サリドマイドのウソ まだ信じてる科学記者がいるとは ノーベル化学賞2021年10月15日 13:23

サリドマイドのウソ まだ信じてる科学記者がいるとは ノーベル化学賞
 もはや21世紀、令和の時代にまだこんな事を書く記者がいるとは嘆かわしい。
 生物を形作るアミノ酸や糖質などの分子にはL体(左手系)、D体(右手系)の2種類(光学異性体)があり、双方で生理活性が全く違い、酵素などはこれを厳密に見分けている。この光学異性体を人為的に一方だけ作る有機不斉合成は2001年の野依博士のノーベル化学賞受賞で有名になった。
 サリドマイドにも、左手系と右手系がある。催奇形性があるのは左手系だけで、右手系のみを使っていればサリドマイド禍は起きなかったという説が広く流布し、一時は教科書的な書物にも載っていた。有機化学の専門家でも信じていたくらいだ。
 このようなデマが広まった原因は、マウスを使った実験で、右手系では催奇形性がなく、左手系にだけ催奇形性が出たという1本の論文だ。しかしながら、マウスやラットなどの齧歯類はサリドマイドの催奇形性に抵抗性があり、そもそもサリドマイドでは奇形は起きない。実験結果は偶然他の理由で起きた奇形か、捏造の疑いがある。その後、サリドマイドで奇形の起きるウサギなどで追試があったが、左手系のみに奇形が起きるという結果は一度も再現されなかった。
 さて、左手系と右手系で、おそらく生理活性が違う。なぜ、差異が出ないかというと、サリドマイドの左手系と右手系は傘がおちょこになるように、簡単に反転して双方が入れ替わってしまうからだ。右手系だけを分離して、水に溶かして置いておくと、右手系が左手系に変化し、左右半々の混合物(ラセミ体)になってしまう。健常人を使った実験で体内でも速やかに混合物に変わってしまうことが確かめられている。
 つまり、右手系だけを一生懸命不斉合成しても無意味なのだ。だから、今でもサリドマイドは右手系と左手系の混合物が売られている。右手系だけを苦労して合成して売っても被害は防げない。また、再発売された90年代、南米などで被害が出ていた。 有機合成に詳しいあるノーベル賞学者にこの右手と左手を作り分ける不斉合成について質問したとき、「サリドマイドは極めて不適切な例」と言っていた。

コロナ"治療薬"なら日本企業でも可能だろうが2021年09月27日 12:51

コロナ"治療薬"なら日本企業でも可能だろうが
 メルクのモルヌピラビルは元はインフル用とのこと。アビガンもレムデシビルなどそうだが、流用はイマイチというか、時間がかかってもやはりそのウイルス専用の抗ウイルス薬を作らないとダメだではないかと。
 抗体医薬は割と楽に開発できるがバカ高いという欠点の他、抗体の性質上、飲み薬にはできないという問題がある。点滴できる設備が必要。それで、経口投与、腸から吸収できる人口化合物の抗ウイルス薬が期待されてるわけだが。健康な人を数万人集めて、病気になるのを防げるかどうかをみるワクチンに比べれば(ファイザーの治験では2万人に偽薬を接種して発病したのはたった162人)、治療薬は数百人規模の患者を集めれば検証できるので、国内製薬企業でも開発できるお手頃感がある。しかし、コロナやインフルのように、何もしなくても99%ぐらいは勝手に治ってしまう病気で治療薬の効果を確かめるのは非常に困難だ。治療しなければ100%死に至るエイズの場合、死ななくなるから効果は明らか。また、C型肝炎のようにウイルスが肝臓に居座って、自然には絶対いなくならない病気なら、99%の感染者でウイルスが消える薬は特効薬と言える。
 タミフルの場合、「発熱から72時間以内に飲んで、症状がなくなるまでの期間が5日から4日にたった1日間縮まるだけ」と反対派に酷評された。それでも承認されたのは高病原性鳥インフルエンザのパンデミックを恐れたからだ。高病原性鳥インフルエンザは人にめったに感染しないが、感染すると非常に致死率が高い。臨床試験ではないので厳密性に欠けるが、早くタミフルを飲んだ人ほど死亡率が下がるというゆるいデータがある。季節性インフルの場合、健康な人なら72時間もすれば抗体が増えてきて、放っておいてもウイルスが減る。新型コロナウイルスも同様。おそらく、統計的に意味のある差が見られるのは、入院期間が短くなるというデータぐらいで、死亡率が下がるというデータは数百人程度では無理だろう。

◆軽症者が自宅で使える「コロナ飲み薬」開発大詰め…米、年内にも実用化
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210913-OYT1T50207/

◆飲み薬のスピード開発、コロナ収束のカギ 世界が注視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC107TD0Q1A910C2000000/

