社内メールの上司の悪口で失敗しない法2 暗号化とカギ2018年12月02日 01:19

 前回、例えば、同僚の蒼井優(仮名)が離婚したことを「AOUがフリーラジカルになった」とメールすれば、万一、送り先の相手以外に見られても内容を隠せると書いた。しかし、暗号化し過ぎるとメールの送信相手にも意味が分からない。
 で、どうするか。
暗号にはカギがある。暗号を解くカギを共有すればいいのだ。
 カギとは暗号の用語集、対照表だ。これをあらかじめ送っておけばいい。言わずもがなだが、絶対に暗号本文とカギを一緒に送ってはいけない。別々に送ることで、2つのメールを同時に見られない限り、内容を悟られる心配はない。
 例えば、内田さん(仮名)という先輩がいた。この人、ドクターコースまで終了した高学歴(ただし、博士号は取れなかったらしい)で、U Ultmate Doctor(アルティメット・ドクター)の略でuudと暗号化した。それでも暗号化し足りなくて、uudはアップクオーク2個、ダウンクオーク1個からなる粒子「陽子」のことなので、陽子とかprotonと書いていた。で、なぜプロトンなのか理由を書いた対照表を共有しておき、新たなメンバー(何の結社じゃ)にも送った。プロトンがどうのと主語だけでなく、動詞も置き換えれば、もう物理や化学の議論をしているようにしか見えない。
 私も同僚たちも理系で何かそれ系の例えが多いが、まあ、共通の趣味に絡んだ暗号化すれば、なおさら第三者には解読しにくくなる。

HIV耐性ゲノム編集ベビー 気になる間違い2018年12月02日 20:16

 中国で、受精卵にHIV感染を阻止するゲノム編集を加えて、双子が誕生したというニュース。
まず間違いの(1)
 テレビで、受精卵の遺伝子(DNA)をはさみで切って、間に新しい遺伝子を挿入するアニメをつくっていたが、間違い。このゲノム編集は、標的の遺伝子を壊しているだけで、別な遺伝子の挿入はしていない。HIVが細胞に感染するのに必要な膜たんぱく質を作る遺伝子を壊している。それだけで、HIVは感染できなくなるのだ。

もう一つ、間違いと断言できるかどうか微妙だが(2)
 「HIVから子どもを守るほかの方法がある」と学者が非難していると報道されている。だが、特別なことをやる必要はない。HIV陽性の男性でも、体外受精すれば、妻や生まれてくる子どもにHIVが感染する可能性はほぼないと言っていい。また、抗HIV薬がよく効いて、HIV陽性の男性の血液中からHIVが検出されない状態が続いていれば、普通に妊娠しても妻や子どもにHIVが感染することはないことが医学的に証明されている。
 国際エイズデーから開かれている日本エイズ学会でも取り上げる国際的なスローガンは”UNDETECTABLE=UNTRANSMITTABLE”(検出がなければ、感染はない)。
 HIV医療の現場ではそのようなことが常識となっているのに、HIV陽性の夫から陰性の妻や子どもへの感染を阻止するのに何か特別なことをしなければならないかのようなコメントはHIVへの根強い偏見を助長する。