信用おける研究者の区別 母のワクチン乳児に効く 思い込みと根拠のある事実を混同していないか2022年02月20日 13:43

信用おける研究者の区別 母のワクチン乳児に効く 思い込みと根拠のある事実を混同していないか
 ワクチン接種をした妊婦から移行した抗体が新生児の新型コロナ感染症に効くというデータ。これはコロナに限らず、価値の大きい研究だ。胎盤から移行する母親の抗体(移行抗体)が、抗体を「持たない」/「すぐにつくれない」新生児を数カ月守っていることは知られている。10年ほど前、はしかが流行しなくなり、はしかの抗体を持ってない妊婦が増え、生後6カ月未満の乳児ではしかの移行抗体を持たない率が40%に上るという記事を書いた。その際、感染研の感染症情報センター長だった岡部信彦さんに「母親がはしかのワクチンを打って抗体ができていた場合、それで新生児ははしかに対する抵抗力を持てるのか?」と質問したら、「その可能性はあるが、その根拠となる研究データがない」と言っていた。科学的に正しい態度だなと関心。ところが、それから数年たって、抗体に関する連載で、同センターのT室長に同じ質問をしたら、「母親がワクチンを打っていれば乳児にも効くに決まっている」と頭から決めつけていた。医学生物学の世界では、科学的論理的に絶対間違いなさそうなことでも実験してみるとその通りにならないことがよくある。「そうに決まっている」という推測や思い込みと、裏付けとなるデータがある客観的事実を峻別しなければならないのはジャーナリストも科学者も同じ。こういう経験の積み重ねで、信頼できる研究者の見分けがついていく。

◆妊婦のワクチン接種、乳児に効果 新型コロナ
https://digital.asahi.com/articles/ASQ2J3415Q2JUHBI006.html

ワクチン済み10代基礎疾患なし死亡が騒ぎだが2022年02月19日 12:21

ワクチン済み10代基礎疾患なし死亡が騒ぎだが
 死因は小さな血栓が多発的にできて細い血管が詰まる病気。これはウイルス自体の悪さというよりサイトカインストームなど免疫の行き過ぎた異常反応(おとなしい怪獣よりウルトラマンやウルトラ警備隊の破壊行為の方が迷惑な円谷特撮状態)によるもので、獲得免疫(ワクチンや感染でできる特定の病原体に対する防御機能)がないと起きやすいのが普通。2回接種してからどれぐらい立っていたのか、ワクチンで抗体がちゃんと出来ていたのか(きちっと獲得免疫ができないワクチンフェイラーということがある)などのデータがないと騒ぐべきか判断のしようがあない。

◆基礎疾患ない10代死亡 さいたま 新型コロナ
https://digital.asahi.com/articles/ASQ2J6S9TQ2JUTNB014.html

政府がコロナ経験から学ぶ悪い例 羮に懲りて休校せず2022年02月17日 13:08

政府がコロナ経験から学ぶ悪い例 羮に懲りて休校せず
 まともな専門家の間でもリスクベネフィット評価が割れている12歳未満へのコロナワクチン接種を岸田政権は拙速に進めている。2年前の従来株の時と状況が違い、学校・学童が流行源となり始めているので焦っているのだろう。お茶大生への講義で「新型コロナの経験からは何も学ぶな」、「新型コロナでは疫学的に全く無意味だった一斉休校が次の新興感染症では非常に有効かもしれない」という話をした。次の感染症を待つまでもなく、今、まさに休校は有効なのではないか。現場からも「休校にしてくれ」という教員の悲鳴ツイートがずいぶんあるそうだ。しかし、2年前、全く無駄な全国一斉一律休校を強行して非難囂々だったトラウマで政府はもうできないだろう。そもそも2年前の無意味な休校も季節性インフルや新型インフルで休校が有効だったからコロナでもそうしようという安易な過去の模倣が原因だと推測している。やるなら今なのに。

◆お茶大で1コマ,コロナの話をしてきた
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/11/21/9441961

