果についてはまだ検証中で何とも言えない」というのが正しい。なぜ、こう科学を白か黒の2色の単純な物だと思っている人が多いのか。また、プロの医者でも、新型コロナウイルスのように無症状感染が多い場合、ワクチンが感染を防ぐかどうか確かめるのは極めて困難だとか書いてる人がいるが、それは一般論だ。mRNAワクチンはワクチンでできる抗体と新型コロナウイルス感染でできる抗体を区別できるので、抗体の有無でワクチン接種後にウイルス感染したかどうか調べられる。ファイザーのプロトコルをちゃんと読めば、臨床試験参加者4万数千人全員の血液を1カ月後、半年後、1年後、2年後に調べると書いてある。ワクチン接種と偽薬で感染率に差が出るかどうか分かるはず。ただし、結論が出るまでとても時間がかかる。
 モデルナの暫定評価で感染予防の有効率63%というあまり当てにならない数字がある。常識的には、発症予防の有効率95%以上にはとても及ばないが多少の感染予防効果があると考えるのが妥当だろう。有効率50%で感染確率が半分になるだけでも感染増大の勢いをそぐ力はある。

◆新型コロナワクチン、「感染予防効果なし」は誤り。ワクチンの効果、副反応について専門家に聞きました
https://news.yahoo.co.jp/articles/3dc22fe9b15d1d70b45af7c14ed3671ea1147cfb?page=3

◆無症状者からの拡大抑制か モデルナワクチン週内許可
https://www.muromin.jp/news.php?id=18841
◆コロナワクチン効果は発病予防でやはり感染予防ではない
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/26/9320689
◆感染は止められない? ファイザーのコロナワクチン
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/10/9315160

ワクチン被害予想で自己免疫疾患は何故か聞かない2021年02月19日 13:53

 mRNAワクチンは効果が高いが、高すぎて自己免疫疾患の呼び水になる恐れがあるのではないか。いくつかの所にそんなような事を書いてきたが、何を懸念しているのか、一般にはいまいちピンときてもらえないようだ。
 ■不活化ワクチンなどウイルスたんぱくそのものを注射する従来のワクチンの場合
免疫細胞(抗原提示細胞と呼ばれている)が落ちているウイルスのタンパクを拾い食い。こんなのが侵入して来ていると自分の表面に看板を出す。その情報が引き金になって抗体の生産が始まる(液性免疫)。
 ■mRNAワクチンは、細胞の中にmRNAが取り込まれ、細胞内でウイルスのタンパクが作られる。その細胞自身が表面に看板を出す。すると、その細胞はウイルスに感染されて乗っ取られたと免疫系から見なされ、免疫細胞に襲われる(細胞性免疫)。抗HIV薬の開発で有名な満屋裕明さんはこれを周りの家ごと壊す「江戸の火消し」(破壊消防)に例えていた。細胞がウイルスのタンパクを作リ始めるというのは、侵入したタンパクが漂っているだけの状態に比べ、かなり感染が進行した段階。いきなりそんな状態になったら免疫が強く反応しても不思議はない。この破壊消火などでウイルスたんぱくがまき散らされるので、液性免疫ももちろん誘導される。
 つまり、mRNAワクチンは(アストラゼネカのベクターワクチンも)、不活化ワクチンなどに比べて、本当のウイルス感染との類似度がより高い疑似感染状態をつくる(あくまでも疑似。生ワクチンのように他の細胞への感染性があったり、増殖したりすると思い込んでる人もいるが)。
 外敵と戦うための免疫系が自分自身の臓器や細胞を敵と間違えて傷つける自己免疫疾患には関節リウマチのように患者の多いものなどいろいろある。その中に、マイケル・ジャクソンがかかっていたとされる全身性エリテマトーデス(SLE)や大原麗子がかかっていたギラン・バレー症候群など、体内でウイルスのタンパクが作られる事が原因ではないかという説が近年の研究で出ているものがある。また、ウイルスが通常は感染しない細胞にウイルス感染が起きるとまれに自己免疫疾患になることがあるそうだ。筋肉注射で筋肉細胞がどれぐらいウイルスたんぱくを作るのか、筋肉細胞がふだんウイルス感染を受けているのかなど不明な点が多い。また、重症のギラン・バレー症候群やSLEなどは非常にまれだ。どんなワクチンでも数百万回に1回ぐらいは重篤な健康被害が起きるリスクはある。今回、アナフィラキシーショックが数万回に1回と季節性インフルワクチンなどより少し高めに出ている。安全性試験に長期間かけられなかった今回の場合、自己免疫疾患にしてもその程度になる事はあるかもしれない。が、ひどく高率で出る事はないだろう(医学生物学に絶対はないが)。
とはいえ、そういう事があり得る事やもっと予想してない事が起きるかもしれない事は意識しておくべきだ。
 専門家が話題にしているのをめったに見た事ないが、可能性はほとんどないと思っているのか、可能性はあるが低いのであえて取り上げてまた忌避反応を起こしたくないという事なのか。

