男の強さ重視社会は紛争頻度増す 統計によるウソの好例2019年06月24日 19:04

 福岡大学によるマサイ族などの研究。攻撃的で強い男性ほど尊敬され、復讐がよい事とされる文化が濃いほど、敵を倒した男性に与えられる名誉や報酬などの特権が大きく、この特権が大きいほど他の集団との紛争が多かった。
 このことから「男の強さを重視する社会では戦士が特権を与えられやすく、結果として紛争の頻度が増す」と結論づけている。
 いままで統計でウソをつく法の正しい実例を紹介してきたが、大体が比率を利用したウソ。今回のウソは、比率と並んで古典的な相関関係を使う方法だ。
 統計では、相関関係が見られても、そこからただちに因果関係を導く事は出来ない。
喫煙者の肺がん発生率は非喫煙者よりはっきりと高いという調査結果がある。タバコを長年吸っていた人が肺がんになりやすいのであって、肺がんになった人がタバコを吸い始めるのではない事は常識で分かる。とはいえ、因果関係がはっきりするのは、長期の追跡調査で、1日の喫煙量が多く、喫煙期間が長くなるほど肺がんの発生率が高まるという時間変化を見られるからだ。
 上記の例は、「紛争の多い集団で、結果的に男の強さを重視されるようになった」という説も成り立つ。論文を引用した記事だけではどちらが先かは分からない。相関関係を利用したテクニックは、結論が本当かもしれないし、ウソかもしれない点が比率を使う方法と違う。
 さて、これまでの比率を使うウソと、この相関関係を使うウソを理解できれば、統計でウソをつく法も見破る法も8割方身に付いたようなものだ。

がんと診断後、1年以内の自殺20倍 本当に大問題なのか 倍率で人をだます方法
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2018/11/24/9002774

求人倍率高水準だから景気がいい 統計でウソをつく正しい見本 自覚的なの?マジなの?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/06/12/9085695

家族は殺人に手を染めかねない犯罪予備軍 これぞ統計でウソをつく法
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/06/09/9083286

大論説委員も統計のウソの意味が分かってない
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/02/06/9033036

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/06/24/9091364/tb