試験なら0点 令和の墨書 ― 2019年04月01日 21:49
官房長官が掲げた墨書「令和」の令。
本来、この字体(令の最後が垂直の縦棒になる)は明朝やゴシックなど印刷で使う書き方。
毛筆ではカタカナのマのように書くのが普通で、書家がこんな風に書くのはあまりない。
今の小学校では手書きでもこの印刷書体を教えるから、これを書いた内閣府の職員もそれに合わせたのだろう。 だが、勢い余ったのか、令の最後の縦棒をはねてしまっている。学校でははねてはいけないと教えていて、テスト問題、入試問題でこの墨書のようにはねてしまうと不正解×になってしまう。
これまではねてはいけないと教えていた小学校は困るだろう。官房長官の会見ではねていたと言われたらどう教えるのか。文科省と打ち合わせてなかったのだろうか。最後の詰めが甘かったのでは。
まあ、科学的にはどうでもいいけど。好きなように書けば。
本来、この字体(令の最後が垂直の縦棒になる)は明朝やゴシックなど印刷で使う書き方。
毛筆ではカタカナのマのように書くのが普通で、書家がこんな風に書くのはあまりない。
今の小学校では手書きでもこの印刷書体を教えるから、これを書いた内閣府の職員もそれに合わせたのだろう。 だが、勢い余ったのか、令の最後の縦棒をはねてしまっている。学校でははねてはいけないと教えていて、テスト問題、入試問題でこの墨書のようにはねてしまうと不正解×になってしまう。
これまではねてはいけないと教えていた小学校は困るだろう。官房長官の会見ではねていたと言われたらどう教えるのか。文科省と打ち合わせてなかったのだろうか。最後の詰めが甘かったのでは。
まあ、科学的にはどうでもいいけど。好きなように書けば。
それでも令和の書き方は0点だと ― 2019年04月03日 19:56
前回、官房長官が掲げた墨書「令和」の令で使われている明朝体やゴシックのような印刷書体を小学校で教えると書いたが、小学校では毛書体のようなマの字で教え、印刷書体は高校で教えるという情報もある。しかし、小学生が印刷書体で「令和」と習字している写真もある。いずれにせよ、詰め切れてなかった。
ただ、やはり、活字体に関しては文化庁が例示した6パターンの書体にも5画目ではねているのはない。
これまで杓子定規に「令」や「冷」「鈴」「齢」は、はねてはいけないと教えていた学校や国語教師はこれからはどうするのだろう。
例えば、耳は一番下の横棒が右にはみ出しているが、聞の耳は右側ははみ出してはいけないと教えるそうだ。別に人の目で同じ字だと認識できればどうでもいいんだけど。
ただ、やはり、活字体に関しては文化庁が例示した6パターンの書体にも5画目ではねているのはない。
これまで杓子定規に「令」や「冷」「鈴」「齢」は、はねてはいけないと教えていた学校や国語教師はこれからはどうするのだろう。
例えば、耳は一番下の横棒が右にはみ出しているが、聞の耳は右側ははみ出してはいけないと教えるそうだ。別に人の目で同じ字だと認識できればどうでもいいんだけど。
神田蘭さんが志ん生をパクッたと思われたら気の毒 本郷和人教授の新聞連載 ― 2019年04月07日 15:28
本郷和人東大教授が、日経新聞の連載で、講談師の神田蘭さんの話として、「同じ芸の道に励む者同士、私と彼とはまあ同じくらいのレベルだな、と思っている場合、実は彼の方がうまい。彼はうまいな、私はちょっと負けるな、と感じたら、2人の間には相当な実力差がある」というのを引用している。
これは、昭和の名人・古今亭志ん生の著書「びんぼう自慢」に出てくる言葉だ。
曰く、「他人の芸を見て、あいつは下手だなと思ったら、そいつは自分と同じぐらい。自分と同じぐらいと思ったら、かなり上。うまいなあと感じたら、とてつもなく先を行っている」
若手の神田さんはこの本を読んでないかもしれないが、話芸の世界ではとても有名な本なので、読んだ先輩たちからの孫引きであろう。神田さんが志ん生の言葉をパクッたと曲解されて伝わったら気の毒だ。本郷教授は芸の世界の話として聞いたと書いているが、この書き方だと、神田さんが自分の言葉のように語ったと受け止めてしまう読み手も多いだろう。
