悪玉抗体て 変な言葉作るの止めて,ワイドショー2020年05月06日 15:36

悪玉抗体て 変な言葉作るの止めて,ワイドショー  連休中、ワイドショーを見たら、「善玉抗体」「悪玉抗体」「役立たず抗体」という言葉を普通に使っていて、頭痛が。もうやめて。  今後、新型コロナウイルスのワクチンができたとして、ADE(抗体依存性感染増強、もしくは、抗体介在性感染増強)と呼ばれる現象が、その実用化で足かせになるのは間違いない。間違いないんだけど。  一言で言うと、免疫が中途半端だと、返って重症化してしまう現象だ。 細胞の表面には鍵穴に相当するたんぱく質(糖鎖たんぱくなど)が突き出ていて、ウイルスには鍵に相当するたんぱく質(コロナの王冠のスパイク)が突き出ている。細胞の種類によって鍵穴(リセプター)が違い、ウイルスは自分が持っている鍵(リガンド)が合う細胞にしか感染できない。HIVは、CD4という鍵穴を使うので、白血球の中でもCD4陽性リンパ球(いわゆるヘルパーT細胞)に専門的に感染する。コロナもインフルもノドに分布する細胞に感染するが、コロナの鍵穴はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)、インフルはシアロ糖鎖で違う。  体内に異物のたんぱく質(抗原)が侵入すると、1種類の抗原に対していろいろな抗体ができる。その抗体の中で、抗原のたんぱく質としての機能を失わせるものを中和抗体と言う。ウイルスの場合、普通は、ウイルスの鍵にくっついて、ウイルスが細胞に感染できなくさせるものを指す。中和抗体以外にも、コバンザメのようにただくっつくだけの抗体もできる。抗体自体には抗原を破壊する機能はない。なので、ワイドショーなどではこれを「役立たず抗体」と呼んでる。  ウイルスに感染した後、十分な中和抗体があるうちは、同じウイルスに再感染しない。ところが、中和抗体が少ないと、免疫細胞(樹状細胞やマクロファージ)に対して、抗体がむしろ架け橋になって感染が成立する。これがADE現象。  抗体のY字形の二股の部分がウイルスにくっつくのだが、その反対側の棒の部分はマクロファージなどの免疫細胞がくっつくようになっている。抗体は役に立たないだけでなく、むしろ、積極的に免疫細胞とウイルスを近づけて離れないようにしてしまう。この抗体をADE抗体と呼ぶ。  ADE抗体が、通常は感染相手でない免疫細胞に感染させ、ウイルスを増やすだけでなく、感染された免疫細胞の中で遺伝子発現が暴走し、サイトカインやケモカインなどの免疫物質の大量分泌が起きる。この免疫細胞の暴走も加わってさらに重症化する。  デング熱は初めてかかった時より2回目にかかった時の方が重症化することが知られていた。2016年から2017年にかけ、フィリピンでフランスの製薬企業サノフィのデング熱ワクチン「デングワクシア」を数十万人に接種し、60人とも70人とも言われる子どもの死者が出た。ワクチンによるADEが原因とされる。デング熱には免疫的に4種類のウイルスがあり、同じ種類のウイルスに対しては一度かかると終生免疫になるが、しばらくすると、他の種類のウイルスに対しては、中和活性がなくなり、再び感染した時、ADE抗体が架け橋になって重症化すると考えられている。サノフィはワクチンで4種類全部を中和する抗体を誘導させたつもりだったが、実際には不十分だったという事のようだ。  フランス企業の実験台にされたとフィリピン国民の怒りは凄まじく、有効で必要性の高いはしかワクチンの接種率まで下がるという悪影響を及ぼした。  ADEはエボラウイルスの病原性や増殖能力にも関わっていると考えられている。新型コロナウイルスで起きるかどうかは分からないが、動物のコロナウイルスやSARS、MERSを使った動物実験ではADEと見られる現象が起きている。  実際に起きるかどうかは別として、ワクチンが出来たはいいけど、実戦で使うとなると相当な勇気が必要だろうね。仮に日本人10万人の命を救えるワクチンだとしても、ワクチンの副作用で10人でも死んだら大騒ぎになるだろう。弱めのワクチンを恐る恐る使った場合、副作用もないけど、抗体価が上がらないから効果もないということになるだろうし。  ところで、ワイドショーは、中和抗体を善玉抗体、ADE抗体を悪玉抗体と呼んでるが、これが定着するのは勘弁して欲しい。
 連休中、ワイドショーを見たら、「善玉抗体」「悪玉抗体」「役立たず抗体」という言葉を普通に使っていて、頭痛が。もうやめて。