◆コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330638

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係2021年01月20日 13:23

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係
 「ウイルスは宿主が死んだら自分も困るのに何故致死的なウイルスが存在するのか」。昨年、この類いの質問に何度も答えさせられた。ウイルスが人に重い病気を起こす原因は、ウイルスが他の動物から人にやってきたと何故分かるかという事と密接な関係がある。
 さて、人類とチンパンジーとゴリラの共通祖先に感染し、長年、先祖から子孫へ受け継がれてきたウイルスがいるとしよう。ヒトゴリラチンパンジーは、今から約650万年前、人類とチンパンジーの共通祖先と、ゴリラの祖先に分岐した(年代には諸説あり)。その後、約500万年前、ヒトチンパンジーは人類の祖先とチンパンジーの祖先に分岐した。受け継がれるヒトゴリラチンパンジー・ウイルスも、まず、650万年前に分かれて、ゴリラ・ウイルスとヒトチンパンジー・ウイルスとなり、さらに500万年前にヒトチンパンジー・ウイルスが分かれてヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスになる。人類とチンパンジーの遺伝子(DNA配列)は共通部分が多く、先に分かれたゴリラは違いが大きい。ウイルスも同様に、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの遺伝子が近く、ゴリラ・ウイルスの遺伝子は違いが大きいはずだ。ところが、予想に反して、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの違いが大きく、むしろ、ヒト・ウイルスとゴリラ・ウイルスの遺伝子の方が非常によく似ていたとしたら、どうだろうか。ヒト・ウイルスは先祖から代々受け継いだものではなく、人類とチンバンジーが分岐した後の最近になって、ゴリラから人にゴリラ・ウイルスが感染したものだと分かる。
 少し昔の研究だが、京大ウイルス研の速水教授たちがサルのエイズウイルス(SIV)について、上記のような分岐を調べた。
 人にHIV-1とHIIV-2があるように、チンパンジーなどでも感染しているSIVは1種類ではない。人のHIVも含め、5つの群に分かれるSIVの遺伝子の近縁関係が宿主のサル種の近縁関係と一致せず、異なるサル種の間でいろいろなSIVが行き来している事が分かった。そして、SIVは本来の宿主のサルには病気を起こさないが、宿主とは別な種類のサルに感染実験をすると病気を起こした。つまり、先祖代々、長年、宿主と共生してきたウイルスは病気を起こさないが、異種の宿主に引っ越すと凶悪化するという事だ。
 その後の研究で、HIV-1は、アフリカのサルにいたSIVがサルを食べたチンパンジーに感染し、さらにチンパンジーをさばいた人に感染したと考えられている。HIV-2はチンパンジーとは全く別なサルから人間に感染している。これは、SARS、MERS、新型のいずれもコロナウイルスだが、違う動物から感染したため、遺伝子が大きく違うのと同じ。
 HIVも、エボラ、SARS、MERS、新型コロナもみなずっと昔からサルやコウモリと仲良く暮らしてきたのに、人間に引っ越したため、病気を起こしているのだ。しかし、宿主を殺してしまうようなウイルスは生き残れないから、長い目で見ると病原性の高いウイルスは感染を繰り返すうちに必ず弱毒化する。これは実験室で細胞培養しても同様。生ワクチンは基本そうやって作っていた。
 ウイルス感染症の病態は発熱、痛み、下痢、せきなど致死性のものも含め、ほとんどが免疫の過剰反応、異常反応が原因。おそらくだが、淘汰されて残ったウイルスは免疫に目を付けられないようにごまかす術を身につけているのだろう。また、HIVのように、細胞内で急激に増えすぎて、その負荷に耐えられず、細胞が壊れる事がある。増殖の速度を下げる事も重要だ。さらには、細胞にはアポトーシスという自爆装置があり、その起爆スイッチをウイルスが踏むよう罠が仕掛けているので、うっかり踏まないよう注意も必要。免疫の仕組みとは違うが、これも細胞を占拠した敵を道連れに自殺するという一種の生体防御機構だろう。