ステルス機がレーダーに映る 素人のツッコミに一本取られた ― 2019年04月10日 12:29
空自のパイロットは緊急脱出できなかったのでしょうか。
一縷の望みがあればいいのですが。
さて、私は特に引っかからずスルーしてしまったが、素人から「なんでステルス戦闘機なのにレーダーに映っていたんだ」とツッコミが入った。
これは一本取られたな、と。ミリタクでは常識過ぎて、そんな疑問を持つ人がいるとは気づかなかった。
ステルス機がステルスしたら、レーダーにはビー玉(F117A)か小鳥(F22ラプター)ほどぐらいにしか映らない。
有事の作戦行動中やそういう訓練でもない限り、ステルス機は陸地の近くや民間航路の近くでは、レーダー波の反射率をワザと上げて、レーダーにしっかり映るようにして飛んでいる。運用規定がどうなっているか知らないが、そのはず。初代ステルス機F117の時からそのための反射板的な装置が付いている。
だって、基地のレーダーにも民間の航空管制レーダーにも映らなかったら、危なくてしょうがない。
高速道路を見えないバイクが走り回っているようなもの。
一縷の望みがあればいいのですが。
さて、私は特に引っかからずスルーしてしまったが、素人から「なんでステルス戦闘機なのにレーダーに映っていたんだ」とツッコミが入った。
これは一本取られたな、と。ミリタクでは常識過ぎて、そんな疑問を持つ人がいるとは気づかなかった。
ステルス機がステルスしたら、レーダーにはビー玉(F117A)か小鳥(F22ラプター)ほどぐらいにしか映らない。
有事の作戦行動中やそういう訓練でもない限り、ステルス機は陸地の近くや民間航路の近くでは、レーダー波の反射率をワザと上げて、レーダーにしっかり映るようにして飛んでいる。運用規定がどうなっているか知らないが、そのはず。初代ステルス機F117の時からそのための反射板的な装置が付いている。
だって、基地のレーダーにも民間の航空管制レーダーにも映らなかったら、危なくてしょうがない。
高速道路を見えないバイクが走り回っているようなもの。
ウルトラマン故郷のブラックホール ― 2019年04月15日 19:13
ブラックホールの直接観測の記事で、M87銀河は、本当はウルトラマンの故郷になるはずだった事を書いたのはASAHIデジタルだけ。新聞紙面などではどこも書かないのが不満だった。土曜になってようやく青野由利さんがコラムに書いていた。
M87はとても目立つ有名な銀河。子どもに夜空を見上げて「あれがウルトラの星だ」と言って欲しくて(肉眼では見えないけど)、円谷は目立つM87をウルトラマンの故郷「光の国」に選んだわけだが、台本に間違えてM78と印刷してしまった。M78はあまり目立たないしょぼい星雲。円谷関連の書籍で何度も取り上げられている有名なエピソードだ。
また、ゾフィー(ウルトラ6兄弟の長兄)の必殺技の一つにM87光線というのがあって、こちらは原案通りのようだ。
大体、国立天文台の台長とか副台長とか、もろにウルトラマン第1作世代だし、JAXAの山崎直子さんはウルトラセブンに憧れて宇宙飛行士を目指したとか言ってるんだから、プレスリリースにM87はウルトラマンの本当の故郷って書いとけよ、と説教したい。
なお、私もすべてのメディアをチェックしているわけではないので、上記(朝デジ、青野さん)以外にも報道しているところがあったというご指摘はぜひ。ただし、yahooなどで元記事を転載しているだけの記事は除外。
M87はとても目立つ有名な銀河。子どもに夜空を見上げて「あれがウルトラの星だ」と言って欲しくて(肉眼では見えないけど)、円谷は目立つM87をウルトラマンの故郷「光の国」に選んだわけだが、台本に間違えてM78と印刷してしまった。M78はあまり目立たないしょぼい星雲。円谷関連の書籍で何度も取り上げられている有名なエピソードだ。
また、ゾフィー(ウルトラ6兄弟の長兄)の必殺技の一つにM87光線というのがあって、こちらは原案通りのようだ。
大体、国立天文台の台長とか副台長とか、もろにウルトラマン第1作世代だし、JAXAの山崎直子さんはウルトラセブンに憧れて宇宙飛行士を目指したとか言ってるんだから、プレスリリースにM87はウルトラマンの本当の故郷って書いとけよ、と説教したい。
