ノーベル化学賞 ゲノム編集なら3人目はチェンではないだろう2020年10月07日 10:45

ノーベル化学 ゲノム編集なら3人目はチェンではないだろう
 ノーベル賞の大本命と何年も前から言われているゲノム編集技術「CRISPR Cas9」の生みの親、シャルパンティエとダウドナ。医学生理学だけでなく、化学賞でも有力視されている。ほとんどの新聞、科学雑誌、ネットの予想屋は、3人目は、アメリカ人のフェン・チャンを挙げている。シャルパンティエ、ダウドナがゲノム編集技術を発表した翌年、これが人間の遺伝子編集にも使える事を2人よりちょっとだけ早く発表した。
 確かに化学賞はそういう応用の人にも授賞する。だが、誰が最初にアイデアを考えたかというオリジナリティを非常に重視する点は物理や医学と同じ。シャルパンティエ、ダウドナのゲノム編集技術は第3世代で、その基本的アイデアは第1世代と同じ。第1、第2世代より簡単・便利だから爆発的に広まった。だから、シャルパンティエ、ダウドナと共同受賞するのはチャンではなく、第1世代のゲノム編集技術を開発したSrinivasan Chandrasegaranになるだろう。もし、予想が外れたら、なぜチャンなのか、ノーベル委員会の背景説明をじっくり読みたい。

人事で脅し法を曲げるが本質 学問の自由の問題ではない2020年10月07日 18:03

人事で脅し法を曲げるが本質 学問の自由の問題ではない
「視点 学問の自由と相いれぬ政治介入」
https://digital.asahi.com/articles/ASNB57J43NB5UTIL04C.html
 論点が長~い接ぎ木的で、結局どう学問の自由に関わってくるのか実に分かりにくい主張だ。
 学術会議の6人任命拒否問題は、とても広い間接的な意味では学問の自由への侵害だが、学問の自由を旗印にすると問題の本質がぼやける。強いて言えば、言論・思想の自由への蹂躙の方が近い。要点は、人事で恫喝して法のねじ曲げに従わせるという官僚に用いてきた手法を科学者にも広げたという事。
「学術会議に入れなくたって学問や研究は自由にできる」、「特別公務員なんだから内閣に任命権がある」という論理は基本的には間違ってないだろう。
問題は、「任命する、しないの判断基準が国民に対して公にされていない事」と、業績、人格などに瑕疵のない6人が外され、どう見ても「その理由が政権に都合の悪い学説、意見を唱えて政権にとって目障りであり、政策推進の邪魔をされたから人事で報復した事」。
財務省の改ざん事件など内閣府が役人を人事権で威圧して黙らせるという手法を官房長官時代からやってきたが、この霞が関で「成功」した手法を今度は科学者にも使う事にしたわけだ。科学者を黙らせたり、都合のいい法解釈をさせたり、科学的事実を無視して政策にお墨付きを与えさせたり、利用しようと。
これは学問の自由とは違う話だ。有名な科学者で、研究や論文に書く事は科学的に厳密に、つまり、自由にやっているのに、一般人に説明する時や政府に意見を聞かれた時は自分や政府に都合のいいチョー適当な事を言っている人だっている。
 最近、全国一斉休校は専門家会議の見解に基づくと責任を押しつけようとして失敗したのがばれた。専門家たちからの一斉休校反対意見続出で押しつけに失敗したのがばれるから議事録をつくりたくなかったんだろう。こういう時も四の五の言わせず、言いなりにさせたいわけだ。
 学術会議人事は科学者への脅しのネタとしては弱いが、科学研究費獲得などで嫌がらせを受けるのではないかといった実害の大きい恐怖を植え付ける効果がある。つまり、黙って研究に打ち込んでいる限り、学問の自由は大いに保証するが、政策に異を唱える発信や、都合の良いお墨付き要求を拒絶したら、報復するぞと。
 ただし、そういう理由だとは表では絶対に認めず、「分かってるんだろうな」と相手に脅しだと理解させる。ヤクザと同じやり口だ。
 だから、ジャーナリズムの使命としては、それを会見で言わせるか、裏で証拠の紙を入手するか。勝手に言ってはいけない事を言う萩生田大臣と違って、加藤官房長官は賢いから会見でワナにかかって口を滑らせる事はないだろうが、それにしても記者の質問が下手すぎる。