紅茶のカテキンは緑茶より多い 意外に知らない常識の間違い2020年10月21日 13:33

紅茶のカテキンは緑茶より多い 意外に知らない常識の間違い
 紅茶について詳しく調べたきっかけは、
 ちょっと昔だが、緑茶の健康効果に関する原稿に「カテキンは緑茶に特徴的な健康成分で、紅茶のように製造過程で発酵させると失われる」と書いているライターがいたので、それは間違いだと言って直させた。その時、紅茶のカテキンが意外に多い事ぐらいは知ってたが、指摘するにあたって裏付けになるデータを集めた。せっかく調べたので後で紅茶の原稿を書いた。
 緑茶の健康イメージが強すぎて、カテキンは緑茶だけのものと思い込んでいる事が多いようだ。だが、茶葉の種類と作り方によってカテキンの含有量は違う。調べたら、場合によっては紅茶の方が緑茶よりカテキンが多いというデータもあった。緑茶だけにカテキンがあるような書き方はどう考えてもおかしい。
 カテキンはお茶の苦み成分。お茶の旨み成分であるテアミンというアミノ酸から作られる。強い日光を浴びるほどカテキンが増える。旨みを増やすため、わざと日光を当たらなくして育てたのが玉露だ。植物は日陰に逃げる事ができないので、日光の紫外線から細胞を守るために強い抗酸化作用があるカテキンを作っているのだろう。紅茶は葉を発酵させて作り、発酵でカテキンの一部が失われるのは正しい。それに比べ、緑茶は蒸すだけなので、失われる量は少ない。だから、緑茶の方がカテキンが多いと言うのは早計だ。以前に茶葉には涼しい地方生まれの中国種(バラエティシネンシス)と熱帯のインド生まれのアッサム種(バラエティアッサミカ)の2種があると書いた。そして、主に緑茶に使われる中国種より紅茶に使われるアッサム種の方がカテキン含有量が多い。発酵で失われても元々の含有量が多いので、種類によっては紅茶の方が緑茶よりカテキン量が多いのだ。さらに、紅茶には、カテキンが発酵してできるテアフラビンという緑茶にはない成分がある。このテアフラビンはインフルエンザウイルスを倒す能力がカテキンよりはるかに強い事が知られている。ただし、試験管の中の話なので、紅茶を飲んだり、うがいしたりしてもインフルは予防できない。だが、濃い紅茶で手を洗ったり、物を拭いたりすれば、付いてるインフルエンザウイルスを不活化できるかもしれない。
 結局、件の原稿は「カテキンは緑茶に特徴的な健康成分で、紅茶のように製造過程で発酵させると減る」と、ウソではないが、やはり紅茶の方が下のような書き方のままだった。そもそも、緑茶の良さを取り上げるのに、わざわざ紅茶をけなす必要はない。ましてや、その悪口が間違っているのでは目も当てられない。

緑茶と紅茶は葉が違う 製法の差だけ常識の間違い:
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/08/15/9278745

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