◆コロナ飲み薬、年内にも実用化 軽症者治療の切り札に
メルクやファイザー、治験最終段階
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1744F0X10C21A9000000/

◆国産ワクチン ズルはよくない
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/21/9425664

◆ズルでパスの国産ワクチン打ちたい人いる? 日本のワクチンの将来のため無償で実験台になる崇高な方々?
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/07/13/9397649

◆国産でも不活化ワクチンでは期待薄
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/09/24/9426569

コロナの飲み薬 構造見る限り期待できそうにない2021年06月14日 18:35

経口コロナ薬 構造見る限り期待できそうにない  新型コロナウイルス初の飲み薬ということでニュースになっていたが、構造式を見る限りほとんど期待を持てない。このモルヌピラビルも、レムデシビルやアビガンも、元は抗がん剤だ。そして、帯状疱疹の特効薬アシクロビルも、C型肝炎の特効薬も、HIVのAZTも、みなそうだ。これらはDNAやRNAの合成を邪魔するため、がん細胞の増殖を抑える。同じ仕組みでウイルスのDNA、RNA合成も妨げる。原理は簡単で、DNAやRNAそれぞれの4種類の部品のどれかに似た化合物。DNAやRNAを作る酵素が正規の部品と間違えて作りかけのDNA、RNAにつないでしまうため、正常なDNA、RNAができなくなってしまう。しかし、正常な細胞の酵素のDNA、RNA合成も妨げ、細胞に対して毒性がある。そこで、ウイルスの酵素のみに作用するようにいろいろ工夫する。例えば、B型肝炎やHIVで使うFTCは、イオウ(S)やフッ素(F)で炭素(C)を置き換えている。何より、右手系と左手系を入れ替えている。細胞の酵素はこの鏡に映したような右手系左手系を厳密に区別するが、HIVの酵素は騙されてしまう。そのため、FTCは非常に毒性が低い。  ところが、モルヌピラビルは、構造はシチジンとほとんど同じ。これではウイルスの増殖を抑える濃度と細胞に障害を与える濃度の差を大きくできず、副作用が大きいのではないかと予想される。もともとインフル用だったが、異なるウイルスに幅広く効くということは結局いろいろ害をなすというのと裏腹だ。やはりコロナウイルス専用の薬剤を開発しないとうまくいかないではないか。
 新型コロナウイルス初の飲み薬(といっても、コロナで承認されている抗ウイルス薬はレムデシビルしかないが)ということでニュースになっていたが、構造式を見る限りほとんど期待を持てない。このモルヌピラビルも、レムデシビルやアビガンも、元は抗がん剤だ。そして、帯状疱疹の特効薬アシクロビルも、C型肝炎の特効薬も、HIVのAZTも、みなそうだ。これらはDNAやRNAの合成を邪魔するため、がん細胞の増殖を抑える。同じ仕組みでウイルスのDNA、RNA合成も妨げる。原理は簡単で、DNAやRNAそれぞれの4種類の部品のどれかに似た化合物。モルヌピラビルはRNAの部品A、G、U、Cのうち、Cのシチジンによく似た化合物です。RNAを作る酵素が正規の部品と間違えて作りかけのRNAにつないでしまうため、正常なRNAができなくなってしまう。しかし、正常な細胞の酵素のRNA合成も妨げ、細胞に対して毒性がある。そこで、ウイルスの酵素のみに作用するようにいろいろ工夫する。シチジンの類似化合物では、例えば、B型肝炎やHIVで使うFTCがあり、イオウ(S)やフッ素(F)で炭素(C)を置き換えている。何より大きな特徴は右手と左手で持つ物がシチジンと逆になっている。細胞の酵素はこの鏡に映したような右手系左手系を厳密に区別するが、HIVの酵素は騙されてしまう。そのため、FTCは非常に毒性が低い。
 ところが、モルヌピラビルは、構造はシチジンとほとんど同じ。これではウイルスの増殖を抑える濃度と細胞に障害を与える濃度の差を大きくできず、副作用が大きいのではないかと予想される。もともとインフル用だったが、異なるウイルスに幅広く効くということは結局いろいろ害をなすというのと裏腹だ。やはりコロナウイルス専用の薬剤を開発しないとうまくいかないではないか。
 この契約は、臨床試験の結果がよければ緊急使用許可 (EUA)か正式承認が出て、その場合は買うということ。レムデシビルと同様入院期間が短くなる程度で、死亡率が劇的に下がるとか考えにくい。何が起きるか分からないのが医学生物学だが。
 ちなみに、モルヌビラビルの 左の方にくっついているのは、細胞膜を透過させるための保護基(イソ酪酸エステル)で、細胞の中ではずれて、シチジンと同じOH基に戻る。結局、違いは、シトシン部分のNH2がNHOHになっているだけ。
◆Merck 社は,軽症から中等症の COVID-19 の治療のための経口抗ウイルス薬の治験薬候補であるモルヌピラビル(Molnupiravir)の米国政府との供給契約を発表
https://kitasato-infection-control.info/swfu/d/ivermectin_20210612_j.pdf

