未知なのに要因 本当に科学を勉強したのか ― 2024年05月27日 12:21
◆日本人の7割に未知の発がん要因を発見 国立がん研究センター
各社が同じ事を何度も質問しているように聞こえたのだが、結局、説明に納得できないからだろう。
健康な人にはない新しい遺伝子変異が腎臓がん患者の7割に見つかった → 未知の発がん要因
何でそうなるの?
どういう仕組みで発がんに寄与しているのか全く分からない(寄与してる証拠がない。いかにも寄与してそうぐらい)というのに。因果関係が逆かもしれないし、第3の要素が真の原因である疑似相関かもしれない。
本当にそう思っているのか、あるいは、記者なんてバカだから騙されると思っているのか。
「腎がん患者7割に日本人特有変異 未知の発がん要因の存在示唆」とか「腎臓がん、日本人に特有変異=7割で確認、未知の要因か」とか苦労して見出しを付けているメディアもある。
(*)要因 物事が成立するのに必要な因子。主要な原因
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html
各社が同じ事を何度も質問しているように聞こえたのだが、結局、説明に納得できないからだろう。
健康な人にはない新しい遺伝子変異が腎臓がん患者の7割に見つかった → 未知の発がん要因
何でそうなるの?
どういう仕組みで発がんに寄与しているのか全く分からない(寄与してる証拠がない。いかにも寄与してそうぐらい)というのに。因果関係が逆かもしれないし、第3の要素が真の原因である疑似相関かもしれない。
本当にそう思っているのか、あるいは、記者なんてバカだから騙されると思っているのか。
「腎がん患者7割に日本人特有変異 未知の発がん要因の存在示唆」とか「腎臓がん、日本人に特有変異=7割で確認、未知の要因か」とか苦労して見出しを付けているメディアもある。
(*)要因 物事が成立するのに必要な因子。主要な原因
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html
私怨のこもった自説(紫煙だけに)。 ― 2024年04月16日 16:04
がんセンターの遺伝子解析によると、受動喫煙と能動喫煙では起きている遺伝子の変異が違い、肺がんになる理由が違うそうだ。タバコの煙にさらされる量だけでなく、質的な違いもあるってこと。
「能動喫煙はフィルターを通して吸うが、受動喫煙はフィルターを通さない紫煙を吸っているという違いが影響してないか?」と質問したら、
「そういうこともありうるかもしれません」。
タバコの煙が嫌いな人は誰でも知ってることだが、喫煙者が肺に入れて吐き出した煙はさほど不快でないが、タバコの先から直接出る紫煙は非常に不快。タバコに火を付けたクセにほとんど吸わず、灰皿に起きっぱなしにしてくゆらせ、あまつさえ、紫煙が自分の方に来ないようにしてる喫煙者を見ると、殴りたくなる。一度火を付けたら、休まず、紫煙が出ないよう吸い続けろと小一時間説教したい。
とまあ、だいぶ私怨のからんだ質問だった。
◆受動喫煙が肺がんの遺伝子変異を誘発することを証明 国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0416/index.html
「能動喫煙はフィルターを通して吸うが、受動喫煙はフィルターを通さない紫煙を吸っているという違いが影響してないか?」と質問したら、
「そういうこともありうるかもしれません」。
タバコの煙が嫌いな人は誰でも知ってることだが、喫煙者が肺に入れて吐き出した煙はさほど不快でないが、タバコの先から直接出る紫煙は非常に不快。タバコに火を付けたクセにほとんど吸わず、灰皿に起きっぱなしにしてくゆらせ、あまつさえ、紫煙が自分の方に来ないようにしてる喫煙者を見ると、殴りたくなる。一度火を付けたら、休まず、紫煙が出ないよう吸い続けろと小一時間説教したい。
とまあ、だいぶ私怨のからんだ質問だった。
◆受動喫煙が肺がんの遺伝子変異を誘発することを証明 国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0416/index.html
低学歴は死亡率高い 手法はおもしろい ― 2024年03月28日 09:47
低学歴だと死亡率が高くなり、唯一、女性の乳がんによる死亡率だけ高学歴の方が高い(*)。「差別と格差のない社会」を標榜している新聞では非常に取り上げにくいニュースだ。
でも、身も蓋もない記事にしているところもあるが。
結論はともかく、こういう方法があったのかと感心するアクロバティックな手法だ。