コロナ重症化は円谷特撮状態 怪獣よりウルトラマンの迷惑の方が大きい2021年01月14日 14:06

 季節性インフル感染者の致死率は0.1%とされるのに対し、新型コロナウイルスは0.5~1%と少し高めだ。しかし、ウイルス自体の粗暴性はインフルの方が上の印象がある。
 新型コロナウイルスは本来コソ泥のような気弱なウイルスで、空き巣に入ったところを近所の人で取り押さえればおとなしく捕まるような小悪党。ところが、長年の楽園だったコウモリの体内と違い、人体は初めて来る国なので、右も左も分からずそこら中の警報器や火災報知機を踏みまくり。免疫の方も、これまで侵入を受けた事がない未知の敵性勢力が現れたと大騒ぎになり、機動隊と自衛隊が出動。武器も持たないコソ泥1人に、戦車砲をぶち込むわ、ガンシップからスティンガー発射するわ、周辺の住宅ごと吹き飛ばしている。「やさしい怪獣よりウルトラマンやウルトラ警備隊の破壊行為による街の被害の方が大きい」状態。それが、おそらく重症化の主因だ。新型肺炎もウイルス自体が肺に侵入して感染、増殖して起きるのではなく、免疫の過剰反応(サイトカインストーム)で全身を巡る炎症性物質が血液を通して到達し、肺炎を起こしているのではないかとみられている。重症患者に見られる血栓もいかにもな症状だ。そのため、免疫を抑制する薬がよく効き、免疫を抑えた事でウイルスの活動が高まって悪化するという報告もあまり見られない。
 感染を繰り返すうちに、ウイルスと免疫双方の馴れが生じる事で、やがては風邪のような常在ウイルスと化し、穏やかに終息するのだろう。

◆コロナ入院患者の致死率はインフルの3倍 仏の研究結果
https://digital.asahi.com/articles/ASP1D66VGP19ULBJ00Q.html?iref=pc_ss_date_article

コロナ免疫 長期or短期 矛盾する欧中と日米の研究2021年01月13日 14:06

 新型コロナウイルスに関して、主にヨーロッパと中国から、一度治癒してウイルスが消えても、すぐに再感染する例が多数あり、免疫は長続きしないという研究報告がある一方、日米からは、患者は回復後、ウイルスを攻撃する獲得免疫の免疫記憶が長期にわたって高水準に保たれているという矛盾する研究報告が出ている。
 コロナウイルスは、インフルのように免疫記憶が無効になる大変異が突然起きる事はないし、免疫記憶があるのに、それをすり抜ける性質があるなんて北里柴三郎以来の免疫学、ウイルス学の常識に反する。妥当な判断としては、マクロ的には日米の報告が実態を反映していて、欧中の報告は、何かの理由で免疫がつかなかった全体から見れば少数の症例を集めただけなのではないかと。特定のウイルスに対して世界的にこれほど細かく症例研究がされた例がないだけで、インフルでもすぐに再感染している例が今まで考えられてきた以上に多いのかもしれない。

