競馬で儲けるには一番勝ちそうな馬に賭けてはいけない2024年02月21日 12:01

競馬で儲けるには一番勝ちそうな馬に賭けてはいけない
 はずれ馬券が必要経費として認められるのは経済活動と言えるほど大量、継続的に馬券を買い、1年間など全体的な収支で多額の利益を上げたような場合だ。投資の一種と見なされるということだろう。しかし、大量に買い続け、勝ったり、負けたりしながら結果的に収支を黒字にするようなことが数学的に可能かどうか。
 話を単純化するため、5頭立てのレースで、1位を当てる単勝のみとする。実力と人気の順にA~Eの馬とする。
 それぞれの馬が1位になる確率は、40、30、25、4、1%とする。それぞれの売上が総売り上げに占める割合は50、25、16、8、1%とする。
 主催者(胴元)の取り分を20%とすr。購入者への払い戻し率(還元率)は80%なので、これを当てた人たちの馬券の総額で等分する。A~Eで、倍率はそれぞれ1.6、3.2、5、10、80倍となる。当然に人気の高い馬ほど倍率が低い。
 さて、毎回同じ優勝確率、人気倍率でレースがあり、同じ馬に100回連続で100円賭けるとする。収支はどうなるだろうか。
 Aの場合。40回優勝する確率があり、倍率は1.6倍だから、払い戻し金は6400円。1万円使っているのかなりの赤字だ。同様に計算すると、Bは9600円、Cは1万2500円、Dは4000円、E8000円。黒字が期待できるのは3番人気のCだけだ。
 一番人気のAとCの違いは、Aは実力の割に人気が高く、Cは実力ほどに人気がない。実力が過大評価されていると期待値が低く、過小評価されていると期待値が大きくなる。なので、何回も繰り返すなら、勝つ確率が高い馬ではなく、実力の割に人気がない馬に賭け続けるのが結果的に黒字にするひけつだということがわかる。
 実際の競馬では毎回馬の顔ぶれも倍率も違うのでこのようなことは起きない。しかし、過小評価されている馬に賭け続けることが利益を上げるコツであることは変わらない。
 「ギャンブルが確率のゲームなら、なぜ数学者が世界一の大金持ちになっていないのか?」。オンラインでこんな質問を見かけた。確率計算ができれば、「過小評価されている馬に賭け続ければ儲かる」ことは分かる。しかし、「各馬の勝つ可能性」、「評価が実力に見合っていないかどうか」を数学者は予想できない。
 おそらく、最高裁で勝訴が確定した競馬投資家はこういう戦略をとってるはずだ。
 ところで、こういう話に詳しい専門家をどなたか知りませんか?
 SNSや動画で活躍している人とかでもいいんですが。

訂正 酷すぎは共同 宝くじのトンデモ記事2019年08月06日 13:01

日経の夕刊に載っていたのは確かだが、元は共同通信の記事だった。日経の紙面は(共同)と入ってないので分かりにくい。しかし、多くの新聞に配信されて使わなかった所もあるんだから、配信記事を載せた責任は免れない。
 それにしてもあざといやり口。本文中には「高額当選者の8割が験担ぎしていた」としか書いてない。でも、それじゃニュースにならないから、担当者の言葉「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招くのでは」に責任を押しつけている。

統計でウソ これは酷すぎ 日経の宝くじ高額当選者記事
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/08/03/9136958

統計でウソ これは酷すぎ 日経の宝くじ高額当選者記事2019年08月03日 17:42

 これまでいろいろな統計でウソをつく例を紹介してきたが、さすがにこれは酷すぎる。

日経新聞8/2夕刊
>高額当せん者8割が「験担ぎ」 宝くじ購入時に
>宝くじの高額当せん者は、購入する際に8割が験担ぎをしていた――。みずほ銀行が2日までに発表した「2018年度宝くじ長者白書」で、こんな実態が明らかになった。担当者は「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招くのでは」と話している。

「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招く」事なんかあり得ないが、それを証明するなら、宝くじを買う人の何割が験担ぎをしているか調査しなければならない。健康食品のPRなどでよくあるが、こういうのを対照群(コントロール)のない調査という。

補足 訂正があります。

訂正 酷すぎは共同 宝くじのトンデモ記事
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/08/06/9138095

