こんなノーベル賞解説がほしい ゲノム編集の背景2019年10月07日 17:49

「ゲノム編集でノーベル」予想シリーズの3回目。授賞業績のタイトルがゲノム編集メインではなく、「細菌の防御システムの解明」メインだった場合、ただちにその背景の解説をニュースサイトに出してほしいものだ。
 私だったらこんな風に書く。

(以下は発表前の仮なので本気にしないでほしい)

 今年の生理学賞は、最有力とされたゲノム編集技術「CRISPR Cas9」を開発したシャルパンティエとダウドナに授賞されると決まった。だが、3人目は大方の予想だったフェン・チャンではなかった。チャンはシャルパンティエらがこの技術に関する論文を発表した翌年、この技術が人間の細胞でも遺伝子の改変に使えることを2人よりやや早く論文にした。
 特許争いではチャンが勝ったが、科学と特許は別だ。日本国際賞などが科学の業績としてはシャルパンティエらの方が先に確立したと評価している。
 しかし、シャルパンティエらの技術も第3世代のゲノム編集技術と呼ばれ、アイデアとしては三番煎じだ。ゲノム編集技術のツールは、特定の遺伝子にくっつく装置と、くっついた場所でその遺伝子を切るはさみからなる。この考え方はは基本的に第1世代から変わっていない。
 同じアイデアでも後から作られた方が使いやすく、世界に広まった。そんな場合、あまり使われてなくても最初に思いついた人のオリジナリティを重視する。それがノーベル賞だ。
 第3世代のシャルパンティエらと第1世代、第2世代をどう組み合わせるかは難問だ。特に第1世代のツールは特許を持つ企業が法外な作成料を取ったことも普及を妨げた。人類と科学の発展に貢献してないではないかと非難する研究者もいる。
 3世代で、特定の遺伝子にくっつく仕組みが違い、シャルパンティエらのCRISPR Cas9は、細菌が細菌に寄生するウイルスの遺伝子を記憶してバラバラにする防御システムだ。これ自体、生物学上の大発見だから、そのくくりにすれば、第1、第2世代のゲノム編集技術は考えなくていい。
 また、ノーベル賞の前哨戦のように言われている有名な賞との違いを際立たせ、独自の見識を示せる。そんな思惑も見える組み合わせだ。

 とまあ、こんな解説をぱっとネットに載せれば、単なる発表待ちでない科学ジャーナリズムの見識も示せるのではないか。
 発表はいよいよ6時半ごろに迫った。

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