囚人席はないJAL777 ボーイングvs.エアバス2023年05月21日 18:46

囚人席はないJAL777 ボーイングvs.エアバス
 昔出張で空港に行ったら、JASの職員がB777に乗る乗客に「今日は満席でもう5席の真ん中しか残っておりません」と謝っていた。私は777ではなく767に乗るために並んでいたのだが同じことを言われた。「767に5席編成なんてありましたっけ?」。謝りすぎてわけがわからなくなっていたようだ。このボーイング777の5席の真ん中をライバルのエアバスは「プリズなーシート(囚人席)と呼んでいた。
 ボーイングが双発ワイドボディB777のデモで欧州のエアショーに参加した際、777の客室にエアバス機の輪切りにした胴体の実物大模型を設置した。曰く、「WIDE BODY?」。ワイドボディはジャンボジェットなどのように通路が2列以上ある胴体の幅が大きい機体のこと。777の胴体は太く、こんなに客室が広いが、それに比べ、エアバス機の天井はこんなに低い。よくワイドなんて言えるなという痛烈な比較広告だ。ボーイングの背の低い広報が自分でも頭が天井にぶつかるとジェスチャーで揶揄していた。激怒したエアバスは「777にはprisoner seatがある」とわざわざ動画まで作って対抗宣伝。2本の通路にはさまれた5席の真ん中は窮屈な上に乗務員から物を受け取るのも一苦労。まるで囚人だと。
 「世界初の超音速旅客機も、世界初の双発ワイドボディも、フライバイワイヤもすべてヨーロッパが先にやった」。かつて、エアバスの広報は誇らしげに言っていた。民間航空機産業は、米国が席巻したマーケットを欧州が逆転するところまで盛り返した数少ない分野だろう。ワイドボディ機は長距離航路での安全を図るためエンジンは4発だった。双発にした方が重さも空気抵抗も減る。双発ワイドボディの価値を認めない米国勢を尻目にエアバスは双発機の経済性で業績を伸ばした。
 777の場合、座席は横9席だから、2-5-2とするか、3-3-3とするかは航空会社の自由。どうして囚人席編成なんてするんだろうと疑問を口にしたら、航空関係の広報担当者が教えてくれた。満席のときは囚人席まで埋まるが、そこまで混んでいなくて、9席のうち8席が埋まることを考えたら、窓際席が不便になる3-3-3より囚人席を作った方がいい。この動画を見ると、JALの700-200ERは囚人席のない編成(中4席の3-4-2)だ。
 しかし、ボーイングが特別思い入れのある番号を与えた777が退役の時期を迎えるとは。

◆JAL777-200ER退役 記念フライト、20年の思いを込めて
https://digital.asahi.com/articles/ASR5J55X9R5DUTIL02N.html

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