JALはエアバスに鞍替えではなく異常な状況を少し正常にしただけ2019年07月09日 19:10

 JALはA350調達でボーイングからエアバスに乗り換えたと話題になっているが、鞍替えではない。JALのような国を代表する大手航空会社がボーイング1社からしか調達していないという世界の航空業界の常識からはありえない状態が少し是正されただけだ。
 アメリカのLCCではボーイング737シリーズしか持っていない所もある。機種が統一されている方がパイロットの訓練や勤務交代も楽。例えば、A350の予定していたパイロットが飲酒で急に飛べなくなった時、ボーイングの免許しか持っていないパイロットが代わりに飛ばすことはできない。また、交換や整備の部品も機種が統一されていた方がコストを節約できる。
 かつて、JALの担当者にそういう経費削減効果を狙ってボーイングに限定しているのか質問したことがあるが否定的だった。リスク分散の観点から1社の製品しかないのは良くない。これは航空業界というより経営の常識だ。そして、JAL内部にも当然、ボーイングありきは良くないと思っている人がいたのだ。
 これまでも機種選定の段階でエアバスが候補になったことはあり、試し乗りしてみたパイロットたちはいい機体だと評価していた。だが、最終的には圧力だか忖度だか知らないが、ボーイングなど米国製が選ばれる。半官半民のJALは特に運輸省に逆らえず、運輸省(日本政府)は米国に逆らえなかったからだ。
 エアバスはヨーロッパだけで売れているのではない。アフリカでもアジアでも、そして、アメリカでも売れている。日本以外、アジアの国々などは機種選定でボーイングとエアバスを両天秤にかけ、良い条件を引き出すしたたかな取引をしていた。時には、中国など国営の航空会社の機種選定を外交的な取引材料にもしていた。日本だけが、どうせボーイングを買ってくれるとなめられていたのだ。

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