IDが定着している欧米ではこういう疫学調査ができる。どういうプロフィールの人がどういう原因で死んだのかといった情報の利用が容易だからだ。しかし、IDのない日本ではこういうデータを集められない。
そこで、学歴などのプロフィールが分かる国勢調査と死因が分かる人口動態調査という無関係な調査をプロフィールの一致でひもづけるという苦肉の策。生年月日、市区町村、配偶者の年齢などが一致し、かつ、重複する人がいない場合、同一人物とみなすということ。
「マイナンバーでできないんですか?」と質問したら、法改正をしない限り、今の日本の法律ではできないとのこと。
(*)初産年齢が高くなったり、授乳歴がないと乳がんリスクが高まるため。
日本は医療制度の充実などで、欧米に比べ、学歴による死亡率の差が少ない社会であるとか、高学歴の女性はよりいっそう乳がんに気をつけるべきだとか裏返しにすればいけると思う。
(**)学歴ごとの死亡率とは、10万人あたり1年間に何人死ぬかということ。高齢者ほど死亡率が高いので、単純に比較すると、高齢者が多い小卒、中卒は死亡率が高めに偏る。そこで、2015年の日本人口の年齢分布に補正して比べている。
◆「死亡率、中卒は1.4倍」 大卒以上と比較 国立がん研究センター
https://mainichi.jp/articles/20240327/k00/00m/100/206000c
◆国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより 日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計
https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/0328/index.html
でも、身も蓋もない記事にしているところもあるが。
結論はともかく、こういう方法があったのかと感心するアクロバティックな手法だ。
IDが定着している欧米ではこういう疫学調査ができる。どういうプロフィールの人がどういう原因で死んだのかといった情報の利用が容易だからだ。しかし、IDのない日本ではこういうデータを集められない。
そこで、学歴などのプロフィールが分かる国勢調査と死因が分かる人口動態調査という無関係な調査をプロフィールの一致でひもづけるという苦肉の策。生年月日、市区町村、配偶者の年齢などが一致し、かつ、重複する人がいない場合、同一人物とみなすということ。
「マイナンバーでできないんですか?」と質問したら、法改正をしない限り、今の日本の法律ではできないとのこと。
(*)初産年齢が高くなったり、授乳歴がないと乳がんリスクが高まるため。
日本は医療制度の充実などで、欧米に比べ、学歴による死亡率の差が少ない社会であるとか、高学歴の女性はよりいっそう乳がんに気をつけるべきだとか裏返しにすればいけると思う。
(**)学歴ごとの死亡率とは、10万人あたり1年間に何人死ぬかということ。高齢者ほど死亡率が高いので、単純に比較すると、高齢者が多い小卒、中卒は死亡率が高めに偏る。そこで、2015年の日本人口の年齢分布に補正して比べている。
◆「死亡率、中卒は1.4倍」 大卒以上と比較 国立がん研究センター
https://mainichi.jp/articles/20240327/k00/00m/100/206000c
◆国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより 日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計
https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/0328/index.html
針小棒大、研究者と記者は共犯 ― 2023年08月02日 18:01
1面トップを始め各紙まあまあ大きな扱い。「1兆円分は予防可能」なんて見出しは明らかに「予防の徹底で1兆円分の経済損失を節約できる」と誤解させようとしている。実際の節約効果はがんばっても数%だろう(それでも100億節約できたら凄いとも言えるが)。研究者は予算獲得や査定を有利にするため論文の価値を大きく見せたいからわざと誤読させるような発表文を書くし、記者もその辺の欺瞞が分かっていながら記事を大きくして自己評価を高めるためにデスクや整理をだましている共犯だろう。そんな中、紙面にもネットにも1行も出してないのが朝日。それもある意味見識だ。逆に、一見分かりやすそうな医学研究報告をどう受け止めるか、各社の見出しや前文が適切であるかどうかなどを中高生に考えさせる教材として非常に有効だと思う。