攻撃力のN501Y 防御力のE484K 両方持てばスーパー無敵コロナとかないからね2021年04月17日 13:10

攻撃力N501Y 防御力E484K 両方あればスーパー無敵コロナとかないからね
 最近はやりのN501Y変異。英国由来のVOC-202012/01株で有名になったこの変異は感染効率を上げ、感染速度を加速するとされる。いわば、攻撃力をアップする変異。これに対し、もう一つ有名なのが、E484K変異。感染回復者の血清やワクチンでできる抗体の攻撃を回避する変異とされる。いわば、防御力をアップする変異。じゃあ、両方の変異を持てば、攻撃力も防御力も最高なスーパー最悪コロナが誕生するとか、そういう安いSFみたいな事はない。どちらも、コロナウイルスが細胞にとりつく時のアンカーに使うスパイクたんぱく(王冠のギザギザ部分)に起きる変異です。501番目と484番目のアミノ酸なので、たんぱくでの位置は違うが。N501Yはスパイクがより細胞にくっつきやすくなる変異。E484Kは抗体がスパイクにくっつきにくくなる変異。これってけっこう矛盾する変異なのだ。両方変異すれば、どっちも最強って、そんなチートゲーマーみたいな事は自然界では起きない。人間のゲーマーだって限られたポイントを攻撃力と防御力にどう振り分けるかでかなり悩むわけで、どっちも最大値とかできない。防振り(防御力に極振り)をテーマにした人気小説があるぐらいだ。
 もう20年以上前の満屋裕明さんたちのHIVの研究だが、AZTやddIといった抗HIV薬が複数入った多剤環境でHIVを育てると、最初に起きる変異で多剤耐性を得るが、その代わり増殖能力が大幅に落ち込む。そして、次に起きる変異で、薬剤耐性能力を少し犠牲にして、増殖能力をそこそこ取り戻すという多段階変異をする。
 N501Y変異が入った英国由来のVOC-202012/01株は感染が速いので席巻してるが、ワクチンの効果はそれほど落ちない。N501Y変異とE484K変異の両方が入った南ア由来の501Y.V2株やブラジル由来の501Y.V3株は試験管内実験ではワクチンの効果が結構落ちる。しかし、同時に感染速度も上がっているかというと疑問。感染速度が速いというのは、元の株を押しのけてメジャーになることから速度が速いと推定するわけだが、感染速度が遅くても、抗体からの攻撃を避ける能力が高ければ結果的に古い株を押しのけて幅を利かす。それと変異によって試験管内で抗体との反応が弱まっても、人体でも同じ結果になるとは限らない。抗体の能力が半分になっても、抗体の濃度が10倍あれば効く。もともと大して効いてないインフルの不活化ワクチンと違って、コロナのmRNAワクチンは免疫を刺激する効果が引くほど強いので。鬼神のごとき武田や上杉を相手に、兵士1人1人が織田軍のように弱くても、100倍いれば勝てるという事だ。

◆英国型変異株、5月中に全国で主流の可能性 専門家組織
https://digital.asahi.com/articles/ASP4H63V7P4HULBJ00J.html

