武漢病NG,武漢株OK WHO規則の分かりにくさが混乱の元2021年05月11日 12:40

武漢病NG,武漢株OK WHO規則の分かりにくさが混乱の元
 「武漢肺炎と呼ぶ事を非難するのに、自分たちはインド型と言ってる。なぜ中国だけ庇い、インドは差別するのか」とメディアが叩かれている。新聞やテレビに独自のルールがあるわけではない。WHOのガイドラインなのだが、これがややこしいのだ。「新興ヒト感染症に対する豚インフルエンザ、中東呼吸器症候群といった名称は特定の集団に汚名を着せる」事になるからという。スペイン風邪などすでに定着しているものは遡って改名しないらしく、2015年の勧告以後に適用されるようだ。だが、「地名、人名、動物や食品名、文化、職業に関する用語などを避けるべき命名」とする対象が病名(感染症名)だ。という事は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を武漢病、武漢肺炎などと呼ぶのはダメだが、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)を武漢ウイルスと呼ぶのは構わないことになってしまう。普通なら、へりくつの類い。ところが、ややこしい事に、ウイルスの株に関しては、2015年以降も地名が使われている。例えば、この前の冬のインフルエンザワクチンには「A/広東-茂南/SWL1536/2019(CNIC-1909)」という株が入っていた。2019年にこの株が分離された中国の地名が名前にしっかりと含まれている。また、新型コロナウイルスも英国株や南ア株などの変異株に対し、従来株を武漢株と呼ぶことが普通にある。武漢病や武漢ウイルスは差別的だが、無数にある株にいろいろな地名が付いたところで差別につながりそうにない事は感覚的には何となく分かる。また、番号とアルファベットだけだと専門家でもどれがどれだか混乱するので分離地域があった方が覚えやすいというのも分かる。だが、このルール、やはり分かりづらい。