なお、私もすべてのメディアをチェックしているわけではないので、上記(朝デジ、青野さん)以外にも報道しているところがあったというご指摘はぜひ。ただし、yahooなどで元記事を転載しているだけの記事は除外。
日経、F35の誤報 位置情報発信電波がレーダーに映るなんて ― 2019年04月19日 18:51
F35Aの墜落が断定された日の夕刊1面に「訓練では機体から位置情報を発信して飛行するため、レーダーで捕捉できるという」と書いてあった。科学する心的に、位置情報発信機がレーダーに映るなんてあり得ないだろうと。プロに確かめたが、やはり、レーダーとは原理が違うので映らないそうだ。
航空管制のレーダーは特定の波長の電波を出し、航空機などの物体にぶつかって跳ね返ってくる電波をレーダーアンテナで受けて、方向などを計る仕組み。前にも書いたように、F35のようなステルス機には電波の反射を故意に強くするレーダー・リフレクター(反射板)がついていて、これを開くことで、レーダーに映るようになる。これはレーダー波を反射しているだけで、情報を自ら発信する仕組みとは違う。
航空管制が航空機の位置を知る方法は上記のレーダー以外にもいくつかある。
簡単にまとめると、
(1)二次レーダー(SSR)
管制側から航空機に向けて問い合わせ電波を送ると、航空機に積まれているATCトランスポンダという装置から高度情報などを入れた電波が返って来るという仕組み。アンテナの方位と、問い合わせが返って来るまでの時間から距離を測り、航空機の位置を決める。二次レーダーに対して、上記のようないわゆるレーダーを一次レーダーという。
(2)マルチラテレーション(MLAT)
航空機からの無線信号を複数の地上局(3カ所以上)で受信し、到着時間差から航空機の位置を特定する。
(3)ADS-B(放送型自動位置情報伝送・監視機能)
航空機がGPSを使って、自分の位置、高度、速度を把握し、その情報を機体の識別信号と一緒に発信する。最新の位置情報発信システムだ。最近、浮気調査でよく使われるGPS発信機と同じような物。日本はまだADS-B搭載を義務化してないし、古い航空機には積まれていないが、やがて、今のレーダーに代わって航空管制の主役になるとされている。
民間航空機では、マルチラテレーションもADS-Bも、二次レーダーの応答信号で使われる1090MHzの電波を利用している。問い合わせに対して応答信号を出す仕組みの二次レーダーに対し、ADS-Bは作動中ずっと放送している状態だ。
F35Aの訓練中に使っている位置把握手段はマルチラテレーションとADS-Bのどちらか分からない。「訓練中は発信して飛行する」というのはいかにもADS-Bっぽいけど。
The Aviationistという海外のサイトに、イスラエル軍のF35の位置情報を航空ファンの受信網がマルチラテレーションを使って捉えたというニュースが載っているから、民間航空機と同じ電波を使っているのは確かだろう。
墜落の際、一次レーダーから機影が消えるのと、この電波信号が途絶えるのはほぼ同時だっただろうから、レクをする方も聞く方もよく分かっていなくて、2つの話がごっちゃになってしまったのではないか。まあ、イスラエル軍と違って、空自のF35がレーダーで捕捉できる独自の位置情報発信システムを積んでいる可能性もないではないが。
それにしても、プロも驚いていたが、F35にADS-B的なシステム(AD-Bその物かもだが)が積まれていて、しかも、訓練中作動しているとは。アマチュアが三沢の近くにアンテナを立てたら、「おお、F35が飛んでる。位置と高度は○○で、速度は・・・」と全部分かってしまうってことだ。
軍用機が自分の位置情報をさらすなんて、撃ち落としてくれと言ってるようなもんだが、示威行為のためにワザと発信することはある。「おれはここにいるぞ。近づいたらどうなるか分かってんだろうな」って、犬や熊のマーキングみたいに。でも、一般軍用機ならともかく、ステルス戦闘機でというのはびっくり。