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係2021年01月20日 13:23

新コロは何故人を殺す 動物から来たと分かるのが何故かと密接な関係
 「ウイルスは宿主が死んだら自分も困るのに何故致死的なウイルスが存在するのか」。昨年、この類いの質問に何度も答えさせられた。ウイルスが人に重い病気を起こす原因は、ウイルスが他の動物から人にやってきたと何故分かるかという事と密接な関係がある。
 さて、人類とチンパンジーとゴリラの共通祖先に感染し、長年、先祖から子孫へ受け継がれてきたウイルスがいるとしよう。ヒトゴリラチンパンジーは、今から約650万年前、人類とチンパンジーの共通祖先と、ゴリラの祖先に分岐した(年代には諸説あり)。その後、約500万年前、ヒトチンパンジーは人類の祖先とチンパンジーの祖先に分岐した。受け継がれるヒトゴリラチンパンジー・ウイルスも、まず、650万年前に分かれて、ゴリラ・ウイルスとヒトチンパンジー・ウイルスとなり、さらに500万年前にヒトチンパンジー・ウイルスが分かれてヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスになる。人類とチンパンジーの遺伝子(DNA配列)は共通部分が多く、先に分かれたゴリラは違いが大きい。ウイルスも同様に、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの遺伝子が近く、ゴリラ・ウイルスの遺伝子は違いが大きいはずだ。ところが、予想に反して、ヒト・ウイルスとチンパンジー・ウイルスの違いが大きく、むしろ、ヒト・ウイルスとゴリラ・ウイルスの遺伝子の方が非常によく似ていたとしたら、どうだろうか。ヒト・ウイルスは先祖から代々受け継いだものではなく、人類とチンバンジーが分岐した後の最近になって、ゴリラから人にゴリラ・ウイルスが感染したものだと分かる。
 少し昔の研究だが、京大ウイルス研の速水教授たちがサルのエイズウイルス(SIV)について、上記のような分岐を調べた。
 人にHIV-1とHIIV-2があるように、チンパンジーなどでも感染しているSIVは1種類ではない。人のHIVも含め、5つの群に分かれるSIVの遺伝子の近縁関係が宿主のサル種の近縁関係と一致せず、異なるサル種の間でいろいろなSIVが行き来している事が分かった。そして、SIVは本来の宿主のサルには病気を起こさないが、宿主とは別な種類のサルに感染実験をすると病気を起こした。つまり、先祖代々、長年、宿主と共生してきたウイルスは病気を起こさないが、異種の宿主に引っ越すと凶悪化するという事だ。
 その後の研究で、HIV-1は、アフリカのサルにいたSIVがサルを食べたチンパンジーに感染し、さらにチンパンジーをさばいた人に感染したと考えられている。HIV-2はチンパンジーとは全く別なサルから人間に感染している。これは、SARS、MERS、新型のいずれもコロナウイルスだが、違う動物から感染したため、遺伝子が大きく違うのと同じ。
 HIVも、エボラ、SARS、MERS、新型コロナもみなずっと昔からサルやコウモリと仲良く暮らしてきたのに、人間に引っ越したため、病気を起こしているのだ。しかし、宿主を殺してしまうようなウイルスは生き残れないから、長い目で見ると病原性の高いウイルスは感染を繰り返すうちに必ず弱毒化する。これは実験室で細胞培養しても同様。生ワクチンは基本そうやって作っていた。
 ウイルス感染症の病態は発熱、痛み、下痢、せきなど致死性のものも含め、ほとんどが免疫の過剰反応、異常反応が原因。おそらくだが、淘汰されて残ったウイルスは免疫に目を付けられないようにごまかす術を身につけているのだろう。また、HIVのように、細胞内で急激に増えすぎて、その負荷に耐えられず、細胞が壊れる事がある。増殖の速度を下げる事も重要だ。さらには、細胞にはアポトーシスという自爆装置があり、その起爆スイッチをウイルスが踏むよう罠が仕掛けているので、うっかり踏まないよう注意も必要。免疫の仕組みとは違うが、これも細胞を占拠した敵を道連れに自殺するという一種の生体防御機構だろう。

ワクチンが1年で出来るわけない 同じ質問にウンザリ2020年09月09日 16:04

ワクチンが1年で出来るわけない 同じ質問にウンザリ
 「現代科学の粋を結集し、莫大な金額を投入しても何故未だにワクチンが出来ないのか」。今年に入ってから何度も同じ質問をされてウンザリしてる。答えはいつも同じだ。
 今回、新型コロナウイルスの遺伝子配列などがすぐに提供されたので、いろいろな種類のワクチンが日本企業も含め、数十社ですでに出来ている。物としては出来てるが、「完成」はさせたくないというのが本音だろう。
 問題は、安全性試験と有効性試験。試験管内の実験はすぐに終わるが、必ず人体実験をしなければならない。これにメチャクチャお金と時間がかかる。最も先行していたアストラゼネカのワクチンの臨床試験が重大な副作用で中止になった。しかも、事前の数百人ぐらいの試験では分からない副作用が数万人規模で使うと出てくる場合もある。
 さらに極め付けに難しいのが有効性の確認だ。ワクチンは予防薬なので、健康な人に投与して、新型コロナウイルスに感染しにくいかどうか、感染しても重症化しにくいかどうか確かめなければならない。普通なら何年もかかる。
 「人為的な感染実験をしたらどうか」とナチスや731部隊みたいな事を言ってる専門家もいるようだ。冷戦期の米軍が生物兵器防御のため、ウイルスの入った霧を兵士にかける実験をしていたという話を聞いたことがあるが、昭和の話。コンプライアンスの令和時代にできるわけない。
 今でこそ効果と安全性がかなり確かになってきているはしかやポリオなどのワクチンも何十年もの蓄積があるからこそで、最初は結構重大な事故が起きていた。患者の人権があまり考慮されない頃だから許容されたのだろう。
 安全性も効果もはっきりわからない新型コロナワクチンを大統領選があるからとりあえず10月中に承認・投入して、使いながら試すなんてわけにいかない。世界の製薬が共同で「安全性と効果の証明が得られないのに、急いで承認申請をすることはしない」と声明を出した。オプジーボなど最近の抗がん剤のように患者1人で何十万円、何百万円という薬ならリスクを取る価値もあるが、ワクチンは1人あたり何百円、何千円の世界だ。訴訟リスクまで考えたらやりたくないのが普通。
 厚生労働省は、「ワクチンで被害が起きた場合、製薬の責任を免責する制度」を導入する方針だそうだが、勇気があるなと。HIVなどで懲りてないんだろうか。これで安心して投入されたワクチンで死者が出たら、免責制度導入を決めた官僚が刑事被告人になる可能性もあるのに。官邸の意向に忖度しているのかもしれないが、これまで通り責任を取らされるのは大臣や首相ではなく、官僚だ。

