HIVに不死身な能力は輸血でコピーされる(1) 大昔のSFみたいな話2019年03月05日 17:29

 ロイター通信などが、HIV感染が治癒した世界で2例目の患者報告が明日(日本時間)のネイチャーに載るというニュースを流している。

 この治癒の1例目に関しては、2016年12月に「HIV感染を治す」という話を書いている。

内容を大ざっぱに説明すると、

(1) 90年代、不死身の人、発見
 
 どんなに危険な行為を繰り返しても絶対にHIVに感染しない人たちが見つかった。
後に、その人たちはある遺伝子に欠損があることがわかった。この遺伝子がなくても命に関わらないが、HIVが感染するには必須の遺伝子だった。

(2) 00年代、不死身は輸血で伝染する

 HIV感染者に不死身の人の骨髄細胞(白血球をつくる細胞)を移植したら、HIV感染が治った。薬を飲まなくても体内にHIVが見つからない。

(3) 現在、遺伝子操作で人工的に不死身の体に

 HIV感染者の細胞を取り出し、ゲノム編集技術で遺伝子を改変、本人に戻し、人工的に不死身の人と同じ状態にする臨床研究が始まった。

 スーパーマンの特殊能力が輸血で一般人にコピーされる。遺伝子の改変で一般人を人工的なスーパーマンにできる。そんな大昔のSFのような話だ。
 さらには、昨年には、受精卵に同じ処置をして、HIVに感染しない子どもを誕生させたと主張する中国の科学者まで現れた。

 今回、(2)の輸血(骨髄移植)で不死身がコピーされた世界2例目な訳だが。
1例目はほとんど騒がなかったのに、アルジャジーラやCNNまで流しているのは、昨年の中国のデザイナーベビーのせいだろう。

*注)骨髄移植を輸血というのはやや不正確だが、移植というと何か外科手術のようなイメージがある。骨髄を取られる方は大変だが、移植を受ける方は輸血や薬の点滴とほとんど同じ。

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