派閥存在理由も知らずに議論する輩には頭痛がする2024年01月27日 13:35

派閥存在理由も知らずに議論する輩には頭痛がする
 自民党の派閥が何のためにあるのかも分からずネットで議論している人がいるが、よくやるよと。

◆何も答弁できないお年寄りでも大臣にされる

 1979年の第2次大平内閣で当時当選7回の久保田円次が防衛庁長官になった。76歳で最初で最後の内閣入り。地元ではいつまでたっても大臣になれないからもう推すのはやめようかという話も出ていたそうだ。霞が関の役人が作文すれば猫でも杓子でも大臣ができるはずが、国会答弁があまりにもひどくて炎上。防衛庁の士気はだだ下がり。
幹部は「そんな難しい質問どころか、あの長官は非核三原則も言えませんよ」とため息。

 なぜ、こんな事が起きるのか。

それは、人事権を派閥が握っており、派閥のボスの推薦で大臣になるからだ。それこそが派閥の存在意義、自民の国会議員が派閥に所属する理由だ。日本には首相を含め大臣が最大20人いる。自民党の国会議員は376人。国交相は公明党枠なので、376人で19人の大臣とすると、大臣1人あたり約20人の議員という事になる。40人の派閥だったら大臣2人、100人の派閥だったら大臣5人を派閥に分けてもらう「権利」があるわけだ。これが自民党が長年やってきた派閥均衡型政治。
 昨年の第2次岸田内閣の大臣数を、19×(派閥の人数÷自民党国会議員数376)と比べてみよう。麻生派が多め、安倍派がやや少なめ、菅グループから出ていない事以外、ほぼ計算通り。
 日本は衆議院の解散もあり、首相がしょっちゅう替わり、内閣改造も頻繁で、大臣も半年から2年ぐらいでコロコロ変わる。そこで、派閥のボスが派閥所属議員を当選回数の多い順に首相に推薦して持ち回りで大臣にしていく。だから、年を取っているだけで何の能力もない議員が大臣になる。
 ただし、人気取り用要員の大臣もいるので、人気があれば若くても大臣にすることがある。
 自民党政治において、大臣ポストというのは長年地元の応援を得て当選し続けてきたご褒美なのだ。国会議員の出身地区の町や村などの有権者が議員を応援するのは、「いつかはおらが村から大臣を」ということ。

◆対外的にはアンビリーバボーで大恥

 しかし、このやり方は国内の内政ではまあいいとしても、対外的な外交上は非常に困った事になる。日本に近い議院内閣制を取る国では、野党にシャドーキャビネット(影の内閣)があり、政権を取ったら誰が大臣になるか決まっている。だから、野党の時から大臣としての政策、方針を勉強、計画して大臣になる準備をしておく。
 欧米では非常に長い間、大臣が変わらないことがよくある。アメリカの外相にあたる国務長官や防衛相にあたる国防長官は、大統領が変わっても続ける事がよくある。
 ところが、日本の大臣はコロコロ変わる上に政策の事を分かってない素人が圧倒的に多いので、欧米の大臣は日本の大臣とまともな意思疎通ができません。
 以前、小泉ジュニアが人気だけで環境相に選ばれたが、就任時に外国の記者から政策について質問され、
「まだ環境相に決まったばかりで、何も決めてない。これから勉強する」みたいなことを答えていた。海外の記者は呆然とした事だろう。「えっ、大臣になる前に勉強してないの? えっ、何も知らない素人が大臣になるの?」って感じ。
 時々、これはいけないということで、外務、通産などの重要閣僚は専門知識のある議員や民間人に任せたりするが、また、元に戻ってしまうの繰り返し。これまでも派閥解消みたいなことをしてるが、すぐに元に戻ってしまいました。今回も形だけの派閥解散なので意味がないだろう。
 人事権を手放すと言ってるが、それでは派閥の存在意義がないので、そんなことはあり得ず、必ずに抜け道があるはずだ。
「いつかは、おらが町から大臣を」文化が変わらない限り、本当に派閥がなくなることはない。