不愉快だぞ、NHK!(2)創業120年江戸前の老舗・浅草寿司清が本当に養殖魚を出してるの?2018年11月26日 07:59

 さて、前回に続き、NHKのアニメ「英国一家、日本を食べる」の話。寿司を取り上げた回があった。なにしろ、原作の原題は「Sushi & Beyond」(寿司、そして、その向こう側みたいな意味でしょうか)。
 で、本編のアニメ部分が終わった後、エンディングで浅草の老舗・寿司清の主人がいろいろなネタを握るのに合わせて、「江戸前LOVE」と連呼するラップ調の歌が流れるのだが。江戸前を真に愛する者にとっては聞き捨てならない歌詞の内容だった。
 春夏秋冬に応じたネタを握っていくのだが、
「実りの秋のおすすめは何? サーモン、サンマ、イクラ、・・・」
 サーモンは江戸前のネタじゃないし、秋の味覚でもないし。日本の伝統文化ではサケ・マス類を生で食べる習慣はなく、従って江戸前のネタにもない。寄生虫がヤバイからだ。
 寄生虫はサーモンが食べるオキアミなどの中にいる。エサを管理して養殖することで生で食べられるノルウェー産のアトランティックサーモンなどが日本に入ってくるようになった。養殖なので基本1年中、手に入る。
 また、最近はニジマスなどを海で養殖した国内のご当地サーモンも盛んだ。こちらは夏が出荷最盛期のものが多い。
 いわゆる日本の鮭(シロサケ、秋味)は水温の関係で海での養殖が難しく、養殖物はない。
 こんな基本知識もないスタッフが日本の食文化への知識を深める番組を作ろうとは片腹痛い。
 ところで、江戸前の老舗は天然物しか握らないのが矜持だったはず。寿司清では本当に養殖魚のサーモンを出しているのだろうか。だとしたら、時代もずいぶん変わったものだ。私はサーモンを出すような所は江戸前ではないと思うし、そんな所に行きたくない。
 もし、サーモンなんか握ってないし、出してもいないのに、勝手にあんな歌詞を付けたのだとしたら、撮影に協力してもらったのに、営業妨害も甚だしい。

不愉快だぞ、NHK!(1) アニメ「英国一家~」のスタッフは日本文化なんて好きじゃないんじゃないの2018年11月26日 00:08

 ここ何年か日本を誉める番組がはやりだ。日本人が育んできた謙譲の美徳はどこに?という違和感を覚えるが、まあそれはおいといて。英国のジャーナリスト、マイケル・ブースの「Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking」を原作にしたNHKのアニメ「英国一家、日本を食べる」もそういう番組の一つだろう。
 番組の趣旨は、英国人一家の目を通して、視聴者に食を中心とした日本の伝統文化を再認識してもらおうというような感じだと思う。ところが、これを作っているスタッフはホントに日本の文化を理解しているのか、その良さを伝えたい思っているのか、疑問に感じる演出が多々あった。
 例えば、ブース一家がマナー教室に行って、箸使いの作法を教わるエピソード。とりあえず食事を始めると、講師から次と次と禁止事項のだめ出しをされ、長男がキレる。
「いったい何でこれがダメなのさ」
 すると、講師が逆切れ。
「ダメだからダメなんです」

 このエピソード、原作をパラパラと見た限り、オリジナルにはないようだった。いかにも笑いのセンスが貧しいスタッフがとってつけたようなドタバタシーン。おそらくアニメの制作スタッフが独自に加えたものではないか。
 ブースがなぶり箸を注意されているが、ナイフやフォークをなめるのは英国のテーブルマナーでもアウトだと思うが。
 そして、疑問。スタッフはこのエピソードを作るに当たって、本当にマナー教室で体験取材をしているのだろうか?
 箸の作法を教えるプロの講師が「ダメだからダメ」などという教え方をするだろうか。
 なぜ、ダメなのか。すべてにいかにも日本人らしい理由があるのに。
 そして、好奇心が旺盛で、未知の文化に対して謙虚なブースであれば、絶対こんな底の浅い取材はせず、箸の使い方に込められた思いを講師から聞きだして日本への興味をより深めたことだろう。
 だいたい、ここに出てきた禁止行為のいくつかは日本の平均的な家庭であれば親から子に普通のしつけとしてその理由とともに伝わっている類いのものだ。このスタッフはまともなしつけも受けてないのだろうか。だったら、日本の伝統文化を扱う番組の制作者として人選を間違っている。

 科学がまったく登場しないので、続きでちょっと科学っぽい話を書きます。