卵焼き戦争(解決編) ― 2024年07月03日 12:47
前回、「美味しんぼ」のネタを考えてビッグコミックスピリッツの編集部に送ったがスルーだった話。そのネタのオチ。
前回のあらすじ 近畿出身の女性と関東出身の男性が婚約。両家の顔合わせで卵焼きの味付けについて、「君はあんなに甘いカレーを作るくせに卵焼きは塩辛い」「甘い卵焼きなんてお菓子じゃあるまいし」「砂糖を入れるなんて気持ち悪い」」などと江戸前寿司屋の親まで巻き込んで大げんか。破談になりそうになり、男性が山岡に泣きつく。
続き。
山岡は両方の一家を引き連れて、京都の老舗・吉田喜を訪れる。吉田喜は全国にその土地の好みにあった味付けの卵焼きを卸している製造会社。山岡が一家に会わせたかった先代か先々代かの吉田社長は出張に行くたびに各地の卵焼きの味を調べて記録していた。
社長の研究の結果、卵焼きはアホ・バカ分布図(*)と同じで、京都を中心とした同心円を描いていた。京都を中心とする近畿地方の卵焼きは薄い塩味文化圏。その外側の円の九州、中部、北陸、東海地方は卵焼きに砂糖と醬油を入れる甘辛文化圏。さらに外側の関東などは砂糖を使う甘い卵焼き文化圏。
で、いがみ合っていた両家は互いの文化を尊重し合おうと仲直りするという山岡裁きの黄金パターン。
どんなに根深いいさかいも、何か食べ物のうんちくさえ語って聞かせちゃえばたちどころに解決する超ご都合主義マンガにぴったりのネタだと思ったのだが。
ただ、以前の美味しんぼのエピソードで「甘い卵焼きこそ日本人のふるさと」みたいな回があった。おそらく、美味しんぼの原作者は甘い卵焼きの崇拝者なのではないかと。あの関西風の「塩こしょうを忘れて、火を通しすぎて固くなったプレーンオムレツが冷たくなったような寝ぼけた味の卵焼き」を絶対に認めないんじゃないかと。それで、私のネタの登場人物の「卵焼きに砂糖なんて気持ち悪い」発言に激怒したのではないか、というのが私の邪推だ。自分は純東京人だが、「東京風の卵焼きは気持ち悪い」って言われても平気だけどね。
◆卵焼き戦争 美味しんぼに投稿した過去
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2024/06/28/9696846
(*)『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路―』 松本修 | 新潮社
アホとバカの境界は? 素朴な疑問に端を発し、全国市町村への取材、古辞書類の渉猟を経て方言地図完成までを描くドキュメント。
https://www.shinchosha.co.jp/book/144121/
前回のあらすじ 近畿出身の女性と関東出身の男性が婚約。両家の顔合わせで卵焼きの味付けについて、「君はあんなに甘いカレーを作るくせに卵焼きは塩辛い」「甘い卵焼きなんてお菓子じゃあるまいし」「砂糖を入れるなんて気持ち悪い」」などと江戸前寿司屋の親まで巻き込んで大げんか。破談になりそうになり、男性が山岡に泣きつく。
続き。
山岡は両方の一家を引き連れて、京都の老舗・吉田喜を訪れる。吉田喜は全国にその土地の好みにあった味付けの卵焼きを卸している製造会社。山岡が一家に会わせたかった先代か先々代かの吉田社長は出張に行くたびに各地の卵焼きの味を調べて記録していた。
社長の研究の結果、卵焼きはアホ・バカ分布図(*)と同じで、京都を中心とした同心円を描いていた。京都を中心とする近畿地方の卵焼きは薄い塩味文化圏。その外側の円の九州、中部、北陸、東海地方は卵焼きに砂糖と醬油を入れる甘辛文化圏。さらに外側の関東などは砂糖を使う甘い卵焼き文化圏。
で、いがみ合っていた両家は互いの文化を尊重し合おうと仲直りするという山岡裁きの黄金パターン。
どんなに根深いいさかいも、何か食べ物のうんちくさえ語って聞かせちゃえばたちどころに解決する超ご都合主義マンガにぴったりのネタだと思ったのだが。
ただ、以前の美味しんぼのエピソードで「甘い卵焼きこそ日本人のふるさと」みたいな回があった。おそらく、美味しんぼの原作者は甘い卵焼きの崇拝者なのではないかと。あの関西風の「塩こしょうを忘れて、火を通しすぎて固くなったプレーンオムレツが冷たくなったような寝ぼけた味の卵焼き」を絶対に認めないんじゃないかと。それで、私のネタの登場人物の「卵焼きに砂糖なんて気持ち悪い」発言に激怒したのではないか、というのが私の邪推だ。自分は純東京人だが、「東京風の卵焼きは気持ち悪い」って言われても平気だけどね。
◆卵焼き戦争 美味しんぼに投稿した過去
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2024/06/28/9696846
(*)『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路―』 松本修 | 新潮社
アホとバカの境界は? 素朴な疑問に端を発し、全国市町村への取材、古辞書類の渉猟を経て方言地図完成までを描くドキュメント。
https://www.shinchosha.co.jp/book/144121/
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://kajiyan.asablo.jp/blog/2024/07/02/9697650/tb
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。