国産ワクチン特攻など狂気の沙汰2021年05月03日 12:56

国産ワクチン特攻など狂気の沙汰
>>「日本でも4社が独自のワクチン開発を行っている。条件をクリアして、早くいけば年内にもというところがあるように聞いている」
>>「アストラゼネカのワクチンは日本でも生産することが決まっている」

 国産企業で臨床試験が最も先行している阪大系ベンチャー・アンジェスでさえまだ500人に接種してみただけ。しかもアンジェスのプラスミドDNAワクチンは一般的に効果が低いとされてる。安全性試験も有効性試験もまともにやらずに緊急承認させる気なのだろうか。
 国内ライセンス生産する契約というアストラゼネカにしても、まだ国内未承認だ。100万人に5人程度と極めてまれとは言え、血栓の副反応で使用中止してる国もあるのに本当に厚労省に承認させられるのか。ファイザーとモデルナだけでは「7月まで」「9月まで」という国民への約束をとても守れそうにないからその場しのぎの口先だけなのでは。本気で法を曲げて通す気ならどうかしている。

◆河野大臣、国産ワクチン「年内にも」
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4257215.html

◆「とにかく早く打て」ワクチン接種加速に躍起の首相 視線の先は
https://mainichi.jp/articles/20210429/k00/00m/010/190000c

◆中国ワクチン効果小に失望 今さら何言ってんの 最初から分かってる事に
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/02/9373205

◆中国ワクチン、有効率わずか50% 南米に動揺と失望が広がる
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/50-49.php

◆安全だが効かないワクチン 日中の選択 犠牲を厭わず効く欧米
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368564

◆中国製ワクチンは「効果小さい」 中国当局者が発言、すぐ修正
https://www.bbc.com/japanese/56714802

◆血栓ワクチン不要なら買うとか日本じゃ考えられない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368473

◆血栓は死ぬから当然だろう AZ,J&Jのワクチンもう買わない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368409

中国ワクチン効果小に失望 今さら何言ってんの 最初から分かってる事に2021年05月02日 14:44

中国ワクチン効果小に失望 今さら何言ってんの 最初から分かってる事に
 前にも書いたが、不活化ワクチンの効果が低いのは常識。別に中国製だからではなく、日本のインフルワクチンだって(ほとんど)効いてない。だが、4000-6000円もするワクチン界のフェラーリ、ポルシェと言われるmRNAワクチンを途上国で全国民に使えるわけがない。いいじゃないの、安くて安全なら効かなくても。半分でも発病を防ぎ、重症化を防げれば十分では。その代わり古い技術で安全性が高いという利点もある。安く、速く、大量に接種を済ませる事も重要だ。経験がないコロナ用のワクチンをわずか1年で作るには「100万人を救うが100人ワクチンで死ぬのは仕方ない」と覚悟を決めるか「安全だが毒にも薬にもならないワクチン」でお茶を濁すかの2択だ。

◆中国ワクチン、有効率わずか50% 南米に動揺と失望が広がる
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/50-49.php

◆中国製ワクチンは「効果小さい」 中国当局者が発言、すぐ修正
https://www.bbc.com/japanese/56714802

◆安全だが効かないワクチン 日中の選択 犠牲を厭わず効く欧米
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368564

◆血栓ワクチン不要なら買うとか日本じゃ考えられない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368473

◆血栓は死ぬから当然だろう AZ,J&Jのワクチンもう買わない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/04/18/9368409

