鱚 BSS(僕が先に好きだったのに) 白身は釣りたて締めたてはうまくない 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(9) ― 2025年05月27日 22:46
アオギスやホシギスなどほかのキス属と区別して、標準和名はシロギス。寒鰆(カンザワラ)などと並んで4大・好きな寿司ネタの一つだ。
さて、BSSという略語があって、「僕の方が先に好きだったのに」という意味。急に売れ出したミュージシャンや俳優などがもてはやされると、「自分はまだ売れてないころから目を付けて、応援していたのに」というあれだ。まあ、先に好きだったら、それが何だって話だけど。
自分にはBSK(僕が先に書いたのに)がけっこういろいろある。その一つ、白身魚はさばいてから1日ぐらいたった方がうまい。てか、はっきり言って締めたて、さばきたてはまずい。
そのことを原稿にしたのが2008年の10月。
当時、築地辺りでも、いけすがあって「今締めたてです」みたいな鮮魚の居酒屋があった。だが、新鮮な刺し身は味がしない。また、テレビのバラエティ番組では、タレントが漁船に乗り込んで、漁や釣りに挑戦。捕れたての魚をその場で刺し身にしてもらって「うまい」。絶対ウソついてると思う。
自分の手柄とは言わないが、今では「白身の締めたてはうまくない」はかなり広まり、グルメ漫画のネタにもなっている。
自分も子供のころは寿司ネタの魚は新しいほどいいと思っていた。休日にめったにないぜいたくで、家族で「お寿司に行こう」と盛り上がったとき、母が「ああ、今日は河岸がお休みだから、だめだぁ」と言う。河岸とは築地市場のこと。新鮮な魚が手に入らないから、神田あたりの寿司店は休みのところが多い、店が開いていてもいいネタがないという意味だ。
大人になって行った寿司屋は休市日でも開けていた。店主は「『市場が休みの日はネタに困るでしょう』というお客さんもいるけど、関係ない。築地だと、取れたて、締めたての新鮮な魚を売りにしている店が多いけれど、新しければおいしい、とは限らない」という。
白身魚は、締めたばかりだと、硬直しているから歯ごたえはあるが、味がないのだ。生け締めにしたものをさばいて、切り身にし、紙に包んだのを冷蔵庫で1日置いたものがうまみが出て最高の状態だという。
1日置くと、酵素で分解され、たんぱく質からグルタミン酸などのアミノ酸、ATP(アデノシン三リン酸)からイノシン酸ができる。保存温度によってうまみ成分が最大に増える時間が決まってくるそうだ。どんな温度でどう保存するか。すし職人の腕の見せどころだ。
白身魚に限ったことではない。マグロや牛肉などは熟成させなければ食べられたものではない。大きいほど時間が必要で大型のマグロなどは釣ってから10日以上も熟成させるそうだ。
スズキ目キス科キス属
◆今日の会話
「白身魚は締めたてはおいしくないじゃないですか。ということは、休業日空けの月曜や木曜は避けた方がいいんですかね」
「そんなことないですよ。うちでは、締めたてなんて出すことないから。ちゃんと熟成してます」
「土曜に締めて、月曜に出すとか」
「オニカサゴなんてかなりこわいですよ。2日たってもプリプリです」
◆今日の22貫
アイナメ、茨城スミクイウオ、エボダイ、淡路島真鯛、赤貝、勝浦のメカジキ、山口煮アワビ、東京湾鱚、キンメダイ、ぼたんえび、コチ、本鱒、車海老、千葉のサワラ腹、東京湾のタチウオ、東京湾の松皮カレイ、石鯛、北寄貝、あん肝、鰯、サワラ、うに
◆そのほか
お通し カンパチ
生蛸刺身、隠岐岩カキポン酢、蛸の吸盤焼き
卵焼き、ねぎりとろ巻き
◆今日の酒
雅楽代(うたしろ)、亀齢、紀土カラクチキッド純米吟醸
■のぶっこ 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/01/20/9748644
■寒鰆 ピンク色は赤身白身どっち? 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(2)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/07/9753032
■豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました 番外 曇りSAKE
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/13/9753885
■黒鮪 海の可変翼戦闘機 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(3) スズキ目サバ科マグロ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/27/9757648
■アイナメ(鮎魚女)飯泥棒みたいな二つ名 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(4)カサゴ目アイナメ科アイナメ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9757858
■初鰹は本当は旬ではない 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(5)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9764356
■だいぶ遠い他人のアヤカリタイ 金目鯛 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(6)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/11/9767684
■本鱒 区別に意味がないサケとマス 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(7)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/26/9771020