ワクチン開発9社、異例の声明「拙速な承認申請しない」
http://dai-marc.asahi-np.co.jp/tp/tpdetail.php?selectId=14613616
アストラゼネカのワクチン治験が中断 深刻な副反応疑い
https://digital.asahi.com/articles/ASN993JL6N99UHBI00N.html?iref=comtop_8_02

(シルクスクリーン デビルマンの脳裏)

論文1本に振りまわされるのはやめよう コロナバブルでチェックいい加減2020年07月09日 13:54

論文1本に振りまわされるのはやめよう コロナバブルでチェックいい加減
 非常時だからこそ、最低でも3つの独立機関が同じ結果を出すまで気にするのは止めるという原則に立ち返るべきだろう。
 今回、「怪しいデータ会社に頼んだらいい加減だった」と言い訳しているが。だが、今回の事件以外にも怪しい論文は山ほどある。ブランド力(インパクトファクターと言う)の高い雑誌に多くの論文が採用された事が評価の主眼になり、雇用の継続や新たな就職先につながる研究者にとって、コロナバブルで判定がゆるくなっている一流紙に論文を載せるチャンス。ウイルス学や疫学、免疫や製薬にそれほど詳しいわけでもないニワカも参戦する。データの意図的ねじ曲げもあるだろうが、間違いに気づかない者もいるだろう。誰が見ても「さもありなん」という研究は取り上げられにくい。常識の斜め上を行くような論文の方が一流紙に大きく載る。そういう有名紙やメディアの食いつきが良さそうなテーマを思いついたら、その仮説に沿ってデータを集めてしまう。意図的捏造も無意識の偏りもある。
 例えば、インフル薬とエイズ薬を処方したら治ったという報告。最初は日本でも治療に使ったが、今は否定的なデータが多く、WHO主導の試験も中止になった。これなど、インフルエンザの患者だったから治ったのではないかと言われている。季節的に新型コロナ患者よりインフルエンザの患者の方がはるかに多く、同時感染もある。
 いま、疑わしいと思ってるのは、ネイチャーの医療系論文誌に載ったこれ↓
「新型コロナウイルス罹患後2,3月で抗体が急減する(ネイチャーメディシン)」
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0965-6
 免疫学の教科書には書いてない現象らしいが。しかし、新型コロナに関しては、一度快復してもすぐに再感染するなど、免疫が有効でないといった怪しい言説がいろいろ流布している。ほとんど根拠がないそんなあいまいなストーリーに沿って結果を出そうとする研究者が多いのではないか。