新型コロナ存在せずの根拠がコッホのバカらしさ2021年05月01日 12:16

新型コロナ存在せずの根拠がコッホのバカらしさ
新型コロナウイルスがコッホの4原則を満たしてないから存在しないというトンデモ理論に対して「おおむね満たしている」という医学研究者からの反論がある。そんな検証自体時間の無駄だ。いくらコッホが偉大でも、ウイルスの存在もDNAもRNAも知らなかった時代の経験則がそのまま現代に通用するわけがない。
「病原体候補を実験動物に感染させると同じような病気になり、その病巣から同じ病原体が検出される」。
 そんな事を言ったら、C型肝炎ウイルス(HCV)はどうするのだ。HCVは基本、人間以外の動物に感染しない。チンパンジーなら無理やり感染させる事はできるようだが、現代の科学研究ではチンパンジーを病気の実験に使えない。さて、免疫不全マウスに人間の肝臓細胞を植え付けて人間の肝臓を持ったマウスをつくることができる。このマウスのヒト肝臓にはHCVを感染させられる。ところが、このマウスの肝臓は病気にならない。HCVそれ自体には毒性や病原性はなく、HCVに対する免疫反応で起きる炎症が肝炎や肝硬変や肝がんの原因であるという説を裏付ける(これも広義の病原性だが)。免疫システムを持たなければ病気にもならないのだ。献血血液をPCR検査する事でHCVの新規感染はほぼなくなった。特効薬で既感染者からのHCV排除もできる。効いてるかどうかモニタリングするのもPCRだ。おかげでHCVによる肝がん発生が激減している。それでもHCVがC型肝炎の原因ウイルスであることを否定するのだろうか。
 大昔のエラい先生が言った事を満たさなければ証明できない。それは科学ではない。
 かつて、京大が「われわれの祖先はホヤだという生物学の常識」を覆す発見をした。我々の祖先はホヤではなく、ナメクジウオだったというのだ。で、教授に「どうして、ホヤが我々の祖先だというのが長年の常識だったんですが?」と質問したら、「昔、生物学のエラい先生がそう言ったのがずっと常識になってたんです」。「どうしてそう言ったんですか?」。「形態からの印象でしょう。単純な構造の物の方が古いと考えたんだと思います」って、オイッ!
◆本学名誉教授 大橋眞氏の活動に対する苦情について
https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/22379.html

攻撃力のN501Y 防御力のE484K 両方持てばスーパー無敵コロナとかないからね2021年04月17日 13:10

攻撃力N501Y 防御力E484K 両方あればスーパー無敵コロナとかないからね
 最近はやりのN501Y変異。英国由来のVOC-202012/01株で有名になったこの変異は感染効率を上げ、感染速度を加速するとされる。いわば、攻撃力をアップする変異。これに対し、もう一つ有名なのが、E484K変異。感染回復者の血清やワクチンでできる抗体の攻撃を回避する変異とされる。いわば、防御力をアップする変異。じゃあ、両方の変異を持てば、攻撃力も防御力も最高なスーパー最悪コロナが誕生するとか、そういう安いSFみたいな事はない。どちらも、コロナウイルスが細胞にとりつく時のアンカーに使うスパイクたんぱく(王冠のギザギザ部分)に起きる変異です。501番目と484番目のアミノ酸なので、たんぱくでの位置は違うが。N501Yはスパイクがより細胞にくっつきやすくなる変異。E484Kは抗体がスパイクにくっつきにくくなる変異。これってけっこう矛盾する変異なのだ。両方変異すれば、どっちも最強って、そんなチートゲーマーみたいな事は自然界では起きない。人間のゲーマーだって限られたポイントを攻撃力と防御力にどう振り分けるかでかなり悩むわけで、どっちも最大値とかできない。防振り(防御力に極振り)をテーマにした人気小説があるぐらいだ。
 もう20年以上前の満屋裕明さんたちのHIVの研究だが、AZTやddIといった抗HIV薬が複数入った多剤環境でHIVを育てると、最初に起きる変異で多剤耐性を得るが、その代わり増殖能力が大幅に落ち込む。そして、次に起きる変異で、薬剤耐性能力を少し犠牲にして、増殖能力をそこそこ取り戻すという多段階変異をする。
 N501Y変異が入った英国由来のVOC-202012/01株は感染が速いので席巻してるが、ワクチンの効果はそれほど落ちない。N501Y変異とE484K変異の両方が入った南ア由来の501Y.V2株やブラジル由来の501Y.V3株は試験管内実験ではワクチンの効果が結構落ちる。しかし、同時に感染速度も上がっているかというと疑問。感染速度が速いというのは、元の株を押しのけてメジャーになることから速度が速いと推定するわけだが、感染速度が遅くても、抗体からの攻撃を避ける能力が高ければ結果的に古い株を押しのけて幅を利かす。それと変異によって試験管内で抗体との反応が弱まっても、人体でも同じ結果になるとは限らない。抗体の能力が半分になっても、抗体の濃度が10倍あれば効く。もともと大して効いてないインフルの不活化ワクチンと違って、コロナのmRNAワクチンは免疫を刺激する効果が引くほど強いので。鬼神のごとき武田や上杉を相手に、兵士1人1人が織田軍のように弱くても、100倍いれば勝てるという事だ。

