イソジン騒動は何が問題だったのか2020年08月12日 12:20

イソジン騒動は何が問題だったのか
 今回、大阪はびきの医療センターの研究結果は、新型コロナウイルスPCR陽性の感染者がポビドンヨードうがいをすると、唾液のPCR検査で陰性が多かったということだけだ。ヨードうがいで唾液中のウイルス濃度が減るのではないかというのはただの推論。もし、最初の記者会見で、「ヨードうがいでPCR陰性化が早かったが、統計的な検証がされた結果ではない。もしかしたら、唾液中のウイルスが減るのかもしれないが、確証はない」とだけ言ったら、おそらくニュースにならなかった。実際、最初の会見の記事を載せなかった新聞もある。
あのような騒ぎになった問題点をまとめると、

1)最初の会見で、はびきのセンターの医師が「ウイルスを含んだ唾液が肺に入ることで肺炎を起こすケースがある。唾液中のウイルス量を減らすことで重症化が抑制されのではないか」と発言。医学的にかなり突拍子もない飛躍だが、これが「イソジンは重症化を防ぐ」という見出しになり、売り切れ騒ぎの引き金になった。
2)会見が騒ぎになった後、吉村知事が「判明したのは、唾液中のコロナウイルスを減少させ、唾液PCRの陰性化を加速させること」と情報発信。ただの推論で、科学的に確証のない事を「判明した」と断言した。
3)会見で言ったのは、感染者がうがいした場合、唾液中のウイルス量が減るかもしれず、もしも減るとしたら、既感染者が周りに感染を広げるのを防ぐ効果があるかもしれないという事なのに、非感染者がうがいすれば感染を防げるという誤解が広まった。

 1)がなぜ突拍子もないのか。高齢者は飲み物や食べ物が間違って気管に入る誤嚥を起こしやすい。飲食物と一緒に唾液中の口内細菌が肺に入って起きる誤嚥性肺炎になることがある。誤嚥性肺炎は口内をきれいにすることである程度防げるとされる。だが、それは、本来であれば肺には入らないであろう口内細菌に関する話。普通に呼吸するだけで呼気と一緒に気管に入るであろうコロナやインフルなどのウイルスを防げるというのはトンデモ理論。
 2)に関しては、陰性化したからといって唾液中のウイルスが減っているとは限らない。そもそも、統計的に検証された比較ではないので、本当に差があるのかどうか疑わしい。

唾液陰性化率上昇=ウイルス減少ではない 府知事が統計でウソをつく法
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/08/06/9275935

イソジンで唾液のウイルス減ったが,なぜ重症化防ぐニュースに?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/08/05/9275642

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