◆報道も1兆円分のガンが予防で消えそうに見える見出し
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/08/01/9606655
◆報道も1兆円分のガンが予防で消えそうに見える見出し
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/08/01/9606655
報道も1兆円分のガンが予防で消えそうに見える見出し ― 2023年08月01日 23:38
●“感染・喫煙などに起因”がんによる経済的負担 1兆円以上https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230801/k10014149751000.html
●がんの経済損失、国内で年2兆8600億円…1兆円は予防できた可能性
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230801-OYT1T50206/
◆「予防可能ながんの経済負担は1兆円」 予防で1兆円節約できるみたいでよくない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/08/01/9606559
●がんの経済損失、国内で年2兆8600億円…1兆円は予防できた可能性
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230801-OYT1T50206/
◆「予防可能ながんの経済負担は1兆円」 予防で1兆円節約できるみたいでよくない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2023/08/01/9606559
「予防可能ながんの経済負担は1兆円」 予防で1兆円節約できるみたいでよくない ― 2023年08月01日 18:08
国立がんセンターが「がんによる経済的負担は約2兆8,597億円で、そのうち、予防可能ながんの負担は約1兆240億円」という論文を発表した。
こういうと、予防効果で1兆円の経済損失を節約できるかのような印象を受ける。しかし、喫煙すれば必ず肺がんになるわけでなく、喫煙しなければ肺がんにならないわけでもない。予防で発生率を一定程度下げられるだけだ。そこで、「予防の費用対効果、予防対策の予算をいくらかければ結果的に予防可能ながんによる経済損失をいくら減らせるといった計算はできないのか」という質問をした。がん全体のトータルな値としてはWHOの試算があるが、エビデンスとしては弱いとのこと。今回の研究でデータがそろったので、さらにQOLをどう見積もるかなどのデータが集まれば、計算できるのではないかとのこと。将来の研究課題というところだ。
https://clk.nxlk.jp/m/jFNG0X6nD
こういうと、予防効果で1兆円の経済損失を節約できるかのような印象を受ける。しかし、喫煙すれば必ず肺がんになるわけでなく、喫煙しなければ肺がんにならないわけでもない。予防で発生率を一定程度下げられるだけだ。そこで、「予防の費用対効果、予防対策の予算をいくらかければ結果的に予防可能ながんによる経済損失をいくら減らせるといった計算はできないのか」という質問をした。がん全体のトータルな値としてはWHOの試算があるが、エビデンスとしては弱いとのこと。今回の研究でデータがそろったので、さらにQOLをどう見積もるかなどのデータが集まれば、計算できるのではないかとのこと。将来の研究課題というところだ。
https://clk.nxlk.jp/m/jFNG0X6nD
コロナ[パキロビッドが優れた薬]その訳は ― 2023年02月03日 12:57
>>高齢者や持病がある人は、もし新型コロナウイルス感染症にかかったら、抗ウイルス薬、特に「パキロビッド」という飲み薬をもらえないか、医師に聞いてみてください――。東京都で発熱患者などへの訪問診療を続ける医師が、インターネットでこう呼びかけています。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230106/med/00m/100/018000c
●パキロビッド以外は弱い抗がん剤みたいな薬