◆英国型変異株、5月中に全国で主流の可能性 専門家組織
https://digital.asahi.com/articles/ASP4H63V7P4HULBJ00J.html

ウイルスは無生物 混乱させる決定版2021年03月22日 13:52

ウイルスは無生物 混乱させる決定版
 同級生が紹介していたので買った。アメリカで使われれている決定版だとか。思えば、自分の生物学の知識は最先端の研究をしている人に会いに行って教えてもらったもの。「ちゃんと教科書を読んだ事がなかったな」と今更ながら思った次第。
 導入部の第1章は生命に関する総論。さて、ウイルスは生物でないのかといった類いの質問をよく受けるのだが、この第1章には何と書いてあるか。生物の条件があって、その中に「細胞からなる」。そして、生物を真正細菌、古細菌、真核生物の3つに分けている。やはり、生物学ではウイルスは生物に含めないんだなと納得。ところが、「全ての生命が上に挙げた全ての性質を常に現しているとは限らない」「ウイルスは独立した細胞を持たず、その存在に宿主細胞を必要とするが、細胞を持った生物から進化した可能性が高い。そのため多くの生物学者は、ウイルスもまた生命の一部であると考えている」って、えっ? 生物ではないけど、生命の一部であるって何? 生物と生命の違いは何? 第1章から混沌とするのがまさに生物学らしい。

唯一の教訓は新型コロナから何も学ぶな 次期パンデミックに向け2021年03月16日 14:17

 まだ気が早いが、次の新たなるパンデミックに備えて、唯一教訓にするべき事は「今回の新型コロナウイルスの教訓からは何も学ぶな」だと思う。特に成功体験。初期の新型コロナウイルス対策の大失敗は、SARSウイルスとの性質の違いを理解しないまま、SARSの成功体験から同じようにすれば封じ込められると考えたことだ。また、全国一斉一律休校という疫学的にみればまったく無意味とやる前から分かっている政策を強行したのも、インフルでは学級閉鎖や休校に一定の効果があるから、専門家に相談もせず、素人考えでやってしまったのだろう。次のパンデミックがどんな特徴を持つ病原体か分からない。今回は失敗したこと、例えば、一斉休校が逆に非常に効果が期待できるのに、新型コロナウイルスで愚策だと叩かれたのがトラウマになってやらないかもしれない。今のところ大成功しているmRNAワクチンは、効果が極めて高いのに危険性はほとんどないというこれまでのワクチンの概念を覆す夢の技術なのかもしれないが、今回はたまたまうまくいっただけで、次の感染症でも同じと安易にやったら、まったく効かなかったり、重い副反応が出まくるかもしれない。過去の感染症と違うどのような性質を持つのか早く見極めることが先決。成功からも失敗からも学ぶな。それが私の意見だ。
 と、書いたら、中学の時の理科の先生から、「最後の結論が違う」とダメ出しが。しかし、政治家やそのほかの人たちには、先人の行いを真似したり、パクル事が学ぶ事だと思っているかのごときが多いので。なぜ失敗したのか、どうして成功したのか、分析し、新たな病原体はどう違うのか理解し、過去の事例をどう応用すればいいか自分の頭で考えて適用できるならばいいが。

