「病名・白血病」は「好きな食べ物・麺類」と答えるような物2019年02月16日 17:33

 「池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表」のニュースに、白血病にちょっと詳しい人は違和感というか、多少戸惑ったのではないかと。
 おそらく、これからも詳しい診断名はあえて出さない方針なのではないか。本人が進んで公表しない限り、SNSや雑誌などでの詮索は止めてあげて欲しいというのが個人的感想だ。

 お笑いコンビ・ピスタチオのネタに
「好きな食べ物は?」
「まかないです」
「なんの!?」
というのがある。

「病名は白血病」というのも「好物は何?」と聞いたら「丼物です」と返ってきたようなもの。
いやいや、それって、牛丼なの、カツ丼なの、親子丼なの、天丼なの、もしかして、海鮮丼?
 ちょっと頑張ってローストビーフ丼ご馳走してあげたら、「ぼく、牛だけは食べられないんで」とか言われたりして。

 たった1個の白血球の遺伝子に狂いが生じ、がん細胞化、無限に増殖し、ほかの血液成分が作れなくなり、貧血など重い症状が出る。というのが白血病。でも、一口に麺といっても、うどんもあれば、ラーメンもあり、きしめんもあり、パスタの中にはさらに細かくフジローニもあれば、リングィーネもあれば、タレッティもある。
 それと同じで、白血球にもいろいろ種類があり、それがどの遺伝子の変異でがん化するかによっても細かく分かれる。細かい種類によって病状や治療法が違う。
 例えば、格闘家アンディ・フグの急性前骨髄球性白血病は、急激に症状が出るが、ビタミンAの仲間レチノイン酸が劇的に効き、白血病細胞は死滅する。ほぼ完治に近い。昔、急性前骨髄球性白血病は8割以上が治るとされると書いたら、他の種類の白血病患者の家族からどうしたら治るのかと相談のお便りが来て、困った。
 また、慢性骨髄性白血病(CML)は原因遺伝子が1個だけで、そこを標的としたグリベックなどの薬で抑えることができるが、体がだるくなるなど副作用があり、現時点では一生薬を続けることになる。
 このように詳しい分類名が分かると、標準治療でどのような処置を受け、どういう経過をたどるか大体予測できてしまう。しかし、そんなことが分かったからといって誰が喜ぶのか。テレビのワイドショーなどで医療コメンテーターがしたり顔で「この病気はですね、」と説明するのを見せられても不愉快なだけだ。
 とにかく、SNSも雑誌もワイドショーも病名や進行状態をこれ以上追求せず、そっとしておいてあげればいいのに。と、思うが、無理なんでしょうね。