◆知事会長「学校対策、何らか必要」 感染急増で国に方針見直しを提言
https://digital.asahi.com/articles/ASQ1X6T2MQ1XUTIL05H.html

◆5~11歳のワクチン接種、官房長官「3月以降に開始の見込み」
https://digital.asahi.com/articles/ASQ1D42GRQ1DUTFK00G.html

コロナ飲み薬は死亡率を下げない 入院や死亡のリスク89%減と言うが2022年02月14日 12:35

コロナ飲み薬は死亡率を下げない 入院や死亡のリスク89%減と言うが
 ファイザーやメルクの新型コロナウイルス飲み薬で「入院や死亡のリスクを89%低下させる効果がみられた」と報じられている。素直にみると、入院リスクや死亡リスクがそれぞれ下がったと誤解する。しかし、私の知る限り、新型コロナウイルスの治療薬で、臨床試験により死亡率が下がると統計的に証明されたものはない。死亡率が低すぎて有意な差が出ないのだ。そこで、メルクなどの臨床試験では、入院件数と死亡件数を足した総数で偽薬との差を見ている。つまり、「入院や死亡のリスクを89%低下させる」の意味は、「入院∪死亡」(入院+死亡)のリスクが下がったということ。死亡率(単体)を下げるかどうかは分からない。でも、ほとんどの人が誤解してるんだろうね。

入院∪死亡=①入院して助かった人+②入院して死亡した人+③入院せずに死亡した人 ですが、①が圧倒的に多いのだ。

◆ファイザー 開発中のコロナ飲み薬“入院や死亡リスク89%減”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211215/k10013389441000.html

風疹抗体もあった >ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は2022年02月07日 18:27

風疹抗体もあった  >ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は
コロナワクチンの定量検査に行ったついでに、厚労省が無料キャンペーンをしている風疹抗体検査も受けてきた。風疹になった記憶は全くないが、しっかりと抗体があった。風疹ははしかのような典型症状がないのでかかっても気がつかないのはよくあること。

◆ ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2022/02/04/9461307

ファイザーワクチン2回目50日空けて接種 抗体の推移は2022年02月04日 18:25

ファイザーワクチン1,2回目50日空けて接種 抗体の推移は
 ファイザーの新型コロナワクチン。1回目と2回目の間が3週間後というのは獲得免疫の応答を考えると短すぎるのではないか。そこで、意図的に50日間空けて接種し、近くのクリニックで抗体価を測ってみた。今、抗体価が非常に高い時期で、第6波に備えて意図的に接種を遅らせたのがうまくはまった。まず、接種の直前に感染歴がない事を抗体検査で確認。1回目接種後3週間でも抗体価が上がっているというサイトがあったので、4週間後にまず測ってみた。その後、50日後(2回目接種の直前)、2回目接種から2週間後、4週間後に測定。なお、新型コロナウイルスの抗体検査には世界的基準がなく、抗体価の絶対値にはあまり意味がない。この検査では、一応、10(AU/ml)以上であれば中和抗体があると判断している。分かったことは、

1)1回目接種だけでも1カ月後には十分な抗体量になる。
2)1回目接種から50日後でも基準値は超えたが急に下がっていてやや心許ない。
3)50日空けた2回目接種でも抗体価は急上昇し、1カ月後も高水準を保つ。
(ただし、1例なので、一般化はできない)

 クリニックの医師が当初、「そんなに短期間で変わらないから、しょっちゅう来る必要はないですよ」と呆れていたので、「グラフにしていろいろ考えるのが趣味みたいなもんです」と。「趣味にしてはお金がかかるのでは?」。「いや、競馬やパチンコに何十万も使う人に比べたら、よほどましな趣味だと思いますけど」

なお、通常通り3週間空けでやった場合の抗体のデータは下記のようなサイトがある。

◆院長のS抗体検査の推移
https://nakamura-heart.com/blog_category/%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/

◆ワクチン接種後の抗体、どのくらい残ってるの? 記者が自費で毎月測ってみた<新型コロナ>
https://www.tokyo-np.co.jp/article/146989

