mRNAワクチンノーベル賞 正規では無理 今日は医学賞2021年10月04日 08:02

mRNAワクチンノーベル賞 正規では無理 今日は医学賞
 今日はノーベル賞医学生理学の発表日。新型コロナウイルスの予防に強力な効果を示しているmRNAワクチンで、実用化になくてはならない発見をしたとされるカタリン・カリコ博士の授賞が話題になっている。しかし、常識的選考手順では今年はあり得ない。前年に推薦を受けた中から授賞分野をいくつかに絞り、その分野ごとに誰が最も貢献しているかを1年ぐらいかけて調べ、最終候補を選ぶ。mRNAワクチンが使われ出したのは昨年末。効果が明らかになったのは今年になってからだから、今年のノーベル賞に推薦が間に合わない。すでに絞られている分野と別にmRNAワクチンを割り込ませ、通常より短い期間で調査を推し進める。そういう強引な手続き変更をしないと今日の最終選考にあげられないのだ。そこまでするかどうか。科学的にまだ評価が定まってない事もごり押しをためらわせるだろう。

◆カリコのノーベル当確に? 5月指摘と同じ事をネイチャーが書いている
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/29/9428055

◆コロナワクチンの母 ノーベル賞に死角あり
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/27/9381967

カリコのノーベル当確に? 5月指摘と同じ事をネイチャーが書いている2021年09月29日 18:01

カリコのノーベル当確に? 4カ月前の指摘と同じ事をネイチャーが書いている
 5月に、mRNAワクチン開発で立役者としてメディアが持てはやすカタリン・カリコ博士のノーベル賞当確は盤石ではないと書いた。今月のネイチャーがほぼ同じような研究者の意見に言及している。

>英科学誌ネイチャーは先日、mRNAワクチンの特集を組んだ。2人について「ワクチンの成功に不可欠であるかどうかについては、意見が分かれている」としつつ、
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15057840.html

 mRNAは生物の体内に無数にあり、たんぱく質の設計図として利用されている。人為的に合成したmRNAを体外から入れて、体内で目的のたんぱく質を作らせるのがmRNA医薬品。コロナワクチンの場合は、新型コロナウイルスのたんぱく質をmRNAに作らせて、免疫システムに倒すべき敵として記憶させる使い方だ。通常のmRNAをそのまま入れると、炎症が起き、mRNAが働く前に破壊されて機能しない。しかし、mRNAに人為的な細工を加えると炎症が抑えられ、たんぱく質も効率よく作られる。というのがカリコ博士の発見。この特許はカリコ博士が所属する独ビオンテックだけでなく、ライバルのモデルナも莫大な特許料を払って使っている。ただし、特許はアメリカの大学に召し上げられてしまっているので、カリコ博士は特許料を受け取っているかどうか分からないが。ところが、数カ月前。以前からmRNA医薬品をやっている日本の研究者が「天然のmRNAのままでは医薬品やワクチンを作れないかというとそんなことは全然ない」と言ってるのを聞いたのだ。だったら、カリコ博士の特許使用権がなくても、どこの国のどのメーカーでもmRNAワクチン、作れるんじゃないかと考えた。カリコ博士の発見がなければmRNAワクチンを実用化できなかったというのは、世界中のメディアがファイザーやモデルナのプロパガンダにまんまと乗せられているのでは。
 となれば、ノーベル賞は微妙。少なくとも、カリコ博士の技術が必須なのかどうか、科学的に決着が付くまで出すのをためらうのではないかと。
 結果論として必須でなくても、とりあえず、手っ取り早く実用化するのに貢献したという名目で出せるかもしれない。そうだとすると、また、医学ではなく、化学賞になってしまうかもしれないが。
 具体的にどういう技術かというと、
mRNAは、A(アデノシン)、G(グアノシン)、U(ウリジン)、C(シチジン)という4つの部品の並び方(配列)で、たんぱく質の設計図を暗号化している。このうちのウリジンをシュードウリジンという類似化合物に置き換える。すると、mRNAが体内で分解されにくくなり、たんぱく質が効率的にできる。このように手を加えたmRNAを修飾mRNA(modified mRNA)と言う。ちなみに、モデルナの社名はこのmodified RNAからきている。
 自然界に存在するmRNAのままでは、配列だけ目新しくしても特許がとれない。そこで、特許を取るため、あえて人為的な手を加えた修飾mRNAを製品にするという製薬メーカーの都合があるんだそうだ。
 実用化されたmRNAワクチンは脂質の膜で包まれているのだが、この膜の技術が発達し、「包んでしまえば、素のmRNAでも修飾mRNAでもどっちでもよくなったのか」、そもそも包みは関係なく、「mRNAを純度高くきれいにすれば大丈夫だったのか」。その辺も知りたいところだ。