◆Rapid generation of durable B cell memory to SARS-CoV-2 spike and nucleocapsid proteins in COVID-19 and convalescence

There have been some studies reporting that the Bmem cell response to SARS-CoV may not be long-lived (54, 55), however, our results indicate that SARS-CoV-2 infection generates long-lasting B cell memory up to 8 months post-infection that could be protective against systemic disease upon reinfection.
https://immunology.sciencemag.org/content/5/54/eabf8891

中国政府ご不満 >未承認輸入ワクチン報道2021年01月05日 12:53

>>我々は一部の日本メディアが関連状況の事実確認をせぬまま、中国による新型コロナワクチンの対外協力に勝手な論評を加えたことに、強い不満を表明する。

 おもしろいネタで、取材を尽くしたけれど、証拠や証言がどうしても詰め切れず、泣く泣く諦める事が結構ある。この話が本当なのかどうか取材した記者にしか分からない。記者すら騙されていることだってある。慎重な新聞なら諦めていても不思議はないネタかと。毎日新聞は、逃げようとして背中から斬られた傷は許さないが、斬りかかって行った「向こう傷」はいくら受けても罪を問わない所だとライバル紙の人から聞いた事がある。いい意味でも悪い意味でも(3:7ぐらいだが)「特ダネの毎日」の真髄だろう。

◆在日本中国大使館、「中国製」ワクチンが日本流入との日本メディア報道についてコメント
http://j.people.com.cn/n3/2021/0104/c94474-9805628.html?fbclid=IwAR1WaJj-IWVe5fHULd4e5u87hldqDeeltKMPrsFdan2f3w5yRDJmQLn2xlM

◆未承認輸入ワクチン 無害だろうけど効かなそう
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/01/04/9334189

未承認輸入ワクチン 無害だろうけど効かなそう2021年01月04日 14:15

 すごい話。こういう所に、かつての「特ダネの毎日」の潜熱を感じる。密かに中国ワクチンを使った日本の社長たちというのが誰なのか知りたいが。ただ、中国製は不活化ワクチンなので、たぶん害もないけど、大して効かないと思う。一度も作った事がないウイルスに対するワクチンを1年で開発するには、「効果は確実だが、100人ぐらいワクチンで死んでもしょうがない」と覚悟を決めるか、「安全だが、毒にも薬にもならないワクチン」でお茶を濁すかの2択しかない。先行した1、2番手のmRNAワクチンは非常に効果が高く、3番手のベクターワクチンもそれに準じる成績だが、効き目が強い分、何が起きるか分からない。後発勢は不活化ワクチンだけでなく、アンジェスがやってるプラスミドDNAワクチンも効果が弱いというのは意外だった。プラスミドでもmRNAワクチンでも原理はそんなに違わない気がするのだが。先行組の臨床試験では2万人規模の被験者で100人ぐらいしか発病してない。それでも効果が非常に強烈だったので、統計的に効果が証明された事になってる。しかし、同規模の試験で不活化ワクチンやアンジェスワクチンは有効性を証明できるのかどうか。塩野義の組み換えワクチンも同様。中国はデータを出さないが、日本企業はまたアビガンのような事になるのではないかと。

◆水面下で出回る中国ワクチン 富裕層から永田町へ? 狙われる日本市場
https://mainichi.jp/articles/20201231/k00/00m/040/137000c