ワクチン感染予防効果なしとは誰も言ってない2021年03月01日 09:43

 mRNAワクチンのCOVID19予防効果が90%以上と発表された当初、「感染」予防効果が90%だったと間違えて報道していた所が結構あった。論座とNEWSPICSは間違いを指摘したらすぐ「発症」予防効果に直したが。こちら↓は何か中途半端に図表だけ直している。

◆2つの新型コロナウイルスワクチン これまでに分かっていることとまだ分かっていないこと(追記あり)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20201122-00209031/

ところが、今度は逆に、発症を予防するだけで感染は予防しないと曲解する人が出てきた。「発症予防効果は確かめられたが、感染予防効果についてはまだ検証中で何とも言えない」というのが正しい。なぜ、こう科学を白か黒の2色の単純な物だと思っている人が多いのか。また、プロの医者でも、新型コロナウイルスのように無症状感染が多い場合、ワクチンが感染を防ぐかどうか確かめるのは極めて困難だとか書いてる人がいるが、それは一般論だ。mRNAワクチンはワクチンでできる抗体と新型コロナウイルス感染でできる抗体を区別できるので、抗体の有無でワクチン接種後にウイルス感染したかどうか調べられる。ファイザーのプロトコルをちゃんと読めば、臨床試験参加者4万数千人全員の血液を1カ月後、半年後、1年後、2年後に調べると書いてある。ワクチン接種と偽薬で感染率に差が出るかどうか分かるはず。ただし、結論が出るまでとても時間がかかる。
 モデルナの暫定評価で感染予防の有効率63%というあまり当てにならない数字がある。常識的には、発症予防の有効率95%以上にはとても及ばないが多少の感染予防効果があると考えるのが妥当だろう。有効率50%で感染確率が半分になるだけでも感染増大の勢いをそぐ力はある。

◆新型コロナワクチン、「感染予防効果なし」は誤り。ワクチンの効果、副反応について専門家に聞きました
https://news.yahoo.co.jp/articles/3dc22fe9b15d1d70b45af7c14ed3671ea1147cfb?page=3

◆無症状者からの拡大抑制か モデルナワクチン週内許可
https://www.muromin.jp/news.php?id=18841
◆コロナワクチン効果は発病予防でやはり感染予防ではない
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/26/9320689
◆感染は止められない? ファイザーのコロナワクチン
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/11/10/9315160