悪玉抗体て 変な言葉作るの止めて,ワイドショー2020年05月06日 15:36

悪玉抗体て 変な言葉作るの止めて,ワイドショー  連休中、ワイドショーを見たら、「善玉抗体」「悪玉抗体」「役立たず抗体」という言葉を普通に使っていて、頭痛が。もうやめて。  今後、新型コロナウイルスのワクチンができたとして、ADE(抗体依存性感染増強、もしくは、抗体介在性感染増強)と呼ばれる現象が、その実用化で足かせになるのは間違いない。間違いないんだけど。  一言で言うと、免疫が中途半端だと、返って重症化してしまう現象だ。 細胞の表面には鍵穴に相当するたんぱく質(糖鎖たんぱくなど)が突き出ていて、ウイルスには鍵に相当するたんぱく質(コロナの王冠のスパイク)が突き出ている。細胞の種類によって鍵穴(リセプター)が違い、ウイルスは自分が持っている鍵(リガンド)が合う細胞にしか感染できない。HIVは、CD4という鍵穴を使うので、白血球の中でもCD4陽性リンパ球(いわゆるヘルパーT細胞)に専門的に感染する。コロナもインフルもノドに分布する細胞に感染するが、コロナの鍵穴はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)、インフルはシアロ糖鎖で違う。  体内に異物のたんぱく質(抗原)が侵入すると、1種類の抗原に対していろいろな抗体ができる。その抗体の中で、抗原のたんぱく質としての機能を失わせるものを中和抗体と言う。ウイルスの場合、普通は、ウイルスの鍵にくっついて、ウイルスが細胞に感染できなくさせるものを指す。中和抗体以外にも、コバンザメのようにただくっつくだけの抗体もできる。抗体自体には抗原を破壊する機能はない。なので、ワイドショーなどではこれを「役立たず抗体」と呼んでる。  ウイルスに感染した後、十分な中和抗体があるうちは、同じウイルスに再感染しない。ところが、中和抗体が少ないと、免疫細胞(樹状細胞やマクロファージ)に対して、抗体がむしろ架け橋になって感染が成立する。これがADE現象。  抗体のY字形の二股の部分がウイルスにくっつくのだが、その反対側の棒の部分はマクロファージなどの免疫細胞がくっつくようになっている。抗体は役に立たないだけでなく、むしろ、積極的に免疫細胞とウイルスを近づけて離れないようにしてしまう。この抗体をADE抗体と呼ぶ。  ADE抗体が、通常は感染相手でない免疫細胞に感染させ、ウイルスを増やすだけでなく、感染された免疫細胞の中で遺伝子発現が暴走し、サイトカインやケモカインなどの免疫物質の大量分泌が起きる。この免疫細胞の暴走も加わってさらに重症化する。  デング熱は初めてかかった時より2回目にかかった時の方が重症化することが知られていた。2016年から2017年にかけ、フィリピンでフランスの製薬企業サノフィのデング熱ワクチン「デングワクシア」を数十万人に接種し、60人とも70人とも言われる子どもの死者が出た。ワクチンによるADEが原因とされる。デング熱には免疫的に4種類のウイルスがあり、同じ種類のウイルスに対しては一度かかると終生免疫になるが、しばらくすると、他の種類のウイルスに対しては、中和活性がなくなり、再び感染した時、ADE抗体が架け橋になって重症化すると考えられている。サノフィはワクチンで4種類全部を中和する抗体を誘導させたつもりだったが、実際には不十分だったという事のようだ。  フランス企業の実験台にされたとフィリピン国民の怒りは凄まじく、有効で必要性の高いはしかワクチンの接種率まで下がるという悪影響を及ぼした。  ADEはエボラウイルスの病原性や増殖能力にも関わっていると考えられている。新型コロナウイルスで起きるかどうかは分からないが、動物のコロナウイルスやSARS、MERSを使った動物実験ではADEと見られる現象が起きている。  実際に起きるかどうかは別として、ワクチンが出来たはいいけど、実戦で使うとなると相当な勇気が必要だろうね。仮に日本人10万人の命を救えるワクチンだとしても、ワクチンの副作用で10人でも死んだら大騒ぎになるだろう。弱めのワクチンを恐る恐る使った場合、副作用もないけど、抗体価が上がらないから効果もないということになるだろうし。  ところで、ワイドショーは、中和抗体を善玉抗体、ADE抗体を悪玉抗体と呼んでるが、これが定着するのは勘弁して欲しい。