宝くじ バラの高額当選確率、連番の2.5倍 抽選がイカサマだとどうなる2018年12月19日 00:22

 前にも書いたが、宝くじの高額当選確率はバラが連番の2.5倍になるのは1等の抽選が厳正公平な場合だ。どんな買い方をしようと期待値が同じという前提があるから、2.5倍になる。抽選にイカサマがあると期待値が変わってしまう。
 例えば、200組10万通りの番号がある年末ジャンボ宝くじ。1枚300円のくじを1枚買って、1等7億円が当たる確率は2000万分の1。期待値はたった35円だ。前後賞1億5000万円を合わせても50円だ。
 ところが、もし、1等の組は必ず147組になるという細工があったら。そのことを事前に知っている人間が147組を売っている所を探し歩いて、147組を連番で手に入れたら。300円の期待値は700円。前後賞合わせてなんと1000円だ。10枚3000円の期待値は1万円になる。
 しかし、自分で意図的に好きな番号を買えない場合、買う前の期待値はやはり50円に戻ってしまう。
たまたま147組になる確率は200分の1。それが当たる確率はさらにその10万分の1。結局、2000万分の1なのだ。
 また、このイカサマ情報を知らずに買う場合も期待値は同じだ。
 そして、イカサマの事を知っていて、買った瞬間、それが147組でなかったら期待値はゼロだ。
情報が持っているかどうかで変わってしまう。確率は面倒だ。
 年末ジャンボの販売が終わるので、このシリーズもひとまずこれで終わりにしようと思う。

宝くじのバラは高額当選確率が連番の2.5倍になるのはなぜか④ バラが本当にバラバラだったら2.5でなくなる(高校の数学がトラウマな人は読まないで)2018年12月14日 22:15

 さて、宝くじのバラは適当に選んだ本当のバラバラな数字ではない。もし本当にバラバラだと、中にはたまたま数字が並んでいるバラもできる。例えば、1、2、5、6、9、10、13、14、17、18とか、10、11、12、13、14、15、34、35、36、37、38とか。だが、実際のバラは10個の数字で同じ組がないなど規則性が仕組まれている。
 8年前、バラと連番の高額当選確率の違いを書く際、私以前にこの違いを指摘した人が誰もいなかったから自分で計算して求めるしかなかった。その時、「バラが本当のバラバラではなく、規則性があってよかった」と心底思った。ジャンボ宝くじのバラでは絶対に1等前後賞の同時当選が起きないから小学生でも分かるような計算で確率が求まる。
 数字の選び方がランダムな本当のバラバラだと、連番が混じっているバラも存在し、そうなると、バラでも1等と前後賞の同時当選が低い確率とはいえ起き、その確率計算はかなり複雑になる。
 小学生でもわかる算数の問題が、高校で習う順列組み合わせを知らないと解けない、大学入試に出してもいいような数学の問題になってしまうのだ。それもかなりの難問だ。
 自分でも解けるが、本当に合っているか自信がない。ありがたいことに、確率の専門家が100枚のくじのモデルでどうなるか計算してくれた。本当のバラバラというのは、抽選箱の中に100枚の数字が入っていて、そこから10枚の数字を適当に引いた場合だ。

 さて、その計算法は高校で数学を挫折した人が見たらドン引きなので、この記事の最後に載せることにする。その前に言いたいことがある。この0~99の100枚のくじでの計算は、2000万個の番号がある年末ジャンボのバラが真のバラバラとした場合も同じようにできるはずだ。
 しかし、科学する心があれば、計算してみなくても、おおよその予想はつく。100枚だと本当のバラの中にまあまあの比率で連続した番号の入った組み合わせがあるから、1等前後賞同時当選の確率も無視できないぐらいある。そのため、バラの高額当選確率は連番の2.5倍よりけっこう小さくなる。だが、2000万個もの中から10枚選ぶ場合、同時当選があるような組み合わせの比率は極めて小さくなるから、2.5倍より小さくはなるが、その差はほとんど無視できるぐらい微少だろう。

 それでは計算結果を示そう。まず、書くのが大変。高校数学では10通りの中から5個選ぶ組み合わせを10C5などと書くが、Cを大きくできないので、パソコンソフトなどでの表記法をまねて、comb(10,5)と書こう。10個の中から5個を選ぶコンビネーション(組み合わせ)という意味だ。

