東大ですらAIにも解ける問題を出していたら人間にしか答えられない問題を解く人間が絶滅してしまうのでは ― 2024年09月09日 19:21
<多くの大学の国語の問題も文章の字面だけを見て答えるものです。特に、大学入学共通テストの現代文の問題は、行間を読んだり、裏読みしたりすると確実に誤答するように作られています。
――文学を読むことは、書いていないけれど作者の言いたいことを受け止めることなのではないですか。
そうです。だから、字面だけを読むのは受験のためだけに必要な読み方で、入試が終わったら忘れてくださいと指導します。それもあって慶応大学はそのような国語の問題を出すのをやめて、小論文だけになったのでしょう。>
最近、「書いてもいないことを主張していると言われた」みたいな反応に出合うことがしばしばある。書いてあることしか受け止めることができないAIみたいな人が増えてるのだろうか。
東大など多くの大学で、AIにも対応できる文字だけを追う問題を出し、中高でもそれに合わせた教育をしていたら、ますます字面しか理解できない人間だらけになってしまう。
AIが人間に近づくことが問題なのではなく、AIでもできるようなことしかできない人間を育ててしまうことが問題。
AIが将棋の名人に勝ったもんだから、AIにも思考力や判断力があると誤解している人がかなりいる。NHKの特集なんかもそういう認識を助長するような作り方をしている。
この間違った過大評価も少しでも是正するには、AIに東大の二次試験をぶつけてみればいいと考えた。
なぜなら、東大は「一体どうしちゃんたんだ」と正気を疑いたくなるような変な問題を出す癖があり、これが物を考えられないAIにとって極め付けに相性が悪いからだ。
ところが、昨年2023年と今年の東大国語・現代文・文理共通問題を見て、いやな感じがした。
思考能力がなくても解けるような、AI向きの問題に見えた。で、実際にChatGPTに質問してみると、素人の自分が見ても、3、4点は取れてそうな返答。
この時点で、この企画に対するモチベーションだだ下がり。
そこで、東大入試国語の変な問題の中でも、まれに見る奇問、国木田独歩の手紙に返事を書けというのを質問した。独歩についての説明をしたりといった的外れを期待したのだが、ちゃんとした返信文が戻ってきた。形式上は、礼節や思いやりを知らない自分なんかよりよほどまともな手紙に見えた。
もう企画自体やめようかと思ったが、予備校のベテラン講師に採点を頼んでしまっていたので、とりあえず、話を聞いた。すると、うれしい誤算で、実におもしろかった。
入試にだけ通用する読解法、「行間や裏を読んではいけない」「文章の字面だけを読む」ことで正解できる問題が課されているからAIにも解けてしまうという。
AIには思考能力がない。そこで、世の中に電子情報としてあふれている様々なやりとりの文章の中で類似度の高いものを確率的に見つけて寄せ集め、提示しているだけだ。
特に、今の入試の現代文問題のように、出題された文章の中そのものに答えがあれば計算はより簡単。
しかし、独歩への返信はそうはいかない。独歩がこの手紙を書いた真意は何なのかを推測する、そして、出題者がこの返信を書かせることで受験生に何を問うているのかを推測する。この2段階のプロセスが必要だ。
もちろん、AIにはそのような機能はない。
そして、この問題には正解がない。この広大のネット空間のどこかに誰かが描いた正解がある問題ならば、AIはそれを必ず拾い出してくる。
あえて言うならこの問題への答えは受験生1人1人の中にある。空っぽなAIの中には答えはない。
正解のない問題、答えの用意されていない問題に答えられるのは人間だけだ。
◆東大入試の国語問題をChatGPTに解かせてみた 一見まともな解答の採点結果は?
https://www.asahi.com/edua/article/15412450
――文学を読むことは、書いていないけれど作者の言いたいことを受け止めることなのではないですか。
そうです。だから、字面だけを読むのは受験のためだけに必要な読み方で、入試が終わったら忘れてくださいと指導します。それもあって慶応大学はそのような国語の問題を出すのをやめて、小論文だけになったのでしょう。>
最近、「書いてもいないことを主張していると言われた」みたいな反応に出合うことがしばしばある。書いてあることしか受け止めることができないAIみたいな人が増えてるのだろうか。
東大など多くの大学で、AIにも対応できる文字だけを追う問題を出し、中高でもそれに合わせた教育をしていたら、ますます字面しか理解できない人間だらけになってしまう。
AIが人間に近づくことが問題なのではなく、AIでもできるようなことしかできない人間を育ててしまうことが問題。
AIが将棋の名人に勝ったもんだから、AIにも思考力や判断力があると誤解している人がかなりいる。NHKの特集なんかもそういう認識を助長するような作り方をしている。
この間違った過大評価も少しでも是正するには、AIに東大の二次試験をぶつけてみればいいと考えた。
なぜなら、東大は「一体どうしちゃんたんだ」と正気を疑いたくなるような変な問題を出す癖があり、これが物を考えられないAIにとって極め付けに相性が悪いからだ。
ところが、昨年2023年と今年の東大国語・現代文・文理共通問題を見て、いやな感じがした。
思考能力がなくても解けるような、AI向きの問題に見えた。で、実際にChatGPTに質問してみると、素人の自分が見ても、3、4点は取れてそうな返答。
この時点で、この企画に対するモチベーションだだ下がり。
そこで、東大入試国語の変な問題の中でも、まれに見る奇問、国木田独歩の手紙に返事を書けというのを質問した。独歩についての説明をしたりといった的外れを期待したのだが、ちゃんとした返信文が戻ってきた。形式上は、礼節や思いやりを知らない自分なんかよりよほどまともな手紙に見えた。
もう企画自体やめようかと思ったが、予備校のベテラン講師に採点を頼んでしまっていたので、とりあえず、話を聞いた。すると、うれしい誤算で、実におもしろかった。
入試にだけ通用する読解法、「行間や裏を読んではいけない」「文章の字面だけを読む」ことで正解できる問題が課されているからAIにも解けてしまうという。
AIには思考能力がない。そこで、世の中に電子情報としてあふれている様々なやりとりの文章の中で類似度の高いものを確率的に見つけて寄せ集め、提示しているだけだ。
特に、今の入試の現代文問題のように、出題された文章の中そのものに答えがあれば計算はより簡単。
しかし、独歩への返信はそうはいかない。独歩がこの手紙を書いた真意は何なのかを推測する、そして、出題者がこの返信を書かせることで受験生に何を問うているのかを推測する。この2段階のプロセスが必要だ。
もちろん、AIにはそのような機能はない。
そして、この問題には正解がない。この広大のネット空間のどこかに誰かが描いた正解がある問題ならば、AIはそれを必ず拾い出してくる。
あえて言うならこの問題への答えは受験生1人1人の中にある。空っぽなAIの中には答えはない。
正解のない問題、答えの用意されていない問題に答えられるのは人間だけだ。
◆東大入試の国語問題をChatGPTに解かせてみた 一見まともな解答の採点結果は?
https://www.asahi.com/edua/article/15412450
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