◆The tangled history of mRNA vaccines
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02483-w

◆コロナワクチンの母 ノーベル賞に死角あり
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/27/9381967

開成初の首相だそうです2021年09月29日 16:38

御三家では、麻布の橋本龍太郎、福田康夫についで3人目。なお、ノーベル賞は灘出身の野依博士がいますが、御三家はまだ。
「次こそは」と開成が盛り上がっているという噂は何年前から知ってたが。麴町中だとは知らなかった。叔父、妹といとこ2人の母校です。

コロナワクチンの母 ノーベル賞に死角あり2021年05月27日 22:09

コロナワクチン生みの親 ノーベル賞当確に死角あり
 国民の約60%が2回のワクチン接種を終えたイスラエルでは新規感染者が激減。ワクチン界のランボルギーニ/マクラーレンと並び称される独ビオンテック/米ファイザーと米モデルナのmRNAワクチンは発病予防効果、感染予防効果とともに94、95%という驚異的な有効率を示している。ライバルのベクターワクチンが未知の血栓という重篤な副反応で足踏みする中、期待を一身に集めている。mRNAワクチンの開発になくてはならない発見をしたというカタリン・カリコ博士は「人類への貢献」「画期的な発見」「新たな創薬技術としての大きな将来性」などノーベル賞アガリの役が5重ぐらいに付いてる。加えて、ハンガリー出身の移民。苦労して重要な発見をしたが、特許は勤務先の米大学に召し上げられてしまった。重役を務めるビオンテックだけでなく、モデルナも博士の発見した技術に莫大な特許料を払っている(大学に権利を取られているので本人の手元には行かないのかも)等々、話題になりそうな人情話やエピソードも豊富。今年は推薦が間に合わないが、来年は当確となるのか。
 mRNAをそのまま注射してもすぐ分解されるし、mRNA自体への免疫反応で炎症が起きてしまって、効果を発揮できない。mRNAの部品に手を加えることで炎症が抑えられ、効率が上がった。カリコ博士の主要な第1の発見。これが非常に喧伝されている。
 しかし、ROAD TO ノーベル賞のこのストーリーは盤石なのか。実は、人間の細胞内にもあるような自然なままのmRNAではワクチンや薬を作れないかと言ったらそんな事はないそうだ。しかし、天然のmRNAをそのまま使っても物質の特許を取れない。そこで、特許を取るためにあえて人工的な手を加えるんだそうだ。つまり、カリコ博士の発見がなければ絶対にmRNAワクチンを作れなかったかというと???
 ただし、ビオンテックの技術には日本人研究者なども共同研究した脂質で包むノウハウなどもある。
 クロ限のカリコ-山中両博士対談、明らかにノーベル賞準備を見越した番組作りだが。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4550/index.html

◆コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330638

緑信号が青信号になった理由 なかなか興味深い。2021年04月04日 22:57

 1930年、日本初の信号機が登場した時、法令では「緑色信号」だった。だが、世間では青信号と呼ぶのが一般的で、1947年には法令でも青信号と呼ぶようになった。1971年以降、実際の色も青に近くなった。国際照明委員会(CIE)が道路信号は赤・緑・黄の3色を使うと定めており、警察庁の「交通信号関係仕様書」もこれに従っている。
 緑信号をなぜ日本では青信号と呼ぶのかには諸説あるようだ。日本の古語には、赤い(明)、黒い(暗)、白い(顕)、青い(漠)の4色しかなく、例えば、真っ赤なウソとは明らかなウソを意味する。そのため、グリーンも青に含まれ、その名残として、今でも青リンゴ、青田買い、青蛙、青虫などと呼ぶのと同じ。また、緑田買い、緑蛙と同じく緑信号は言いにくかったという説。赤、黄、青の色の3原色に合わせたという説など。