ワクチン被害予想で自己免疫疾患は何故か聞かない2021年02月19日 13:53

 mRNAワクチンは効果が高いが、高すぎて自己免疫疾患の呼び水になる恐れがあるのではないか。いくつかの所にそんなような事を書いてきたが、何を懸念しているのか、一般にはいまいちピンときてもらえないようだ。
 ■不活化ワクチンなどウイルスたんぱくそのものを注射する従来のワクチンの場合
免疫細胞(抗原提示細胞と呼ばれている)が落ちているウイルスのタンパクを拾い食い。こんなのが侵入して来ていると自分の表面に看板を出す。その情報が引き金になって抗体の生産が始まる(液性免疫)。
 ■mRNAワクチンは、細胞の中にmRNAが取り込まれ、細胞内でウイルスのタンパクが作られる。その細胞自身が表面に看板を出す。すると、その細胞はウイルスに感染されて乗っ取られたと免疫系から見なされ、免疫細胞に襲われる(細胞性免疫)。抗HIV薬の開発で有名な満屋裕明さんはこれを周りの家ごと壊す「江戸の火消し」(破壊消防)に例えていた。細胞がウイルスのタンパクを作リ始めるというのは、侵入したタンパクが漂っているだけの状態に比べ、かなり感染が進行した段階。いきなりそんな状態になったら免疫が強く反応しても不思議はない。この破壊消火などでウイルスたんぱくがまき散らされるので、液性免疫ももちろん誘導される。
 つまり、mRNAワクチンは(アストラゼネカのベクターワクチンも)、不活化ワクチンなどに比べて、本当のウイルス感染との類似度がより高い疑似感染状態をつくる(あくまでも疑似。生ワクチンのように他の細胞への感染性があったり、増殖したりすると思い込んでる人もいるが)。
 外敵と戦うための免疫系が自分自身の臓器や細胞を敵と間違えて傷つける自己免疫疾患には関節リウマチのように患者の多いものなどいろいろある。その中に、マイケル・ジャクソンがかかっていたとされる全身性エリテマトーデス(SLE)や大原麗子がかかっていたギラン・バレー症候群など、体内でウイルスのタンパクが作られる事が原因ではないかという説が近年の研究で出ているものがある。また、ウイルスが通常は感染しない細胞にウイルス感染が起きるとまれに自己免疫疾患になることがあるそうだ。筋肉注射で筋肉細胞がどれぐらいウイルスたんぱくを作るのか、筋肉細胞がふだんウイルス感染を受けているのかなど不明な点が多い。また、重症のギラン・バレー症候群やSLEなどは非常にまれだ。どんなワクチンでも数百万回に1回ぐらいは重篤な健康被害が起きるリスクはある。今回、アナフィラキシーショックが数万回に1回と季節性インフルワクチンなどより少し高めに出ている。安全性試験に長期間かけられなかった今回の場合、自己免疫疾患にしてもその程度になる事はあるかもしれない。が、ひどく高率で出る事はないだろう(医学生物学に絶対はないが)。
とはいえ、そういう事があり得る事やもっと予想してない事が起きるかもしれない事は意識しておくべきだ。
 専門家が話題にしているのをめったに見た事ないが、可能性はほとんどないと思っているのか、可能性はあるが低いのであえて取り上げてまた忌避反応を起こしたくないという事なのか。

