にわかラグビーファンよ 愛国心をはき違えるな2019年10月15日 13:02

大学ラグビー出身でスポーツジャーナリストをしている友達が悲しんでいた。
 スコットランド戦前のSNSにおける「スコットランドをボコる」とか「叩きのめす」とか、上から目線の極めて傲慢な発言の数々。
 試合後は、スコットランド選手のSNSに日本からと思われる「お前のせいでチームは負けたんだ、やーいやーい、ざまぁみろ」などと敗者を貶めるような書き込みが多数。

 友人は「ピッチ上であれだけ激しく真剣勝負を戦う一方で、ファンや観客は殺気立つことなく両チームに対して敬意をもって試合を楽しむのがラグビーの美徳」だったという。
 強豪高から関東大に進んだ男性が「そういう人間が増えるんなら日本の中でラグビーはマイナースポーツのままで良いよ」とつぶやいている事に対し、「まったく同感だ」とも。
 ラグビーはおそらくボールを使う競技の中で最も危険な物だろう。私のような素人からすると、四角い土俵の中でボールを持った力士のような格闘家が手当たり次第にぶつかり稽古をしながら走り回っているようにしか見えない。大けが当たり前、死人が出る事もある。
 人を傷つけかねない競技だからこそ、節度と礼が重要だ。元々、人を殺すか、死なない程度に痛めつけて戦闘力を奪う目的で作られた術である剣術や柔術が、節度と礼によって剣道や柔道という道になったのと同じ。その道を踏み外さないという約束を守っているからこそ、オリンピックの種目にもなる。
 これが将棋なら駒を投げるような無礼者がいても別に構わないと思う。将棋連盟にはメチャメチャ叱られるだろうが、将棋がどれほど白熱しても死人は出ない。
 にわかラグビーファンは愛国心のつもりで上記のような事をしているのだろうが、はき違えている。強敵への礼儀正しさ、敗者への敬意、勝利への謙虚さ。そういった日本人の伝統的美徳を汚し、日本の評判を落とす行為だ。日本選手のためを思うなら、「スコットランドの皆さんも素晴らしかった。また、日本代表と戦ってください」となぜ書き込めないのか。
 ラグビーの試合内容に関する解説記事では日本のメディアは伝統国の英字紙にまるで敵いそうだ。それは仕方ない。ラグビーに関しては後進国なのだから。上のような行為を指摘し、いさめるのが後進国の一般メディアの使命だと思う。ラグビー解説者(w)のアンジャッシュ渡部さんには、にわか代表としてぜひこういう注意喚起を呼びかけて欲しい。煽るだけがテレビの役目ではない。

https://www.facebook.com/shomidoro?__tn__=%2CdCH-R-R&eid=ARA3xeEBKmYSZIHNV87xRNgfQC4ARQw4DbnYVbo1NX5z7MVxWa4E_BqB2CIxA1veoiXv1Ofbo8R9KOSm&hc_ref=ARQ_0RBJw-XxVg9wLZSJBJJzGCADRFujLuw1Cs6AL7fPLeZxCi3n_rsnqQCL4-f4qbw&fref=nf

フジの対応に感動 -を+に変えようという根性は見習うべき2019年08月08日 11:46

 ちょっと前、休日にフジテレビの視聴者センターに質問の電話をした。例の長谷川豊・元アナウンサーの差別講演の件だ。「フジテレビには放送禁止用語リストはあるのか」、「それをちゃんとアナウンサーに教えているのか」と質問した。「コンプライアンスで云云かんぬん・・・」と、まあ当たり前の当たり障りがない答えが返ってきた。「ご意見を」というので、「放送禁止用語をもっとちゃんと教えて、放送で使えない言葉は講演会でも使っちゃダメだという事もきちっと教育した方がいいですよ」。と、ここまでは特にどうという事もないのだが。
「休みの日にすみませんね」と電話を切ろうとしたら、「いえ、フジテレビは年中無休です」(いや、それは制作のADとかの話で、営業とか広告とか一般業務の人は休んでるだろ、と思ったのだが)。さらに続けて、「CMなどでご存じと思いますが、本日はインディペンデンスデイを放映いたしますので、ご覧ください」「ええ、でも、第1作でしょう?」(言外にもう何度も見たよ感にじませ)「ですが、お客様、劇場未公開シーン地上波初放映ですので、ぜひ」
 いや、ネガティブで電話かけてきた相手に何とか会社の良いとこをアピールしてポジティブに持っていこうとするこの根性に感心した。これはオペレーター個人の工夫ではなく、おそらく部署をあげてやっているんだろう。
 朝のブリーフィングで「ダウンタウンなうでショーケン特集やるって言え」とか今日の一押し番組を周知しているんじゃないか。さすがに「ノイタミナ」とかはマニアック過ぎて言わないだろうし、吉本興業契約解除問題で渦中の相方が出ますとかも言いにくそうだが。
 結局、インディペンデンスデイ、最後の方、気になってちょっとみてしまった。とにかく見上げた根性。見習いたい物だ。

