社内メールの上司の悪口で失敗しない法3 悪意のないド天然ほど怖い物はない2018年12月03日 00:36

 1で、電子メールのカクテルパーティー効果、2で、その対策としての暗号化について書いた。これは、あくまでも悪気のある同僚間での意地悪なメールで成り立つ話だ。そこにうっかり悪意のない天然君が混ざってしまうと話はややこしい。

 これは最近のエピソードだ。
 私のいる大阪の事業所と東京で毎年分担してやっている、重要だが非常にややこしい面倒な業務がある。
今年、東京の方の担当は、T次長、若手のA君、新人のB君だった。今春の異動で来たばかりのB君は初めてやる仕事内容なので勝手が分かっていない。そんなB君から電話で問い合わせが来た。だが、なんか話がかみ合わない。
 話しているうちに、どうやらB君は毎年大阪が分担している分も自分がやると思い込んでいるようだと分かった。

 そして、B君の先輩のA君から「私の指示があやふやでB君に勘違いさせ、申し訳ありません」と謝罪のメールがB君など数人宛ての同報メールで来た。
 業務メールにも潤いやウィットが必要と常々思っているので、こう返信した。

「一瞬だけ、"今年は大阪の分も東京でやる方針なのか、ラッキー"とぬか喜びしかかりましたが、頼んでもいないのに、そんな自分たちの負担がめちゃめちゃ増えることを自ら進んで決めるはずがないかと。特にT次長は」

 すると、A君、重ねて同報メールで謝罪を返信してきたのだが、私のメールを全文引用したまま、その宛先に新たに当のT次長を加えてしまっていた。
関係部署にイニシャルTの次長は4人居るが、文脈から誰のことか明らか。

で、私は返信。

タイトル ・・・・
「T次長は」と書いてあるメールに、元文を残したまま返信する時に、宛先にT次長を加えちゃダメ

社内メールの上司の悪口で失敗しない法4 善意の天然君へのメールにジョークは禁物2018年12月03日 09:07

 前回の3で、同報メールに返信する際、元のメールに登場する人物(大抵、上司)を宛先に加えてしまう、しかも、元のメールを全文引用してしまう、天然君のエピソードを紹介した。以前にも同僚が別な天然君から同じ被害に遭っているのを見たことがある。別人だが、どちらも悪気という物がない、善意の塊のような人物という共通点がある。
 そして、善意の人ほど困るのだ。自分の中に悪意がないから、他人のメールの中などにはある悪意の存在に鈍感。同僚が上司についてあれこれ書いてきたメールをそのまま引用し、全員+上司を加えて返信してしまう。
 悪意のある人はそういうことをしない。悪意を持って告げ口をするような人間だと思われてしまうのは、自分にとってマイナスだとかそういう計算をするからだ。また、仮にする人がいたとしても、悪意のある人間のそのような返信や転送は何かよからぬ意図があるのだろうと相手を警戒させ、額面通りには受け取られない。
 ところが、悪気のない人とみんなから認められているような人間の天然返信は、その元メールで槍玉に挙がっている本人(大抵、上司)にショックを与える。それは部下たちの自然な本音に違いないからだ。

 さて、以前にこの天然返信被害にあった同僚、そのことに気づいていなかった。その引用返信されたメールは、ある次長にある提案をしたが、自分の出る幕ではないようなので、早々に引き下がりました、みたいな内容だった。その返信の宛先に当の次長が加えられていた。で、親切な私は「あの返信、そのまま次長にも行ってるけど大丈夫なの」と教えてあげたら、「えっ」と顔色が変わった。
「やばいことは書いてないと思うんですけど、あの内容なら大丈夫ですよね」
「ぼくから見たら全然問題のない内容だと思うけど。ただね、我々下々の者と、上の人間は感じ方が違うんだ。上司というものは、部下がふだん自分についてどんな噂をしているかに関して全く免疫がないから、その原文を目の当たりにすると、我々には信じられないぐらいショックを受けるもんなんだよ」
 ほんと、この程度でそんなにショックなら、もっとすごいことを言われているのに、あれを見たら死んじゃうんじゃないかってぐらいに。

 だから、人が良い天然君への業務メールにはジョークや誰かを揶揄するような余談を付け加えてはいけない。