山中さんが喜ぶ真の理由 本庶さんノーベル賞2018年12月05日 22:43

 本庶佑・京大教授のノーベル賞受賞決定の時、同僚の山中伸弥教授がテレビのインタビューで「自分のノーベル賞の時よりうれしい」と言っていた。これ、お世辞ではなく、本音だと思う。
 この2人、同じ生命科学の研究者だが、研究に対する姿勢が対照的だ。
本庶さんは山中さんとの対談で、司会者に「基礎研究も重要なんですね」と問われ、「基礎研究が重要なんです。基礎研究もじゃなくて」とちょっと怒っている(ように見える)。

https://digital.asahi.com/articles/ASLB17VXSLB1ULBJ02B.html?iref=pc_rellink

 本庶さんにとって基礎研究は医療に応用するために大切なのではなく、基礎研究すること自体が目的。要するに、生命の謎など、これまで分からなかった事が分かるようになる事以外にあまり興味がないのだろう。
 山中さんは対極で、「基礎研究も」の人。医師だった事もあり、患者を助けるための研究第一。医療に役立つような研究をするために基礎科学の研究も必要という真逆の思想だ。
 山中さんがトップのiPS細胞研究所の研究発表を見ると、基礎科学的な内容の物ももちろんあるのだが、必ず、「これによってこういう風に医療応用に役立つ」という無理やり感やくどい感じのオチを付けるので、ちょっと笑ってしまう事がある。
 私はどっちかといえば本庶さんに近い基礎科学大好き理系人間なので、何もそこまで医療、医療、治療、治療と言わなくてもいいのにと思ってしまう。
 さて、山中さん、テレビのインタビューで、「本庶先生と言えばこわいイメージしかなかったが、ノーベル賞受賞の時、『山中君よかったな』と言って高級赤ワインをくださったのが大変うれしかった」と答えている。
 本庶さんがいかに怖いかはいろいろ報道されているので、特に取り上げない。
 が、山中さんが学生の頃からすでに本庶さんは免疫界の巨人。実績そのほか、あらゆる面で本庶さんの方がはるかに格上なのに、同じ京大で(ただし本庶さんは生え抜き、山中さんは外様)自分だけがノーベル賞を持っているのは針のムシロ、とても居心地が悪かったに違いない。
 今回の受賞を山中さんは心底喜んでいる事だろう。