 ほら、ここまでで、もうすでに引いているでしょう。
とても面倒そうということさえ分かってくれれば、続きは見なくていいです。

0~99の数字が書かれた100枚のくじで、真のバラ10枚を買った場合の当たる確率

まず、真のバラ10枚すべての組み合わせは100枚の中から10枚選ぶ組み合わせなので、comb(100,10)となる。
comb(100,10)=(100・99・98・・・91)/(10・9・8・・・1)

①1等のみ当たる確率

1等のみが当たっている組み合わせは、バラの中に1等が1枚あり、残りの9枚は外れている97個の数字のどれかになる組み合わせなので、comb(97,9)となる。
comb(97,9)=(97・96・95・・・89)/(9・8・・・1)

当たる確率は、これをすべての組み合わせで割ったもの。なので、comb(97,9)/comb(100,10)=89/(11・98)
前賞のみ、後賞のみも確率は同じ。

②1等と前賞が当たるダブル当選の確率

バラの中に1等と前賞があり、残りの8枚は外れている97個の数字のどれかになる組み合わせはcomb(97,8)となる。

確率はcomb(97,8)/comb(100,10)=9/(11・98)

1等と後賞、前賞と後賞とダブル当選の確率はすべて同じ。

③1等前後賞独占の確率

バラの中に1等と前後賞の3つがあり、残りの7枚は外れている97個の数字のどれかになる組み合わせはcomb(97,7)となる。

確率はcomb(97,7)/comb(100,10)=4/(5・11・98)

①×3と②×3と③を足すと、どれかに当たる確率は約0.273。連番は持っている10枚に加え、その10枚の最小より1小さい番号と最大より1大きい番号が前後賞に引っかかる。100枚のうちの12枚が1等だとどれかに当たる場合になるので、連番の高額当選確率は0.12。バラは連番の約2.28倍の確率になる。2.5倍よりそこそこ小さい。

ちなみに、すべて外れる確率を計算した方が手っ取り早い。

外れの全組み合わせは外れ97枚の中から10枚選ぶ組み合わせ=comb(97,10)なので、
外れの確率はcomb(97,10)/comb(100,10)=2・89/(5・49)=約0.727

これを一般化すると、n通りあるくじで、

バラが外れの確率はcomb(n-3,10)/comb(n,10)=(n-10)(n-11)(n-12)/n(n-1)(n-2)

1等前後賞どれかが当たる確率は、1-comb(n-3,10)/comb(n,10)=1-(n-10)(n-11)(n-12)/n(n-1)(n-2)
=[n(n-1)(n-2)-(n-10)(n-11)(n-12)]/n(n-1)(n-2)

連番でどれかが当たる確率は、12/n
なぜなら、連番が1等前後賞のどれか当たりに引っかかるのはいつでも1等が12枚のどれかの時だからだ。12を全体の枚数で割った確率になる。連番は計算が楽でいい。

バラと連番の高額当選確率の比は、
[n(n-1)(n-2)-(n-10)(n-11)(n-12)]/12(n-1)(n-2) =[n-(n-10)(n-11)(n-12)/(n-1)(n-2)]/12

1000通りのくじなら倍率は約2.48、1万なら約2.4978、10万なら約2.4998、100万なら約2.49998、通常のジャンボくじと同じ1000万なら約2.499998、年末ジャンボと同じ2000万なら約2.499999と予想通り2.5に近づいていく。同時当選の確率が単独当選の確率に比べてものすごく微少になっていくからだ。同時当選が無視できるほど小さければ、同時当選のないジャンボくじのバラと同じになるのは当たり前。

 さて、上の式を展開してみよう。

[n-(n-10)(n-11)(n-12)/(n-1)(n-2)]/12=[n-(n3-33n2+362n-1320)/(n2-3n+2)]/12=(30n2-360n+1320)/12(n2-3n+2)=(2.5n2-30n+110)/(n2-3n+2)=2.5-(22.5n-105)/(n2-3n+2)

n → ∞ であれば、2.5倍になることがわかる。

展開が間違ってたらゴメンナサイ。どうせ、n無限大なら第2項は0になるから、結果は正しいけど。

 しかし、やってみて、これ、大学入試レベルでも超難問じゃないかという気がしてきた。もしも、自分が試験問題作成委員会のメンバーでこれを提案したら、却下されるのでは。高校数学の知識だけで解けるとはいえ。細かい設問で解答を導いていく方式じゃないと無理かもしれない。
 自分で作った問題だから解けたが、この問題をいきなり見せられて、予備知識もないのに試験時間内に解ける高校生がいたら、天才だと思う。

