2号が飛ぶのはシャトルと同じ理屈 サンダーバード秘密基地を組み立て2020年03月02日 14:45

2号が飛べるのはシャトルと同じ理屈
 いくら何でもこんなに小さい羽(主翼)じゃ、飛べないんじゃないか?
サンダーバード2号を見た子どもたちの多くが、私と同じように思っていた事だろう。大学生の時、フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターまでスペースシャトルの打ち上げを見に行って、その疑問が解けた。
 地球に戻ってくるスペースシャトル(地球往還機オービター)は丸みを帯びていて、なんとなくサンダーバード2号に似ている気がしないだろうか。シャトルは大気圏に突入した後、推力なしで飛行(スキージャンプの飛行と同じで実際は落下)し、センターの滑走路に着陸する。
 シャトルにも申し訳程度の羽しか付いていない。センターのガイドが解説してくれた。シャトルはその丸っこい胴体自体からも揚力を得ていると。リフティングボディという専門用語は知らなかったが、なるほど理屈はその通りだ。カマボコのように、下が平らで上が丸く弓なりに膨らんでいる形の物が空気の中を進むと、上側の空気が下側の空気より薄くなり、上からの圧力より下からの圧力の方が大きくなる。この圧力差で上向きの力がかかる。これが飛行機を宙に浮かせている揚力だ。大ざっぱに言うと、揚力は主翼が長くて幅が広いほど大きく、また速度の2乗に比例する。そこで、旅客機は低速になる離着陸時は揚力不足を補うため、フラップというものを出して主翼の面積を大きくする。逆に、サンダーバード1号や戦闘機F14トムキャットなどは低速の時は主翼を広げ、高速になったらたたむ可変翼になっている。広い主翼は空気抵抗が大きく、高速で飛ぶ邪魔になるからだ。
 シャトルのように高速なら胴体にかかる揚力も大きくなる。シャトルの着陸速度は時速550kmほど。大型旅客機は時速250km程度だから倍以上。地面に車輪が着く瞬間の接地速度でも時速350kmとまだ上だ。長い滑走路を使い、最後は巨大なパラシュートを開いてブレーキをかける。
 サンダーバード2号の最高速度はマッハ6.5ぐらい。ロケット飛行機X-15が打ち立てた世界最高記録とほぼ同じ。巡航できる航空機ではロッキードSR-71のマッハ2.2が最高。サンダーバード2号の速度なら胴体にかかる揚力で十分なのだろう。