◆コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330638

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係2021年01月20日 13:23

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係
 「ウイルスは宿主が死んだら自分も困るのに何故致死的なウイルスが存在するのか」。昨年、この類いの質問に何度も答えさせられた。ウイルスが人に重い病気を起こす原因は、ウイルスが他の動物から人にやってきたと何故分かるかという事と密接な関係がある。
 さて、人類とチンパンジーとゴリラの共通祖先に感染し、長年、先祖から子孫へ受け継がれてきたウイルスがいるとしよう。ヒトゴリラチンパンジーは、今から約650万年前、人類とチンパンジーの共通祖先と、ゴリラの祖先に分岐した(年代には諸説あり)。その後、約500万年前、ヒトチンパンジーは人類の祖先とチンパンジーの祖先に分岐した。受け継がれるヒトゴリラチンパンジー・ウイルスも、まず、650万年前に分かれて、ゴリラ・ウイルスとヒトチンパンジー・ウイルスとなり、さらに500万年前にヒトチンパンジー・ウイルスが分かれてヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスになる。人類とチンパンジーの遺伝子(DNA配列)は共通部分が多く、先に分かれたゴリラは違いが大きい。ウイルスも同様に、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの遺伝子が近く、ゴリラ・ウイルスの遺伝子は違いが大きいはずだ。ところが、予想に反して、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの違いが大きく、むしろ、ヒト・ウイルスとゴリラ・ウイルスの遺伝子の方が非常によく似ていたとしたら、どうだろうか。ヒト・ウイルスは先祖から代々受け継いだものではなく、人類とチンバンジーが分岐した後の最近になって、ゴリラから人にゴリラ・ウイルスが感染したものだと分かる。
 少し昔の研究だが、京大ウイルス研の速水教授たちがサルのエイズウイルス(SIV)について、上記のような分岐を調べた。
 人にHIV-1とHIIV-2があるように、チンパンジーなどでも感染しているSIVは1種類ではない。人のHIVも含め、5つの群に分かれるSIVの遺伝子の近縁関係が宿主のサル種の近縁関係と一致せず、異なるサル種の間でいろいろなSIVが行き来している事が分かった。そして、SIVは本来の宿主のサルには病気を起こさないが、宿主とは別な種類のサルに感染実験をすると病気を起こした。つまり、先祖代々、長年、宿主と共生してきたウイルスは病気を起こさないが、異種の宿主に引っ越すと凶悪化するという事だ。
 その後の研究で、HIV-1は、アフリカのサルにいたSIVがサルを食べたチンパンジーに感染し、さらにチンパンジーをさばいた人に感染したと考えられている。HIV-2はチンパンジーとは全く別なサルから人間に感染している。これは、SARS、MERS、新型のいずれもコロナウイルスだが、違う動物から感染したため、遺伝子が大きく違うのと同じ。
 HIVも、エボラ、SARS、MERS、新型コロナもみなずっと昔からサルやコウモリと仲良く暮らしてきたのに、人間に引っ越したため、病気を起こしているのだ。しかし、宿主を殺してしまうようなウイルスは生き残れないから、長い目で見ると病原性の高いウイルスは感染を繰り返すうちに必ず弱毒化する。これは実験室で細胞培養しても同様。生ワクチンは基本そうやって作っていた。
 ウイルス感染症の病態は発熱、痛み、下痢、せきなど致死性のものも含め、ほとんどが免疫の過剰反応、異常反応が原因。おそらくだが、淘汰されて残ったウイルスは免疫に目を付けられないようにごまかす術を身につけているのだろう。また、HIVのように、細胞内で急激に増えすぎて、その負荷に耐えられず、細胞が壊れる事がある。増殖の速度を下げる事も重要だ。さらには、細胞にはアポトーシスという自爆装置があり、その起爆スイッチをウイルスが踏むよう罠が仕掛けているので、うっかり踏まないよう注意も必要。免疫の仕組みとは違うが、これも細胞を占拠した敵を道連れに自殺するという一種の生体防御機構だろう。

コロナ重症化は円谷特撮状態 怪獣よりウルトラマンの迷惑の方が大きい2021年01月14日 14:06

 季節性インフル感染者の致死率は0.1%とされるのに対し、新型コロナウイルスは0.5~1%と少し高めだ。しかし、ウイルス自体の粗暴性はインフルの方が上の印象がある。
 新型コロナウイルスは本来コソ泥のような気弱なウイルスで、空き巣に入ったところを近所の人で取り押さえればおとなしく捕まるような小悪党。ところが、長年の楽園だったコウモリの体内と違い、人体は初めて来る国なので、右も左も分からずそこら中の警報器や火災報知機を踏みまくり。免疫の方も、これまで侵入を受けた事がない未知の敵性勢力が現れたと大騒ぎになり、機動隊と自衛隊が出動。武器も持たないコソ泥1人に、戦車砲をぶち込むわ、ガンシップからスティンガー発射するわ、周辺の住宅ごと吹き飛ばしている。「やさしい怪獣よりウルトラマンやウルトラ警備隊の破壊行為による街の被害の方が大きい」状態。それが、おそらく重症化の主因だ。新型肺炎もウイルス自体が肺に侵入して感染、増殖して起きるのではなく、免疫の過剰反応(サイトカインストーム)で全身を巡る炎症性物質が血液を通して到達し、肺炎を起こしているのではないかとみられている。重症患者に見られる血栓もいかにもな症状だ。そのため、免疫を抑制する薬がよく効き、免疫を抑えた事でウイルスの活動が高まって悪化するという報告もあまり見られない。
 感染を繰り返すうちに、ウイルスと免疫双方の馴れが生じる事で、やがては風邪のような常在ウイルスと化し、穏やかに終息するのだろう。

◆コロナ入院患者の致死率はインフルの3倍 仏の研究結果
https://digital.asahi.com/articles/ASP1D66VGP19ULBJ00Q.html?iref=pc_ss_date_article