宝くじのバラは高額当選確率が連番の2.5倍になるのはなぜか③ 練習問題 モデルを作ってみよう2018年12月12日 22:24

 8年前、初めて「バラの高額当選確率は連番の2.5倍」を世に出した時は、1枚100円、100枚のくじをモデルにして説明した。もう少し、ジャンボくじに形式の似ているモデルを作って練習問題にしてみた。
 1枚100円で、1組~10組、各組0~99の番号がある1000枚のくじを考えてみる。
1等は3万円、前後賞各1万円とする。たった1000枚でもだいぶジャンボ宝くじに似てきた。

 連番で、2組の40~49番、バラで、1組09、2組18、3組27、4組36、5組45、6組54、7組63、8組72、9組81、10組90と10枚ずつ買った。

問題

①連番とバラ、それぞれで、1等前後賞のどれかに当たる確率は何%か。
②連番とバラ、それぞれで、期待値(賞金額にその当選確率をかけたものの和)はいくらか。
③このくじの還元率(払い戻し率)はいくらか。

宝くじに詳しくない人は、00や99のとき、前後賞はどうなるのか疑問かもしれない。00の前は同じ組の99、99の後ろは同じ組の00と決まっている。試しに、連番で0~9番を買った場合やバラに00や99が含まれている場合も計算してみれば、結果は同じになることがわかる。バラの10枚の中に組のダブりはないというルールを守っていれば、どんな組み合わせでも結果は同じだ。

 では、答え。

①どれかに当選する確率

 連番の場合 どれかに当たるのは1等が「2組の39~50」の12個のうちのどれかだった場合だけ。確率は12/1000=250分の3=1.2%。
 バラの場合 どれかに当たるのは1等が1組の08、09、10など各組3個、計30個のどれかだった場合。確率は30/1000=100分の3=3%。
 当然、バラは連番の2.5倍だ。

②期待値

 連番の場合 1等前後賞総取りなら5万円。1等が「2組の41~48」の8個のうちのどれかで確率は8/1000=125分の1=0.8%。1等と前または後の同時当選なら4万円。1等が40か49のときで、確率は2/1000=500分の1=0.2%。前後賞どちらかのみは、1等が39か50のときで、確率は同じく0.2%。

 期待値 5万×0.8%+4万×0.2%+1万×0.2%=500円

 バラの場合 1等前後賞、どれが当たる確率も1000分の10で、1%。

 期待値 3万×1%+1万×1%+1万×1%=500円

当然同じになる。10枚1000円買って500円しか期待できない。ジャンボくじなどの宝くじとよく似たくじなのだ。

③還元率(払い戻し率)

 賞金総額は5万円。売上総額10万円。従って、還元率は、5/10=50%。
期待値は購入額に還元率を掛けたものということからも10枚1000円の期待値500円は求まる。
売上総額の大きいくじでは、統計的に、購入額が大きくなればなるほど、実際に受け取る額は(多少上下の波はあるが)期待値に近づいていく。そして、すべて買い占めれば当然、期待値=賞金総額となり、完全に一致する。

 次回のために、ちょっと準備。ここで急に、小学生にも分かる理屈が、高校数学になる。当選の確率を順列組み合わせの組み合わせで計算する方法があるのだ。
 1等賞前後賞が決まったとして、1等前後賞のどれかが当たるバラの組み合わせを、あらゆるバラの組み合わせで割れば、とれかに当たる当選確率が求まる。
 1等が2組の37番だとしたら、どれかに当たるバラの組み合わせは2組の36、37、38番という3つのうちのどれかが含まれる組み合わせだ。残りの9組は0~99のどれでもいい。組み合わせは3×100×100×・・・(100を9回かける)。あらゆるバラの組み合わせは各組の0~99から1つずつ選ぶから、100の10乗になる。