 連休中、ワイドショーを見たら、「善玉抗体」「悪玉抗体」「役立たず抗体」という言葉を普通に使っていて、頭痛が。もうやめて。
 今後、新型コロナウイルスのワクチンができたとして、ADE(抗体依存性感染増強、もしくは、抗体介在性感染増強)と呼ばれる現象が、その実用化で足かせになるのは間違いない。間違いないんだけど。
 一言で言うと、免疫が中途半端だと、返って重症化してしまう現象だ。
細胞の表面には鍵穴に相当するたんぱく質(糖鎖たんぱくなど)が突き出ていて、ウイルスには鍵に相当するたんぱく質(コロナの王冠のスパイク)が突き出ている。細胞の種類によって鍵穴(リセプター)が違い、ウイルスは自分が持っている鍵(リガンド)が合う細胞にしか感染できない。HIVは、CD4という鍵穴を使うので、白血球の中でもCD4陽性リンパ球(いわゆるヘルパーT細胞)に専門的に感染する。コロナもインフルもノドに分布する細胞に感染するが、コロナの鍵穴はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)、インフルはシアロ糖鎖で違う。
 体内に異物のたんぱく質(抗原)が侵入すると、1種類の抗原に対していろいろな抗体ができる。その抗体の中で、抗原のたんぱく質としての機能を失わせるものを中和抗体と言う。ウイルスの場合、普通は、ウイルスの鍵にくっついて、ウイルスが細胞に感染できなくさせるものを指す。中和抗体以外にも、コバンザメのようにただくっつくだけの抗体もできる。抗体自体には抗原を破壊する機能はない。なので、ワイドショーなどではこれを「役立たず抗体」と呼んでる。
 ウイルスに感染した後、十分な中和抗体があるうちは、同じウイルスに再感染しない。ところが、中和抗体が少ないと、免疫細胞(樹状細胞やマクロファージ)に対して、抗体がむしろ架け橋になって感染が成立する。これがADE現象。
 抗体のY字形の二股の部分がウイルスにくっつくのだが、その反対側の棒の部分はマクロファージなどの免疫細胞がくっつくようになっている。抗体は役に立たないだけでなく、むしろ、積極的に免疫細胞とウイルスを近づけて離れないようにしてしまう。この抗体をADE抗体と呼ぶ。
 ADE抗体が、通常は感染相手でない免疫細胞に感染させ、ウイルスを増やすだけでなく、感染された免疫細胞の中で遺伝子発現が暴走し、サイトカインやケモカインなどの免疫物質の大量分泌が起きる。この免疫細胞の暴走も加わってさらに重症化する。
 デング熱は初めてかかった時より2回目にかかった時の方が重症化することが知られていた。2016年から2017年にかけ、フィリピンでフランスの製薬企業サノフィのデング熱ワクチン「デングワクシア」を数十万人に接種し、60人とも70人とも言われる子どもの死者が出た。ワクチンによるADEが原因とされる。デング熱には免疫的に4種類のウイルスがあり、同じ種類のウイルスに対しては一度かかると終生免疫になるが、しばらくすると、他の種類のウイルスに対しては、中和活性がなくなり、再び感染した時、ADE抗体が架け橋になって重症化すると考えられている。サノフィはワクチンで4種類全部を中和する抗体を誘導させたつもりだったが、実際には不十分だったという事のようだ。
 フランス企業の実験台にされたとフィリピン国民の怒りは凄まじく、有効で必要性の高いはしかワクチンの接種率まで下がるという悪影響を及ぼした。
 ADEはエボラウイルスの病原性や増殖能力にも関わっていると考えられている。新型コロナウイルスで起きるかどうかは分からないが、動物のコロナウイルスやSARS、MERSを使った動物実験ではADEと見られる現象が起きている。
 実際に起きるかどうかは別として、ワクチンが出来たはいいけど、実戦で使うとなると相当な勇気が必要だろうね。仮に日本人10万人の命を救えるワクチンだとしても、ワクチンの副作用で10人でも死んだら大騒ぎになるだろう。弱めのワクチンを恐る恐る使った場合、副作用もないけど、抗体価が上がらないから効果もないということになるだろうし。
 ところで、ワイドショーは、中和抗体を善玉抗体、ADE抗体を悪玉抗体と呼んでるが、これが定着するのは勘弁して欲しい。

