消えた名店 大阪寿司は江戸の方言 東京土着民にしか通じない(7)2025年06月03日 12:01

消えた名店 大阪寿司は江戸の方言 東京土着民にしか通じない(7)
  平成の終わりから令和にかけて、大阪寿司の老舗が次々閉店した。

ぎんざ日乃出
中央区銀座
創業明治33年(1900年)、平成29年(2017年)閉店
 創業者は大阪出身。東京に初めて箱寿司をもたらし、大阪寿司という呼称の元祖とされる。

大〆
新宿区神楽坂
創業明治43年(1910年)、平成29年(2017年)閉店
 東京でも大阪寿司が流行していた当時、関西で修行した初代が創業。3代目の店はイタリアレストランのようなたたずまいだったという。

ハ竹
創業大正13年(1924年)
中央区築地、平成29年(2017年)閉店
新宿区四谷、令和7年(2025年)閉店
 関西で修行した初代が上京し、人形町で創業した。昭和30年ごろに四谷に移転。1969年に原宿に移転。2年後に四谷店がオープン。原宿店は2011年に築地に移転した。

梅好
創業昭和29年(1954年)、平成23年(2011年)閉店
港区西麻布
京ちらしと大阪鮨の店。

美の輪寿司
創業昭和50年(1975年)、令和5年(2023年)閉店
世田谷区世田谷
店主は神田志乃多寿司で修行。

http://hachiku.jp/
https://ginza.keizai.biz/headline/1658/
https://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi/backnumber/20100911/9728.html


◆インド名物はインドカレーと言われたような違和感 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/19/9776452
◆大阪のお寿司との違いは? 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(2)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/21/9777055
◆いつから使われ出した?「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(3)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/23/9777235
◆残る老舗3店 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(4)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/25/9777405
◆茶巾は東京生まれ 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(5)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/26/9778091
◆リトル大阪があった 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(6)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/30/9778999

あれほどマンガに登場した実在の人物はいない2025年06月04日 17:01

あれほどマンガに登場した実在の人物はいない
 シリアスよりギャグマンガの方が圧倒的に多かったが。
 「巨人の星」の第1話。6大学野球のスター長嶋のジャイアンツ入団式で、飛雄馬が長嶋に向かって魔送球を投げつける。長嶋は何事もなかったようにそのまま行進を続ける。
 本当なら飛雄馬の父・一徹が巨人のサードの最初のスターになるはずが、戦争で肩を壊した。そんな一徹が編み出したのが、走者に当たると見せかけて大きく曲がってファーストに行く魔送球(そんなすごい球が投げられるなら普通に送球した方が速いじゃないというツッコミはなしで)。
 しかし、川上に「ビーンボールと同じ」と指摘され、選手復帰をあきらめた過去がある。川上は「あんな子供が魔送球を」と驚き、飛雄馬の後をつける。
 一徹は飛雄馬をぶんなぐるが、飛雄馬は「父ちゃんは俺が魔送球を投げたことを怒ってるんじゃない。(魔送球を初めて見た)長嶋に魔送球が通じなかったことを怒ってるんだ」と涙を流す。
 しかし、「巨人の星」のタイトルの意味は、「ドジャースの大谷」や「ヤンキースのジャッジ」みたいな意味なのかというマジ質問には驚いた。

東京の府中焼きまで混むようになったら迷惑な放送2025年06月09日 13:02

東京の府中焼きまで混むようになったら迷惑な放送
 今日のNHKで鈴木福が本場・広島の府中焼きを食べるようだ。この放送のせいで、東京の府中焼きまで混むようになったらイヤだ。
ところで、府中というのは国府のあった場所という意味で、今で言えば県庁所在地。国分寺と同じで日本中に同じ地名がありややこしい。
府中焼きを食べに行ったと言うと「多摩の方まで行ったんですか?」と誤解される。
府中焼きの府中は広島県東部(岡山寄り)の府中市で、元の国名をとって備後・府中と区別する。これに対し、山口県寄りの広島市に囲まれた府中町もあり、こちらは安芸国の府中だ。
さて、徳島市には国府町府中があり、ここはフチュウではなく、コウという。元々、府中村だったのだが、徳島藩に「不忠村は縁起が悪いから、孝村にしろ」と言われて読み方を変えたらしい。なんだ、そのアタリメやアタリゴマみたいな命名。
最近、大河で有名な吉原。元は今の人形町にあり、字は葦原だったとされる。葦とは、パスカルの「考える葦」のアシ。しかし、アシは悪しに通じるのでよくないからと、良しに通じるヨシという読みに言い換えた。葦の生える湿地帯を埋め立てて作った場所だから葦原。しかし、縁起のいい吉原に変えたという。言霊信仰というか字霊信仰とでも呼ぶべき験担ぎぶりだ。
昔聞いたのは、次男に一郎や一雄など最初・一番を意味する名前をつけてはいけないというもの。長男が病死や戦死など早死にするから。戦前まで日本の乳幼児・未成年死亡率は非常に高かったから偶然だろうが、やはり、そうだと思ってしまったことだろう。
(写真は東京のアンテナショップの府中焼き)