確率は、3×100の9乗÷100の10乗=3÷100=0.03=3%

 ここでは、バラの下1桁は0~9がそろってないといけないという条件を無視した。興味がある人はこの条件を入れた組み合わせでも確率が同じことを確かめてください。
 さて、次回はこれを踏まえて、もしも、バラが本当にランダムなバラバラだったら、計算がどれほど面倒かを取り上げる。高校の数学がトラウマになっている人(それ以前に中学の数学で挫折した人はもちろん)にとっては悪夢のような回なので、見ないことをお勧めする。

全部買い占めると必ず儲かる宝くじが海外にはあった2018年11月30日 19:02

 宝くじの賞金総額を全売上額で割った数字を還元率(払い戻し率)という。宝くじを全部買い占めた時、受け取る賞金額を買い占めに使った額で割った率だ。くじの発売元(胴元)が必ず儲かる仕組みだから、当然、還元率は1より小さい。日本の宝くじは50%以下と法律で決まっていて、世界的にほとんど例がないほど割に合わないギャンブルだ。
 さて、海外では還元率が1を超えてしまう宝くじがある。当選者が出なかった場合、その賞金を次回に持ち越す「キャリーオーバー」という仕組みが原因だ。胴元は前回、前々回の発売で巨額な利益を出しているから、トータルでは損はしない。しかし、キャリーオーバー連続でとんでもない額になった当選が出たときだけ、見かけ上、賞金額が総売り上げを超える出血サービスのような状態になる。
 実は、このことを利用して、莫大な利益をあげたオーストラリアの投資グループがある。そのグループは92年、アメリカ・バージニア州の1枚1ドルのくじすべての組み合わせ706万枚を買い占めると、2790万ドルの賞金が当たることに気づいた。還元率は395%で、約4倍。各地の売り場にバイトを動員し、3日間で500万枚買い、2700万ドルの賞金を手に入れた。バイトへの支払いを別にすれば、約5億円の投資で、約22億円儲けたことになる。
 このようなやり方は不法であると、胴元と訴訟沙汰になり、その後はこういうことができないような仕組みになったらしい。
 還元率の上限が50%と決まっている日本の法律でも、キャリーオーバーで一時的に100%を超えるのはいいそうだ。ただし、自分で自由に番号を選べないTOTOなどでは、すべての組み合わせの買い占めは不可能だ。

宝くじのバラは高額当選確率が連番の2.5倍になるのはなぜか① 簡潔に説明してみた2018年11月30日 01:18

 2.5倍説の最初の連続書き込みは、過去の経緯が長くてごちゃごちゃ読みにくかったので、すっきりさせてみました。今のところ、「○○の方が先だ」という反響は一切ないので、やはり、2.5倍説を発見して最初に指摘したのは8年前の私なのだろう。
 細かい算数をしなくても、科学する心があれば、バラは高額当選確率が大ざっぱに連番の3倍になることは直感的にわかる。科学する心にとって大ざっぱな予測はとても大切だ。
 連番は10個の数字が1カ所に固まっているので、当たれば1等前後賞ほぼ独占する。バラは数字が10個の組にばらけているので、1等が1つ分前か後ろにずれても前後賞があたる。どれかに引っかかる可能性はバラの方が約3倍なのだ。
 どうして、ぴったり3倍にならないかというと、連番でも端っこに前後賞だけが引っかかる場合があるからだ。
 例えば、連番を1組の19万100番から19万109番まで持っているとする。1等が1組の19万99番であれば、後賞が、19万110番であれば、前賞がひっかかる。1等がこの99番から110番までの12通りのどれかであれば、高額当選になる。
 一方、バラは10個の数字のどれかかその1つ分前か後ろが1等になればいいから、30通りある。30通りだから12通りの2.5倍だ。
 で、年末ジャンボの場合、番号が2000万通りあるから、連番で1等前後のどれかに当たる確率は2000万分の12=500万分の3=0.00006%だ。バラだと2000万分の30=200万分の3=0.00015%。

宝くじの高額当選確率 バラが連番の2.5倍になる理由をどう説明しているか見てみた2018年11月29日 23:26

 いろいろなサイトがバラの高額当選確率は連番の2.5倍になることをどう説明しているか見てみた。
8年前に私が初めて指摘したこの2.5倍説、その後は当たり前のように2.5倍がいろいろな宝くじ関連のサイトやブログに書かれている。詳しい仕組みをよく理解しないまま、やはり2.5倍という数字だけが一人歩きしているようだ。

