ワクチンが1年で出来るわけない 同じ質問にウンザリ2020年09月09日 16:04

ワクチンが1年で出来るわけない 同じ質問にウンザリ
 「現代科学の粋を結集し、莫大な金額を投入しても何故未だにワクチンが出来ないのか」。今年に入ってから何度も同じ質問をされてウンザリしてる。答えはいつも同じだ。
 今回、新型コロナウイルスの遺伝子配列などがすぐに提供されたので、いろいろな種類のワクチンが日本企業も含め、数十社ですでに出来ている。物としては出来てるが、「完成」はさせたくないというのが本音だろう。
 問題は、安全性試験と有効性試験。試験管内の実験はすぐに終わるが、必ず人体実験をしなければならない。これにメチャクチャお金と時間がかかる。最も先行していたアストラゼネカのワクチンの臨床試験が重大な副作用で中止になった。しかも、事前の数百人ぐらいの試験では分からない副作用が数万人規模で使うと出てくる場合もある。
 さらに極め付けに難しいのが有効性の確認だ。ワクチンは予防薬なので、健康な人に投与して、新型コロナウイルスに感染しにくいかどうか、感染しても重症化しにくいかどうか確かめなければならない。普通なら何年もかかる。
 「人為的な感染実験をしたらどうか」とナチスや731部隊みたいな事を言ってる専門家もいるようだ。冷戦期の米軍が生物兵器防御のため、ウイルスの入った霧を兵士にかける実験をしていたという話を聞いたことがあるが、昭和の話。コンプライアンスの令和時代にできるわけない。
 今でこそ効果と安全性がかなり確かになってきているはしかやポリオなどのワクチンも何十年もの蓄積があるからこそで、最初は結構重大な事故が起きていた。患者の人権があまり考慮されない頃だから許容されたのだろう。
 安全性も効果もはっきりわからない新型コロナワクチンを大統領選があるからとりあえず10月中に承認・投入して、使いながら試すなんてわけにいかない。世界の製薬が共同で「安全性と効果の証明が得られないのに、急いで承認申請をすることはしない」と声明を出した。オプジーボなど最近の抗がん剤のように患者1人で何十万円、何百万円という薬ならリスクを取る価値もあるが、ワクチンは1人あたり何百円、何千円の世界だ。訴訟リスクまで考えたらやりたくないのが普通。
 厚生労働省は、「ワクチンで被害が起きた場合、製薬の責任を免責する制度」を導入する方針だそうだが、勇気があるなと。HIVなどで懲りてないんだろうか。これで安心して投入されたワクチンで死者が出たら、免責制度導入を決めた官僚が刑事被告人になる可能性もあるのに。官邸の意向に忖度しているのかもしれないが、これまで通り責任を取らされるのは大臣や首相ではなく、官僚だ。

ワクチン開発9社、異例の声明「拙速な承認申請しない」
http://dai-marc.asahi-np.co.jp/tp/tpdetail.php?selectId=14613616
アストラゼネカのワクチン治験が中断 深刻な副反応疑い
https://digital.asahi.com/articles/ASN993JL6N99UHBI00N.html?iref=comtop_8_02

(シルクスクリーン デビルマンの脳裏)

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