ネアンデルタール論争決着にノーベルがお墨付き2022年10月04日 13:29

ネアンデルタール論争決着にノーベルがお墨付き
 昔こんなのを書いた。当時は、まだネアンデルタール論争が争いの最中で、「また覆ったのか」とオセロを見てる感じだった。論争の決着にノーベル賞がお墨付きを与えたということなのだろう。記事を遡ると、「ネアンデルタールは人類(ホモサピエンス)の祖先」説→考古学的に祖先説否定(1980年代)→でも、混血はあったのではないか→DNAで混血も否定(2006-2008年ごろ)→ゲノム解析で混血説逆転勝利(2010年) という流れだ。
◆ノーベル医学生理学賞にスバンテ・ペーボ氏 古代人のDNA配列研究
https://digital.asahi.com/articles/ASQB3664NQB3UTFL01K.html

違うシャープレスかと ノーベル選考に過去受賞は関係ないのだろう2022年10月06日 09:04

違うシャープレスかと ノーベル選考に過去受賞は関係ないのだろう
シャープレスと言えば、シャープレス酸化、香月-シャープレス酸化と名前の付いた反応が2つもある触媒的不斉酸化反応の雄。酸化と逆の水素化(還元)反応のフランスのカガンとの組み合わせでノーベル賞を取るだろうとずっと前から言われていた人だ。そのカガンがはずれ、野依さんが入ったのは化学界には驚きだった。野依さんの方がボーダーという見方が普通だったからだ。しかし、そのシャープレスが2回目というのはもっと驚き。あのシャープレスとは違うシャープレスかと一瞬思った。
3人の頭文字を取った超伝導のBCS理論で2回目の受賞となったバーディンは自分がすでに取っているので、他の2人が取るのに不利になるのではないかと心配していたという話がある。ノーベルの選考調査は人ではなく分野が先行して決まるということなので、毎年、3つぐらいに絞られるというテーマの中で候補者に過去の受賞者がいても今年はこのテーマに出そうということになれば、そのテーマの3人に誰がふさわしいかを判断するので、以前の受賞は関係ないのだろう。

◆「1回目は実力。2回目は発想力」 2度のノーベル賞、親友が語る
https://digital.asahi.com/articles/ASQB56TNXQB5ULBH00M.html

ジンジャーを干すとショウガに2022年10月14日 22:03

ジンジャーを干すとショウガに
 本日公開。ツイートなどでPRしていただくとありがたいな。
 セルフカバーになっちまったが。そんなつもりは全くなかったが、前にこんなのを書いたんですと見せたら、上司が「これなら教科別でいける」と乗り気で。
 次の生物編では「ますおかの岡田かよ」というのをやる予定。
シクロアワオドリンがフランク三浦や面白い恋人並みの脱力感を呼び覚ますことは高校で化学(昔の化学Ⅱ)を選択していない人にはなかなか分かりにくいんだろうなあ。

◆日本語にちなんだ科学発見のネーミング①【化学編】
https://www.asahi.com/edua/article/14741789

ますおかの岡田かよ&ポケモンは使用禁止2022年10月18日 14:55

ますおかの岡田かよ&ポケモンは使用禁止
 くそまじめな科学者のダジャレで一番腹を抱えて笑ったのは「透明になるからスケール」だった。「ますおかの岡田かよ」とツッコミたい。だが、科学ジャーナリストなんて高学歴でお笑い番組なんか見ない人が多いのか、このギャグがまるで通じまない。「スケールって英語の尺度のSCALEでしょう?」などと。今度は「欧米かよ」とツッコミたい。以前、小林克也が「ホノルルをホノルルにあたって」に類する親父ギャグ的なダジャレは英語圏では全く通用しないと言っていた。mouseとmouth、riceとliceなどは全く違う音で、まぎらわしく聞こえるという感性がないからだろう。

●ポケモンはクレームで使用禁止

さて、ポケモン遺伝子がクレームで使えなくなったことを今回初めて知った。任天堂本体なら多めに見たかもしれないが、アメリカの子会社だとこういうことにうるさそうだ。ネイチャーによると、ネイチャーに論文が載った後、「ポケモンががんの原因になることが明らかに」などと揶揄した一般記事が増えたことが不興を買ったようだ。阿形所長のコメントにもある通り、目立てばいいだけでなく、「機能を的確に表していること」もネーミングの条件。発がんのメカニズムと何の関係もないのにこじつけで無理やり人気キャラを利用すると碌なことにならないという教訓だ。

◆「ムサシ」や「カエデ」も 日本語にちなんだ科学発見のネーミング②【生物編】
https://www.asahi.com/edua/article/14744813

◆日本語にちなんだ科学発見のネーミング①【化学編】
https://www.asahi.com/edua/article/14741789

オミクロンはマウスで生まれたかも PNAS2022年10月19日 05:31

オミクロンはマウスで生まれたかも PNAS
 オミクロン株がマウスの中で生まれたかもしれないことを示唆する結果とのこと。
◆Structural basis for mouse receptor recognition by SARS-CoV-2 omicron variant
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2206509119
 コロナは、細胞表面のACE2という受容体にスパイクたんぱく質が結合することで感染する。スパイクの変異によってACE2との相性(親和性)が変化する。オリジナルの新型コロナ(武漢株)はマウスのACE2との相性があまりよくないのだが、変異株の中には相性のいいものがあり、人などからマウスに感染した株があったと考えられるという。

巨人の星の話なんていらねえよと上司に言われたあの日2022年10月21日 10:36

巨人の星の話なんていらねえよと上司に言われたあの日
昔、「巨人の星」(小惑星 Tokyogiants)を申請したグループから情報があったので、独自ダネで原稿を出そうとしたら、上司に「いらねえーよ。そんな話」と言われた。いや、「巨人の星」の話なのに他者が書いたら読売が悔しがるんじゃないかと思ったのだが。そこで粘って説得するほどジャイアンツを好きでもないというか、江川事件以来、あの球団と親会社の会長のやり口が大嫌い。なので、自分で原稿を書くのは断念した。しかし、情報源には冷たくしたくない。恩を売っておきたい。仕方ないので、読売の科学部系の知り合い(つくば支局長だった気がする)に電話し、「こういう話があるんだけど、そちらの天文担当が記事にしてくれないでしょうか」と頼んだら、すぐに記事になった。「マンガに阪神の星はない」と理不尽な理由で巨人と阪神一緒に命名を提案できなかったグループの虎吉が後日、悲願の優勝で改めて小惑星「Hanshintigers」を申請した際に再び知らせがあり、その時は天文担当がニュースやひとを書いた。目先の損得だけで行動するべきでないのはどの仕事も同じだ。

◆小惑星「カメンライダー」も 日本語にちなんだ科学発見のネーミング③【地学編】
https://www.asahi.com/edua/article/14747520