 てゆうか、宝くじを買う人ってやっぱり確率がよくわかっていない。いやそもそも算数が苦手そう。

①まず、なぜ2.5倍になるのかの説明が大ざっぱなのが、これらのサイト。
ほとんどが、「連番は組が全部同じなので、1等の組が違うと1等前後賞すべてはずれる。バラは組が10通りあるので、1等と前後賞別々に狙える」という感じで説明している。

サマージャンボ宝くじ 当選確率、連番とバラの比較(2018-08-14)
https://www.bizblo.biz/entry/2018/08/14/074843

「この事は、3年位前から知っていました」とあるので、やはり私が書いたものが広まった知識だろう。

宝くじの当選確率バラと連番どちらが当たる?確率を高める買い方とは(2017/12/07)
https://tokosie-jouhou.net/3228.html

宝くじの買い方にはルールがあった?法則を知って当選確率を上げる方法!
バラと連番どちらを取るか
https://www.lucky-shop.jp/contents/blog/6804

「宝くじ」当たる買い方を一挙紹介!
「連番」と「バラ」ではどちらが当たる買い方?(2016/11/26)
https://kaiun.shop/buyers-hit/

宝くじの買い方、当たりやすいのはどの種類?
http://www.odac-libya.com/kaikata.html

宝くじ豆知識
バラと連番どっちが狙い目?ジャンボ宝くじの当選確率とは(2018/04/04)
https://www.dreammail.jp/lottery/trivia/7365/

 だいたい正しい。

②そんな中、これらの定性的な説明を、ちゃんと、なぜ2.5倍になるのか定量的に説明しているのが以下のサイト。証明の仕方が私と少し違うが、算数では正解を求めるのにいろいろな方法があるといういい例。できれば、確率が何%なのかも書いてほしかった。
 この人は理系で、やはり確率に詳しいようだ。理系の人間は確率は同じと思い込みやすいと書いているが、もう一歩科学する心があれば、連番の方が得するのはおかしいと気づくのではないか。

サマージャンボ発売直前!宝くじで1億円以上を当てるにはいくら必要?
「連番買い」と「バラ買い」はどっちがお得?(2016年2月2日)
https://www.misoca.jp/mlist/article/summer-jumbo/


③2.5倍と数値だけしか書いてないサイト

宝くじが当たりやすくなる買い方ってある?!バラと連番どっち?(2017.09.13)
https://jamaica7.com/archives/1777

「2.5倍と言う説があります」。「宝くじが当たる確率としては連番バラ、ほぼ同じと言われています」など自信がなさそう。

宝くじ 当たる確率UPの買い方!バラと連番どっちで買う?(2017/12/15)
https://みお.net/1009.html

算数が超苦手と自ら書いてある。

④説明はまとも

ジャンボ宝くじは連番とバラのどちらの買い方が当選確率が高い?(2018/10/30)
https://money-lifehack.com/question/6972

2.5倍とは書いてないけど、確率が高くなる仕組みをちゃんと説明している。

当たる宝くじの買い方
1億5000万円以上を狙うならバラ!
https://how-match.jp/win-the-lottery-simulation-4/(2016年7月11日)

2.5倍になる仕組みが簡潔に説明してある。

凄まじい反響だった「宝くじの高額当選確率 バラは連番の2.5倍」(4)他人(私)のふんどしでアクセス集めたブログ2018年11月19日 22:50

 (1)でも書いたが、8年前の2010年11月、私がこの2.5倍というおそらく初の指摘をすると、即座(ほぼその日のうち)に、ある個人のサイト(ようするにブログだけど)がこれについて取り上げた。
 「宝くじの買い方、連番よりバラの方が当選確率が高い」というタイトル。このブログ主は私が書いたことは「間違いだ」と思って、その誤りを証明するためにブログでその検証を始めたらしい。