最初に出たメルク(MSD)の飲み薬ラゲブリオ(モルヌピラビル)、2番目のファイザーのパキロビッド(ニルマトレルビル合剤)、点滴薬ベクルリー(レムデシビル)。承認されなかったアビガン。このうち、パキロビッド以外はみな同じ効き方の薬だ。まあ、抗がん剤の親戚のようなもので、RNAの部品(ヌクレオチド)によく似た薬剤。似ているので、ウイルスや細胞が間違えて取り込み、RNAを作れなくなる。そのため、コロナだけでなく、インフルにもエボラにも効き、細胞やがん細胞にも効いて傷害を与える。結局、何にでも効く薬というのは毒性も出てしまうので、毒性を抑えるため効き目はよくない。パキロビッド以外が今一なのはたぶんこのせいだろう。抗インフル薬のタミフルやC型肝炎の特効薬ハーボニーは、20年ぐらいかけて特定の種類のウイルスのみに害を与えるよう選りすぐられたものだ。結局、ウイルスごとに特化した薬でなければダメなのではないかと抗ウイルス薬のプロは言っている。パキロビッドは、たんぱく質分解酵素という酵素にくっついてその機能を妨げる薬。この酵素が分解するたんぱく質はウイルスの種類によって千差万別だ。そのため、酵素自体の形もウイルスの種類によって違うし、人間の細胞の酵素とも形が違う。なので、薬剤の流用は効かず、ウイルスの種類ごとに専用に作る必要がある。新型コロナウイルスに特化した薬剤を探すのは普通なら何年も何十年もかかる。
●なぜこれほど早く作れたのか
実は、新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスと同種で、これら2つのウイルスは、この酵素の薬剤がくっつく場所の構造が全く同じなのだ。そのため、SARSコロナウイルスに効果があることが分かった化合物からSARS治療薬として開発されていた薬剤がそのまま使えた。新型コロナとSARSコロナという特定のウイルスのみに強いダメージを与えられるので、当然、効き目はよくなる。この記事では、臨床試験の結果からパキロビッドが優れているとしているが、それ以前の段階から優れているであろう事が予想できる。東大によるこれらの薬剤のオミクロン変異株に関する効果の試験では、対オミクロンの効果だけを書いていて、それだとラゲブリオ>ベクルリー>パキロビッドかのように見えてしまう。しかし、優れているかどうかは、ウイルスを壊す破壊力そのものではなく、ウイルスに大打撃を与えるのに十分な濃度と細胞を傷つける濃度の比。オミクロン株と細胞をそれぞれ「半殺し」にする濃度の比を比較すると、ラゲブリオは14倍超、ベクルリーは16倍超程度なのに対し、パキロビッドは140倍超。つまり、ラゲブリオなどはウイルスに強烈なダメージを与えるためにウイルス半殺しの10倍ぐらいの濃度にすると細胞も無事では済まない。これに対し、パキロビッドは100倍以上の差があるので、10倍ぐらいは大丈夫ということになる。ただし、パキロビッドはこの仕組みの薬にありがちな欠点があって、体内への吸収が非常に悪く、血中濃度を上げるため大量に飲まなければならず、それもあって肝臓に負担をかけやすいのがネックだ。それで現場から敬遠されるという話もあったが、評価が変わってきたようだ。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230106/med/00m/100/018000c
●パキロビッド以外は弱い抗がん剤みたいな薬
最初に出たメルク(MSD)の飲み薬ラゲブリオ(モルヌピラビル)、2番目のファイザーのパキロビッド(ニルマトレルビル合剤)、点滴薬ベクルリー(レムデシビル)。承認されなかったアビガン。このうち、パキロビッド以外はみな同じ効き方の薬だ。まあ、抗がん剤の親戚のようなもので、RNAの部品(ヌクレオチド)によく似た薬剤。似ているので、ウイルスや細胞が間違えて取り込み、RNAを作れなくなる。そのため、コロナだけでなく、インフルにもエボラにも効き、細胞やがん細胞にも効いて傷害を与える。結局、何にでも効く薬というのは毒性も出てしまうので、毒性を抑えるため効き目はよくない。パキロビッド以外が今一なのはたぶんこのせいだろう。抗インフル薬のタミフルやC型肝炎の特効薬ハーボニーは、20年ぐらいかけて特定の種類のウイルスのみに害を与えるよう選りすぐられたものだ。結局、ウイルスごとに特化した薬でなければダメなのではないかと抗ウイルス薬のプロは言っている。パキロビッドは、たんぱく質分解酵素という酵素にくっついてその機能を妨げる薬。この酵素が分解するたんぱく質はウイルスの種類によって千差万別だ。そのため、酵素自体の形もウイルスの種類によって違うし、人間の細胞の酵素とも形が違う。なので、薬剤の流用は効かず、ウイルスの種類ごとに専用に作る必要がある。新型コロナウイルスに特化した薬剤を探すのは普通なら何年も何十年もかかる。
●なぜこれほど早く作れたのか