◆Q.青信号というのになぜ緑色の信号があるのですか
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-120/documents/op34.pdf
◆[Q]なぜ信号機は赤黄緑の3色が使われているの? | JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-sign/faq166

青色LED報道のウソ 小学生でも分かる証明2021年04月03日 14:17

>>LEDは1960年代に赤や緑が開発されたが
新聞やテレビでよくある誤解。「青色LEDが発明される前から緑色LEDはあった」というのは間違い。小学生でも分かる証明は以下の通り。
 赤や黄色やオレンジのLEDは遅くとも1970年代にはあった。もし、緑色LEDもあったのなら、青信号は緑色なんだから、赤、黄、緑でLED信号機がつくれたはず。緑もなかったから青色LEDができるまでLED信号機がつくれなかった。そういえば、最近のLED信号機の青信号って緑じゃなくて限りなく青に近い青緑だ。実際にあったのは黄緑色で、しかも発光が弱く実用に使えなかった。実用に耐えないものなら青色だって前からある。ちなみに、毎日新聞は「LEDは60年代に赤と暗い緑が実現した」と書いている。
 中村修二さんがノーベル賞の時のテレビのインタビューで「本当は緑もなかった。緑も我々がつくったんだ」と明確に言っていた。
NHKのように「この成果によって赤・緑・青の光の3原色のLEDがすべてそろい、フルカラーのディスプレイなどさまざまな分野でLEDの実用化の可能性を広げました」ならOK。青さえできてしまえば、青色の窒化ガリウムに少し混ぜ物をして緑をつくるのは簡単だったからだ。ただし、窒化ガリウムは青に最適な材料なので、緑は輝度が落ちる。
人間の目は、青に比べ、緑の感度がいいので、緑色LEDが少々暗くても大丈夫だ。でも、赤崎さんは、省エネの観点からは緑の効率をもっと上げたいと言っていた。
信号機が赤、黄、緑だったのも、波長が長い方が遠くまで届くことに加え、人間の目の感度が高く青よりもよく見えるからだろう。
 もう一つよくある間違いは、「赤、緑、青の3原色がないと白色電球がつくれない」。これは光学的にも生物学的にも間違い。青と黄色があれば白色を作れる。
実際、日亜化学が最初につくった白色LEDは、青色LEDと黄色の蛍光を組み合わせたもの。まだ緑のLEDがないうちに発売した。
「3原色がないと自然な白色はできない」ならOK。
黄色と青で作った白色LEDは赤成分がないため、肉のように赤色を反射して赤く見える物に当てるとどす黒くなってしまい、自然な色に見えない。そこで、いまは赤成分、青緑成分を少し混ぜるなど工夫をしている。赤と青緑も混ぜると白になるので、全体としては白。このような関係にある2色を互いに補色という。青色LEDのノーベル賞決定の時、テレビで自称科学ジャーナリストの寺門氏が「白色には3色必要、2色ではつくれない」と言っていた。2色あれば白は作れる事は、自称科学ジャーナリストですら意外に知らない事実なのだ。

https://this.kiji.is/750641052081258496?c=39546741839462401

◆高山の酒中の仙 私が会ったノーベル受賞者1
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/13/9316167

◆ホントに私の本読んだ? 赤崎勇さんとの初対面 私が会ったノーベル受賞者2
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/02/9363277

