本物の箱寿司は卵焼きが甘かった 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(9)2025年08月02日 12:21

本物の箱寿司は卵焼きが甘かった 大阪寿司は江戸の方言 東京土着民にしか通じない(9)
 大阪の船場、御堂筋線淀屋橋駅と本町駅の中間ぐらいに吉野寿司がある。歩いて20分ぐらいのところに通算4年ぐらい住んでいたのにこんな店があることを知らなかった。
明治時代、三代目が二寸六分の懐石と呼ばれる今の箱寿司の完成形を発明した店だ。しかも、「大坂ずし」というのれんをかけている。天保12年(1841年)の創業時に「大坂ずし」という用語があったはずがないから一体いつごろから「大坂ずし」を名乗りだしたか知りたいところだ。
 残念ながら、もうイートインはやっていないとのことなので、新幹線の中で初めて「本物の箱寿司」を食べることにした。
酢飯は酸味をあまり感じさせないやさしい甘さ。今はなき、四谷・ハ竹はこれに近い味だったと思う。東京の志乃多寿司系の大阪寿司はこれと比べるとかなり酸っぱ辛い。
酢飯の味はどのネタでも味は同じはずだが、ネタごとに焼く、蒸す、煮る、酢で締めるなど調理法が違い、味が変わる。
小鯛は酢の酸味が前面に、キクラゲは甘く煮てある。酢飯と酢飯の間にはさんだ具材も味の奥行きを出す。
そして、驚いたのは、ケラ(厚焼き玉子、海老、白身魚)や巻き寿司に使われている卵焼きの味が甘いのだ。ほかの味が移ったのかと思ったが、どう味わってみても卵焼き単体で甘い。関東と違って、関西の寿司に使われる卵焼きは甘くないだし巻き卵だと聞いていたが、本物の箱寿司は違うようだ。
全般的にすごくうまかった。
文化人類学者の石毛直道氏が「別冊サライ大特集鮨」で語っている。
「味覚としても関西の味の方に慣れているのに握りの方が好きなのはなぜかと考えました。それはどうやら美味しい箱ずしを食べさせる店が減ってしまったからのようなんです」。吉野寿司の箱寿司を食べてみて納得した。
この連載の(3)で
「押し寿司がうまいと思ったことがない。というか寿司って名乗るのはいかがなものかと。まだ東京に大阪寿司があるのは地元民ではなく田舎の人(特に関西方面)が東京土産で買っていくからですね。 だいたいかんぴょう巻きは大阪にはないのに入っている.魂うってる寿司なんざ寿司とは言えんよ。ちなみに干瓢巻きってんのは江戸前寿司のしめで食うもんで押した寿司と一緒にしないでほしい」とコメントしていた人がいたが、そんな食わず嫌いなことを言わず、本物を食べてみてほしい。

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