コロナワクチン接種後の副反応 半分以上気の迷い 論文に2022年01月31日 18:18

コロナワクチン接種後の副反応 半分以上気の迷い 論文に
以前、「コロナワクチン接種で起きる頭痛の8割は気のせい」という話を書いたが、総合的な解析をした論文になった。頭痛や疲労感など全身性(注射跡が痛いなど局所的でないもの)の副反応に関して、接種1回目の76%、2回目接種の52%がワクチンと関係ない偽薬効果との結果。偽薬でいい影響が出るプラセボ効果に対し、ノセボ効果と言うそうだ。ワクチンを打たれたと思い込む事自体が心理的ストレスとなって、反応が起きてしまうという事だろう。籠もりがちの高齢者が、初めての場所に行って、待たされ、問診を受け、痛い注射を打たれればそれなりの負担。
 ネットで読まれそうな話なんだが、あまり出てない。

◆Frequency of Adverse Events in the Placebo Arms of COVID-19 Vaccine Trials
A Systematic Review and Meta-analysis
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788172

◆ワクチン頭痛 8割気のせい 偽薬でも27%が訴え
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/06/19/9389511

オミクロン株は肺炎になりにくいと言うけども2022年01月27日 13:44

オミクロン株は肺炎になりにくいと言うけども
 気管支の細胞と肺の細胞を使った比較実験で、オミクロン株は、気管支の細胞だとデルタ株や従来株の70倍も増殖効率が高いが、肺の細胞だと逆に10分の1以下になるとの結果。もし本当なら次のようなメカニズムが考えられる。新型コロナウイルスが細胞に侵入するための鍵穴(リセプター)に構造が少し違う2種類がある。一方は肺の細胞に主にあり、もう一方は気道(のど)の細胞に多い。デルタや従来株はどちらにもソコソコよくくっつく。オミクロン株は変異で鍵(スパイクたんぱく)の形が変わり、のどの細胞の鍵穴には非常によく結合するようになったが、肺の細胞の鍵穴にははまりにくくなった。
 しかし、こういうメカニズムは、鳥インフルについてかじった事のある人なら誰でも思いつくような事だ。そういう予断に基づいた仮説を立てて実験すると、故意か無意識か分からないが、そういう結果になりやすいという事が医学生物の世界ではよくある。誰かがそういう論文を書くと、また、それに引きずられて、似たような実験結果が集まってくるということもある。特に、新型コロナ現象のようなニワカ参入者が多いと起きやすい現象。鵜呑みにするのは、医科研あたりが、分子レベルで受容体とスパイクの結合の変化を解析するぐらいまで待った方がいいかと思う。
 それに、これはこのグループも言及しているが、肺炎はウイルスが肺の組織に感染して起きるとは限らず、むしろ、免疫の過剰反応でサイトカインが異常に分泌し、それが血液で全身に巡り、肺に炎症を起こすということもあるので、肺に感染しなければ肺炎にならないとは言えない。
◆HKUMed finds Omicron SARS-CoV-2 can infect faster and better than Delta in human bronchus but with less severe infection in lung
https://www.med.hku.hk/en/news/press/20211215-omicron-sars-cov-2-infection

VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング2021年12月25日 12:04

VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング
1 パクスロビド(ファイザー 飲み薬) 一番効きそう
2 モルヌピラビル(メルク 飲み薬) オミクロンでも効くはずだがもともと効果が弱そう
3 mRNAワクチン(ビオンテック/ファイザー、モデルナ) 感染阻止効果はかなり落ちるが、重症化防止はある程度効く
4 ロナプリーブ(抗体カクテル ロシュ) ほとんど効かない

