「ミューは抗体効かない」は変な見出し2021年09月14日 07:45

「ミューは抗体効かない」は変な見出し
 この見出しでは、ミュー株が抗体一般に抵抗性を持っているかのような誤解を与える。「ワクチンが効きにくい」の方がまだマシ。「ワクチンでつくられる」、「○○ウイルスに感染してできる」など何に対する抗体なのか限定しなければ無意味だ。抗体というものは、この世に数億種類あるたんぱく質(抗原)ごとに別々なものが作られ、自分が攻撃するべき目標を厳密に見分ける。ミュー株のたんぱく質で作られた抗体なら当然ミュー株によく効くし、ミュー株とは違うたんぱく質で作られた抗体が効きにくいのは当たり前。あるウイルスのたんぱく質で作られた抗体が、そのウイルスの変異株にどれぐらい効くか、効きにくいか。これを抗原性の違いと言う。インフルエンザのワクチンは株が違うとほぼ効かない。新型コロナウイルス用のワクチンは従来株(いわゆる武漢株)のたんぱく質を利用してるが、英国生まれのアルファ株にもインド生まれのデルタ株にもかなりよく効く。
 抗体の効果を見るにはいくつか方法があり、一番原始的なのは、抗体の含まれた血清(回復患者やワクチン接種者の血液の上澄み液)を10倍、20倍、40倍、80倍、160倍と希釈していき、どれだけ薄めてもウイルスたんぱくと反応して無効化するか見る。例えば、従来株に対しては血清を40960倍まで希釈しても効くのに、変異株には5120倍希釈までしか有効でなければ、抗原性が8倍違うと言う。単純に言えば効果が8分の1に落ちたということ。インフルの場合、差が8倍以上になるとワクチンの効きが悪くなり、32倍を超すとほぼ効かなくなるとされる。新型コロナの場合は分からない。mRNAワクチンはヒクほど強く免疫に作用するので、インフルの不活化ワクチンよりはしぶといと予想するが。

◆ミュー株に中和抗体「ほぼ効果ない」最新研究で判明
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000228313.html
◆「ミュー株」抗体効果“低い”研究結果発表 - 日テレNEWS24
https://www.news24.jp/articles/2021/09/10/07937445.html

◆新なコロナ薬 なぜ抗体薬ばかりか
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/07/9420500

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