遺伝子治療薬記事で死人が出るという株短期売買者 やはり「本当は競輪場か競馬場に行っていた人」なのでは2019年09月21日 08:35

 先日、「国内初の遺伝子治療薬コラテジェンを厚労省が保険適用をする見通し」という小さな記事があった。ありふれた記事で気にも留めなかったが、一部の個人投資家たちがこの記事で「死人が出る」と激怒したそうだ。このコラテジェンはアンジェスという阪大の創薬ベンチャーが出した物。株専門サイトによれば、このところ、思惑買いでアンジェスの株価が実力以上に高騰し続けていた。記事の前日に外資との提携が発表され、材料出尽くしによる目先利益確定売りが始まった所へ、この記事が追い打ちをかけてストップ安になったということらしい。
 厚労省の諮問機関・中央社会保険医療協議会で了承される内容を前日に報じた物だ。仮に事前に報じなかったとして、翌日、中央社会保険医療協議会の了承で同じ内容が出れば、どのみち、翌々日同じように株価が暴落したんじゃないだろうか。経済紙によると、「同社の予測では、患者数は年1千人弱、ピーク時の販売額は年12億円」という部分が市場を失望させたという。
 さて、あきれたことに、この投資家たちは、コラテジェンがどういう風に効く薬で、コラテジェンで治療する慢性動脈閉塞というのがどういう病気なのかなど、そもそもアンジェスについて何も知らない、興味がないのだ。
 患者が1000人ぐらいしかいない病気だと知っていれば、オプジーボみたいな高値がついたとしたってそんなに利益は見込めないことは当然分かったはず。
 国内初というニュース価値に加え、少人数とはいえ、難病に苦しむ患者にとって、いつから保険で使えるようになるのかは1日でも早く知りたい情報だ。怒れる短期投資家たちは拝金視点のみでそういう意義が見えていない。彼らが見ているのはパソコン上で上下する株価の数字だけ。その狭い世界の価値観のみに囚われているから、証券会社とマスコミがグルで株価操作を目論んだなどというあり得ない妄想に取り憑かれたりする。
 たとえ投資目的の短期といえど株主は株主だ。その会社の存在を支えることにどんな意義があるか、その会社の製品が社会にどんな貢献をできるのか。そこまで思いを馳せるのが真の株主ではないか。
 かつて、経産省次官が、デイトレーダーなんて「競輪場か競馬場に行っていた人が手数料が下がったのでパソコンを使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ」「バカで浮気で無責任」と発言してフルボッコにされた。言葉遣いが下品なのは好きでないが、内容的には全くその通りだと思う。

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