実は、新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスと同種で、これら2つのウイルスは、この酵素の薬剤がくっつく場所の構造が全く同じなのだ。そのため、SARSコロナウイルスに効果があることが分かった化合物からSARS治療薬として開発されていた薬剤がそのまま使えた。新型コロナとSARSコロナという特定のウイルスのみに強いダメージを与えられるので、当然、効き目はよくなる。この記事では、臨床試験の結果からパキロビッドが優れているとしているが、それ以前の段階から優れているであろう事が予想できる。東大によるこれらの薬剤のオミクロン変異株に関する効果の試験では、対オミクロンの効果だけを書いていて、それだとラゲブリオ>ベクルリー>パキロビッドかのように見えてしまう。しかし、優れているかどうかは、ウイルスを壊す破壊力そのものではなく、ウイルスに大打撃を与えるのに十分な濃度と細胞を傷つける濃度の比。オミクロン株と細胞をそれぞれ「半殺し」にする濃度の比を比較すると、ラゲブリオは14倍超、ベクルリーは16倍超程度なのに対し、パキロビッドは140倍超。つまり、ラゲブリオなどはウイルスに強烈なダメージを与えるためにウイルス半殺しの10倍ぐらいの濃度にすると細胞も無事では済まない。これに対し、パキロビッドは100倍以上の差があるので、10倍ぐらいは大丈夫ということになる。ただし、パキロビッドはこの仕組みの薬にありがちな欠点があって、体内への吸収が非常に悪く、血中濃度を上げるため大量に飲まなければならず、それもあって肝臓に負担をかけやすいのがネックだ。それで現場から敬遠されるという話もあったが、評価が変わってきたようだ。
ますおかの岡田かよ&ポケモンは使用禁止 ― 2022年10月18日 14:55
くそまじめな科学者のダジャレで一番腹を抱えて笑ったのは「透明になるからスケール」だった。「ますおかの岡田かよ」とツッコミたい。だが、科学ジャーナリストなんて高学歴でお笑い番組なんか見ない人が多いのか、このギャグがまるで通じまない。「スケールって英語の尺度のSCALEでしょう?」などと。今度は「欧米かよ」とツッコミたい。以前、小林克也が「ホノルルをホノルルにあたって」に類する親父ギャグ的なダジャレは英語圏では全く通用しないと言っていた。mouseとmouth、riceとliceなどは全く違う音で、まぎらわしく聞こえるという感性がないからだろう。
●ポケモンはクレームで使用禁止
さて、ポケモン遺伝子がクレームで使えなくなったことを今回初めて知った。任天堂本体なら多めに見たかもしれないが、アメリカの子会社だとこういうことにうるさそうだ。ネイチャーによると、ネイチャーに論文が載った後、「ポケモンががんの原因になることが明らかに」などと揶揄した一般記事が増えたことが不興を買ったようだ。阿形所長のコメントにもある通り、目立てばいいだけでなく、「機能を的確に表していること」もネーミングの条件。発がんのメカニズムと何の関係もないのにこじつけで無理やり人気キャラを利用すると碌なことにならないという教訓だ。
◆「ムサシ」や「カエデ」も 日本語にちなんだ科学発見のネーミング②【生物編】
https://www.asahi.com/edua/article/14744813
◆日本語にちなんだ科学発見のネーミング①【化学編】
https://www.asahi.com/edua/article/14741789
●ポケモンはクレームで使用禁止
さて、ポケモン遺伝子がクレームで使えなくなったことを今回初めて知った。任天堂本体なら多めに見たかもしれないが、アメリカの子会社だとこういうことにうるさそうだ。ネイチャーによると、ネイチャーに論文が載った後、「ポケモンががんの原因になることが明らかに」などと揶揄した一般記事が増えたことが不興を買ったようだ。阿形所長のコメントにもある通り、目立てばいいだけでなく、「機能を的確に表していること」もネーミングの条件。発がんのメカニズムと何の関係もないのにこじつけで無理やり人気キャラを利用すると碌なことにならないという教訓だ。
◆「ムサシ」や「カエデ」も 日本語にちなんだ科学発見のネーミング②【生物編】
https://www.asahi.com/edua/article/14744813
◆日本語にちなんだ科学発見のネーミング①【化学編】
https://www.asahi.com/edua/article/14741789
風疹抗体もあった >ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は ― 2022年02月07日 18:27
コロナワクチンの定量検査に行ったついでに、厚労省が無料キャンペーンをしている風疹抗体検査も受けてきた。風疹になった記憶は全くないが、しっかりと抗体があった。風疹ははしかのような典型症状がないのでかかっても気がつかないのはよくあること。