航空管制のレーダーは特定の波長の電波を出し、航空機などの物体にぶつかって跳ね返ってくる電波をレーダーアンテナで受けて、方向などを計る仕組み。前にも書いたように、F35のようなステルス機には電波の反射を故意に強くするレーダー・リフレクター(反射板)がついていて、これを開くことで、レーダーに映るようになる。これはレーダー波を反射しているだけで、情報を自ら発信する仕組みとは違う。
航空管制が航空機の位置を知る方法は上記のレーダー以外にもいくつかある。
簡単にまとめると、
(1)二次レーダー(SSR)
管制側から航空機に向けて問い合わせ電波を送ると、航空機に積まれているATCトランスポンダという装置から高度情報などを入れた電波が返って来るという仕組み。アンテナの方位と、問い合わせが返って来るまでの時間から距離を測り、航空機の位置を決める。二次レーダーに対して、上記のようないわゆるレーダーを一次レーダーという。
(2)マルチラテレーション(MLAT)
航空機からの無線信号を複数の地上局(3カ所以上)で受信し、到着時間差から航空機の位置を特定する。
(3)ADS-B(放送型自動位置情報伝送・監視機能)
航空機がGPSを使って、自分の位置、高度、速度を把握し、その情報を機体の識別信号と一緒に発信する。最新の位置情報発信システムだ。最近、浮気調査でよく使われるGPS発信機と同じような物。日本はまだADS-B搭載を義務化してないし、古い航空機には積まれていないが、やがて、今のレーダーに代わって航空管制の主役になるとされている。
民間航空機では、マルチラテレーションもADS-Bも、二次レーダーの応答信号で使われる1090MHzの電波を利用している。問い合わせに対して応答信号を出す仕組みの二次レーダーに対し、ADS-Bは作動中ずっと放送している状態だ。
F35Aの訓練中に使っている位置把握手段はマルチラテレーションとADS-Bのどちらか分からない。「訓練中は発信して飛行する」というのはいかにもADS-Bっぽいけど。
The Aviationistという海外のサイトに、イスラエル軍のF35の位置情報を航空ファンの受信網がマルチラテレーションを使って捉えたというニュースが載っているから、民間航空機と同じ電波を使っているのは確かだろう。
墜落の際、一次レーダーから機影が消えるのと、この電波信号が途絶えるのはほぼ同時だっただろうから、レクをする方も聞く方もよく分かっていなくて、2つの話がごっちゃになってしまったのではないか。まあ、イスラエル軍と違って、空自のF35がレーダーで捕捉できる独自の位置情報発信システムを積んでいる可能性もないではないが。
それにしても、プロも驚いていたが、F35にADS-B的なシステム(AD-Bその物かもだが)が積まれていて、しかも、訓練中作動しているとは。アマチュアが三沢の近くにアンテナを立てたら、「おお、F35が飛んでる。位置と高度は○○で、速度は・・・」と全部分かってしまうってことだ。
軍用機が自分の位置情報をさらすなんて、撃ち落としてくれと言ってるようなもんだが、示威行為のためにワザと発信することはある。「おれはここにいるぞ。近づいたらどうなるか分かってんだろうな」って、犬や熊のマーキングみたいに。でも、一般軍用機ならともかく、ステルス戦闘機でというのはびっくり。
政府専用機、勝手に映ってんじゃねえ 三鷹の電波航法研究所にて ― 2019年04月24日 18:03
三鷹の電波航法研究所という施設が一般公開していたので見に行った。
お目当ては、航空管制用の航空機監視システムのデモ。三鷹で半径400kmぐらいをカバーしている。
スクリーンに映るオレンジの△は二次監視レーダー(SSR)による航空機の位置。緑の点は最新の方式ADS-Bによるもの。
説明の技術者に「以前に政府専用機の位置が映っちゃって、政府が出さないでくれって言ったのがニュースになってましたよね」と話しかけた。すると、その職員、かなりムッとして、「出すなってのはおかしな話ですよ。自分でスイッチ切れって話ですから」。ちょっとオコ。