 今後、新型コロナウイルスのワクチンができたとして、ADE(抗体依存性感染増強、もしくは、抗体介在性感染増強)と呼ばれる現象が、その実用化で足かせになるのは間違いない。間違いないんだけど。
 一言で言うと、免疫が中途半端だと、返って重症化してしまう現象だ。
細胞の表面には鍵穴に相当するたんぱく質(糖鎖たんぱくなど)が突き出ていて、ウイルスには鍵に相当するたんぱく質(コロナの王冠のスパイク)が突き出ている。細胞の種類によって鍵穴(リセプター)が違い、ウイルスは自分が持っている鍵(リガンド)が合う細胞にしか感染できない。HIVは、CD4という鍵穴を使うので、白血球の中でもCD4陽性リンパ球(いわゆるヘルパーT細胞)に専門的に感染する。コロナもインフルもノドに分布する細胞に感染するが、コロナの鍵穴はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)、インフルはシアロ糖鎖で違う。
 体内に異物のたんぱく質(抗原)が侵入すると、1種類の抗原に対していろいろな抗体ができる。その抗体の中で、抗原のたんぱく質としての機能を失わせるものを中和抗体と言う。ウイルスの場合、普通は、ウイルスの鍵にくっついて、ウイルスが細胞に感染できなくさせるものを指す。中和抗体以外にも、コバンザメのようにただくっつくだけの抗体もできる。抗体自体には抗原を破壊する機能はない。なので、ワイドショーなどではこれを「役立たず抗体」と呼んでる。
 ウイルスに感染した後、十分な中和抗体があるうちは、同じウイルスに再感染しない。ところが、中和抗体が少ないと、免疫細胞(樹状細胞やマクロファージ)に対して、抗体がむしろ架け橋になって感染が成立する。これがADE現象。
 抗体のY字形の二股の部分がウイルスにくっつくのだが、その反対側の棒の部分はマクロファージなどの免疫細胞がくっつくようになっている。抗体は役に立たないだけでなく、むしろ、積極的に免疫細胞とウイルスを近づけて離れないようにしてしまう。この抗体をADE抗体と呼ぶ。
 ADE抗体が、通常は感染相手でない免疫細胞に感染させ、ウイルスを増やすだけでなく、感染された免疫細胞の中で遺伝子発現が暴走し、サイトカインやケモカインなどの免疫物質の大量分泌が起きる。この免疫細胞の暴走も加わってさらに重症化する。
 デング熱は初めてかかった時より2回目にかかった時の方が重症化することが知られていた。2016年から2017年にかけ、フィリピンでフランスの製薬企業サノフィのデング熱ワクチン「デングワクシア」を数十万人に接種し、60人とも70人とも言われる子どもの死者が出た。ワクチンによるADEが原因とされる。デング熱には免疫的に4種類のウイルスがあり、同じ種類のウイルスに対しては一度かかると終生免疫になるが、しばらくすると、他の種類のウイルスに対しては、中和活性がなくなり、再び感染した時、ADE抗体が架け橋になって重症化すると考えられている。サノフィはワクチンで4種類全部を中和する抗体を誘導させたつもりだったが、実際には不十分だったという事のようだ。
 フランス企業の実験台にされたとフィリピン国民の怒りは凄まじく、有効で必要性の高いはしかワクチンの接種率まで下がるという悪影響を及ぼした。
 ADEはエボラウイルスの病原性や増殖能力にも関わっていると考えられている。新型コロナウイルスで起きるかどうかは分からないが、動物のコロナウイルスやSARS、MERSを使った動物実験ではADEと見られる現象が起きている。
 実際に起きるかどうかは別として、ワクチンが出来たはいいけど、実戦で使うとなると相当な勇気が必要だろうね。仮に日本人10万人の命を救えるワクチンだとしても、ワクチンの副作用で10人でも死んだら大騒ぎになるだろう。弱めのワクチンを恐る恐る使った場合、副作用もないけど、抗体価が上がらないから効果もないということになるだろうし。
 ところで、ワイドショーは、中和抗体を善玉抗体、ADE抗体を悪玉抗体と呼んでるが、これが定着するのは勘弁して欲しい。

おでんのレシピ
①輪切りにした大根を米ぬかで炊く。ぬかがなければ白米でも大丈夫。
②昆布を水につけておき、その水で鰹節をゆで、出汁を取る。
③練り物(げそ巻き、いか巻き、ウズラ巻き、ゴボウ巻、きつみれ、ちくわ、野菜ボールなど。今回、薩摩揚げ、海老巻きが入ってない)を取った出汁②で煮る。しょう油とみりんで味付け。
④練り物を煮た出汁③の一部を取り、しょう油、みりんで濃いめの味付けをし、大根、厚揚げ、がんもどき、玉子、里芋など練り物以外の具を別々に煮込む。里芋は濁りやすいので、食べる直前にほかの具と一緒にする。