寝物語を子守用と誤用するネット作家が多い。古文の授業は寝てたのだろうか2023年08月12日 18:03

寝物語を子守用と誤用してるネット作家が多い。古文の授業は寝てたのだろうか
 前に書いたmountの誤用に似たようなことだが。最近、オンライン連載の小説、特に、転生や異世界物で、寝付きの悪い子どもに子守歌代わりに聞かせる話という意味で「寝物語」を使っている例をけっこうよく見かける。あまりに多いので誤用の方が正しいかのような認識が広まりそうな雰囲気さえある。言うまでもなく、寝物語とはpillow talkの事で、大人の男女がするもの。古今東西の小説を読んでいれば幼児に寝物語を聞かせる用法はない事は分かりそうなものなのだが。ゲームとかだけで言葉を覚えているのだろうか。素人がネットにアップしているだけの作品はともかく出版社が書籍化した人気作でも見かける。編集と校正のプロであるはずの担当編集者は何をしているのだろう。ややこしいのは、現代日本とは児童虐待の倫理が違う中世的な異世界を舞台にしたオンライン小説だと、本来の意味で幼児に寝物語するなどと分かってて書いてるクレイジーな作者がいないとも断言できない点だ。どっちにせよ誤解を生む表現。仮にも作家を名乗るなら日本の雅を疎かにするような言葉遣いはしてほしくないものだ。
 自分はいつどこで寝物語という言葉を知ったのか思い出せないが、明確に記憶にあるのは筒井康隆が陪審員制を戯曲にしたコメディ「12人の浮かれる男」。それはこんなシーン。討議の中で、陪審員六号は、被告の病身の妻に下心を持って会いに行ったと打ち明ける。「案の定、うまく口説くことができて・・・」と。陪審十号は「陪審法違反だ。犯罪行為だ」と激高。しかし、六号は「被告の女房とそういう仲になったからこそ、法廷に出なかった新しい事実をつかむことができたんです」とうそぶく。「じつは、被告の女房が寝物語にわたしに喋ったところによると、・・・」。これが寝物語の正しい用法だ。
正式な夫婦の場合でも寝物語と言うが、ふだんから普通に会話している男女より、むしろ、どちらかというと、平安時代の夜這いや現代のワンナイトラブ、浮気など不安定・その場限りの関係の場合に多用される言葉だ。ハニートラップなど昼間は口の固い人物から重要な情報を引き出す手段としても使われる。
画像のwikiの解説はどっちの意味か分からない。

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