グーグルノーベル賞は共同受賞者のおかげ。所詮は名誉より利益なのが企業 ― 2024年11月29日 17:31
ノーベル賞化学賞のベイカーの研究室にいた助教が解説をするというので聞いてきた。今回、好きな形のたんぱく質をデザインする功績で化学者のベイカー、たんぱく質の形を予測する功績でグーグルのIT技術者2人が受賞したが、本当は、構造予測の方も元々ベイカーがやっていたんだそうだ。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が様々な組み合わせで鎖状につながった大きな分子。鎖の輪であるアミノ酸同士もくっつくので、一直線ではなく、交差したり、ねじれたりして、綾取りのようにかご形になったり、ほうき状になったり、いろいろな形を取る。
どういう形をしているかがたんぱく質の機能や性質を決める。どのアミノ酸がどの順番でつながっているかを確かめるのは簡単だが、それがどんな風に絡み合ってどんな形になっているかを突き止めるのは大変(*)。
コンピューターの計算で形を予言できたら非常に画期的だ。しかし、並び順の分かった100個のアミノ酸でできたたんぱく質で、とれる形の可能性は48桁通り。宇宙が始まってからの秒数より大きい数値なので、すべての場合について計算し、最も安定なのはどんな形なのか決めるのは不可能。
そこで、形が公表されていないたんぱく質のアミノ酸の並びから、形をコンピューターで推理するコンテストが1994年から始まった。
ランダムにはできないので、並びからある程度想像して鋳型にあてはめて計算する方法が最初は使われた。ベイカーたちは、部分的に見られる天然物の類似構造を組み合わせるような方法で、計算し、大きな衝撃を与えた。徐々に進歩し、2016年の第12回コンテストでは、一致度40%とライバルを大きく離して優勝。
ところが、2018年、それまで囲碁の機械学習AlphaGoをやっていた英グーグルの子会社Deep MindがAlphaFoldを突然発表。60%一致というぶっちぎりで優勝した。化学と全く関係ないIT企業の殴り込みだ。そこで、ベイカーらも機械学習を投入し始めた。
2020年のコンテストでは、Deep MindがAlphaFold2で、90%一致というほぼ予測できたといえる数値をたたき出した。ベイカーらも機械学習を取り込んだ予測ソフトRosetta Foldを2021年6月に公開。
それまで、Deep MindのAlphaFoldは使用が有料で公開されていなかったのだが、ベイカーたちが同様に優れたRosetta Foldを6月に無償で公開すると、AlphaFold2も同7月に無償で公開された。
ベイカーグループという無償で成果を提供するライバルがいるから、公開せざる得ないわけで、そうでなければ、科学と人類への貢献を評価するノーベル賞は授賞されなかっただろう。もともとgoogleは花より団子でノーベル賞なんて眼中にないかもしれないが。
AlphaGoなど囲碁、将棋ソフトの場合、プロ棋士の棋譜を無数に取り込んで学習するのだが、AlphaFoldでこの棋譜に相当するのが天然物の実際の形のデータだ。
この棋譜集めにものすごく貢献したのが日本の化学者たち。で、その成果を無償で取り込んでるくせに有料にしていたという。
その後、ベイカーらは、逆に、たんぱく質を思った通りの形にするにはアミノ酸をどのように並べればいいかというデザインの研究に取り組むようになった。
(*)アミノ酸の並び方が決まれば、そのたんぱく質の形は自然に1通りの形に決まるというドグマがある。理論的には、一つしかない形が計算で求まるはず。裏を返せば、たんぱく質の形を定めればそれに相当するアミノ酸の並びは1通りしかないという1対1対応がある。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が様々な組み合わせで鎖状につながった大きな分子。鎖の輪であるアミノ酸同士もくっつくので、一直線ではなく、交差したり、ねじれたりして、綾取りのようにかご形になったり、ほうき状になったり、いろいろな形を取る。
どういう形をしているかがたんぱく質の機能や性質を決める。どのアミノ酸がどの順番でつながっているかを確かめるのは簡単だが、それがどんな風に絡み合ってどんな形になっているかを突き止めるのは大変(*)。
コンピューターの計算で形を予言できたら非常に画期的だ。しかし、並び順の分かった100個のアミノ酸でできたたんぱく質で、とれる形の可能性は48桁通り。宇宙が始まってからの秒数より大きい数値なので、すべての場合について計算し、最も安定なのはどんな形なのか決めるのは不可能。
そこで、形が公表されていないたんぱく質のアミノ酸の並びから、形をコンピューターで推理するコンテストが1994年から始まった。
ランダムにはできないので、並びからある程度想像して鋳型にあてはめて計算する方法が最初は使われた。ベイカーたちは、部分的に見られる天然物の類似構造を組み合わせるような方法で、計算し、大きな衝撃を与えた。徐々に進歩し、2016年の第12回コンテストでは、一致度40%とライバルを大きく離して優勝。
ところが、2018年、それまで囲碁の機械学習AlphaGoをやっていた英グーグルの子会社Deep MindがAlphaFoldを突然発表。60%一致というぶっちぎりで優勝した。化学と全く関係ないIT企業の殴り込みだ。そこで、ベイカーらも機械学習を投入し始めた。
2020年のコンテストでは、Deep MindがAlphaFold2で、90%一致というほぼ予測できたといえる数値をたたき出した。ベイカーらも機械学習を取り込んだ予測ソフトRosetta Foldを2021年6月に公開。
それまで、Deep MindのAlphaFoldは使用が有料で公開されていなかったのだが、ベイカーたちが同様に優れたRosetta Foldを6月に無償で公開すると、AlphaFold2も同7月に無償で公開された。
ベイカーグループという無償で成果を提供するライバルがいるから、公開せざる得ないわけで、そうでなければ、科学と人類への貢献を評価するノーベル賞は授賞されなかっただろう。もともとgoogleは花より団子でノーベル賞なんて眼中にないかもしれないが。
AlphaGoなど囲碁、将棋ソフトの場合、プロ棋士の棋譜を無数に取り込んで学習するのだが、AlphaFoldでこの棋譜に相当するのが天然物の実際の形のデータだ。
この棋譜集めにものすごく貢献したのが日本の化学者たち。で、その成果を無償で取り込んでるくせに有料にしていたという。
その後、ベイカーらは、逆に、たんぱく質を思った通りの形にするにはアミノ酸をどのように並べればいいかというデザインの研究に取り組むようになった。
(*)アミノ酸の並び方が決まれば、そのたんぱく質の形は自然に1通りの形に決まるというドグマがある。理論的には、一つしかない形が計算で求まるはず。裏を返せば、たんぱく質の形を定めればそれに相当するアミノ酸の並びは1通りしかないという1対1対応がある。
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