フジは社員に放送禁止用語教えてないの? 発禁用語多過ぎで長谷川発言の酷さを伝えられないマスコミ
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/05/26/9077251

世界で大阪人とイタリア人だけは期待を裏切らない 吉本興業問題に思う2019年07月23日 13:02

 ドイツ人に対する先入観や思い込みが一変した夜がある。赤い皇帝シューマッハが故アイルトン・セナの優勝回数記録に並んだF1の会見。正確無比で冷徹な走りからサイボーグと呼ばれていた男が「その話はしたくない。二度と訊くな」と泣き出したシーン。深夜の生放送で見た時、「ドイツ人でも人前で号泣することがあるんだ」と衝撃を受けた。フランス人は高慢とか、イギリス人はお硬いとか、勝手な思い込みのイメージがある。会った事がない人々に関する刷り込みに過ぎず、実際に会ってみると全然そんな事ないって経験が多い。
 そんな我々の偏見や先入観を決して裏切らないのが、世界中でイタリア人と大阪人だけ。
 ロンドンやローマで見たイタリアンの事は省略するが、大阪に初めて住んで以来、大阪人はなぜこう我々東日本の人間が抱いている偏見を助長する典型的な行動を取るのかと。「大阪の人って意外に○○じゃないんだな」と予想に反した経験は皆無。
 吉本芸人の事件。社長の会見を見て、「この社長で大丈夫か」と思った人が多いらしいが、私は、ガキの使いで山崎方正とどつきあいをしていた印象しかないマネージャーが社長だと知った時から「大丈夫か」と思っていた(しかし、辞任すると次は見るからに鈍重な藤原・元マネージャーらしい)。
 芸人が「金をもらってなかったというのはウソでした」と謝罪。社長が「謝罪して自分を50%減給1年間の処分にします」。
 「大阪人はこの世の問題はすべて金の問題だと思っているのではないか」という我々東夷の偏見通りの言動だ。問題は金じゃないはずなのだが、大阪ではとりあえず金の話をしないと市民が納得しないのだろうか。
 正確には大阪人ではなく、阪神間だが、会社の後輩から「貯金、どれくらいあるの?」と訊かれた事がある。私の人生で他人にそんな事を面と向かって訊くヤツは初めてにして唯一だ。

神田蘭さんが志ん生をパクッたと思われたら気の毒 本郷和人教授の新聞連載2019年04月07日 15:28


 本郷和人東大教授が、日経新聞の連載で、講談師の神田蘭さんの話として、「同じ芸の道に励む者同士、私と彼とはまあ同じくらいのレベルだな、と思っている場合、実は彼の方がうまい。彼はうまいな、私はちょっと負けるな、と感じたら、2人の間には相当な実力差がある」というのを引用している。
 これは、昭和の名人・古今亭志ん生の著書「びんぼう自慢」に出てくる言葉だ。
曰く、「他人の芸を見て、あいつは下手だなと思ったら、そいつは自分と同じぐらい。自分と同じぐらいと思ったら、かなり上。うまいなあと感じたら、とてつもなく先を行っている」

 若手の神田さんはこの本を読んでないかもしれないが、話芸の世界ではとても有名な本なので、読んだ先輩たちからの孫引きであろう。神田さんが志ん生の言葉をパクッたと曲解されて伝わったら気の毒だ。本郷教授は芸の世界の話として聞いたと書いているが、この書き方だと、神田さんが自分の言葉のように語ったと受け止めてしまう読み手も多いだろう。

それでも上沼恵美子は間違っている 久保田らは謝罪したが2018年12月06日 07:34

 M1の審査に関する暴言でとろサーモンの久保田らが上沼恵美子に謝罪した。確かに言い方には問題があった。だが、それでも審査員としての上沼恵美子の姿勢は非難されるべきだ。久保田が暴言ではなく、真面目に批判を述べていれば、支持されたと思う。
 笑いの評価に基準とか規定などない。料理の評価と同じで、笑いに対する好き嫌いの好みが審査内容に入ってしまうのは仕方ないことだ。しかし、審査員席で「ファンだから」「好きだから」高得点を入れたと公言してしまう上沼恵美子は間違っている。言うべき事ではない。
 なぜそんな事を言うのだろうか。
 ネタかもしれないが、昨年の審査員だった博多大吉は、決勝で和牛ではなく、とろサーモンに入れた事をファンから責められたと自虐的に言っている。小朝などほかにも3人の審査員がとろサーモンに入れているのに、なぜ大吉だけが目立って責められるのかよくわからないが。
 私の勝手な想像だが、上沼恵美子は自分の笑いのセンスを疑われるのが怖いのではないか。「なんで、あんな出来の方が高得点なんだ。全然笑いが分かってない」という感じで。つまり予防線だ。「自分だってあっちの方が芸としては上だって分かっていたが、こっちのコンビのファンだからこっちに入れたんだ」という。