どういう事かというと、このADS-Bというのは航空機がGPSで測った自分の位置や高度、速度などを放送するシステム。で、その電波はアマチュアでも安いアンテナを立てれば受信できて、世界中のアマチュアからの情報をリアルタイムで公開しているサイトがある。そのサイトを見ると、日本の政府専用機がどこをどう飛んでるか分かってしまう。いやなら、政府専用機のADS-B放送をOFFにしろということ。ちなみに数千円のアンテナで100kmぐらいの範囲のADS-Bの信号を傍受できるそうだ。
戦闘機も映る? 民間機の邪魔に
「訓練中の戦闘機がこのADS-Bのスイッチを切り忘れて、民間航空機に迷惑をかけたこともあるんです」という。このADS-Bの電波は航空機でも受信できるから、お互いの位置を知ることができる。そのため、衝突防止にも利用されている。
衝突防止装置はお互いの位置と速度、進行方向からその後の両者のコースを予測する。民間機は航路に沿ってほぼまっすぐ飛ぶからある程度距離があれば衝突の危険はない。だが、戦闘機は急旋回など民間機ではあり得ないような動きをする。距離はあっても、飛行方向がこちらを向けば、衝突コースを予想して、装置が警報を出すことがあるんだそうだ。
二次監視レーダーは、レーダーから出る問い合わせの電波に、航空機のトランスポンダが応答の信号電波を出す。レーダーは応答の来る方向に加え、問い合わせと応答の往復時間から距離を求め、位置を知る。
ADS-Bはこの応答装置を使うが、GPSの受信装置を加え、ソフトも変える必要がある。欧米では2017年までにADS-Bを義務化する予定だったが、間に合わず、2020年から義務化に。欧米の民間航路の近くを飛ぶ場合は軍用機であってもADS-Bをonにしなければならなくなるそうだ。
さて、係の人に質問。
「レーダーは本当に航空機の場所がわかりますが、ADS-Bは自己申告だから、ウソをつけば全然違う場所にいるとだませるんじゃないですか?」
「そうなんです。それで、それを確かめる研究もやってます」
「どうやるんですか?」
「複数の場所でADS-Bを受信し、その時間差がADS-Bの情報と矛盾しないか調べます」
「この二次監視レーダーの位置情報とADS-Bの位置情報が矛盾したらどっちを信じるんですか?」
「統合して表示するので、両方表示することはありません。統合の段階で判断することになると思います。レーダーは物理的に計測しているので、だますことは難しいと思いますが」
マニアしか来ないと思ったら、けっこう親子連れの行列が。でも、行列はスタンプラリーのせいで、展示自体に興味があるわけではないようだ。
お目当ては、航空管制用の航空機監視システムのデモ。三鷹で半径400kmぐらいをカバーしている。
スクリーンに映るオレンジの△は二次監視レーダー(SSR)による航空機の位置。緑の点は最新の方式ADS-Bによるもの。
説明の技術者に「以前に政府専用機の位置が映っちゃって、政府が出さないでくれって言ったのがニュースになってましたよね」と話しかけた。すると、その職員、かなりムッとして、「出すなってのはおかしな話ですよ。自分でスイッチ切れって話ですから」。ちょっとオコ。
どういう事かというと、このADS-Bというのは航空機がGPSで測った自分の位置や高度、速度などを放送するシステム。で、その電波はアマチュアでも安いアンテナを立てれば受信できて、世界中のアマチュアからの情報をリアルタイムで公開しているサイトがある。そのサイトを見ると、日本の政府専用機がどこをどう飛んでるか分かってしまう。いやなら、政府専用機のADS-B放送をOFFにしろということ。ちなみに数千円のアンテナで100kmぐらいの範囲のADS-Bの信号を傍受できるそうだ。
戦闘機も映る? 民間機の邪魔に
「訓練中の戦闘機がこのADS-Bのスイッチを切り忘れて、民間航空機に迷惑をかけたこともあるんです」という。このADS-Bの電波は航空機でも受信できるから、お互いの位置を知ることができる。そのため、衝突防止にも利用されている。
衝突防止装置はお互いの位置と速度、進行方向からその後の両者のコースを予測する。民間機は航路に沿ってほぼまっすぐ飛ぶからある程度距離があれば衝突の危険はない。だが、戦闘機は急旋回など民間機ではあり得ないような動きをする。距離はあっても、飛行方向がこちらを向けば、衝突コースを予想して、装置が警報を出すことがあるんだそうだ。
