タミフル48時間経過後無効はウソ コロナが重症化したら効かない根拠なし2020年02月26日 20:24

 羽鳥慎一モーニングショーでタミフルは48時間以内に使わないと効かないと言ったため、これが新型コロナウイルスが重症化したらアビガンなどは効かないというメッセージになり、パニックが起きているようだ(アビガンやタミフルが効くという確実な証拠がまだないから、そもそも重症だろうが軽症だろうがコロナには効かない可能性もある)。
 これは医者もよく間違えているが、タミフルやリレンザは48時間を過ぎたらインフルに効かないわけではない。効かない証拠はない。効くかもしれない弱い証拠はある。
 モーニングショーでは「48時間以内に飲まないといけない」と言ったようでもあるので、それなら間違いではない。タミフルの用法に「インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること」と書いてあるからだ。さらに、「症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない」と書いてある。48時間過ぎたらタミフルやリレンザは効かないと思っている人は、用法を読んでないか、読んでも理解できる「科学する心」がないかだろう。
 以前に、抗インフル薬のメーカーの研究者に話を聞いた。実験(臨床試験)で、発熱から48時間以内にタミフルを飲むと、飲まない人に比べて発熱期間の短縮など統計的に差のある効果が見られたという。48時間以上は実験してないので、分からない。
 なぜ、48時間か。その理由はこうだ。健康な人だと、48時間ぐらい経てば、体内にウイルスを破壊する抗体が増え、自然にウイルスが減り始める。そんな時期になってから飲んでも、タミフルのせいでウイルスが減ったのか、勝手に減ったのか区別が付かないから、効果は分からない。
 しかし、これは健康で自然に治る人の場合だ。高齢者や免疫の弱い人など48時間経ってもウイルスが増え続け、症状もどんどん悪くなっているのに、48時間過ぎてしまってるから絶対使わないという選択肢はおかしいと思う。医者は科学者ではない人が多いのでそういうケースもあるが。
 もちろん、飲むのは早ければ早いほどいい。だが、高病原性鳥インフルエンザのように致死性の高いインフルでは、48時間以上経っていても飲んだ方が死亡率が下がるというデータがある。
 まとめると、放っといても治るような丈夫な人は遅くなってから飲んでもおそらく無駄。自然には治らず、ウイルスがどんどん増えるようなリスクの高い人が生きるか死ぬかの瀬戸際なら時間が経っていても効く可能性はある。48時間経ったら効かないという科学的でない誤解で、救えたかもしれない命が失われるかもしれない。

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