コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い2020年12月26日 14:19

 新型コロナウイルス用ワクチン1番乗りのビオンテック、ファイザーのmRNAワクチンの開発になくてはならない発見をしたというハンガリー出身の科学者カタリン・カリコを多くのメディアが英雄のように取り上げている。ライバルのモデルナも博士の特許に莫大なライセンス料(数十億円規模)を払っているそうだ。
 両陣営のmRNAワクチンが大きなシェアを取り、コロナ終息に貢献し、かつ、大規模で重篤な副反応が起きなければ、カリコ博士のノーベル賞もあるだろう。共同研究の村松浩美博士はゲノム編集の石野良純教授のように残念賞だろうか。医学か化学かで迷う所も似ている。
 ノーベル賞予定稿風に説明すると。
「遺伝子RNAを外から細胞に入れ、ウイルスなどのたんぱく質を作らせる核酸医薬のアイデアは以前からあった。人間のDNA自体に手を加える遺伝子治療に比べ、細胞のがん化などの危険が少ないと考えられている。だが、mRNAは体内では壊れやすい欠点があった。また、mRNA自体が異物と認識され、炎症反応が起きる問題もあった。カリコ博士らは、mRNAを構成する部品の一部を別な分子に変えたmRNAを使うと分解や炎症反応が抑えられ、たんぱく質がよく作られる事を発見した。また、mRNAを脂質で包んだ微小な粒にすると微量なmRNAでも効率よくたんぱく質ができるようになるという改良も加えた」

 ただ、現時点の段階であまりもてはやしすぎは後が怖い。

ワクチンが返って重症化させるADE現象は、ワクチンによる免疫が中途半端な場合に起きるので、mRNAワクチンの場合、あまり心配ないだろう。ワクチンのこれまでの常識は、実際にその病気にかかる事が最強のワクチンであり、ワクチンで得られる免疫は実際のウイルスに感染した場合に比べて弱いというものだ。しかし、mRNAワクチンは、研究報告によると、免疫を刺激し、誘導する効果が非常に高く、下手したら、本物の新型コロナウイルスに感染した場合よりも強いかもしれないぐらい。常識を覆すワクチンだが、逆に強すぎて害にならないか、例えば、ウイルスたんぱくが関係していると言われる自己免疫疾患(ギランバレー症候群やSLEのような)の呼び水になってしまわないか懸念がある。

*今頃、まだ、ファイザー、ビオンテックのワクチンが「95%という高い感染予防効果を示した」とか書いていたので指摘しておいた。すぐに直す所はさすがだが。

◆コロナの革命的ワクチンを導いた女性移民研究者
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020122100010.html

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330638/tb