ホントに私の本読んだ? 赤崎勇さんとの初対面 私が会ったノーベル受賞者22021年04月02日 21:34

大阪にいた時、京都にいらっしゃった赤崎さんにお話を伺う機会があった。ちょうどその直前に、研究生活を振り返った自叙伝のような本が出版されたので、事前に読んでおいた。メーカーなどほとんどの研究者が作れないと早々に撤退した青色LEDを絶対にできると諦めなかったある意味頑強な研究者。で、どうして、赤崎さん以外の人たちは諦めたのかについて質問したのだけど。赤崎さんは「あなたは本当に私の本を読んだのですか?}と真顔で聞く。つい1日前に通読したばかりでその内容はよく覚えていた。「私の本に書いてあるんですけどね」とあきれたような顔をしながらも、説明していただけた。そんなこと書いてあったかな? 私は首をかしげ、帰ってから見直してみた。そんなこと書いてない。いや、無理に解釈すればそう取れないこともない。どういう事か。つまり、この話は、自分がいかに優れていて、他の研究者がいかに愚かだったかという自慢話の類い。そして、これは私の解釈あdが、赤崎さんは研究能力は突出しているが、自分の能力や業績がいかにすごいかという自画自賛をするのが極めつきに下手くそなのだ。欧米の研究者は昔から自分を大きく見せる誇大宣伝が得意だし、留学でアメリカナイズされた近年の日本人研究者も自己アピールが上手。しかし、昔の日本人研究者はまったく違った。評価は他人がするものであって、自分の業績を吹聴して回るものではない。ましてや、ペラペラしゃべるでないと幼少時から叩き込まれる薩摩隼人。今や絶滅しかかっている古き良き時代の研究者だったのだ。

◆高山の酒中の仙 私が会ったノーベル受賞者1
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/13/9316167

薩摩の古武士のような研究者 ご冥福を 赤崎勇先生2021年04月02日 20:45

雄弁は銀、沈黙は金。古き良き時代の研究者の見本のような方でした。ご冥福をお祈りします。

高山の酒中の仙 私が会ったノーベル受賞者12020年11月13日 15:49

高山の酒中の仙 私が会ったノーベル受賞者1
小柴昌俊さんに初めて会ったのは、ノーベル賞受賞より数年前の小柴さんが71歳の時。岐阜県高山市の国際ニュートリノ会議。早朝、会場外でぽつんとベンチに座っていたので、隣に座って質問した。「アメリカに同じ研究をしている競争者がいたのに、どうして日本のチームは勝つ事ができたんですか?」「アメリカは既製品の光電子増倍管を使っていた。日本は浜松フォトニクスが特注で、大きいのを作った。増倍管の数やプールの水量は少なくてもより多くの微弱な光を捉えられる」。そのご様子は、二日酔いではなく、どう見ても朝から聞こし召してるとしか思えない。健康問題があって晩年は酒を断たれたそうで、ノーベル賞決定後に会った時はシャキッとされておられたが。

ノーベル化学賞 ゲノム編集なら3人目はチェンではないだろう2020年10月07日 10:45

ノーベル化学 ゲノム編集なら3人目はチェンではないだろう
 ノーベル賞の大本命と何年も前から言われているゲノム編集技術「CRISPR Cas9」の生みの親、シャルパンティエとダウドナ。医学生理学だけでなく、化学賞でも有力視されている。ほとんどの新聞、科学雑誌、ネットの予想屋は、3人目は、アメリカ人のフェン・チャンを挙げている。シャルパンティエ、ダウドナがゲノム編集技術を発表した翌年、これが人間の遺伝子編集にも使える事を2人よりちょっとだけ早く発表した。
 確かに化学賞はそういう応用の人にも授賞する。だが、誰が最初にアイデアを考えたかというオリジナリティを非常に重視する点は物理や医学と同じ。シャルパンティエ、ダウドナのゲノム編集技術は第3世代で、その基本的アイデアは第1世代と同じ。第1、第2世代より簡単・便利だから爆発的に広まった。だから、シャルパンティエ、ダウドナと共同受賞するのはチャンではなく、第1世代のゲノム編集技術を開発したSrinivasan Chandrasegaranになるだろう。もし、予想が外れたら、なぜチャンなのか、ノーベル委員会の背景説明をじっくり読みたい。