二次監視レーダーは、レーダーから出る問い合わせの電波に、航空機のトランスポンダが応答の信号電波を出す。レーダーは応答の来る方向に加え、問い合わせと応答の往復時間から距離を求め、位置を知る。
ADS-Bはこの応答装置を使うが、GPSの受信装置を加え、ソフトも変える必要がある。欧米では2017年までにADS-Bを義務化する予定だったが、間に合わず、2020年から義務化に。欧米の民間航路の近くを飛ぶ場合は軍用機であってもADS-Bをonにしなければならなくなるそうだ。
さて、係の人に質問。
「レーダーは本当に航空機の場所がわかりますが、ADS-Bは自己申告だから、ウソをつけば全然違う場所にいるとだませるんじゃないですか?」
「そうなんです。それで、それを確かめる研究もやってます」
「どうやるんですか?」
「複数の場所でADS-Bを受信し、その時間差がADS-Bの情報と矛盾しないか調べます」
「この二次監視レーダーの位置情報とADS-Bの位置情報が矛盾したらどっちを信じるんですか?」
「統合して表示するので、両方表示することはありません。統合の段階で判断することになると思います。レーダーは物理的に計測しているので、だますことは難しいと思いますが」
マニアしか来ないと思ったら、けっこう親子連れの行列が。でも、行列はスタンプラリーのせいで、展示自体に興味があるわけではないようだ。
工技院長様に政治力などない 「上級国民無罪」のデマに踊らされる人民裁判官な人々 ― 2019年04月28日 16:02
母娘が亡くなった池袋の交通事故で、加害者の通産省工業技術院・元院長87歳が逮捕されない事に正義の使徒なネット住民の怒りが爆発しているらしい。
翌日に起きた神戸の市バス事故で、同じような事故なのに運転手が即逮捕されると、ネットで騒ぎに。池袋の加害者は「上級国民」だから逮捕されないというデマが拡散した。
「上級国民って何だ」とツッコミたいのは置いといて、これまで「中級国民」の同様な事故で、加害者が大けがをして入院した場合、逮捕しない例はいくらでもある。また、業務上過失致死よりずっと罪が重い殺人でも、加害者が犯行直後に自殺を図り、入院中は逮捕しなかった例もいくらでもある。これらの加害者の職業は無職、一般会社員、アルバイト、大学生などだ。
「逮捕しろ」「人殺しが罰を受けないのはおかしい」と叫ぶ人民裁判官のような人たちは逮捕を何か刑罰の一種と勘違いしている。とりあえず手っ取り早いから逮捕という事が多いのは確かだが、本来なら逮捕は捜査の必要上するもの。「神戸の運転手だって証拠隠滅の恐れはない」という主張も見たが、一般論として、単独犯と言える個人の私有車と、市の交通局が刑事責任を追求されるかもしれないバスでは事情が違う。仮定だが、上司が病気や体調不良なのを知っていながら乗務を命じていた場合、運転手を他人と自由に話せる状態に置いたら、「家族や再就職の面倒は見るから」などと言って、運転手に口止めや圧力をかけ証拠隠滅を図る可能性が捨てきれない。
怒りに燃える人々に「東名高速のあおり運転事故のように悪意を持って故意に人を傷つけようとして重大な事故を誘発した人と、本人にその意図はなかった過失は全然違うでしょう」と言ったら、「そんな事を言うとは信じられない」と叱られた。
また、実務的に、重症の骨折を負って入院している人間を逮捕して拘留なんてできるのだろうか。後期高齢者ともなると入院で環境が変わったストレスだけでぽっくり逝ってしまう人もいる。無理に逮捕して、もしも、何かあったら、今度は手のひらを返して無理な逮捕を非難するのも人民裁判官な人たちだ。
大まじめに、これも安倍政権への忖度だろうなどと言ったり、ケガや入院もウソだなどと言い出す始末。病院や警察がウソをついているというのだろうか? 今は終戦直後の混乱期でない。
そりゃあ、これがもしも、元警察庁長官だったり、元国会議員だったり、財務相の息子だったりしたら、「本当にケガしてるのか」と自分でも思う。
