コロナが変異しにくい理由 逆に抗ウイルス薬の効果を妨げないか?2020年04月15日 12:54

 コロナウイルスはインフルエンザウイルスなどと同じRNAウイルスだが、インフルに比べると変異しにくいという。インフルやHIVは時には感染者の体の中にいる間にも変異ウイルスが生まれるほど激しく遺伝子が変わる。その主な原因は、ウイルスのRNAを作る合成酵素「RNAポリメラーゼ」にある。RNAポリメラーゼは、元々のウイルスのRNAをお手本にして、細胞の中にある材料を使い、RNAを作る。ところが、この時、コピーの間違いが多い。そのため、遺伝情報が変わり、新しいウイルスが生まれるのだ。
 人間などの細胞の酵素はこういった間違いを元々犯しにくいが、間違いが生じてもそれを訂正する機能が充実している。長い間、RNAウイルスはこのコピーの間違いを訂正する能力はないと考えられてきた。だが、コロナウイルスは校正機能を持っている。酵素がRNAの間違った部分を削り、正しく作り直すのだ。
 コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的にRNAポリメラーゼのコピー間違いによる変異が起きにくい。ただし、このコピー間違いは変異の非常に重要な原因だが、校正機能のあるなしだけがすべてではないので、人間の細胞や天然痘ウイルスのように極め付けに変異が起きる確率が低いわけではない。
 さて、以前に、アビガンやレムデシビルなどの抗ウイルス薬はRNAの部品によく似た化合物(核酸アナログ)であり、RNAポリメラーゼがRNAの部品と間違えて取り込むことで、RNA合成を妨げられることを説明した。以下の論文には、リバビリンや5FUというやはりRNAの部品によく似た薬剤がコロナウイルスの校正機能によって取り除かれているという結果が出ている。もし、そうならアビガンやレムデシビルも取り除かれてしまう気がするが。それでも、アビガンやレムデシビルは邪魔し続け、コロナのRNA合成を止めるそうだ。

タミフルよりアビガンな理由 コロナに効きそうな薬はRNA合成酵素阻害剤
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/22/9216635

そりゃ効くよ(試験管内では) コロナの治療法になるかは別問題 評価法の確立が必要
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/26/9218028

アビガン濃度20倍!にすれば効くかも コロナ 大丈夫か?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/07/9221674

コロナウイルスの校正機能の関連論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23966862

https://www.researchgate.net/publication/256076581_Coronaviruses_Lacking_Exoribonuclease_Activity_Are_Susceptible_to_Lethal_Mutagenesis_Evidence_for_Proofreading_and_Potential_Therapeutics

https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1004342

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