最も政権寄りフジが最も政権批判ネタの村本を使う皮肉 権力批判漫才が逆に新鮮な日本 お笑いは本来ペーソスとアイロニー2019年12月09日 18:31

 フジテレビのTHE MANZAI、全般的にイマイチだった。ベテランが新ネタで頑張っているのは分かるが、新機軸を出そうとして空回っているというか。ほとんどのコンビが以前のネタの方が面白い。観客を素直に笑わすためでなく、他の芸人たちに感心してもらうネタを作っているように見えた。
 そんな中、ウーマンラッシュアワーの村本は、2年前と全く同じ原発の話を始めたので、どうしたのかと思ったら、そのネタをやった後にネットで叩かれた事をネタにしていた。各地の原発の町から呼ばれて、このネタをやると地元の人たちはみんな泣きながら笑っていると。
 渥美清の「うれしくてやがて悲しき道化かな」という言葉があるが、お笑いとは本来、ペーソス(哀愁)とアイロニー(皮肉)の産物。村本のようなネタは当たり前なのだが、今の日本では、権威権力批判ネタをする芸人はいても、テレビではほとんど使われないので、逆に新鮮。原発も辺野古問題もただの批判ではなく、皮肉と自虐が効いていてネタとしてもよく出来ている。素直に笑えた。
 さて、村本はTHE MANZAIを年に1回、自分の言いたい事をテレビでしゃべる場と位置づけている。もっとも政権寄りなフジテレビがほかのテレビ局も使わない村本を出すのも皮肉だ。2年前に原発ネタが炎上してから有名になったが、実際にはそれ以前から権威権力批判ネタをやっていた。出すなという圧力もありそうで、それなりに現場が頑張っているのだろう。村本のウーマンラッシュアワーはTHE MANZAIが5年間だけM1と同じ漫才日本一を決めるコンテストだった時の優勝者。漫才の最高峰を集めるという祭典に、自局の大会でたった5組しかいない優勝コンビを呼ばないというのは筋が通らない。たとえ、上層部が苦々しく思っていてもTHE MANZAIのスタッフは村本を呼び続けるだろう。

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