豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(3)黒鮪 海の可変翼戦闘機は止まると沈む スズキ目サバ科マグロ属2025年02月27日 23:02

豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(3)黒鮪 海の可変翼戦闘機 スズキ目サバ科マグロ属
「沖縄は見たことあるけど、鹿児島のマグロは初めて」と店長。
 マグロにもいろいろあるが、単にマグロと言えば、普通はクロマグロのこと。本マグロともいう。1年中あるが、冬に日本近海でとれるのがうまいとされる。海流の関係らしい。
 テレビ番組でもてはやされ、マグロと言えば、大間(青森県)の一本釣りものが人気ブランドになっている。だが、必ずしも一本釣りが網に比べて優れているとは限らない。釣れるまで暴れ回るので、マグロの体温が上がってしまう。大間と同じ漁場でとっている戸井(北海道)のマグロは網でとってすぐに船上に上げ、処理するので、状態がいいと評価する向きもある。結局、その日の仲卸がどこのがいいと思ったか。回遊魚だから産地もないし、味にブランドは関係ない。
 ちなみに寿司大では、サワラ、アジ、キンメダイ、タチウオは網だと身が崩れるので釣りだが、マグロは網の方がいいという。
 マグロは、餌を探して泳ぎ回るため、持久力の高い強力な筋肉と抵抗の少ない紡錘形の体を得た。その分、重い体になった。そこで飛行機の主翼のように胸びれを広げ、その揚力で浮いている。止まれば沈む。
 ふだんの泳ぎは時速数kmだが、いざとなれば100kmも出すという。そんなときは抵抗を減らすため胸びれや背びれを折りたたみ、しまう。可変翼の戦闘機のようだ。
 金魚やコイは口をぱくぱくさせて水をエラに送り込み、呼吸している。マグロにはこのぱくぱくさせる筋肉がない。泳ぎ続けて水を流し込まないと窒息する。これも、少しでも抵抗を減らすための進化かもしれない。
 マグロは泳ぎ続けなければならないので、眠らないとされる。養殖では狭いところで育てると壁に激突してうまくいかなかったという。
 さて、近畿大学が苦労して開発し、商業化したマグロの完全養殖は採算が合わず、大手企業の撤退が相次いでいる。完全養殖というのは、養殖魚から卵をとって育てる「本当の」養殖。これに対し、今、マグロで主流の養殖は、天然の幼魚をとってきて育てるもの。広い意味では養殖に含めるが、本来の言葉は蓄養だ。
 たまたま今天然の幼魚を使った方が安上がりでも、将来的な資源を考えたらこの技術を廃らせるべきではない。

◆今日の24貫

京都のブリ、徳島アジ、石鯛、真蛸、淡路島真鯛、石川県イワシ、日立スミクイウオ、佐渡ヶ島メジマグロ、宮城県アイナメ、鹿児島炙りトロ、三重アオヤギ、茨城シラウオ、赤貝、東京湾クロムツ、福岡ヤリイカ、さわらポン酢、タチウオ、タイラギ、北海道バフンウニ、金目鯛、煮アワビ、車海老醤油、メカジキ、サワラ醤油

その他

お通し チヌ(黒鯛)
卵焼き
北寄貝炙り、子持ち煮いか
中落ち巻き

◆今日の酒

道灌純米蔵出し一番酒、山本ピュアブラック

「道灌にこだわりますね」「千代田城を見て育ったんで。千代田城は築城の名人、道灌がつくったんですよ」

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