■ウッカリカサゴ、ユメカサゴ 仔魚を産むと思われていたのに 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(8)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/05/10/9774518
さて、BSSという略語があって、「僕の方が先に好きだったのに」という意味。急に売れ出したミュージシャンや俳優などがもてはやされると、「自分はまだ売れてないころから目を付けて、応援していたのに」というあれだ。まあ、先に好きだったら、それが何だって話だけど。
自分にはBSK(僕が先に書いたのに)がけっこういろいろある。その一つ、白身魚はさばいてから1日ぐらいたった方がうまい。てか、はっきり言って締めたて、さばきたてはまずい。
そのことを原稿にしたのが2008年の10月。
当時、築地辺りでも、いけすがあって「今締めたてです」みたいな鮮魚の居酒屋があった。だが、新鮮な刺し身は味がしない。また、テレビのバラエティ番組では、タレントが漁船に乗り込んで、漁や釣りに挑戦。捕れたての魚をその場で刺し身にしてもらって「うまい」。絶対ウソついてると思う。
自分の手柄とは言わないが、今では「白身の締めたてはうまくない」はかなり広まり、グルメ漫画のネタにもなっている。
自分も子供のころは寿司ネタの魚は新しいほどいいと思っていた。休日にめったにないぜいたくで、家族で「お寿司に行こう」と盛り上がったとき、母が「ああ、今日は河岸がお休みだから、だめだぁ」と言う。河岸とは築地市場のこと。新鮮な魚が手に入らないから、神田あたりの寿司店は休みのところが多い、店が開いていてもいいネタがないという意味だ。
大人になって行った寿司屋は休市日でも開けていた。店主は「『市場が休みの日はネタに困るでしょう』というお客さんもいるけど、関係ない。築地だと、取れたて、締めたての新鮮な魚を売りにしている店が多いけれど、新しければおいしい、とは限らない」という。
白身魚は、締めたばかりだと、硬直しているから歯ごたえはあるが、味がないのだ。生け締めにしたものをさばいて、切り身にし、紙に包んだのを冷蔵庫で1日置いたものがうまみが出て最高の状態だという。
1日置くと、酵素で分解され、たんぱく質からグルタミン酸などのアミノ酸、ATP(アデノシン三リン酸)からイノシン酸ができる。保存温度によってうまみ成分が最大に増える時間が決まってくるそうだ。どんな温度でどう保存するか。すし職人の腕の見せどころだ。
白身魚に限ったことではない。マグロや牛肉などは熟成させなければ食べられたものではない。大きいほど時間が必要で大型のマグロなどは釣ってから10日以上も熟成させるそうだ。
スズキ目キス科キス属
◆今日の会話
「白身魚は締めたてはおいしくないじゃないですか。ということは、休業日空けの月曜や木曜は避けた方がいいんですかね」
「そんなことないですよ。うちでは、締めたてなんて出すことないから。ちゃんと熟成してます」
「土曜に締めて、月曜に出すとか」
「オニカサゴなんてかなりこわいですよ。2日たってもプリプリです」
◆今日の22貫
アイナメ、茨城スミクイウオ、エボダイ、淡路島真鯛、赤貝、勝浦のメカジキ、山口煮アワビ、東京湾鱚、キンメダイ、ぼたんえび、コチ、本鱒、車海老、千葉のサワラ腹、東京湾のタチウオ、東京湾の松皮カレイ、石鯛、北寄貝、あん肝、鰯、サワラ、うに
◆そのほか
お通し カンパチ
生蛸刺身、隠岐岩カキポン酢、蛸の吸盤焼き
卵焼き、ねぎりとろ巻き
◆今日の酒
雅楽代(うたしろ)、亀齢、紀土カラクチキッド純米吟醸
■のぶっこ 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/01/20/9748644
■寒鰆 ピンク色は赤身白身どっち? 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(2)
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■豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました 番外 曇りSAKE
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/13/9753885
■黒鮪 海の可変翼戦闘機 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(3) スズキ目サバ科マグロ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/02/27/9757648
■アイナメ(鮎魚女)飯泥棒みたいな二つ名 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(4)カサゴ目アイナメ科アイナメ属
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9757858
■初鰹は本当は旬ではない 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(5)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/03/28/9764356
■だいぶ遠い他人のアヤカリタイ 金目鯛 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(6)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/11/9767684
■本鱒 区別に意味がないサケとマス 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(7)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2025/04/26/9771020
■ウッカリカサゴ、ユメカサゴ 仔魚を産むと思われていたのに 豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました(8)
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