 なので、オミクロン株軽症の際はパクスロピドをお勧めする。

 1)パクスロビド。プロテアーゼ阻害剤。細胞内でウイルスRNAの設計図を元につくられるウイルスたんぱく質はプラモデルの部品のようにつながって出て来る。これを切り離すカッターがプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)。パクスロビドはこのカッターにくっついてウイルスの組み立てを邪魔する。ウイルスごとに切るたんぱく質が違うため、カッターの形も違い、阻害剤は異なるウイルス間で転用できない。そのため、ウイルスごとに特化した薬がつくられ、活性が非常に高い。また、ウイルスの膜表面のたんぱく質が変異しやすいのに比べ、プロテアーゼは変異してしまうと本来の機能が果たせなくなり、ウイルスの増殖に支障が出るため、この薬が効かなくなるような変異は起きにくい。そのため、オミクロン株にもよく効く(はず)。
 2)モルヌピラビル。RNA合成酵素阻害剤。細胞内で、ウイルスのRNA合成酵素がRNAをつくるのを邪魔する。RNAの部品によく似た化合物で、RNA合成酵素が部品と間違えて使ってしまい、正常なRNAがつくれなくなる。レムデシビル、アビガンなども同じ。やはり、変異の影響を受けにくいはずだが、そもそもの効果に疑問符が付く。これら3つはいずれもインフルやエボラなど他のウイルス用に開発されていた薬の転用で、何にでも効くが切れ味はいまいち。モルヌピラビルも「入院・死亡リスクを約30%下げる」程度だと死亡率で有意差の出なかったレムデシビルと大差ない。
 3)mRNAワクチン。従来株のスパイクたんぱく質に対する抗体がスパイクたんぱく質の変異によってオミクロン株に結合しにくくなっていると考えられるが、変異していない場所に結合する抗体ががんばっているのだろう。
 4)ロナプリーブ。2種類の抗体を混ぜたものだが、効果が著しく落ちているということは、両方ともオミクロン株で大きく変異してしまった部位に結合する抗体なのだろう。なお、単体の抗体医薬ソトロビマブ(GSK)はそこそこ効くようdふぁ。

>>フランスは、22日、メルクの臨床試験の結果が当初期待していたほどではなかったとして発注をキャンセルし、代わりにファイザーの飲み薬を調達する方針を明らかにするなど、ヨーロッパでは対応が分かれています。
◆メルクのコロナ飲み薬 欧州で対応分かれる 厚労省あす承認審査
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211223/k10013401361000.html
>>ウイルスの増殖を抑える能力を示す「中和活性」がこれまでの変異ウイルスなどに比べて少なくとも1000分の1に低下したということです。
◆抗体カクテル療法 オミクロン株に効果期待できず 投与推奨せず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211225/k10013403691000.html

1650億で政府調達した薬が無駄に? 抗体医薬とワクチンの違い2021年12月18日 12:13

1650億で政府調達した薬が無駄に? 抗体医薬とワクチンの違い
 菅前首相が1人分31万円、50万人分調達した抗体医薬ロナプリーブは「(感染を防ぐための)中和活性がオミクロン株に対しては保てていない」。1650億円の税金が無駄になりそうだ。まあ、もともと掛け捨て保険みたいな物かもしれないが。しかし、ワクチンの方は「ファイザー社を始め、複数の研究グループは、追加接種した人の体内で作られた抗体はオミクロン株にも有効という実験結果を示しており、感染や発症を防ぐ効果は期待できるとみられている」。この違い。体内に侵入したウイルスのたんぱく質に対して、そのたんぱく質の様々な部位に結合するいろいろな抗体ができる。抗体医薬は1種類の抗体のみを厳選して増やしたモノクローナル抗体。ロナプリーブは2種類のモノクローナル抗体を混ぜた物だが、オミクロン株でこの2つの抗体が結合する部位が変異して大きく形を変えてしまっていると手も足も出ない。ワクチンで体内にできる抗体は無数の物が混ざっているので、その中にオミクロン株でもあまり変化していない部位に結合して従来株と共通に効く物があるのだろう。

◆抗体カクテル療法「ロナプリーブ」、オミクロン株に「効力が低下」
https://digital.asahi.com/articles/ASPDK4WJNPDKULBJ007.html

◆ワクチン追加接種、オミクロン株に有効?不確実でも各国急ぐ3回目
https://digital.asahi.com/articles/ASPDK5R1KPDKULBJ015.html