大阪のお寿司との違いは? 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(2)2025年05月21日 12:01

大阪の寿司と違いは?「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(2)
 バッテラ、押し寿司、棒寿司、蒸し寿司、巻き寿司。関西でのこれらの総称は単に「寿司」だ。創業天保12年(1841年)の淀屋橋の吉野寿司の3代目が明治25年(1892年)ごろに完成形を発明したとされる箱寿司。すし萬が天明元年(1781年)ごろに売り出したとされる小鯛雀寿司。老舗それぞれのこだわりもある。
 そして、大阪などで生まれたこれらの寿司を東京では遅くとも明治時代から「大阪寿司」と呼んでいる。
 では、「大阪のお寿司」と東京の「大阪寿司」はどう違うのか。
ほとんど同じだ。
 元々、大阪や神戸から東京に移住してきた関西系東京人1世や、大阪などで修業して戻ってきた東京の職人が広めたもの。和の料理人は基本に忠実だし、教わった技術を完璧に再現する腕もある。独自の創意工夫ももちろん加えるだろう。とはいえ、イタリア人もびっくりなナポリタンや、カリフォルニア・ロール、エビチリ、エビマヨなど本家が目をむくような物は作らない(はず)。
 細かい違いはある。
関西に住んで、「太巻き」が通じないことに驚いた。といっても、小学生まで住んでいた麴町には家族経営のこぢんまりとした大阪寿司店があったから、大阪寿司自体全国で通じる言葉だと無意識に思っていた。関西どころか神奈川、千葉など東京以外、どこでも使われていない言葉だと最近知った。
 恵方巻きなど直径5センチほどで多くの具材を巻き込んだ物を関西では単に「巻き寿司」と呼ぶ。東京の大阪寿司では「太巻き」だ。逆に、かんぴょう巻き、新香巻き、カッパ巻きなど単体の具の物を関西では「細巻き」と呼ぶ。東京では単に「海苔巻き」や「巻き物」だ。
 東京で、細巻きの意味はわかっても、寿司屋に行って「巻き物は何がありますか?」と聞くことはあっても「細巻きは何がありますか?」と聞くことはないだろう。
 そして、関西人に聞いて初めて知ったのだが、巻き寿司などに入っている卵焼きは甘くないそうだ。巻き寿司の甘さはでんぶなどが担当しているので、玉子はよくある関西風の甘くない味付けにしてある。東京の大阪寿司では太巻きなどに入れる卵焼きも砂糖を入れて甘くする。ちらし寿司や冷やし中華に入れる錦糸卵も甘くする。関西では錦糸卵も甘くしないそうだ。
 なお、江戸前の握りは酢飯が甘くないが、関西の寿司は酢飯を甘めにする。これに関しては、東京の大阪寿司は関西寄りだと感じる。
 また、東京の庶民的な大阪寿司では、茶巾、いなり、かんぴょう巻きなど大阪とは関係ないものまでいっしょにして大阪寿司として売っていた。なので、自分を始め、これらも大阪寿司だと勘違いしていた東京人は多い。「茶巾ずしと大阪鮓の専門店」を名乗っていた四谷・ハ竹のように老舗は割と区別している。
 そもそも大阪の寿司をあまり食べたことないし、食べてもはっきり意識してないので、きっちり食べ比べれば、大阪のお寿司と東京の大阪寿司にはもっと細かな違いがあるかもしれない。

◆インド名物はインドカレーと言われたような違和感 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/19/9776452

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