ノーベル賞報道のウソ(2)サリドマイドが化けるのは何故? ― 2026年10月24日 12:14

ノーベル賞報道のウソ(2)サリドマイドが化けるのは何故?
 どうして、サリドマイドは右手系(R体)と左手系(S体)が簡単に入れ替わる(異性化する)のか。
 化学企業に務める先輩に聞いたら、「だまし船」で説明すればいいと言われた。なるほど。
 最初の写真。左右対称、鏡像関係になっていて重ならない。ところが可動部を反転すると(2枚目の写真)、左右反転して同じになる(3枚目)。
 サリドマイドはまさにこれ。
水に溶かして置いておくと、最初はR体だけを純粋にしても、勝手に異性化してR、S半々の混合物(ラセミ体)になってしまいう。
 さて、ミクロなラセミ化を女性と男性が入れ替わり、また元に戻る異性化で例えてみる。
 嫁入り前の女性が男性と間違いがあってはいけないと「全寮制、全教職員女性、男性立ち入り禁止、キャンパスの外に出るのも禁止」の女子大学をつくったとする(人権問題は置いといて)。これで、学生が男性と接することはないから安全なはずだ。
 ところが、この女子学生たちは異性化するとしたら、どうなるか。
1時間ごとに女性は8分の1が男性、男性も同じく8分の1が女性になるとする。
 最初、女性1024人で、男性0とする。
1時間後、8分の1が異性化するので、女性は896人、男性は128人になる。さらに1時間後、女性のうち、112人が男性化するが、男性も16人が女性に戻るので、差し引き、女性800人、男性224人になる。次の1時間で、女性のうち100人が男性化、男性のうち28人が女性化する。差し引き女性728人、男性296人になる。
 この女性と男性の行ったり来たりを繰り返すと、1日後には女性と男性が半々の512人ずつになってしまうのだ。男性、女性どちらから始めても、どんなに純度を高めても、必ず半々になる。ポイントは、多い方が異性化する人数も多いから男女同数になるまで止まらない(実際は止まってないが同数が入れ替わるだけなので見かけ上増減がなくなる)ということだ。
 もう少し化学的に言うと、不斉炭素の近くに電子吸引性の強いカルボニル基が4個もあるので、非常に電子不足になっており、そのため、プロトン(H+)がはずれやすく、傘がおちょこになるように反転する。

◆ノーベル賞報道のウソ(1)
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2026/10/22/9882414