コロナに血清 北里博士の方法が使われるとは目鱗2020年02月18日 12:01

完治した患者の“血漿”が新型コロナウイルスの特効薬となるのか…中国「使用後明らかな回復傾向」
https://www.fnn.jp/posts/00050276HDK/202002141522_cuisai_HDK
 原理としては120年ほど前に北里柴三郎が開発し、いまでもハブにかまれた人の治療に使われている蛇毒血清療法と同じ。ただし、ハブ咬傷の治療は、人の血ではなく、馬の血を使うが。人間の血清の方が安全性が高いだろう。
 ただちょっと心配なのは、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HIVなどの蔓延に繫がるのではないかという事。中国の献血で日赤のようなウイルスチェックをしているのかどうか知らないが、この緊急時にそんな余力があるのかどうか。また、効くという噂が立って重症でもない感染者や非感染者に民間療法的に広まったらリスクの方が大きい。
 ワクチンや新型コロナ専用の新規抗ウイルス薬をつくるとか、間抜けな事(何年かかるかわかっているのか?)を発表している所もあるが、1世紀前からある血清療法を使うというのは盲点だった。遺伝子工学で洗練されてるが、オプジーボなどの抗体医薬も原理は北里博士と同じ。
 考えられる治療法は別なウイルス用に実用化されている抗ウイルス薬をスクリーニングして新型コロナに活性のあるものを見つけるしかないと思っていた。これまでHIV用の4剤がHBVにも効いて承認されている、インフル用のアビガンがエボラにも効くようだという例がある。これらはいずれもウイルスのRNAやDNAを合成する酵素の阻害剤だ。遺伝子をつくる酵素は異なるウイルス間でも進化的に似通っているのかもしれない。これとは全く別な酵素を標的にした抗HIV薬やインフル用のタミフルが効いたというのは本当なのかどうか。放っておいても治る病気なので、HCVやHIVのように、投薬すると血中のウイルス量が激減するといったことがわかる定量法がないと効果を判定できない。
 満屋博明博士がAZTの抗HIV効果を見つけた時のような、試験管内でウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスの酵素を阻害したりする効果があるか確かめられる仕組み(バイオアッセイ系)を確立することが重要だ。国立感染症研究所なんかはもうやっているはずだが、そういう情報はマスコミにはシャットアウトで全然出てこない。まさか、この非常時に、論文にしたいから発信を抑えているなんて事はないのだろうか。