おでんのレシピ
①輪切りにした大根を米ぬかで炊く。ぬかがなければ白米でも大丈夫。
②昆布を水につけておき、その水で鰹節をゆで、出汁を取る。
③練り物(げそ巻き、いか巻き、ウズラ巻き、ゴボウ巻、きつみれ、ちくわ、野菜ボールなど。今回、薩摩揚げ、海老巻きが入ってない)を取った出汁②で煮る。しょう油とみりんで味付け。
④練り物を煮た出汁③の一部を取り、しょう油、みりんで濃いめの味付けをし、大根、厚揚げ、がんもどき、玉子、里芋など練り物以外の具を別々に煮込む。里芋は濁りやすいので、食べる直前にほかの具と一緒にする。

アビガンで残念なお知らせ まだ希望はあるが2020年04月26日 08:08

 国立感染症研究所が、承認済みの薬剤約300種類で新型コロナウイルスに対する効果を見た論文のプレプリント(正式発行前のパイロット版のようなもの)がネットに出回っている。
 NHKや共同通信、産経新聞などが、ネルフィナビル(エイズ治療薬)とセファランチン(白血球減少・脱毛症薬)が効果を示し、新たな治療薬候補になるとニュースにした。NHKなどは気づかなかったようだが、この論文にはもっと重要なデータが載っている。
これまで言われてきたクロロキン(CLQ)やネルフィナビル、セファランチンなどは薄い濃度で効いてるが、アビガンはこれまで効くとされてきた濃度60μMにしても全然効いてない。中国の臨床試験(RCT)で効果を否定されたカレトラの主成分ロピナビルよりもダメ。アビガン以外の4つは、細胞を傷害する濃度との間に数十倍の差がある。そもそも60μMですら、対インフルの約20倍。細胞を傷害する濃度との倍率があまり大きくない。(μMはμmol/L)
 同様なデータはほかの研究者からも寄せられているという。又聞きだが、ノーベル賞級の第一人者も効かないと言ってるそうだ。
 日本のウイルス学と抗ウイルス薬研究は世界でもトップレベル。彼らが(少なくとも細胞を傷つけないで濃度では)抗ウイルス活性がないと言うなら、おそらくない。
 ただし、抗ウイルス活性以外の理由で、アビガンが効くという可能性は残る。例えば、インターフェロンを活性化しているとか。
 また、感染研が実験に使っているのは、VeroE6/TMPRSS2細胞というアフリカミドリザルの腎臓の細胞なので、人間の肺の細胞を使ったら違う結果になる可能性もゼロではない。
 首相が富士フイルムの社長と仲がいいから忖度で書かなかったとかまたぞろ陰謀論を流す人が出るんだろうな。まともな砦に所属して仕事をしている記者は今の段階では書けなくて当然。しかし、逆に、アビガンをもてはやすような記事を書いて、期待を高めすぎるのは問題だ。
 とりあえず、6月に出る予定の富士フイルム富山化学の臨床試験結果を待つしかない。。もし期待はずれだった場合、反動が大きいだろうね。また、いい結果が出たとしても、ブラインド試験ではないので、意図的でないバイアスや利益相反などを見極めなければならない。
 インフル薬もそうだが、ほっといても9割以上が自然回復するような病気の効果を確かめるのは非常に難しい。重症患者の死亡率を下げる効果があるかどうか、今のところ疑問符だらけ。
https://www.researchgate.net/publication/340714038_Multidrug_treatment_with_nelfinavir_and_cepharanthine_against_COVID-19

アビガンに不都合な点ごまかしてない? 開発者の緊急提言
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/31/9230040

アビガン濃度20倍!にすれば効くかも コロナ 大丈夫か?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/07/9221674

そりゃ効くよ(試験管内では) コロナの治療法になるかは別問題 評価法の確立が必要
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/26/9218028

タミフルよりアビガンな理由 コロナに効きそうな薬はRNA合成酵素阻害剤
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/22/9216635


訂正 首相とゴルフをしているのは社長ではなく、会長兼CEOでした。

コロナが変異しにくい理由 逆に抗ウイルス薬の効果を妨げないか?2020年04月15日 12:54

 コロナウイルスはインフルエンザウイルスなどと同じRNAウイルスだが、インフルに比べると変異しにくいという。インフルやHIVは時には感染者の体の中にいる間にも変異ウイルスが生まれるほど激しく遺伝子が変わる。その主な原因は、ウイルスのRNAを作る合成酵素「RNAポリメラーゼ」にある。RNAポリメラーゼは、元々のウイルスのRNAをお手本にして、細胞の中にある材料を使い、RNAを作る。ところが、この時、コピーの間違いが多い。そのため、遺伝情報が変わり、新しいウイルスが生まれるのだ。
 人間などの細胞の酵素はこういった間違いを元々犯しにくいが、間違いが生じてもそれを訂正する機能が充実している。長い間、RNAウイルスはこのコピーの間違いを訂正する能力はないと考えられてきた。だが、コロナウイルスは校正機能を持っている。酵素がRNAの間違った部分を削り、正しく作り直すのだ。
 コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的にRNAポリメラーゼのコピー間違いによる変異が起きにくい。ただし、このコピー間違いは変異の非常に重要な原因だが、校正機能のあるなしだけがすべてではないので、人間の細胞や天然痘ウイルスのように極め付けに変異が起きる確率が低いわけではない。
 さて、以前に、アビガンやレムデシビルなどの抗ウイルス薬はRNAの部品によく似た化合物(核酸アナログ)であり、RNAポリメラーゼがRNAの部品と間違えて取り込むことで、RNA合成を妨げられることを説明した。以下の論文には、リバビリンや5FUというやはりRNAの部品によく似た薬剤がコロナウイルスの校正機能によって取り除かれているという結果が出ている。もし、そうならアビガンやレムデシビルも取り除かれてしまう気がするが。それでも、アビガンやレムデシビルは邪魔し続け、コロナのRNA合成を止めるそうだ。

タミフルよりアビガンな理由 コロナに効きそうな薬はRNA合成酵素阻害剤
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/22/9216635

そりゃ効くよ(試験管内では) コロナの治療法になるかは別問題 評価法の確立が必要
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/26/9218028

アビガン濃度20倍!にすれば効くかも コロナ 大丈夫か?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/07/9221674

コロナウイルスの校正機能の関連論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23966862

https://www.researchgate.net/publication/256076581_Coronaviruses_Lacking_Exoribonuclease_Activity_Are_Susceptible_to_Lethal_Mutagenesis_Evidence_for_Proofreading_and_Potential_Therapeutics

https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1004342