◆カープ&お好み焼き大好き!鈴木福IN広島県東広島市
https://www.nhk.jp/p/kanpai/ts/M2YY7WQ9RP/episode/te/ZP78V15ZGL/

塩も体の膜を通る 鱸 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(10)2025年06月12日 23:07

塩も体の膜を通る 鱸 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(10)
 昔、スズキの原稿で「海水と接するえらから体内の水をどんどん吸い取られ、塩が入ってくる」と書いたら、生物の膜は水を通すが塩は通さないという「間違った」間違い指摘が結構来た。
さて、寒鰆(カンザワラ)や鱚(シロギス)と並んで、好きな4大寿司ネタの一つがスズキやその幼魚のフッコだ。フッコよりさらに小さいのをセイゴといい、鮬と書く。
 スズキの漁獲量は冬や春の方が多い。だが、産卵期の冬より産卵前の夏の方がおいしいことから夏が旬とされる。
 第1回で紹介したヒラスズキと見た目はそっくりだが、味がかなり違う。ヒラスズキはヒラメをもっと上品にしたような淡泊な白身。スズキはかすかな苦みのような味わいがある。ヒラスズキの方が希少な高級魚だが自分はスズキの方が好きだ。
 この味の違いの原因はたぶん住んでいる場所の違いではないかと思う。ヒラスズキは普通に海に住んでいる海水魚。河口のような淡水と海水が混ざり合う場所と汽水域と言うが、スズキはこの汽水域をウロチョロしている汽水魚。川魚と海水魚両方の性質を持っており、季節によって海水と淡水を行き来している。実は、これはすごいことなのだ。
 血(塩分濃度約0.9%)は水よりも濃いというが、海水(同3.5%)よりは塩分濃度は薄い。スズキなどの魚類の体液も人間の血液と同じ濃さだ。生物の膜の両側に濃い塩水(海水)と薄い塩水(体液)があると、水は薄い方から濃い方へ移動しようとし、塩は逆に濃い方から薄い方へ移動し、濃さが同じになろうとする。
 海の中にいる魚は、「青菜に塩」状態で海水と接するえらから体内の水をどんどん吸い取られ、塩が入ってくる。そこで、海水をがぶがぶ飲んで水を補給する。余分になる塩を体外に捨てる役割をするのが、えらにある塩類細胞だ。海で生まれたスズキの稚魚はこうして生きている。これが海水魚の日常。
 淡水魚は真逆だ。プールや風呂に長時間つかると指がふやけるように、淡水にいると水が体内に入ってくる。そこで、川や湖の魚は常に薄い尿を出している。抜ける塩を補おうと、周りの水にわずかに含まれる塩分を取り込むため、海水中とは逆の塩類細胞を持つようになる。河口付近に集まったスズキの稚魚は数十日かけて塩類細胞が切り替わり、川を上る準備をするのだ。
 このような体の変化をせず、海にとどまる稚魚もいる。変化するか、しないかの決め手はなにか。「川の方が餌が豊富なので、海での餌の量が川を上る体の変化に関係しているのではないか」という。川で夏を過ごしたスズキも、越冬のため川より温かい海に戻る。
 今の魚のほとんどの祖先(ということは我々陸上の脊椎動物の祖先)は、もともと広大な海から一度狭い淡水に追いやられた。その淡水から陸に上がったのが我々の祖先で、魚の方は海に戻って今日の隆盛を迎えた。スズキは先祖の歴史を繰り返しているのかもしれない。
 で、間違った間違い指摘の件。塩水や砂糖水などの水だけを通し、溶けている塩や砂糖などを通さない膜を半透膜という。生物の膜もそのような完全な半透膜だと誤解している人が多い。生物の膜は水を通すが、塩なども通すのだ。水に比べると塩などの方が通りにくいので、半透膜っぽい性質を示すが、塩は通さないという指摘は間違いなのだ。