 さて、この彼だか彼女だかわからないブログ主は最初の方で「高額当選という言葉」「そもそも、普通の人が日常的にこんな言葉を使うことは少ないはず」と書いている。私も普通の人は「高額当選という言葉」を使わない気がするが、宝くじが好きな人、宝くじへの関心が強い人は高額当選という言葉を使う。実際、そういう質問をQ&Aサイトで見たし。
 このことから、この人は、宝くじにあまり詳しくないらしいとわかる。ただし、確率に変化が起きるみたいな不思議なことを書いているので、確率に関しても生半可にかじっているだけで、確率の専門家ではないようだ。
 そして、この人が最もひっかかっていたのは、私がこれまでの(1)~(3)であえて詳しく解説しなかった「バラだと2つ以上同時にあたることはない」という点だ。
 この2つ以上とは1等、前後賞の3つのうち、どれか2つもしくは全部のこと。
 確かに8年前、私はなぜ同時に当たらないのか説明をしてなかったが、断定する以上は確かな根拠があることを行間から読み取ってほしかった。
 で、結局、この人、その疑問について確定的な答えも得られず、約半年後の2011年6月、ブログに続編を書き、私の2.5倍説について、厳密な証明はできないが正しそうと曖昧な軍配を上げている。そんな曖昧さにもかかわらず、このネタでものすごいアクセス数だったらしい。当時は一般的ではなかった今風の言い方にするとPV荒稼ぎしたようだ(他人のふんどしで)。
 私もこの人よりは確率について正しい知識を持っていると思うが、専門家ではない。だから、私の導いた答えを確率の専門家に検証してもらった上で書いているのだ。
 さて、バラで同時当選はないことを、この人は半年もかけて結局突き止められなかった。私ならそれを確かめるのにおそらく1週間もかからない。それは能力の差の問題ではない。この人と私のやり方に決定的な違いがあるからだ。
 この人はバラについて、ネットだけで答えを探そうとしていた。だが、それはあまり賢いやり方ではない。必要とする答えを得るという目的に照らして、ネットには良質な情報がない場合が多い。
 もしも私なら、どっかヒマそうな宝くじの売り場に行ってそこのおばちゃんかおじちゃんに「バラって、1等と前後賞一緒に当たらないの?」ときく。そうすればすぐ教えてくれるだろう。
 宝くじを買わなければならなくなるのがイヤというなら、気持ちは分かる。それなら宝くじの発売元に電話して聞いてみればいい。彼らはサービス業だからそういう問い合わせに親切に答えてくれるはずだ。電話代の数十円が惜しい? それとも、ブログではあんなに饒舌なネット弁慶だが、知らない人とは会話できない人見知りさんなのだろうか。
 では、種明かしをしよう。バラは本当にバラバラで、でたらめな数字の10枚ではない。いくつかの規則性があるバラバラなのだ。
 まず、バラ10枚の番号で末尾の数字は0から9の10個がそろっている。だから、連番と同じで7等300円が必ず1枚当たる。
 そして、ポイントだ。バラ10枚はすべて組が違う。1等と前後賞は同じ組だから絶対同時には当たらないのだ。
 それ以外にも何か規則性があるらしいが、面倒なので省略。
以上のバラの仕組みについては私も知らなかった。知らなかったから宝くじの専門家に教えてもらったのだ。
 おもしろいことに、確率の方の専門家に私の100枚くじのミニモデルを検証してもらった時、やはり、バラは同時当選がないことを知らずに最初は計算していた。バラは完全にランダムに選ばれた10枚で、その中にたまたま連続する数字が含まれる場合もあると考えてしまいがちなのだ。

 さて、初回(1)の疑問に戻ろう。バラは2.5倍という小学生にもわかるような理屈を2010年11月の私以前に指摘した人がなぜいなかったのか。賢明な人はもうお気づきだと思う。
 答えは簡単だ。
確率を知っていたら宝くじなんて買わない。
そして、宝くじを買う人は確率なんか知らない。
だから、宝くじと確率の両方のことをよく知っている人がいないのだ。
 前回に書いたが、年末ジャンボなどの宝くじの払い戻し率は50%未満。10枚3000円買って期待できる賞金額は1480円ぐらいなのだ。競馬、競艇、パチンコなどあらゆるギャンブルと比べて、もっとも割に合わない。確率を知ってたらもうバカらしくて。
 確率の専門家はそもそも宝くじに興味ないし、バラの仕組みとかよくわからないから、検証してみようなんて思わない。これが意外にロトとかだとそのシステムが数学や確率論の対象として面白いらしい。つまり、「バラは2.5倍」は誰でもわかるようなことだが、誰も考えてみようとしなかったのだ。