京都をディスってるとエラい目に遭うかも2020年01月29日 17:24

 数年前、京都に住んでいる時、高校のOB会を関西在住の卒業生が毎年京都で開いていると聞き、初めて出た。ほとんど知らない人ばかりで、その中に大谷さんという先輩がいた。麹町に住んで三代目、完全な東夷の私でも、京都で大谷家といえば親鸞の子孫の一族だということぐらいは知ってた。それもナーンチャッテ系ではなく、お顔を見れば、教科書に載っていた木像や肖像画の聖人のDNAは明らか。見るからにそれらしいオーラ。とはいえ、まあ、東京の高校に行くぐらいだから、本流ではなく、傍系の人なんだろうな、と。天皇家で例えれば、三笠宮の甥(甥はいませんが)ぐらいにあたるそこそこのグレードの人かなと値踏みした。
 で、(京都の大谷さんがそんなはずは絶対にないのだが)「東京のお生まれなんですか?」と聞くと「いえ、生まれたのは京都です」「そうですよね。どうして東京の高校にいらしたんですか」「途中から東京に行ったんです」。
(絶対そんなはずないんだが)「ご両親とご一緒に?」。「いえ、私の父も小学生で親元を離れて預けられたんですが、そういうしきたりがあって私も。自分の家でも窮屈なのに、他人の家だったので、大変窮屈な思いをしました。息子は大学生ですが、一人暮らしなので非常に楽しそうです」。

 と、さんざん間抜けなことを言って、帰ってから出席者名簿を見た。「なんだ、何て読むのかな。オオタニ・コウマさん?」。ググルと、「浄土真宗本願寺派の門主」(当時)とある。伝統仏教で信徒数最多とされる西本願寺の、カソリックで言ったらローマ教皇に当たる。天皇家で言ったら三笠宮ぐらいだろうと思ってたら、天皇家で言ったら天皇本人だったというエピソード。
 わがままな人間に育たないようにという帝王学なのだろうが、カッコウの托卵みたいな育て方をするんだ。
「うちも浄土真宗の檀家で、四谷の正応寺というんですが、末寺の末寺だから、ご存じないですよね。元は麹町にあったんですが、空襲で移ったようです」などとくだらない話をしたが、うちはお東さんの系列だからご存じのわけがない。
 正応寺の住職は「大谷家の方々にお目通りかなったことはない」と言ってたからお東さんのエラい人も知らないだろうけど。
 私の周囲は「親鸞は少しはエラかったかもしれないが、その子孫だからって別にエラくないだろ」という感覚の持ち主ばかりだが、ひとたび京の街を歩けば、「誠にありがたい」と本気で思ってるお年寄りがウヨウヨいるわけでどこに地雷が埋まってることやら。お西さんのトップに「東京で生まれたんですか」などとボケてる場合ではない。