ワイドショーなどを見ていると、キャスターやアナウンサー達も工技院が何なのかよく分かっていないらしく、説明ができなくて、何だかものすごくエラそーに見えてしまっている。
今はない工業技術院は、片田舎だったつくば市にある電総研や計量研など15の研究所の元締。現役当時だって大した権力はない。
東大出の高級官僚と言うが、日本を牛耳って来たのは法学部や経済学部の国家公務員上級職。この人、工学博士とどこかに書いてあったからおそらく工学部出身だろう。
理系を卑下しているのではない。むしろ、日本は何でこんなに理系の地位が低いのか頭にきている。文系の学生が遊び呆けている間、彼らには理解できないような難しい授業を受けて単位を取り、実験もまじめにしているのに。
ただ、この怒りの怒濤の背景にあるものを感じる。霞が関の身分の高い役人は、隠れて悪事を働き、ばれてもウソをつき、裏で手を回して罪を免れている。そんな不信感が今の日本に蔓延してしまっているのだ。
翌日に起きた神戸の市バス事故で、同じような事故なのに運転手が即逮捕されると、ネットで騒ぎに。池袋の加害者は「上級国民」だから逮捕されないというデマが拡散した。
「上級国民って何だ」とツッコミたいのは置いといて、これまで「中級国民」の同様な事故で、加害者が大けがをして入院した場合、逮捕しない例はいくらでもある。また、業務上過失致死よりずっと罪が重い殺人でも、加害者が犯行直後に自殺を図り、入院中は逮捕しなかった例もいくらでもある。これらの加害者の職業は無職、一般会社員、アルバイト、大学生などだ。
「逮捕しろ」「人殺しが罰を受けないのはおかしい」と叫ぶ人民裁判官のような人たちは逮捕を何か刑罰の一種と勘違いしている。とりあえず手っ取り早いから逮捕という事が多いのは確かだが、本来なら逮捕は捜査の必要上するもの。「神戸の運転手だって証拠隠滅の恐れはない」という主張も見たが、一般論として、単独犯と言える個人の私有車と、市の交通局が刑事責任を追求されるかもしれないバスでは事情が違う。仮定だが、上司が病気や体調不良なのを知っていながら乗務を命じていた場合、運転手を他人と自由に話せる状態に置いたら、「家族や再就職の面倒は見るから」などと言って、運転手に口止めや圧力をかけ証拠隠滅を図る可能性が捨てきれない。
怒りに燃える人々に「東名高速のあおり運転事故のように悪意を持って故意に人を傷つけようとして重大な事故を誘発した人と、本人にその意図はなかった過失は全然違うでしょう」と言ったら、「そんな事を言うとは信じられない」と叱られた。
また、実務的に、重症の骨折を負って入院している人間を逮捕して拘留なんてできるのだろうか。後期高齢者ともなると入院で環境が変わったストレスだけでぽっくり逝ってしまう人もいる。無理に逮捕して、もしも、何かあったら、今度は手のひらを返して無理な逮捕を非難するのも人民裁判官な人たちだ。
大まじめに、これも安倍政権への忖度だろうなどと言ったり、ケガや入院もウソだなどと言い出す始末。病院や警察がウソをついているというのだろうか? 今は終戦直後の混乱期でない。
そりゃあ、これがもしも、元警察庁長官だったり、元国会議員だったり、財務相の息子だったりしたら、「本当にケガしてるのか」と自分でも思う。
ワイドショーなどを見ていると、キャスターやアナウンサー達も工技院が何なのかよく分かっていないらしく、説明ができなくて、何だかものすごくエラそーに見えてしまっている。
今はない工業技術院は、片田舎だったつくば市にある電総研や計量研など15の研究所の元締。現役当時だって大した権力はない。
東大出の高級官僚と言うが、日本を牛耳って来たのは法学部や経済学部の国家公務員上級職。この人、工学博士とどこかに書いてあったからおそらく工学部出身だろう。
理系を卑下しているのではない。むしろ、日本は何でこんなに理系の地位が低いのか頭にきている。文系の学生が遊び呆けている間、彼らには理解できないような難しい授業を受けて単位を取り、実験もまじめにしているのに。
ただ、この怒りの怒濤の背景にあるものを感じる。霞が関の身分の高い役人は、隠れて悪事を働き、ばれてもウソをつき、裏で手を回して罪を免れている。そんな不信感が今の日本に蔓延してしまっているのだ。
最近のコメント