変異種 変異型 変異株 同じ事に違う言葉を使うな2020年12月29日 14:08

新型コロナウイルスの変異で同じ事を言ってるんだから、統一するべきだと思う。
改めてまとめると、

1)種が違う 新型コロナウイルスと風邪のコロナウイルスの違い、インフルエンザのA型とB型の違い、などに相当する

2)同種だが、亜種、変異種、亜型の違い 新型コロナウイルスとSARSウイルスの違い、インフルエンザA型のA香港型、A新型、Aソ連型の違い(亜型の違い)などに相当する

3)株の違い インフルエンザA香港型のシドニー株、パナマ株、ニューヨーク株などの違い。

 現在見つかっている新型コロナウイルスの変異は3)のインフルの株の違いと同程度か、もっと細かい差異

 同種でも、2)の違いは、遠い先祖が共通というだけで、感染を続けているうちに一方が他方に変わるという事はない。長年共存してきた宿主の動物や人間に媒介した動物などの出自が違うからだ。
 例えば、インフルエンザA型の高病原性鳥インフルエンザ(AH7N9型)は、人間には直接感染する事はめったにない。しかし、ブタは両方に感染するので、ブタに人間のインフルエンザA香港型(AH3N2型)と高病原性鳥インフルエンザ(AH7N9型)が同時感染すると、混血が起こる。例えば、インフルエンザAH7N2型という人間に感染しやすい新しい亜型が生まれ、これが人間に感染すると、これまでの免疫やワクチンが効かないのでパンデミックを起こす。過去のスペイン風邪などのパンデミックもこういうインフルの混血による新亜型が原因と考えられている。香港型もソ連型も最初はそういう感染爆発を起こした。やがて、ウイルスが行き渡ると集団免疫が生じ、比較的おとなしい季節性インフルエンザとして定着した。
 インフルのこのような亜型の違いは、感染を繰り返しているうちに、少しずつ変異して生じる事はないので、「不連続変異」(大変異)と言う。現在、新型コロナウイルスに見つかっている変異は、A香港型の株の違いと同じ「連続変異」(小変異)だ。

https://digital.asahi.com/articles/ASNDX7D1RNDXULBJ010.html?fbclid=IwAR0MNx8bnYv9wmMYeiFe3sHbfXqcBemREiXAIK0EtwTZhA-wOE7RBIeKDJA

コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い2020年12月26日 14:19

 新型コロナウイルス用ワクチン1番乗りのビオンテック、ファイザーのmRNAワクチンの開発になくてはならない発見をしたというハンガリー出身の科学者カタリン・カリコを多くのメディアが英雄のように取り上げている。ライバルのモデルナも博士の特許に莫大なライセンス料(数十億円規模)を払っているそうだ。
 両陣営のmRNAワクチンが大きなシェアを取り、コロナ終息に貢献し、かつ、大規模で重篤な副反応が起きなければ、カリコ博士のノーベル賞もあるだろう。共同研究の村松浩美博士はゲノム編集の石野良純教授のように残念賞だろうか。医学か化学かで迷う所も似ている。
 ノーベル賞予定稿風に説明すると。
「遺伝子RNAを外から細胞に入れ、ウイルスなどのたんぱく質を作らせる核酸医薬のアイデアは以前からあった。人間のDNA自体に手を加える遺伝子治療に比べ、細胞のがん化などの危険が少ないと考えられている。だが、mRNAは体内では壊れやすい欠点があった。また、mRNA自体が異物と認識され、炎症反応が起きる問題もあった。カリコ博士らは、mRNAを構成する部品の一部を別な分子に変えたmRNAを使うと分解や炎症反応が抑えられ、たんぱく質がよく作られる事を発見した。また、mRNAを脂質で包んだ微小な粒にすると微量なmRNAでも効率よくたんぱく質ができるようになるという改良も加えた」