◆今日の21貫

すずき、エボダイ、本マス、松川カレイ、マダコボイル、ミズダコ生、アイナメ、金目鯛昆布〆、白ミル貝、メカジキ漬け、真鯛、淡路島アジ、ヤリイカ生姜醤油、三陸鰆、勝浦かつお漬け、山口煮アワビ、スミクイウオ、車海老、北海道バフンウニ、鰆醤油、スズキ醤油

◆そのほか
お通し 鹿児島カンパチ
焼きはまぐり
卵焼き、ねぎり中落ち巻き

◆今日の酒
鳳凰美田スパークリング、純米酒秋鹿ひや、大信州超辛口純米吟醸

■のぶっこ 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/01/20/9748644
■寒鰆 ピンク色は赤身白身どっち? 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(2)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/07/9753032
■豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました 番外 曇りSAKE
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/13/9753885
■黒鮪 海の可変翼戦闘機 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(3) スズキ目サバ科マグロ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/27/9757648
■アイナメ(鮎魚女)飯泥棒みたいな二つ名 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(4)カサゴ目アイナメ科アイナメ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9757858
■初鰹は本当は旬ではない 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(5)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9764356
■だいぶ遠い他人のアヤカリタイ 金目鯛 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(6)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/11/9767684
■本鱒 区別に意味がないサケとマス 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(7)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/26/9771020
■ウッカリカサゴ、ユメカサゴ 仔魚を産むと思われていたのに 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(8)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/10/9774518
■鱚 BSS(僕が先に好きだったのに) 白身は釣りたて締めたてはうまくない 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(9)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/25/9778112

東北にこんな地名があり近場に井筒さんがいるとは2025年06月19日 14:29

東北にこんな地名があり近場に井筒さんがいるとは
東北にこんな地名があって、しかも近所に井筒さんがいるとは。

神仏分離のゆがみ2025年06月23日 17:02

神仏分離のゆがみ
泉涌寺というちょっと変わった寺の見学会に行ってきた。
 まず、周りを山に囲まれた低いところにある。これは、山の上にあると下界のいろいろ(煩悩の元)が見えて修行の邪魔になるからだそうでだ。そして、宗派と関係なく、あらゆる修行僧を受け入れるという方針でつくられたため、元々、どの宗派でもなかった。あらゆる宗派を包含すると力が強くなりすぎるので、明治政府の命令で、宗派を一つにすることになり、一応、真言宗の寺ということになったそうだ。
 南北朝あたりから歴代天皇の葬儀を担当している皇室の菩提寺。普通の寺だと法要は月7、8日ぐらいなのが、泉涌寺は歴代天皇の月命日で月15日ほど法要があるとのこと。しかも、天皇によって信仰していた宗派が違うので、天台宗や浄土宗などそれぞれ違う経を読まなければならない。真言宗の修行をしたけど全部できる必要がある。
 天皇の位牌があり、歴代天皇の墓ももともと寺の敷地だったのが、明治時代以降、宮内庁の管理下に。江戸時代までの皇族は仏教への信仰が強く、法要の際の部屋もあるのだが、神仏分離により、皇族は泉涌寺の法要に「参加」できない。なので、泉涌寺で「ご休憩された」と言うそうだ。天然記念物のモリアオガエルが鳴く庭なんかもあった。

見た目が命2025年06月24日 09:11

見た目が命
There is good food in France , good manners in British, and good tableware in Kyoto.

泉涌寺の見学、昼食は精進料理。乾杯もそこそこに撮りまくり。
「京料理は見た目が命ですから」と言ったら、
地元参加の人が「まあ、味はね・・・」。
「京都の人が言うならいいですが、東京人がそれを言うのはちょっと。言うといろいろあれなんで」

白身は1日たった方がやはりうまい2025年06月24日 13:10

白身は1日たった方がやはりうまい
前日入りで、京都に着いたら、まず、行きつけのそばを。夜は行きつけの居酒屋で、1日置いたコブダイやコショウダイ、アコウ(キジハタ)塩焼などを。2軒目で、アスパラつくね、つくね屋さんの担々麺などを。

安定の厚切り塩ハラミ2025年06月25日 07:54

安定の厚切り塩ハラミ
 泉涌寺で精進料理の仕出しを食べた後、そのまま大阪に向かい、甥っ子と尼崎の焼き肉へ。
 昔は2人で4人前食べた厚切り塩ハラミ。人気が出過ぎて何とか1人前でごまかそうとする店員をかわして、何とか2人前。

京都大阪巡りの〆は2025年06月25日 12:14

京都大阪巡りの〆は
焼き肉の翌日は、新世界で江戸前にぎりを食べまくり、夜は新地にあったころから行きつけの居酒屋で唐揚げなどを。なんだか、京都の蕎麦からルーティンになっている気が。