◆ ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2022/02/04/9461307
◆ ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2022/02/04/9461307
サリドマイドのウソ まだ信じてる科学記者がいるとは ノーベル化学賞 ― 2021年10月15日 13:23
もはや21世紀、令和の時代にまだこんな事を書く記者がいるとは嘆かわしい。
生物を形作るアミノ酸や糖質などの分子にはL体(左手系)、D体(右手系)の2種類(光学異性体)があり、双方で生理活性が全く違い、酵素などはこれを厳密に見分けている。この光学異性体を人為的に一方だけ作る有機不斉合成は2001年の野依博士のノーベル化学賞受賞で有名になった。
サリドマイドにも、左手系と右手系がある。催奇形性があるのは左手系だけで、右手系のみを使っていればサリドマイド禍は起きなかったという説が広く流布し、一時は教科書的な書物にも載っていた。有機化学の専門家でも信じていたくらいだ。
このようなデマが広まった原因は、マウスを使った実験で、右手系では催奇形性がなく、左手系にだけ催奇形性が出たという1本の論文だ。しかしながら、マウスやラットなどの齧歯類はサリドマイドの催奇形性に抵抗性があり、そもそもサリドマイドでは奇形は起きない。実験結果は偶然他の理由で起きた奇形か、捏造の疑いがある。その後、サリドマイドで奇形の起きるウサギなどで追試があったが、左手系のみに奇形が起きるという結果は一度も再現されなかった。
さて、左手系と右手系で、おそらく生理活性が違う。なぜ、差異が出ないかというと、サリドマイドの左手系と右手系は傘がおちょこになるように、簡単に反転して双方が入れ替わってしまうからだ。右手系だけを分離して、水に溶かして置いておくと、右手系が左手系に変化し、左右半々の混合物(ラセミ体)になってしまう。健常人を使った実験で体内でも速やかに混合物に変わってしまうことが確かめられている。
つまり、右手系だけを一生懸命不斉合成しても無意味なのだ。だから、今でもサリドマイドは右手系と左手系の混合物が売られている。右手系だけを苦労して合成して売っても被害は防げない。また、再発売された90年代、南米などで被害が出ていた。 有機合成に詳しいあるノーベル賞学者にこの右手と左手を作り分ける不斉合成について質問したとき、「サリドマイドは極めて不適切な例」と言っていた。
生物を形作るアミノ酸や糖質などの分子にはL体(左手系)、D体(右手系)の2種類(光学異性体)があり、双方で生理活性が全く違い、酵素などはこれを厳密に見分けている。この光学異性体を人為的に一方だけ作る有機不斉合成は2001年の野依博士のノーベル化学賞受賞で有名になった。
サリドマイドにも、左手系と右手系がある。催奇形性があるのは左手系だけで、右手系のみを使っていればサリドマイド禍は起きなかったという説が広く流布し、一時は教科書的な書物にも載っていた。有機化学の専門家でも信じていたくらいだ。
このようなデマが広まった原因は、マウスを使った実験で、右手系では催奇形性がなく、左手系にだけ催奇形性が出たという1本の論文だ。しかしながら、マウスやラットなどの齧歯類はサリドマイドの催奇形性に抵抗性があり、そもそもサリドマイドでは奇形は起きない。実験結果は偶然他の理由で起きた奇形か、捏造の疑いがある。その後、サリドマイドで奇形の起きるウサギなどで追試があったが、左手系のみに奇形が起きるという結果は一度も再現されなかった。
さて、左手系と右手系で、おそらく生理活性が違う。なぜ、差異が出ないかというと、サリドマイドの左手系と右手系は傘がおちょこになるように、簡単に反転して双方が入れ替わってしまうからだ。右手系だけを分離して、水に溶かして置いておくと、右手系が左手系に変化し、左右半々の混合物(ラセミ体)になってしまう。健常人を使った実験で体内でも速やかに混合物に変わってしまうことが確かめられている。
つまり、右手系だけを一生懸命不斉合成しても無意味なのだ。だから、今でもサリドマイドは右手系と左手系の混合物が売られている。右手系だけを苦労して合成して売っても被害は防げない。また、再発売された90年代、南米などで被害が出ていた。 有機合成に詳しいあるノーベル賞学者にこの右手と左手を作り分ける不斉合成について質問したとき、「サリドマイドは極めて不適切な例」と言っていた。
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