 ただ、現時点の段階であまりもてはやしすぎは後が怖い。

ワクチンが返って重症化させるADE現象は、ワクチンによる免疫が中途半端な場合に起きるので、mRNAワクチンの場合、あまり心配ないだろう。ワクチンのこれまでの常識は、実際にその病気にかかる事が最強のワクチンであり、ワクチンで得られる免疫は実際のウイルスに感染した場合に比べて弱いというものだ。しかし、mRNAワクチンは、研究報告によると、免疫を刺激し、誘導する効果が非常に高く、下手したら、本物の新型コロナウイルスに感染した場合よりも強いかもしれないぐらい。常識を覆すワクチンだが、逆に強すぎて害にならないか、例えば、ウイルスたんぱくが関係していると言われる自己免疫疾患(ギランバレー症候群やSLEのような)の呼び水になってしまわないか懸念がある。

*今頃、まだ、ファイザー、ビオンテックのワクチンが「95%という高い感染予防効果を示した」とか書いていたので指摘しておいた。すぐに直す所はさすがだが。

◆コロナの革命的ワクチンを導いた女性移民研究者
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020122100010.html

アビガン審判日 捏造並みの酷評 政権の圧力に屈しなかった事を褒めるべきなのか2020年12月20日 15:04

 21日の審判(厚労省専門部会)を前に、審査報告書の酷評ぶりが報道され、富士フイルム株が嫌気売りされてるそうだ。
 被験患者がアビガンと偽薬のどちらを飲んでいるのか担当医には分かる単盲検という方法がネック。それにしても、
<<24時間だけ発熱が規定値より下がったり、血中の酸素濃度が高くなったりしたことから症状が「改善」と判断されたが、その後に悪化したケースもあった>>
というのはほとんど捏造に近いバイアス。
 ”わずか100人ぐらいの被験者で統計的な差が出るわけがない。絶対におかしい”。これまで自分が学んできた科学というものをもう少し信頼するべきだったと反省しています。
大昔の申請審査で、動物実験のデータが怪しかったので視察に行ったら動物を飼う設備がなかったという話を聞いた事がありますが、昭和の話。まさか今の時代、注目も浴びているのに、そんなおかしな臨床試験はしないだろうという思い込みがありました。
政権のムチャなプレッシャーで、有意差が出る事ありきのなりふり構わぬでたらめをやったという事だろうか。
 政治に負けずにまともな評価をした担当者や科学者を褒めるべきなのか、いくら人事で脅されて骨抜きにされていてもさすがに首を縦にふれないほどひどい申請内容だったと見るべきか、判断が難しい所だ。

 ●試験管内実験にはハンディがあるという言い訳も通用しない

 さて、以前から、アビガンは細胞を使った試験管内実験では新型コロナウイルスには全然効かないという内外のデータがあった。
◆アビガンで残念なお知らせ まだ希望はあるが
 http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/04/26/9239404
これに対し、「アビガンは細胞実験だとエボラウイルスでも感受性が悪い。動物実験でないと正しい評価ができないのではないか」という擁護*1がある。しかし、細胞実験でもインフルやSFTS(ダニからの感染症)にはそこそこの濃度で効く。国内の名だたる研究者が、サルの細胞だけでなく、ヒト細胞でも、インフルの時の30倍ぐらいの濃度にして試したけど新型コロナウイルスのRNA合成を全く抑えなかったそうだ。試験管内の細胞より生体内の方が効きやすいにしても、0を何倍したって0だからやはり効かないのだろう。

◆アビガンの承認審査/治験方法を問題視/透明性欠如に批判も
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/451679

*1 "However, favipiravir has been shown to be 100% effective in protecting mice against Ebola virus challenge, although its EC50 value in Vero E6 cells was as high as 67 μM, suggesting further in vivo studies are recommended to evaluate this antiviral nucleoside. "
「Remdesivir and chloroquine effectively inhibit the recently emerged novel coronavirus (2019-nCoV) in vitro」
https://www.nature.com/articles/s41422-020-0282-0